【コミカライズ】ヴァンパイア執事はお嬢様に心を読まれています
ボロボロの夜会デビュー
カーンカーンと教会の鐘が鳴り響き、朝から葬儀の為、親戚達が集まって参列し、墓地への埋葬が行われた。
お二人の亡骸は損傷が酷いとされ、蓋は開けられなかった。
ヒソヒソと周囲の者は、こう噂していた。
『カッレラ侯爵夫妻は獣に襲われたそうだけど……首の咬み傷が酷いらしいわ』
『狼の毛が落ちていたと聞きましたわ』
『従者の最後の言葉は「バケモノが……」ですって…』
とザワザワしていた。
長女のカトリーナ様は早々に家を継ぐことになり、葬儀後はバタバタしていた。
旦那様と奥様のお葬式にもお嬢様は出て来なかったことでカトリーナ様とティルダ様は怒りに震えて扉を叩いた。
「この人で無しー!お父様達は、あんなにお前に良くしてやったのにーー!!なんてやつなの!」
「お母様が死んでも離さなかった、あんたのデュビタントのドレスよ!もうボロボロで本当は燃やしてやろうかと思ったけど、情けでくれてやるわ!!デビュタントに出るかどうかはあんた次第よ!!」
とバンと扉にドレスのボロボロの箱……、端からはボロ切れの様な布がはみ出していた。
酷い…。
僕はカトリーナ様達が去った後に扉に駆け寄った。
「お嬢様…!!大丈夫ですか?カトリーナ様達が酷いことを言ったけど、気になさらないで下さい!
ドレスは…僕がお金を貯めていつか…」
と言うと静かに扉が開き、目を腫らしたお嬢様が、僕の方は見ずにボロボロのその箱を拾い上げた。
そして
「夜会はいつ?」
「え!?」
「夜会はいつだって聞いてんの。金髪」
と言い、僕が言う前に…心を読まれ
「次の満月か…わかった。出るから」
と言うと扉を閉めた。
呆気に取られたが、ハッとして
「お、お嬢様!?で、出るって…どう言う!!?
あ、あの!ドレスの手配を…!
あの僕、カトリーナ様にお願いして……」
「余計なことしなくていい!私はこれを着るから!!」
と言い放った。
「ま、待ってください!そ、そんな!む、無理ですよ!!?」
と僕は何度も扉に向かって言ったが、それきり無視され、夜会の日が来てしまった。
お嬢様は時間まで鍵を閉めて閉じこもっていた。
ようやく客達が集まり始めた。
僕はお嬢様の部屋の扉を叩く。
「あ、あのお嬢様…。そろそろお時間なのですが…」
と言うと、バンと扉が開いて、中からボロボロとドレス…本来ならとても可愛いフリルやリボンのついた白と薄い青のドレスだけど、所々血の赤黒いシミが出来たドレスを着た、お嬢様が立っていた。
髪もいつものままで、とても人前に出るなんてと思ったが、お嬢様は
「心配しなくていい!ちゃんとお披露目してくるよ!」
と言い、ズンズン歩いた。僕は後をついてオロオロするばかりだ。
*
親戚や来賓の方々が集まる中、バンと広間にカツカツと現れたお嬢様に皆、静まり返り、お嬢様に注目した。
お嬢様は
「初めまして。カッレラ侯爵家三女のパウラ・ティナ・カッレラと申します。
この度は…私の夜会デビューにご出席くださりありがとうございます。
このドレスはお義父さまとお義母様がこの日の為に用意なさってくれたものです!とても素敵なドレスでしょう?」
と言うお嬢様にホールにいた人々は眉を寄せた。
お嬢様を守らなければと思うのに…皆の視線は異様な光景に釘付けだった。
「どなたか私とダンスを踊りませんこと?」
とお嬢様は言うが誰も前に出ない。
カトリーナ様は
「み、皆様…義妹のお見苦しい姿をお見せして大変申し訳ありません!
お父様達が亡くなり…、ちょっと…、あ、頭の方が壊れて…、パウラ…!もう挨拶は済んだわね?疲れたでしょ?もう部屋で休んでいいわ」
と苦し紛れに言う。
さっさと去れとばかりだ。この夜会はお嬢様が主役なのに!
しかしお嬢様は一礼し、くるりと入ってきた扉から出ていくので僕も慌てて付いて行く!
