現実世界で虐められ続けた最弱の俺は、剣と魔法のファンタジー世界でMP0の生産チートで無双する。落ちこぼれ王女と親に生き方を決められた公爵令嬢との人生逆転物語。
決戦の日①
――秀人視点
機は熟した。 
 
現実世界で並行して進めている経営計画。その第三弾。シルバーアクセ部門では、陽菜がデザインの担当をする事になる。デザイナー就任、お祝いと異世界のアクセサリー視察も兼ねて、陽菜をデートに誘う計画を実行する事になった。 
そして、それは心愛の恋愛指南の成果とも言える、俺の恋愛一大プロジェクトでもある。 
 
数日前 
 
やばいやばい。業務的で自然な誘いとはいえ、緊張で心臓が飛び出しそうだ。どうしよう。こんな事なら今のままの関係で良いんじゃないのか。でも、その間にもガッシュ先生と陽菜が恋人同士になってしまったら、辛すぎる。やはりここで覚悟を決めた方が良さそうだな。ようし、言うぞ。頑張れ自分。 
「陽菜。現実世界にいる分身で、デザイナーをやって貰う事になっただろ? それで、一緒に異世界のアクセサリーを視察したいんだけど、どうかな?」 
「……。」
おいおいおい。なんだよ。この間は。俺と二人で街を歩く事がそんなに嫌なのか?嫌なんだな?だったらここは、心愛も一緒だと付け加えるか? 待てよ。俺、本当に良いのかそれで?それを言ってしまうとまた振り出しに戻ってしまうぞ。ただの友達のまま良好な関係を維持するなら、それも有りだが、今はガッシュ先生……否アイツは敵だ。これからはガッシュとしよう。ガッシュが想定外に陽菜と接近し、今までの関係さえ続けられなくされる可能性もある。例えば、彼氏として他の男とは仲良くするな的な嫉妬を発動したばあ――。 
「――良いけど。それは心愛も一緒なのかな?」 
よし、第一段階成功。OK貰ったぞ。だが、陽菜はここで心愛の存在をアピールして来た。やはり二人きりは嫌なのだろう。仕方ないここは心愛を……否。それは駄目だ。さっきと同じ堂々巡りではないか。否定しろ。頑張れ俺。やらないで後悔するよりもやって後悔すれば良い。待てよ。どちらにせよ。後悔では無いか。やばい。時間だけが過ぎていく。早く否定しろ俺。もうそれしか無いんだ。最終回答を決めろ! 
「いや。二人きりだけど。」 
うわー。困ってるよ。陽菜俯いてるよ。憎い。数秒前の自分が憎い。やらないで後悔する方がやって後悔するより、良い場合もあったみたいだ。傷つくわー。今から冗談だって言うか? その方が傷は浅い。 
「……それって。」 
おー。返事キター。でも、それってって何だよ。意味がわからない。陽菜の思考が全然読めないぞ。 
「ん?」 
「何でもない。……仕方ないから、行ってあげるけど……私にとっては……その……男の人と……めてのデー……とっ、とにかく。とびっきりのプランで私を楽しませて頂戴。いいわね?」 
おっしゃ――! 嫌みたいだけど、なんとか来てくれる事が確定した。頑張った。ここまで長い道のりだった。たぶん9才からの俺の片思い。6年の時を超えようやく……ここまで。泣いてしまいそうだ。だが、プラン? そんなの心愛から聞いてないぞ。デートには楽しませる為にプランが必要なのか。プレゼントだけでは無い……と。自信がない。なぜなら俺にはこれが初めてのデートだから。陽菜はきっとたくさんの人から誘われ経験豊富なんだろうな。俺の人生にとって、おそらくこれが一番の試練である事は間違いない。陽菜を絶対にがっかりさせる訳にはいかない。それに自信がなくとも、早く返事をしなければ。答えろ。返事を。頑張れ俺!!!! 
「はい。」 
 
と、こんな感じで、当初心愛の指南で予定していた、プレゼントを渡して告白するというだけでなく、なぜか、デート自体を楽しませなくてはならない、とそのハードルが上がっていた。 
 
