現実世界で虐められ続けた最弱の俺は、剣と魔法のファンタジー世界でMP0の生産チートで無双する。落ちこぼれ王女と親に生き方を決められた公爵令嬢との人生逆転物語。
早すぎた世界最強
時間通りのスケジュールで動く王族の登校は、一般の生徒より朝が早い。時間通りとはいえ、それは常にトラブルまでをも想定した時間通りだからだ。ホームルームが始まる40分前には、学校に着いていたユノの分身と、その護衛達。校庭に差し掛かると、そこには一人の男が待ち構えていた。
全身が黒のマントで覆われた色白でやや細身の男。印象は病弱で幸が薄そうがぴったりなのかも知れない。ミディアムのウルフカットでパーマの様に毛先が乱れている。男はそのダークブラウンの髪を片手で掻きながらユノに向かって歩いて来る。ユノはその灰色の瞳を見つめると、とても不快なものでも見た様に、その顔を歪めた。
「よお。ユノ。あははは。久しぶり。お前の予定外の活躍で、俺は修行を切りあげる事が出来た。今すぐに俺と結婚しろ。」 
ユノと男の顔を見比べ、明かに不審者だと判断した護衛のフランツ、メイテル、アンモが身構える中で、ケイニーだけがその正体を知っていて、ユノを庇うように手を広げて前に出る。そこには、レベルを上げた今の自分達なら十分に対処出来ると言う自信があった。一方、フランツは不審者を威嚇しながら声を掛ける。
「お前、いったい何者だ?」 
今まで馬鹿にしている様に笑っていた不審者の顔が突如不機嫌になり、眉間にしわを寄せながら睨みつける。その肩に小さな悪魔が乗っている。それを認識出来るようになったのは、不審者がその【偽装】を解いた証だった。そして、今まで病弱そうなひょろい男だったものが、とてつもなく禍々しい雰囲気に変わる。
「イラつかせんな。雑魚がぁ。話に割って入る事を許可した覚えはない。」
「悪魔憑き? お前等、警戒態勢だ。ユノ殿下をお守りしろ。」
一斉に前に出るフランツ達とケイニー。その瞬間に不審者が右手に持つ杖を掲げた。不審者の右手の甲に刻まれた天魔紋は、心愛と同じ八芒星だった。
「【絶望の呪縛】」 
フランツ達A級冒険者とケイニーの体が暗黒に包まれ、全員が倒れて動かなくなった。闇が晴れると、目からは涙が溢れ、絶望の表情を浮かべながら、聞き取れない程の弱い声でブツブツと何かを囁いている。
「ケイニー。フランツさん。メイテルさん。アンモさん。大丈夫?」 
「ぎゃはははは。殺してはいない。それより、ユノ、今すぐに俺と結婚しろ。」 
ケイニー達を心配し回復魔法を掛けていたユノが、再び不審者に顔を向け睨みつける。
「キルダーク。いくら何でも早すぎます。私はまだ学生ですよ?」 
「黙れ。お前の知り合いを全て殺すぞ。まずは、こいつらが良いか?」 
「……嫌い。やっぱりあんたなんか大嫌い!」 
「ぎゃははははは。立場を分かっていないみたいだな。円卓の情報を知らないのか?今の俺は世界最強かも知れんぞ。説明するのが面倒だ。わかりやすく、力の一端を見せてやる。」 
「【黒い太陽】」  
校庭の頭上に直径500メートルはある丸い球が浮かび上がり、ぶつかった地面に深いクレーターが出来あがった。その衝撃だけで校舎の窓ガラスのほとんどが割れている。 
「次は校舎にぶつけてみるか?それとも、分かりやすくこいつらを殺すか?ぎゃははは。なんて顔していやがる。おもしれっー。【黒い……」 
「止めて下さい。……もう分かりました。数日考えさせて下さい。」 
「いいだろう。三日後だ。同じ時間に来る。因みに俺のレベルは428。ギルドで言ったらSSSランク。その意味がわかるか? この国だったら一人で壊滅させられる程の力だ。馬鹿な事を考えたら滅ぼしてやる。ぎゃはははは。」 
