現実世界で虐められ続けた最弱の俺は、剣と魔法のファンタジー世界でMP0の生産チートで無双する。落ちこぼれ王女と親に生き方を決められた公爵令嬢との人生逆転物語。
揺れる想い
ユートピア国 王宮 玉座の間。玉座に座るユートピア王と王国騎士団長とその部下数名。そこに、キルダークが丸い袋を持って歩いて来る。キルダークは玉座の中に入ると王と数メートルの所まで近づき、その袋を王に向かって放り投げた。 
「よお。ユートピア王。土産だ。」 
王がその袋を開け中を確認するとたちまち顔は青ざめ嗚咽(おえつ》した。その様子を見た騎士団長が、急いでその袋を取り上げ、部下に命令しそれを別の場所に移す。 
「真貴族騎士団。団長の首とその戦力を何人か殺して来た。一応戦力は使えるから残しておいたけどな。これで、お前の権力で国が一本化したって訳だ。で、兵を貸せ。」 
「貴様! デストピアの王子とは言え、これは重罪だぞ。」 
「あはははは。せっかくお前の為にやったんだ。そう怒るなよ。…それとも、俺と戦争でもしてみるか?」 
当然、今のユートピアの兵力ではデストピア国はおろかキルダークたった一人にさえも勝てるわけがない。参考にしているのは今回の真貴族騎士団の件だけではない。学園の校庭に直径500メートル級の深い穴が開いていた事、その時居合わせたSSランクの冒険者が一撃で倒された事など、すでに調査済みなのだ。それを世界の頂点にいる12席の総称、円卓の騎士。その情報と照らし合わせて、キルダークが一国を滅ぼす程の力を持っている事をユートピア王は知っている。 
「くっ……。ユノ次第だ。ユノがもし結婚を認めるならば、兵でも何でも貸してやるわ。」 
「二言は無いな? 約束を違(たが》えば、容赦なくお前を殺すからな。」 
キルダークはそう言うと、玉座の間を後にする。その様子を眺(なが》めながら、ユートピア王は自分の気持ちを落ち着かせるため、そして、祈るように独り言をつぶやいた。 
「大丈夫。心配ない。ユノには秀人殿が付いておる。」 
 
 
*** 
 
ユートピア国 王都プレバティ。街の西側にあるツヴァイス子爵の屋敷の前にツヴァイス商会が民の為に作った公園がある。その一角に広がる芝生にユノが一人で座り考え事をしていた。
秀人は街中を捜索しようやくここに辿り着いた。ユノの横にそっと座ると話しかける。 
「ユノ。探したよ。こんな所にいたのか。」 
ユノの態度はいつもと違いそっけない。秀人の顔を一瞬だけチラリと見て、すぐに俯(うつむ》いてしまった。 
「……秀人。私は何も話したくないです。……帰って下さい。」 
その様子だけでも、ユノが一人で悩んでいる事が分かる。 
「……婚約者が来たんだろ? 結婚が嫌ならみんなに相談しろよ。」  
「誰が結婚をする事を嫌だって言いました? ただのマリッジブルーです。そうゆう心の機微(きび》は誰にだってありますよね。結婚自体は嬉しい事です。……それよりも、殿方と2人だけで居る所を他の人に見られたくありません。本当に迷惑です。帰って下さい。」 
言葉が昔の様に敬語に戻っている。秀人にはそれが、もう友達でも何でも無いと突き放されているように聞こえていた。そして、その言葉を素直に受け入れる事にした。 
「……そうか。ごめん。……でも……何か悩んでいる事があるならちゃんと言ってくれよ。仲間なんだからさ。」 
秀人がユノの前から去って行く。
秀人の後姿を見つめるユノの瞳から大粒の涙が溢(あふ》れていた。 
「言えるわけ無いじゃない。言ったら……あれは秀人を本当に殺す。秀人が死んだら私はもう生きて行けないんだよ。」 
 
 
*** 
 
約30分後。
学園の特待生用に建てられた秀人達の一軒家。そのリビングにあるソファーには秀人、陽菜、心愛の三人が座っていた。 
「ちょっと、あんたそれで戻って来たの?」 
「仕方ないだろ。何も話したく無いって言うんだから。二人きりを嫌がってたしな。それによく考えたら、こんな不細工な俺と二人きりってどんな拷問だよ。違う方法を考えるよ。」 
秀人のその言葉を聞いて、陽菜と心愛は頭を抱えていた。秀人は、自分の変化にまったく気が付いていない。 