ホールからは誤魔化す様に演奏の音楽が聞こえ始めていた。失笑も少し聞こえた。
お嬢様に話しかけても何一つ喋らずに部屋に着くと
「それじゃ…」
と言い、お嬢様は扉を閉めた。
その日からお嬢様にどんなに話しかけても言葉は返ってこなかった。
お二人の亡骸は損傷が酷いとされ、蓋は開けられなかった。
ヒソヒソと周囲の者は、こう噂していた。
『カッレラ侯爵夫妻は獣に襲われたそうだけど……首の咬み傷が酷いらしいわ』
『狼の毛が落ちていたと聞きましたわ』
『従者の最後の言葉は「バケモノが……」ですって…』
とザワザワしていた。
長女のカトリーナ様は早々に家を継ぐことになり、葬儀後はバタバタしていた。
旦那様と奥様のお葬式にもお嬢様は出て来なかったことでカトリーナ様とティルダ様は怒りに震えて扉を叩いた。
「この人で無しー!お父様達は、あんなにお前に良くしてやったのにーー!!なんてやつなの!」
「お母様が死んでも離さなかった、あんたのデュビタントのドレスよ!もうボロボロで本当は燃やしてやろうかと思ったけど、情けでくれてやるわ!!デビュタントに出るかどうかはあんた次第よ!!」
とバンと扉にドレスのボロボロの箱……、端からはボロ切れの様な布がはみ出していた。
酷い…。
僕はカトリーナ様達が去った後に扉に駆け寄った。
「お嬢様…!!大丈夫ですか?カトリーナ様達が酷いことを言ったけど、気になさらないで下さい!
ドレスは…僕がお金を貯めていつか…」
と言うと静かに扉が開き、目を腫らしたお嬢様が、僕の方は見ずにボロボロのその箱を拾い上げた。
そして
「夜会はいつ?」
「え!?」
「夜会はいつだって聞いてんの。金髪」
と言い、僕が言う前に…心を読まれ
「次の満月か…わかった。出るから」
と言うと扉を閉めた。
呆気に取られたが、ハッとして
「お、お嬢様!?で、出るって…どう言う!!?
あ、あの!ドレスの手配を…!
あの僕、カトリーナ様にお願いして……」
「余計なことしなくていい!私はこれを着るから!!」
と言い放った。
「ま、待ってください!そ、そんな!む、無理ですよ!!?」
と僕は何度も扉に向かって言ったが、それきり無視され、夜会の日が来てしまった。
お嬢様は時間まで鍵を閉めて閉じこもっていた。
ようやく客達が集まり始めた。
僕はお嬢様の部屋の扉を叩く。
「あ、あのお嬢様…。そろそろお時間なのですが…」
と言うと、バンと扉が開いて、中からボロボロとドレス…本来ならとても可愛いフリルやリボンのついた白と薄い青のドレスだけど、所々血の赤黒いシミが出来たドレスを着た、お嬢様が立っていた。
髪もいつものままで、とても人前に出るなんてと思ったが、お嬢様は
「心配しなくていい!ちゃんとお披露目してくるよ!」
と言い、ズンズン歩いた。僕は後をついてオロオロするばかりだ。
*
親戚や来賓の方々が集まる中、バンと広間にカツカツと現れたお嬢様に皆、静まり返り、お嬢様に注目した。
お嬢様は
「初めまして。カッレラ侯爵家三女のパウラ・ティナ・カッレラと申します。
この度は…私の夜会デビューにご出席くださりありがとうございます。
このドレスはお義父さまとお義母様がこの日の為に用意なさってくれたものです!とても素敵なドレスでしょう?」
と言うお嬢様にホールにいた人々は眉を寄せた。
お嬢様を守らなければと思うのに…皆の視線は異様な光景に釘付けだった。
「どなたか私とダンスを踊りませんこと?」
とお嬢様は言うが誰も前に出ない。
カトリーナ様は
「み、皆様…義妹のお見苦しい姿をお見せして大変申し訳ありません!
お父様達が亡くなり…、ちょっと…、あ、頭の方が壊れて…、パウラ…!もう挨拶は済んだわね?疲れたでしょ?もう部屋で休んでいいわ」
と苦し紛れに言う。
さっさと去れとばかりだ。この夜会はお嬢様が主役なのに!
しかしお嬢様は一礼し、くるりと入ってきた扉から出ていくので僕も慌てて付いて行く!
ホールからは誤魔化す様に演奏の音楽が聞こえ始めていた。失笑も少し聞こえた。
お嬢様に話しかけても何一つ喋らずに部屋に着くと
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