話し合いが順調に進み、楽しそうに笑っているキルダークの後ろから、校庭の大惨事に驚きつつ近づいてくる臨時の講師がいた。講師の名はガッシュ ロイヤル フィールド。雷の拳王の異名を持つSSランクの冒険者だ。SSランクとは、最低でもレベル100の壁を2つ超えた真限界突破者。Lv200オーバーの境地にいる。学園長が信頼する友であり、この学園に来てもらったのは、そのとてつもない力ゆえの事。ユートピアの王国騎士団の団長ですらLv85なのだから、その強さは規格外とも言える。
「お前等、これは何だ? いったい何してやがる。」 
「ガッシュ先生! 来ちゃ駄目です!!」 
「何だユノ。どうして泣いているんだ? 小僧。お前がやったのか?」 
「おいおい。現実をちゃんと見極めろ雑魚。早死にするぞ。ぎゃははは。もう死んでるけどな。」 
「貴様。何者だ? 気が狂っているのか?」 
「【闇よ砕け】」 
キルダークが杖を掲げると、ガッシュに向かって小さくて丸い黒の塊が放たれる。それがガッシュの体の中心に入り込むと、体ごと空中に浮かび上がり、円形の闇の波動が不規則に連続で何度も飛び出してくる。ガッシュの体のあらゆる部分が切り刻まれた様に傷つき、血が噴き出してくる。苦しみ叫ぶガッシュはそれが終わると地面に放り出され気を失って倒れている。
「……ぐはっ。」 
「そんな。あのガッシュ先生が……たった一撃で。ガッシュ先生、大丈夫ですか?」 
「ぎゃはははは。ユノ。三日後だぞ。来なかったらこの国の人間を片っ端から殺す。この学園の人間からな。あはははは。」 
去っていくキルダークに目もくれず、ユノはガッシュに回復魔法を掛け続ける。心には絶望が渦巻いていた。学園長はガッシュが自分と同等の力を持つと言っていた。その学園長はユートピアの国でも、個人の力では圧倒的な強者である。それと同等の力を持つガッシュが、キルダークのたった一撃でやられてしまったのだ。
しばらくして、登校してきた生徒に、この学園の担当医マクレナシル先生を呼んで貰った。ガッシュ先生の傷はそれ程に深い。命すら助かるかどうか判断できないものだった。
***
一方、ユノの本体は携帯ダンジョンでのレベル上げを前に、寮の一室で準備をしていたのだが、分身で先程の記憶を受けとても悩んでいた。
「秀人……みんな、私、急に用事が出来てしまったの。帰るわ。」 
突然、ユノが帰ると言い出したので、秀人はそれを不審に思う。分身は同時に3体まで出せる。だが、今は学校とお店の2体しか出していない。1体は自由に出来るはずなのだ。
「ユノどうした急に。分身がいるだろ?」 
「あの……いいえ。何でも無い。私は帰ります。……さようなら。」
「ちょっと、ユノ、待って……。」 
ユノは相談する事をしなかった。絶望に支配されそんな余裕がない。それだけ追い詰められていた。逃げる様に部屋から飛び出していくユノ。それを見送る秀人、陽菜、心愛の3人。秀人に関しては見送るというより、むしろ、その手を掴もうとしたのだがそれを途中で思いとどまった。ユノは明らかに何か悩んでいた。だが、自分達に相談出来ない何かがある。秀人は今まで順調に友達としての関係を築き上げて来た所で、それが崩れたようでとても悲しかった。
 
「……何なんだよ。」
「ユノさん大丈夫かな。私が何か聞いてみようか?」 
「うん。ちょっとおかしいよね。何か言いづらい事でもあるのかな?」 
それは、陽菜と心愛も同じだった。だが、陽菜や心愛は心配が女性特有のものであったなら、秀人には相談出来ない事もわかるので、自分達がどうにか出来るならとも考えていた。
「調べよう。流石に何か変だ。俺はちょっとユートピア王に会って来る。2人も思い当たる所があったら調べてくれ。」 