「は? 嘘でしょ。あんた自分が不細工だと思ってるの? ……たしかに昔は少しだけ太っていたけど、顔の造りは前から整っていた。あんたのの一番の良さは見た目じゃないけど、今は見た目もかなり綺麗だからね。マァムの話だとレベルアップで肉体は変化するらしいわ。」 
陽菜がマァムに聞いた情報にレベルアップによる肉体の変化がある。だがその影響は千差万別で男女によってもまた差がある。秀人は自分の魂に加えて、幼少期に自分を守護する魂が2つ増えた。秀人が肥満体だったのは器から溢れる程に大きすぎる魂が脂肪として蓄えられていたのだ。そして、レベルアップの影響も魂の数だけ普通の人よりも顕著(けんちょ》に表れていた。伸びた身長と増えた筋肉で魂が器に収まったのが最初の変化。農作業の後で痩せたと思われたのがこの時だ。それから筋肉も増え身長が188㎝にまで上がった。今の秀人は高身長の痩せマッチョなのだ。元から顔が整っていた為に、今は完璧な顔に完璧な肉体がある。 
「陽菜。俺が綺麗な訳無いだろ。おちょくるなよ。でも、肉体が変化するのは本当みたいだな……。」 
陽菜が秀人の視線に気づき、顔を赤らめて秀人の頭を叩いた。 
「どこ見てんのよ! それにしても、あんた馬鹿ね。女心を全然分かってないわ。女は追いかけられるのを前提で突き放すのよ。」 
心愛が陽菜の意見を小さい声で否定する。 
「それは人によると思うけど……。」 
だが、秀人には心愛の声は届かなかったので、そのまま、陽菜に言葉を返した。 
「そうなのか? 何でなんだ?」 
「うるさい! そんな事は自分で考えてよね。」 
「ええー。いいじゃんケチ―。早く教えてよー。」 
「しつこいわね!」 
「自分が言ったんだろ。追いかけられるの前提で突き放すって!」 
「くっ、理屈っぽいわよ! それに、ユノが結婚するならするで私は別に良い。」 
陽菜は会話の最後に心の中で呟く。――だってライバルが一人減るわ。―― 
「心愛。どうすれば良い?」  
「それなら、私が聞いてこようか? 私は年上だし相談もしやすいと思うんだよね。」 
「心愛先生。是非お願いします。」 
 
*** 
ツヴァイス邸前 公園 ユノが一人悩んでいる所に今度はツヴァイス邸まで空間転移(テレポート》で飛んできた心愛が現れた。心愛は先程の秀人同様、ユノの隣に腰を掛ける。 
「ユノ。嫌いな人から結婚を迫られてるんだって?」 
「……。」 
ユノはその言葉を無視していた。秀人とは違って心愛は女性なので、傷つけて遠ざけたいと思ったが、返す言葉が見つからなかった。だが、そんなユノの心をこじ開ける一言を心愛が言い放つ。 
「本当に良いの? ユノは秀人が好きなんでしょ?」 
「え? ……知ってたの?」 
「あなた達(・・・・》のはバレバレよ。婚約者の事、私に詳しく話してくれないかな?」 
「自分で解決するので、大丈夫です。」 
「ピー。」 
ユノが気付かぬ内に、ずっとユノのそばに控えていたマァムが、心愛が見える位置に顔を出す。 
「マァムちゃん。どうしたの?」 
「『言えるわけ無いじゃない。言ったら……あれは秀人を本当に殺す。秀人が死んだら私はもう生きて行けないんだよ。』だそうです。先刻、呟いていたのを私は聞きました。」 
「ユノ! 本当に秀人が殺されると思うの?」 
「え?」 
「秀人はそんな簡単に死ぬ男だと思う? って事。」 
「……アイツの……キルダークの精霊紋が八芒星(オクタグラム》だったの。その上でLv428。見た事も無い高ランクの装備には、どれも効力(エフェクト》結晶(クリスタル》が4つ。そして彼は陽菜と同じ悪魔憑(つ》きよ。同じ八芒星(オクタグラム》の心愛ならこれがどんな事を意味するのかわかるでしょ? 私達の中で一番火力が高いのは心愛なんだよ。Lv428の心愛が相手なら誰だって……諦めるしかないじゃない。」  
「マスターは死にませんよ。では心愛さんが来たので、私はマスターの元へ戻ります。」 
マァムはユノのケアを心愛に任せ、秀人の元に飛んで行った。 
「マァムちゃん。またね。……ユノ。さっきのマァムちゃんの言葉を信じてみない?」 
「……無理よ。私は実際にその凄まじい破壊力を間近で見たの。そして、それを『力の一端(いったん》』と言っていた。アイツの力はもっと上かも知れない。」 
