誤解される執事

朝早くから「ぎゃーーー！」と言う声こえが響いたら、屋敷の人間は気付く！！
直ぐに何事かと、お嬢様の部屋の前に人が集まってくる！！

や、ヤバイ！！僕は全裸でお嬢様の部屋にいる！！いくら12歳の子供と言っても、素っ裸すっぱだかで女の子の部屋にいるなんて誤解されてしまったら終わりだ！！

「そんなことより、早く服を着なさいよ！！へへへへ、変態！！」
心を読んだ、お嬢様は布団を頭から被ってかぶっている！！

いや、その服は逃げる時に、コウモリになったから無い！！執事服だって、あの院長の手により、孤児服とすり替えられてたし、あ、今頃、僕の執事服を金かねに替えてるに違いない、あのクソジジイ！！
と院長の顔が浮かぶ。

「もう！そんなこといいから服着なさい！私のクローゼットのドレスワンピースでも着なさいよ！！」

「そ、そんな女の子の服なんて！！」

「それしかないのよ！！」
確かにそうだ。
ドンドンと扉が叩かれる。

「お嬢様！？」
「パウラどうした！？賊ぞくなのか？」
「ここを開けてあけてください！！」
「襲われてるのか？おい、壊すしかないか！」

ひいいい、ヤバイ！！

とりあえず僕は、クローゼットを開けて、急いで着やすそうなドレスワンピースを手に取って、頭からスポンと被ったかぶった！！
そしてドアは無理矢理、開かれたひらかれた！！

「お嬢様は！？」

「パウラ！？あっ…」
と皆は、一斉に僕を見た。
女の子の…ピンクのドレスワンピースを着た…あまりにも美しい金髪の僕を…。

「自分で言うのね」
ボソっとベッドから、モゾリとお嬢様がやってきた。

「パウラ！！無事かい！？一体どうした？今の叫び声は！それにヴァレンティン！？2日も戻らずにいたから、捜索を頼むところだったのに！」

「あ、あの！…それはその…。孤児院に行きまして、その帰りに間違えて、違う乗合馬車に乗ってしまい、違う方向へ向かってしまったので。

時間がかかりまして、すみませんでした！け、今朝着いて！！

まだ皆さんが寝ていらしたので、そ、その、お嬢様が…起きてて、窓から僕が見えたみたいで、開けてくれて！！

そ、それでその…」

「門もんを開けてあけてあげたから…。私の着せ替え人形になってもらってたの。…叫び声はあまりにも…面白くて、大きな声が出て…ご、ごめんなさい」
とお嬢様が喋ったので、皆は驚いていた！！普段、喋らない娘が喋るから驚いて当然だ。

…足踏まれたふまれた。

「そうか…そうだったのか…。とにかくヴァレンティン…無事で何より。いや…似合ってるな。美少年が美少女だな」
皆、微笑ましく笑って、盛大に誤解してくれた。
でも旦那様には言わないと！院長のこと！

「旦那様！あの！お話が！！孤児院のことで！」
と真剣な顔をしたが

「う、うむ、わかった。一旦着替えてからにしてくれ」
と旦那様も笑いながら出て行った。

「貸し、一つ」
とボソリとお嬢様が言い、僕を部屋から追い出して鍵を閉めた。