「わかった。私ももう一度、ユノを探して話を聞いてみるよ。」
「秀人と陽菜は、学園にいる分身でも探ってみて。私も何かしら調べてみるから。」
全身が黒のマントで覆われた色白でやや細身の男。印象は病弱で幸が薄そうがぴったりなのかも知れない。ミディアムのウルフカットでパーマの様に毛先が乱れている。男はそのダークブラウンの髪を片手で掻きながらユノに向かって歩いて来る。ユノはその灰色の瞳を見つめると、とても不快なものでも見た様に、その顔を歪めた。
「よお。ユノ。あははは。久しぶり。お前の予定外の活躍で、俺は修行を切りあげる事が出来た。今すぐに俺と結婚しろ。」 
ユノと男の顔を見比べ、明かに不審者だと判断した護衛のフランツ、メイテル、アンモが身構える中で、ケイニーだけがその正体を知っていて、ユノを庇うように手を広げて前に出る。そこには、レベルを上げた今の自分達なら十分に対処出来ると言う自信があった。一方、フランツは不審者を威嚇しながら声を掛ける。
「お前、いったい何者だ?」 
今まで馬鹿にしている様に笑っていた不審者の顔が突如不機嫌になり、眉間にしわを寄せながら睨みつける。その肩に小さな悪魔が乗っている。それを認識出来るようになったのは、不審者がその【偽装】を解いた証だった。そして、今まで病弱そうなひょろい男だったものが、とてつもなく禍々しい雰囲気に変わる。
「イラつかせんな。雑魚がぁ。話に割って入る事を許可した覚えはない。」
「悪魔憑き? お前等、警戒態勢だ。ユノ殿下をお守りしろ。」
一斉に前に出るフランツ達とケイニー。その瞬間に不審者が右手に持つ杖を掲げた。不審者の右手の甲に刻まれた天魔紋は、心愛と同じ八芒星だった。
「【絶望の呪縛】」 
フランツ達A級冒険者とケイニーの体が暗黒に包まれ、全員が倒れて動かなくなった。闇が晴れると、目からは涙が溢れ、絶望の表情を浮かべながら、聞き取れない程の弱い声でブツブツと何かを囁いている。
「ケイニー。フランツさん。メイテルさん。アンモさん。大丈夫?」 
「ぎゃはははは。殺してはいない。それより、ユノ、今すぐに俺と結婚しろ。」 
ケイニー達を心配し回復魔法を掛けていたユノが、再び不審者に顔を向け睨みつける。
「キルダーク。いくら何でも早すぎます。私はまだ学生ですよ?」 
「黙れ。お前の知り合いを全て殺すぞ。まずは、こいつらが良いか?」 
「……嫌い。やっぱりあんたなんか大嫌い!」 
「ぎゃははははは。立場を分かっていないみたいだな。円卓の情報を知らないのか?今の俺は世界最強かも知れんぞ。説明するのが面倒だ。わかりやすく、力の一端を見せてやる。」 
「【黒い太陽】」  
校庭の頭上に直径500メートルはある丸い球が浮かび上がり、ぶつかった地面に深いクレーターが出来あがった。その衝撃だけで校舎の窓ガラスのほとんどが割れている。 
「次は校舎にぶつけてみるか?それとも、分かりやすくこいつらを殺すか?ぎゃははは。なんて顔していやがる。おもしれっー。【黒い……」 
「止めて下さい。……もう分かりました。数日考えさせて下さい。」 
「いいだろう。三日後だ。同じ時間に来る。因みに俺のレベルは428。ギルドで言ったらSSSランク。その意味がわかるか? この国だったら一人で壊滅させられる程の力だ。馬鹿な事を考えたら滅ぼしてやる。ぎゃはははは。」 
話し合いが順調に進み、楽しそうに笑っているキルダークの後ろから、校庭の大惨事に驚きつつ近づいてくる臨時の講師がいた。講師の名はガッシュ ロイヤル フィールド。雷の拳王の異名を持つSSランクの冒険者だ。SSランクとは、最低でもレベル100の壁を2つ超えた真限界突破者。Lv200オーバーの境地にいる。学園長が信頼する友であり、この学園に来てもらったのは、そのとてつもない力ゆえの事。ユートピアの王国騎士団の団長ですらLv85なのだから、その強さは規格外とも言える。