「うーん。難しいな。なら、秀人がどうしようもなく困ってたら、ユノはどうする?」 
「助ける。」 
「だよね。それを一人で解決して良いと思う?」 
「駄目です。」 
「じゃあ。それはユノにも言える事じゃない?」 
「でも、秀人が死んじゃったら、私は生きて行けない。」 
「だから、信じようって! 私も協力するからさ。私だけじゃない。今までこの世界で作った仲間全員で乗り越えようよ。そしたら、なんとかなると思うけどな。」 
「……しつこいわね! もう放って置いてよ! 私のせいで秀人や仲間が死ぬなんて耐えられないの。」 
ユノはもう耐えられなくなり、冷たく言い放つ。気を許したら、すがってしまいそうでそれが怖くなった。それは仲間の死を意味する事だと思っていたからだ。だが、心愛も負けてはいなかった。心愛は秀人の為に、自分を犠牲にしてまで教育実習先の学校に抗った人間。誰かが困っていたら絶対に見過ごせないのだ。 
「放って置けない! 私だってユノが不幸になるのを絶対に見てられない!! ユノ。何事も成し遂(と》げるまでは不可能に思えるものなの。あなたが感じたものが正しいとはとても思えない。私達は絶対に死なない。だから存分に甘えて良いの。」 
「………どうして?」 
「少なくとも秀人は絶対に死なない。私は信じる。それに、もし、あなたが結婚してもあなたの婚約者の狂気は止まらない。彼がそのままだったら、私達はいずれぶつかる事になるわね。だって私達はこの世界を救う為にここに来たんだから。あなたが私達を心配してくれてるなら、一緒に対策を考える方がよっぽど私達の為にならないかな?」 
「……うん。」 
「じゃあ。私達が介入してもいいかしら?」 
「……。」「……。」「……。」「……。」
「……助けて……助けて下さい。 私、あんな奴と一緒になんてなりたくない。」 
「よしよし。ユノ。後は私達に任せて。とりあえず、一緒に家に帰りましょう。」 
心愛がユノの頭を撫でると、その顔は涙と鼻水でグシャグシャになっていた。 
その気持ちを受け止めるように、心愛はユノを力強く抱きしめていた。 
「辛かったね。もう大丈夫だからね。」
「よお。ユートピア王。土産だ。」 
王がその袋を開け中を確認するとたちまち顔は青ざめ嗚咽(おえつ》した。その様子を見た騎士団長が、急いでその袋を取り上げ、部下に命令しそれを別の場所に移す。 
「真貴族騎士団。団長の首とその戦力を何人か殺して来た。一応戦力は使えるから残しておいたけどな。これで、お前の権力で国が一本化したって訳だ。で、兵を貸せ。」 
「貴様! デストピアの王子とは言え、これは重罪だぞ。」 
「あはははは。せっかくお前の為にやったんだ。そう怒るなよ。…それとも、俺と戦争でもしてみるか?」 
当然、今のユートピアの兵力ではデストピア国はおろかキルダークたった一人にさえも勝てるわけがない。参考にしているのは今回の真貴族騎士団の件だけではない。学園の校庭に直径500メートル級の深い穴が開いていた事、その時居合わせたSSランクの冒険者が一撃で倒された事など、すでに調査済みなのだ。それを世界の頂点にいる12席の総称、円卓の騎士。その情報と照らし合わせて、キルダークが一国を滅ぼす程の力を持っている事をユートピア王は知っている。 
「くっ……。ユノ次第だ。ユノがもし結婚を認めるならば、兵でも何でも貸してやるわ。」 
「二言は無いな? 約束を違(たが》えば、容赦なくお前を殺すからな。」 
キルダークはそう言うと、玉座の間を後にする。その様子を眺(なが》めながら、ユートピア王は自分の気持ちを落ち着かせるため、そして、祈るように独り言をつぶやいた。 
「大丈夫。心配ない。ユノには秀人殿が付いておる。」 
 
 
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ユートピア国 王都プレバティ。街の西側にあるツヴァイス子爵の屋敷の前にツヴァイス商会が民の為に作った公園がある。その一角に広がる芝生にユノが一人で座り考え事をしていた。
秀人は街中を捜索しようやくここに辿り着いた。ユノの横にそっと座ると話しかける。 
