【コミカライズ】ヴァンパイア執事はお嬢様に心を読まれています

黒月白華

逃げ出すヴァンパイアコウモリ

院長先生から話を聞いてそろそろ帰ろうと立ち上がった時にクラリと目眩がした!

「!?」

「おや、大丈夫ですかな?」

「は、はい?」
おかしい?足に力が入らない??

「薬がようやく効いてきましたな。何、害はありません。ただの睡眠薬です」

「は?貴方あなたは何を…!?」

「ふふふ…君のような綺麗な子供…。きっと高く売れるでしょう!!きみ一人、行方不明になったところで誰も気にしないでしょうね」

「な…叔父に、ここ…に来るくることを伝えて…」

「大丈夫ですよ?帰ったと報せしらせますし…。それに叔父上おじうえがここに来るくる時には君はここにいない」

「…それは…どう…いう…」
視界がにじみ、僕は意識が飛んだ。
ヴァンパイアの子孫なのに情けないことだ。
まぁ能力も薄れているし、人間にも近いから薬の方が効く。ヴァンパイアだって病気にかかりもするんだ。退化してるし仕方ない。



「ほほう、これは上玉じょうだまではないか!!美しい金髪にこの容姿!!」

「でしょう?一人で訪ねてきた時は歓喜に震えましたよ!!」
と院長の喜んだ声がした。目を開けると手錠に繋がれており、馬車の上にいて、僕は孤児院の服を着せられていた!

「!」

「おや、目が覚めた。案外早かったですな。坊ちゃん」

「貴様!僕はヘドマン伯爵令息だぞ!?この事が叔父や家の者に知れたら貴様など!!」
と言うが院長と髭の生えた人買いは笑った。

「クククク!坊っちゃまぼっちゃま!君はまだ12の若者!!まだ子供!どうにもできますまい?休暇中に孤児院に来たが帰宅して行方不明になった。ここいらには悪い盗賊も出ますし、そいつらのせいにしてしまえば、私の悪事もバレず、そして君はどこぞの貴族に競り落とされ奴隷となるだけ!アーハハハハー!!」
と院長が高笑いして、かねの入った袋を人買いの髭親父から受け取り馬車が進み出した。

孤児院が見えなくなった隙を見計らい…僕は覚悟を決めた。

「このまま売られるわけにいくか!!」
そして僕は、ボンっと変化した。
小さな白いコウモリになり、ガシャンと手首の枷が落ちて揺れる馬車から静かに飛び立った。


「はあ…もう少しマシな動物に変化しておけば良かったな…。これ、一回一つの動物に変身すると元に戻るのに3日だし…」
さてどうしたもんかな。とにかく戻るために飛ばないとな。とバサバサと頑張って翼を広げて空を飛ぶ。
体力がないから休み休み飛び続けた。夜が更けて日差しを避けて森の中を飛び続けて遠回りになり2日目の夕方にようやく侯爵に着いた。しかしコウモリのままでは家に入れはいれない。窓も閉まってる。どうしよう。叔父さんは今頃厨房で働いてるから厨房にコウモリが顔を出したら他の人が殺しにかかるだろう。

ど、どうしよう。
困ったな。と思ってたがそう言えばと思い、一か八かいちかばちか僕はお嬢様の部屋に飛んだ。厚いカーテンに遮られているけど気配はある。

でも…動物の声までは聞こえないかも…。
と思っていたらカーテンがいきなり開き、中から紫の瞳を隠して片眼鏡をつけたパウラお嬢様がこちらを発見した。

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