「お前等、これは何だ? いったい何してやがる。」 
「ガッシュ先生! 来ちゃ駄目です!!」 
「何だユノ。どうして泣いているんだ? 小僧。お前がやったのか?」 
「おいおい。現実をちゃんと見極めろ雑魚。早死にするぞ。ぎゃははは。もう死んでるけどな。」 
「貴様。何者だ? 気が狂っているのか?」 
「【闇よ砕け】」 
キルダークが杖を掲げると、ガッシュに向かって小さくて丸い黒の塊が放たれる。それがガッシュの体の中心に入り込むと、体ごと空中に浮かび上がり、円形の闇の波動が不規則に連続で何度も飛び出してくる。ガッシュの体のあらゆる部分が切り刻まれた様に傷つき、血が噴き出してくる。苦しみ叫ぶガッシュはそれが終わると地面に放り出され気を失って倒れている。
「……ぐはっ。」 
「そんな。あのガッシュ先生が……たった一撃で。ガッシュ先生、大丈夫ですか?」 
「ぎゃはははは。ユノ。三日後だぞ。来なかったらこの国の人間を片っ端から殺す。この学園の人間からな。あはははは。」 
去っていくキルダークに目もくれず、ユノはガッシュに回復魔法を掛け続ける。心には絶望が渦巻いていた。学園長はガッシュが自分と同等の力を持つと言っていた。その学園長はユートピアの国でも、個人の力では圧倒的な強者である。それと同等の力を持つガッシュが、キルダークのたった一撃でやられてしまったのだ。
しばらくして、登校してきた生徒に、この学園の担当医マクレナシル先生を呼んで貰った。ガッシュ先生の傷はそれ程に深い。命すら助かるかどうか判断できないものだった。
***
一方、ユノの本体は携帯ダンジョンでのレベル上げを前に、寮の一室で準備をしていたのだが、分身で先程の記憶を受けとても悩んでいた。
「秀人……みんな、私、急に用事が出来てしまったの。帰るわ。」 
突然、ユノが帰ると言い出したので、秀人はそれを不審に思う。分身は同時に3体まで出せる。だが、今は学校とお店の2体しか出していない。1体は自由に出来るはずなのだ。
「ユノどうした急に。分身がいるだろ?」 
「あの……いいえ。何でも無い。私は帰ります。……さようなら。」
「ちょっと、ユノ、待って……。」 
ユノは相談する事をしなかった。絶望に支配されそんな余裕がない。それだけ追い詰められていた。逃げる様に部屋から飛び出していくユノ。それを見送る秀人、陽菜、心愛の3人。秀人に関しては見送るというより、むしろ、その手を掴もうとしたのだがそれを途中で思いとどまった。ユノは明らかに何か悩んでいた。だが、自分達に相談出来ない何かがある。秀人は今まで順調に友達としての関係を築き上げて来た所で、それが崩れたようでとても悲しかった。
 
「……何なんだよ。」
「ユノさん大丈夫かな。私が何か聞いてみようか?」 
「うん。ちょっとおかしいよね。何か言いづらい事でもあるのかな?」 
それは、陽菜と心愛も同じだった。だが、陽菜や心愛は心配が女性特有のものであったなら、秀人には相談出来ない事もわかるので、自分達がどうにか出来るならとも考えていた。
「調べよう。流石に何か変だ。俺はちょっとユートピア王に会って来る。2人も思い当たる所があったら調べてくれ。」 
「わかった。私ももう一度、ユノを探して話を聞いてみるよ。」
「秀人と陽菜は、学園にいる分身でも探ってみて。私も何かしら調べてみるから。」
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