「ユノ。探したよ。こんな所にいたのか。」 
ユノの態度はいつもと違いそっけない。秀人の顔を一瞬だけチラリと見て、すぐに俯(うつむ》いてしまった。 
「……秀人。私は何も話したくないです。……帰って下さい。」 
その様子だけでも、ユノが一人で悩んでいる事が分かる。 
「……婚約者が来たんだろ? 結婚が嫌ならみんなに相談しろよ。」  
「誰が結婚をする事を嫌だって言いました? ただのマリッジブルーです。そうゆう心の機微(きび》は誰にだってありますよね。結婚自体は嬉しい事です。……それよりも、殿方と2人だけで居る所を他の人に見られたくありません。本当に迷惑です。帰って下さい。」 
言葉が昔の様に敬語に戻っている。秀人にはそれが、もう友達でも何でも無いと突き放されているように聞こえていた。そして、その言葉を素直に受け入れる事にした。 
「……そうか。ごめん。……でも……何か悩んでいる事があるならちゃんと言ってくれよ。仲間なんだからさ。」 
秀人がユノの前から去って行く。
秀人の後姿を見つめるユノの瞳から大粒の涙が溢(あふ》れていた。 
「言えるわけ無いじゃない。言ったら……あれは秀人を本当に殺す。秀人が死んだら私はもう生きて行けないんだよ。」 
 
 
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約30分後。
学園の特待生用に建てられた秀人達の一軒家。そのリビングにあるソファーには秀人、陽菜、心愛の三人が座っていた。 
「ちょっと、あんたそれで戻って来たの?」 
「仕方ないだろ。何も話したく無いって言うんだから。二人きりを嫌がってたしな。それによく考えたら、こんな不細工な俺と二人きりってどんな拷問だよ。違う方法を考えるよ。」 
秀人のその言葉を聞いて、陽菜と心愛は頭を抱えていた。秀人は、自分の変化にまったく気が付いていない。 
「は? 嘘でしょ。あんた自分が不細工だと思ってるの? ……たしかに昔は少しだけ太っていたけど、顔の造りは前から整っていた。あんたのの一番の良さは見た目じゃないけど、今は見た目もかなり綺麗だからね。マァムの話だとレベルアップで肉体は変化するらしいわ。」 
陽菜がマァムに聞いた情報にレベルアップによる肉体の変化がある。だがその影響は千差万別で男女によってもまた差がある。秀人は自分の魂に加えて、幼少期に自分を守護する魂が2つ増えた。秀人が肥満体だったのは器から溢れる程に大きすぎる魂が脂肪として蓄えられていたのだ。そして、レベルアップの影響も魂の数だけ普通の人よりも顕著(けんちょ》に表れていた。伸びた身長と増えた筋肉で魂が器に収まったのが最初の変化。農作業の後で痩せたと思われたのがこの時だ。それから筋肉も増え身長が188㎝にまで上がった。今の秀人は高身長の痩せマッチョなのだ。元から顔が整っていた為に、今は完璧な顔に完璧な肉体がある。 
「陽菜。俺が綺麗な訳無いだろ。おちょくるなよ。でも、肉体が変化するのは本当みたいだな……。」 
陽菜が秀人の視線に気づき、顔を赤らめて秀人の頭を叩いた。 
「どこ見てんのよ! それにしても、あんた馬鹿ね。女心を全然分かってないわ。女は追いかけられるのを前提で突き放すのよ。」 
心愛が陽菜の意見を小さい声で否定する。 
「それは人によると思うけど……。」 
だが、秀人には心愛の声は届かなかったので、そのまま、陽菜に言葉を返した。 
「そうなのか? 何でなんだ?」 
「うるさい! そんな事は自分で考えてよね。」 
「ええー。いいじゃんケチ―。早く教えてよー。」 
「しつこいわね!」 
「自分が言ったんだろ。追いかけられるの前提で突き放すって!」 
「くっ、理屈っぽいわよ! それに、ユノが結婚するならするで私は別に良い。」 
陽菜は会話の最後に心の中で呟く。――だってライバルが一人減るわ。―― 
「心愛。どうすれば良い?」  
「それなら、私が聞いてこようか? 私は年上だし相談もしやすいと思うんだよね。」 
「心愛先生。是非お願いします。」 
 
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「ユノ。嫌いな人から結婚を迫られてるんだって?」 
