【コミカライズ】ヴァンパイア執事はお嬢様に心を読まれています

黒月白華

助けられる執事

お嬢様の首には十字架じゅうじかが何個もつけられている。そして恐る恐る窓を開けたので、僕はすかさず入り込んだ。

突然、白コウモリが入り込んだが、叫び声一つお嬢様はあげなかった。

「…だってあんた、あの金髪だもんね」
とお嬢様が皮肉に混じった声で言う。

「私の正体を探りに孤児院に行って、院長に騙されて、人買いに売られそうになって、コウモリになって、逃げ出して来たのね。

まあ、あんたの家より侯爵の方が近いもんね…」
と言う。

「しかも明日にならないと戻れないですって?丁度いいわ!コウモリ一匹くらい、捻り潰してひねりつぶしてやる!このバケモノ!」
と分厚い本を僕に向かって投げ始めた。チラリとタイトルを見ると、吸血鬼の倒したおしかたとか、そんな本ばかりだ!!

うわ!!本がすぐそばの壁に当たる。
油断すると危ない!!

「ちょっと避けるよけるんじゃないわよ!吸血コウモリ!!死ね!」

ひいいい!しないよ!わかるでしょ!?お嬢様!僕は吸血なんてしない!!

「嘘よ!新月の晩は危ない衝動が出てくるくせに!死ね!」
と本が飛んでくる!

助けてー!!

「誰も助けないわよ!!このコウモリが!!」
ううう!可愛い猫にでもなっておくんだった!

なんになったって、私にはバレバレよ!」

心の中を全て読まれてしまう!流石サトリお嬢様。

「褒めるんじゃないわよ!それとも馬鹿にしてんの!?きいい!死ね!」
と、ドタンバタンと攻防を続けて、どちらも疲れ果てた。


「…くっ!一旦休憩よ!!」
とそこでコンコンとノックが!!
やった!誰か来た!そうか!もう夕食どきだからだ!!助かった!ドアが開いたら逃げ…

しかしそこで、シーツでパサリと僕は捕らえられた!逃げないように、ゴツっと殴られて気絶した。


そして真夜中、目を覚ますと僕はお嬢様により、細い紐で床にはりつけにされていた!!しかも杭を持ったお嬢様が目の前でニヤニヤしていた!!

「目覚めたわね!金髪!そしてこれからあんたは死ぬのよ!私の手によりね!」
ひいいい!!
辞めてください!お嬢様!!助けて!!

「ふん!!うるさいわよ!!」
十字架じゅうじかを押し付けられた。
あっっつ!熱い!あちちちちちち!!

「ふん!!」
とお嬢様は杭を胸に当てる。
も、もうこれまでか!!
と目を瞑ったつむった

しかし杭は降ろされなかった。
何故?

「ちっ!冷めたわ。ちょっと驚かすだけだったのに。あっさり死ぬ覚悟をするなんて、あんたヴァンパイアとして恥ずかしくないの?」
………。
いや、お嬢様なら僕の心の声が聞こえて…あのクソ院長のいる孤児院をなんとか潰せるかなって…。

「はあ?あんなとこ…ほっとけばいいのに…。私がサトリだってことなんてほとんど信じてくれる人もいないし、バレたらバレたでこんな!

両親にだって気味悪がられて傷付けられたのよ!」
そう言ってお嬢様は背中を向けて、上半身じょうはんしん夜着よぎを脱いで、背中に残る無数の傷を見せつけた!!

酷い傷だった。胸が痛む。
こんな小さな娘さんは一生消えないであろう傷がこんなにあり、こりゃ嫁の貰い手も性格もひん曲がるわけである。

なんですって?また気絶さすわよ!!?」
と木づちをいつの間にか振り上げている。

ごめんなさい!ごめんなさい!打たないで!!
死ぬから!!

ああ、早く朝にならないかな…。
そう言えば、飛び続けた丸2日、途中にあったみずうみで、水以外飲んでなかった…。
小さなコウモリが飛び続けるのは疲れるのだ。

お腹おなか空いたすいた
自覚したら倒れそうなくらい。吸血鬼ならぬ貧血鬼ひんけつきだ。

「ふん!あんた、お腹おなか減ってんの?血はあげないわよ!!」
いや別にいらない。半分人間のようなものだし新月の日以外は血は必要ないし…。

と心の中で言うと、お嬢様が皿を持ってきた。
パンだった。少し千切りちぎり、口に押し付けたので慌てて食べる。
それを繰り返した。パンを水分に浸してくれたので水分もとりあえず取れた。有難い。でも拘束は解いてくれないらしい。

そのうちに、お嬢様は睡魔に負けて眠った。案外寝ていると可愛らしい顔をしていた。

僕も疲れていて、そのまま眠ってしまった…。

そして…朝になり、お嬢様の

「ぎゃーーー!」
と言うこえで目覚めた僕は…
当然ながら素っ裸すっぱだかであった。

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