現実世界で虐められ続けた最弱の俺は、剣と魔法のファンタジー世界でMP0の生産チートで無双する。落ちこぼれ王女と親に生き方を決められた公爵令嬢との人生逆転物語。
回光返照②
――それから、一年後 六年前のラヴュレス国 
 
アルマラン リシリュー侯爵、ラビュレス国宰相の戦略は素晴らしいものだった。 
ラビュレス国王の執り行う政治の負担を、極度に減らしている敏腕宰相。それどころか、この一年、自らが矢面に立つ覚悟で、ラビュレス国内でも最も重要な役割を果たしている。 
第一に宗教国家エペソスとの交流とその戦力の確保。エペソス国を本部として、世界中に広まった狩猟教。狩猟教のラヴュレス国内の支部、その司祭に任命された。司祭は、教皇と司教に次ぐ役職であり、ラビュレス国内では一番重要な役割を担う。リシリューは、唯一神アルテミスに対しての信仰が厚く、若い頃、エペソス国にある狩猟教の本部で五年間の修行をし、帰国後はラヴュレス国内での布教活動に力を入れていた。エペソス国本部の枢機卿達には、ラビュレス国内にある狩猟教の司祭に、これ以上相応しい人間はいないとまで評されていた。 
そして、エペソスの教皇の命により、教会騎士 兼 狩猟教助祭のオリバー テイラーとその部下のアタランテがリシリューの護衛となった。 Lv200を超える人材が2人も付く事はラヴュレス国にとっては、絶大な軍事の強化を意味していた。
「テイラー猊下。アタランテ殿。教皇聖下からの任命は身に余る栄誉です。これから、よろしくお願いします。」 
「リシリュー殿。そうかしこまるな。貴殿の方が役職が上なのだからな。」 
「そうですよ。オリバーはお堅いから序列には敏感なのです。平の私には普通にご命令くださいね。気分次第では従いますから。」 
アタラアンテの言葉にオリバーが睨む。上下関係を一番無視しているのは一番下っ端のアタランテだった。
「アタランテ。お前のは失礼だ。」
「わかったよ、おっさん。」
「女とて容赦はしないぞ。」
アタランテを睨むオリバーから殺気が放たれると、アタランテは大人しくする事にした。これくらいで殺されたのではかなわないと思った。
「わかったって。もう黙るよ。」 
「テイラー猊下。私の役職はラビュレスで動きやすいよう与えて頂いただけです。教皇聖下の直属である枢機卿だけが、エペソス国の意向を示す事が出来ます。それに加えて、私はラヴュレス国の宰相。テイラー猊下、アタランテ殿という、エペソス国の軍事支援には心から感謝しております。」 
「気にするな。こちらもラビュレス国での布教活動をさせて貰えるのだ。裏切られない限りは最大限の支援をする。」 
 
第二に円卓の騎士 第二席の支援を獲得した。こちらには、交換条件として亜人の解放と隠れ里の提供を約束した。 
その日、リシリューと国王の友リアム デイビーズ公爵は亜人で世界第二位の実力者ベオウルフと極秘に亜人解放の政策を打ち立てていた。追加でベオウルフを狩猟教 教会騎士のオリバーとも引き合わせる。 
「手筈通り、亜人の奴隷はA,B,C地点にだけ集めている。準備が出来次第、これをベオウルフ殿にお伝えしよう。」 
「リシリュー殿は本当に変わったお方だ。いつか龍の機嫌を損ねるぞ。」 
「非人道的行いは淘汰されるべき事です。それに、こちらもラビュレス国内に亜人の隠れ里を置く計画で、何かあった時にベオウルフ殿の戦力を大いに期待しているのでね。」 
リシリューとベオウルフの会話が終わると、それを待っていたオリバーがベオウルフを向き語りかけた。
「ベオ殿。貴殿が紹介してくれた熊の亜人ジャン殿は、本部で元気にしているらしいぞ。今は教会騎士と亜人解放の段取りを進めている所だ。世界とまではいかないが、北の大陸だけでもその力になれるだろう。この会談が終わったら、それについても話を擦り合わせようか。」 
「本当に狩猟教とそれを紹介してくれたラヴュレス国には感謝をしているよ。俺もラヴュレス国と狩猟教には、支援を惜しまないと約束しよう。」 
三人の話し合いの流れから、少々遅れを取っているデイビーズ公爵が、痺れを切らして会話に参加をする。
「私の私兵も解放に参加したいのだが、本当に場所を教えてはくれないのか?」 
だが、リシリューはそれをハッキリと断った。デイビーズ公爵の役目はそこには無いのだ。
「デイビーズ閣下は知らない方が良いです。何かあった時の為にも、協力するのは一つの勢力の方が都合が良い。失敗しても私が責められるだけなのですから。それよりも、窮地に立たされた時に、支援をして頂く場合の為の顔合わせです。デイビーズ閣下は、国王陛下の右腕なんですから親交を深めて下さいね。」 
こうして、ラビュレス国の軍事力の強化は、国外からの支援によりその形を形成していく。もはや、兵力は有象無象の兵士だけではなくなった。屈強な肉体を誇る騎士団長が率いる騎士団と一般兵。一般兵は教会騎士の2人がそれぞれに指揮を執り、最強の単騎遊撃部隊にはベオウルフがいる。もはや、中央大陸ではこれに勝る軍事力は無い。
……。
灯滅せんとして光を増す。
これがアルマラン リシリューの見た、亡国の最後の煌めきだった。
 