「……。」 
ユノはその言葉を無視していた。秀人とは違って心愛は女性なので、傷つけて遠ざけたいと思ったが、返す言葉が見つからなかった。だが、そんなユノの心をこじ開ける一言を心愛が言い放つ。 
「本当に良いの? ユノは秀人が好きなんでしょ?」 
「え? ……知ってたの?」 
「あなた達(・・・・》のはバレバレよ。婚約者の事、私に詳しく話してくれないかな?」 
「自分で解決するので、大丈夫です。」 
「ピー。」 
ユノが気付かぬ内に、ずっとユノのそばに控えていたマァムが、心愛が見える位置に顔を出す。 
「マァムちゃん。どうしたの?」 
「『言えるわけ無いじゃない。言ったら……あれは秀人を本当に殺す。秀人が死んだら私はもう生きて行けないんだよ。』だそうです。先刻、呟いていたのを私は聞きました。」 
「ユノ! 本当に秀人が殺されると思うの?」 
「え?」 
「秀人はそんな簡単に死ぬ男だと思う? って事。」 
「……アイツの……キルダークの精霊紋が八芒星(オクタグラム》だったの。その上でLv428。見た事も無い高ランクの装備には、どれも効力(エフェクト》結晶(クリスタル》が4つ。そして彼は陽菜と同じ悪魔憑(つ》きよ。同じ八芒星(オクタグラム》の心愛ならこれがどんな事を意味するのかわかるでしょ? 私達の中で一番火力が高いのは心愛なんだよ。Lv428の心愛が相手なら誰だって……諦めるしかないじゃない。」  
「マスターは死にませんよ。では心愛さんが来たので、私はマスターの元へ戻ります。」 
マァムはユノのケアを心愛に任せ、秀人の元に飛んで行った。 
「マァムちゃん。またね。……ユノ。さっきのマァムちゃんの言葉を信じてみない?」 
「……無理よ。私は実際にその凄まじい破壊力を間近で見たの。そして、それを『力の一端(いったん》』と言っていた。アイツの力はもっと上かも知れない。」 
「うーん。難しいな。なら、秀人がどうしようもなく困ってたら、ユノはどうする?」 
「助ける。」 
「だよね。それを一人で解決して良いと思う?」 
「駄目です。」 
「じゃあ。それはユノにも言える事じゃない?」 
「でも、秀人が死んじゃったら、私は生きて行けない。」 
「だから、信じようって! 私も協力するからさ。私だけじゃない。今までこの世界で作った仲間全員で乗り越えようよ。そしたら、なんとかなると思うけどな。」 
「……しつこいわね! もう放って置いてよ! 私のせいで秀人や仲間が死ぬなんて耐えられないの。」 
ユノはもう耐えられなくなり、冷たく言い放つ。気を許したら、すがってしまいそうでそれが怖くなった。それは仲間の死を意味する事だと思っていたからだ。だが、心愛も負けてはいなかった。心愛は秀人の為に、自分を犠牲にしてまで教育実習先の学校に抗った人間。誰かが困っていたら絶対に見過ごせないのだ。 
「放って置けない! 私だってユノが不幸になるのを絶対に見てられない!! ユノ。何事も成し遂(と》げるまでは不可能に思えるものなの。あなたが感じたものが正しいとはとても思えない。私達は絶対に死なない。だから存分に甘えて良いの。」 
「………どうして?」 
「少なくとも秀人は絶対に死なない。私は信じる。それに、もし、あなたが結婚してもあなたの婚約者の狂気は止まらない。彼がそのままだったら、私達はいずれぶつかる事になるわね。だって私達はこの世界を救う為にここに来たんだから。あなたが私達を心配してくれてるなら、一緒に対策を考える方がよっぽど私達の為にならないかな?」 
「……うん。」 
「じゃあ。私達が介入してもいいかしら?」 
「……。」「……。」「……。」「……。」
「……助けて……助けて下さい。 私、あんな奴と一緒になんてなりたくない。」 
「よしよし。ユノ。後は私達に任せて。とりあえず、一緒に家に帰りましょう。」 
心愛がユノの頭を撫でると、その顔は涙と鼻水でグシャグシャになっていた。 
その気持ちを受け止めるように、心愛はユノを力強く抱きしめていた。 
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