――陽菜視点 
 
異世界に来てからは、友達が増えすぎて、昔みたいに、二人きりで話すなんてまったく無かった。どうしよう。秀人と二人きりなんて、今まで何度だってあったのに、こんなに緊張するなんて。それにしてもなんの話だろう。なんでずっと黙ってるのよ。もしかして、ユノや心愛に対する恋の相談とかだったら私泣いちゃうよ。そんな事を言われたらもう我慢できない。こっちは出逢った時から苦節6年の片思い。でも、プライドが邪魔をして、秀人をいつも邪険に扱ってしまうの。ああ。ユノみたいに素直な女の子になりたい。そうしたら、秀人が振り向いてくれる可能性だって少しはあるかも知れないのに……。 
「陽菜。現実世界にいる分身で、デザイナーをやって貰う事になっただろ?それで、一緒に異世界のアクセサリーを視察したいんだけど、どうかな?」 
「……。」
なんだ。仕事の話か。ん? 待って……今何て言った? 思わず聞き流してしまったけど。異世界を視察って見方を変えれば、これはデートなんじゃ? いや。浮かれるな私。これは仕事の話。そんなはずが無い。という事は、心愛も一緒にアクセサリーを見てまわるって事よね。よくわからないけど、これは確認しなくてはならないわ。とりあえず、肯定しつつ、心愛の事も質問すれば良いわよね。 
「……良いけど。それは心愛も一緒なのかな?」 
「いや。二人きりだけど。」 
なにーー!! まったく、想定してなかったわ。落ち着け私!! これがデートなのかどうかハッキリと確認するのよ。もし、万が一これがデートだったら、苦節6年。私の片思いが実る可能性だってある。秀人やってくれたわね。最高よ。よし、尋ねるんだ。 
「……それって。」 
「ん?」 
駄目だ。そんな事は絶対に言えないわ。もし、言った場合。秀人の性格上、仕事に決まってるだろ。なんて酷い事を言いかねない。最近の行動でわかった。ユノのアプローチを秀人はことごとく潰しているらしい。私のプライドで男子にそんな事を言われたら、自分が何をしでかすかわからない。とりあえず、こっちがデートと受け取っていて、それを期待している事だけは、なんとなく悟らせよう。 
「何でもない。……仕方ないから、行ってあげるけど……私にとっては……その……男の人と……めてのデー……とっ、とにかく。とびっきりのプランで私を楽しませて頂戴。いいわね?」 
しまった。プライドが邪魔して、仕方ないからなんて、言ってしまった。しかも、上から目線で楽しませろって何なのよ。これじゃあ。私の気持ちがちゃんと伝わったかどうかわからない。返事が無い。嫌われた? もう嫌。何なの私のプライド。ユノになりたい。好きだって言いたい。 
「はい。」 
それだけ? これはデートなの? 喜んで良いの? 何なの? 
機は熟した。 
 
現実世界で並行して進めている経営計画。その第三弾。シルバーアクセ部門では、陽菜がデザインの担当をする事になる。デザイナー就任、お祝いと異世界のアクセサリー視察も兼ねて、陽菜をデートに誘う計画を実行する事になった。 
そして、それは心愛の恋愛指南の成果とも言える、俺の恋愛一大プロジェクトでもある。 
 
数日前 
 
やばいやばい。業務的で自然な誘いとはいえ、緊張で心臓が飛び出しそうだ。どうしよう。こんな事なら今のままの関係で良いんじゃないのか。でも、その間にもガッシュ先生と陽菜が恋人同士になってしまったら、辛すぎる。やはりここで覚悟を決めた方が良さそうだな。ようし、言うぞ。頑張れ自分。 
「陽菜。現実世界にいる分身で、デザイナーをやって貰う事になっただろ? それで、一緒に異世界のアクセサリーを視察したいんだけど、どうかな?」 
「……。」
おいおいおい。なんだよ。この間は。俺と二人で街を歩く事がそんなに嫌なのか?嫌なんだな?だったらここは、心愛も一緒だと付け加えるか? 待てよ。俺、本当に良いのかそれで?それを言ってしまうとまた振り出しに戻ってしまうぞ。ただの友達のまま良好な関係を維持するなら、それも有りだが、今はガッシュ先生……否アイツは敵だ。これからはガッシュとしよう。ガッシュが想定外に陽菜と接近し、今までの関係さえ続けられなくされる可能性もある。例えば、彼氏として他の男とは仲良くするな的な嫉妬を発動したばあ――。 
「――良いけど。それは心愛も一緒なのかな?」 
よし、第一段階成功。OK貰ったぞ。だが、陽菜はここで心愛の存在をアピールして来た。やはり二人きりは嫌なのだろう。仕方ないここは心愛を……否。それは駄目だ。さっきと同じ堂々巡りではないか。否定しろ。頑張れ俺。やらないで後悔するよりもやって後悔すれば良い。待てよ。どちらにせよ。後悔では無いか。やばい。時間だけが過ぎていく。早く否定しろ俺。もうそれしか無いんだ。最終回答を決めろ! 
「いや。二人きりだけど。」 
うわー。困ってるよ。陽菜俯いてるよ。憎い。数秒前の自分が憎い。やらないで後悔する方がやって後悔するより、良い場合もあったみたいだ。傷つくわー。今から冗談だって言うか? その方が傷は浅い。 
「……それって。」 
おー。返事キター。でも、それってって何だよ。意味がわからない。陽菜の思考が全然読めないぞ。 
「ん?」 
「何でもない。……仕方ないから、行ってあげるけど……私にとっては……その……男の人と……めてのデー……とっ、とにかく。とびっきりのプランで私を楽しませて頂戴。いいわね?」 
おっしゃ――! 嫌みたいだけど、なんとか来てくれる事が確定した。頑張った。ここまで長い道のりだった。たぶん9才からの俺の片思い。6年の時を超えようやく……ここまで。泣いてしまいそうだ。だが、プラン? そんなの心愛から聞いてないぞ。デートには楽しませる為にプランが必要なのか。プレゼントだけでは無い……と。自信がない。なぜなら俺にはこれが初めてのデートだから。陽菜はきっとたくさんの人から誘われ経験豊富なんだろうな。俺の人生にとって、おそらくこれが一番の試練である事は間違いない。陽菜を絶対にがっかりさせる訳にはいかない。それに自信がなくとも、早く返事をしなければ。答えろ。返事を。頑張れ俺!!!! 
「はい。」 
 