アルマラン リシリュー侯爵、ラビュレス国宰相の戦略は素晴らしいものだった。 
ラビュレス国王の執り行う政治の負担を、極度に減らしている敏腕宰相。それどころか、この一年、自らが矢面に立つ覚悟で、ラビュレス国内でも最も重要な役割を果たしている。 
第一に宗教国家エペソスとの交流とその戦力の確保。エペソス国を本部として、世界中に広まった狩猟教。狩猟教のラヴュレス国内の支部、その司祭に任命された。司祭は、教皇と司教に次ぐ役職であり、ラビュレス国内では一番重要な役割を担う。リシリューは、唯一神アルテミスに対しての信仰が厚く、若い頃、エペソス国にある狩猟教の本部で五年間の修行をし、帰国後はラヴュレス国内での布教活動に力を入れていた。エペソス国本部の枢機卿達には、ラビュレス国内にある狩猟教の司祭に、これ以上相応しい人間はいないとまで評されていた。 
そして、エペソスの教皇の命により、教会騎士 兼 狩猟教助祭のオリバー テイラーとその部下のアタランテがリシリューの護衛となった。 Lv200を超える人材が2人も付く事はラヴュレス国にとっては、絶大な軍事の強化を意味していた。
「テイラー猊下。アタランテ殿。教皇聖下からの任命は身に余る栄誉です。これから、よろしくお願いします。」 
「リシリュー殿。そうかしこまるな。貴殿の方が役職が上なのだからな。」 
「そうですよ。オリバーはお堅いから序列には敏感なのです。平の私には普通にご命令くださいね。気分次第では従いますから。」 
アタラアンテの言葉にオリバーが睨む。上下関係を一番無視しているのは一番下っ端のアタランテだった。
「アタランテ。お前のは失礼だ。」
「わかったよ、おっさん。」
「女とて容赦はしないぞ。」
アタランテを睨むオリバーから殺気が放たれると、アタランテは大人しくする事にした。これくらいで殺されたのではかなわないと思った。
「わかったって。もう黙るよ。」 
「テイラー猊下。私の役職はラビュレスで動きやすいよう与えて頂いただけです。教皇聖下の直属である枢機卿だけが、エペソス国の意向を示す事が出来ます。それに加えて、私はラヴュレス国の宰相。テイラー猊下、アタランテ殿という、エペソス国の軍事支援には心から感謝しております。」 
「気にするな。こちらもラビュレス国での布教活動をさせて貰えるのだ。裏切られない限りは最大限の支援をする。」 
 
第二に円卓の騎士 第二席の支援を獲得した。こちらには、交換条件として亜人の解放と隠れ里の提供を約束した。 
その日、リシリューと国王の友リアム デイビーズ公爵は亜人で世界第二位の実力者ベオウルフと極秘に亜人解放の政策を打ち立てていた。追加でベオウルフを狩猟教 教会騎士のオリバーとも引き合わせる。 
「手筈通り、亜人の奴隷はA,B,C地点にだけ集めている。準備が出来次第、これをベオウルフ殿にお伝えしよう。」 
「リシリュー殿は本当に変わったお方だ。いつか龍の機嫌を損ねるぞ。」 
「非人道的行いは淘汰されるべき事です。それに、こちらもラビュレス国内に亜人の隠れ里を置く計画で、何かあった時にベオウルフ殿の戦力を大いに期待しているのでね。」 
リシリューとベオウルフの会話が終わると、それを待っていたオリバーがベオウルフを向き語りかけた。
「ベオ殿。貴殿が紹介してくれた熊の亜人ジャン殿は、本部で元気にしているらしいぞ。今は教会騎士と亜人解放の段取りを進めている所だ。世界とまではいかないが、北の大陸だけでもその力になれるだろう。この会談が終わったら、それについても話を擦り合わせようか。」 
「本当に狩猟教とそれを紹介してくれたラヴュレス国には感謝をしているよ。俺もラヴュレス国と狩猟教には、支援を惜しまないと約束しよう。」 
三人の話し合いの流れから、少々遅れを取っているデイビーズ公爵が、痺れを切らして会話に参加をする。
「私の私兵も解放に参加したいのだが、本当に場所を教えてはくれないのか?」 
だが、リシリューはそれをハッキリと断った。デイビーズ公爵の役目はそこには無いのだ。
「デイビーズ閣下は知らない方が良いです。何かあった時の為にも、協力するのは一つの勢力の方が都合が良い。失敗しても私が責められるだけなのですから。それよりも、窮地に立たされた時に、支援をして頂く場合の為の顔合わせです。デイビーズ閣下は、国王陛下の右腕なんですから親交を深めて下さいね。」 
こうして、ラビュレス国の軍事力の強化は、国外からの支援によりその形を形成していく。もはや、兵力は有象無象の兵士だけではなくなった。屈強な肉体を誇る騎士団長が率いる騎士団と一般兵。一般兵は教会騎士の2人がそれぞれに指揮を執り、最強の単騎遊撃部隊にはベオウルフがいる。もはや、中央大陸ではこれに勝る軍事力は無い。
……。
灯滅せんとして光を増す。
これがアルマラン リシリューの見た、亡国の最後の煌めきだった。
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