と、こんな感じで、当初心愛の指南で予定していた、プレゼントを渡して告白するというだけでなく、なぜか、デート自体を楽しませなくてはならない、とそのハードルが上がっていた。 
 
――陽菜視点 
 
異世界に来てからは、友達が増えすぎて、昔みたいに、二人きりで話すなんてまったく無かった。どうしよう。秀人と二人きりなんて、今まで何度だってあったのに、こんなに緊張するなんて。それにしてもなんの話だろう。なんでずっと黙ってるのよ。もしかして、ユノや心愛に対する恋の相談とかだったら私泣いちゃうよ。そんな事を言われたらもう我慢できない。こっちは出逢った時から苦節6年の片思い。でも、プライドが邪魔をして、秀人をいつも邪険に扱ってしまうの。ああ。ユノみたいに素直な女の子になりたい。そうしたら、秀人が振り向いてくれる可能性だって少しはあるかも知れないのに……。 
「陽菜。現実世界にいる分身で、デザイナーをやって貰う事になっただろ?それで、一緒に異世界のアクセサリーを視察したいんだけど、どうかな?」 
「……。」
なんだ。仕事の話か。ん? 待って……今何て言った? 思わず聞き流してしまったけど。異世界を視察って見方を変えれば、これはデートなんじゃ? いや。浮かれるな私。これは仕事の話。そんなはずが無い。という事は、心愛も一緒にアクセサリーを見てまわるって事よね。よくわからないけど、これは確認しなくてはならないわ。とりあえず、肯定しつつ、心愛の事も質問すれば良いわよね。 
「……良いけど。それは心愛も一緒なのかな?」 
「いや。二人きりだけど。」 
なにーー!! まったく、想定してなかったわ。落ち着け私!! これがデートなのかどうかハッキリと確認するのよ。もし、万が一これがデートだったら、苦節6年。私の片思いが実る可能性だってある。秀人やってくれたわね。最高よ。よし、尋ねるんだ。 
「……それって。」 
「ん?」 
駄目だ。そんな事は絶対に言えないわ。もし、言った場合。秀人の性格上、仕事に決まってるだろ。なんて酷い事を言いかねない。最近の行動でわかった。ユノのアプローチを秀人はことごとく潰しているらしい。私のプライドで男子にそんな事を言われたら、自分が何をしでかすかわからない。とりあえず、こっちがデートと受け取っていて、それを期待している事だけは、なんとなく悟らせよう。 
「何でもない。……仕方ないから、行ってあげるけど……私にとっては……その……男の人と……めてのデー……とっ、とにかく。とびっきりのプランで私を楽しませて頂戴。いいわね?」 
しまった。プライドが邪魔して、仕方ないからなんて、言ってしまった。しかも、上から目線で楽しませろって何なのよ。これじゃあ。私の気持ちがちゃんと伝わったかどうかわからない。返事が無い。嫌われた? もう嫌。何なの私のプライド。ユノになりたい。好きだって言いたい。 
「はい。」 
それだけ? これはデートなの? 喜んで良いの? 何なの? 
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