現実世界で虐められ続けた最弱の俺は、剣と魔法のファンタジー世界でMP0の生産チートで無双する。落ちこぼれ王女と親に生き方を決められた公爵令嬢との人生逆転物語。
呪われた王子
ミノスは意識を取り戻し、頭に手を当てるとそこには元々あったはずの角が無く、手でいろんな部分を確認すると、そもそも顔自体が小さくなっている。感触は普通の人間のそれと同じだった。次に自分の体を見ると、背中を覆われていた体毛も無く、巨体がやや小さく変化し、どこも普通の人間とまったく同じだった。 
「これは……いったい。」 
「おーう。ミノス君。ごめんな。鑑定したらモンスターだったから戦ったんだけど、そもそも本当は人間だったみたいだね。」 
秀人の説明に足りない部分をマァムが補足していた。
「ミノスさん。驚いているようですが、今のあなたの顔は人間と一緒ですよ。マスターがあなたの不幸の源を取り除いたのです。」 
「……俺が人間の顔に……。信じられない。」 
「戸惑っている所悪いけど、君は何でモンスターにされていたの?」 
「モンスターの見た目は、生まれつきなんです。僕はそれで生まれた時から化け物扱い。父親にすら疎まれ、牢屋の中で大きくなりました。人間には散々酷い目にあわされて、それを母上が自らの命と引き換えに逃がしてくれました。今は確認出来る限りで言うと、マスターさんのおかげで人間と見た目が変わらないんでしょうか? なぜダンジョンでモンスターにされていたのか。それはアジ・ダ・カーハという魔竜に、このダンジョンに閉じ込められて、心までモンスターに変えられたからです。たぶん、僕は復讐心の塊みたいなものだったので、それを付け込まれたんだと思います。ですが、モンスターの時、最後にマスターさんのおかげで、その復讐心も消えました。死の間際に復讐など無駄な心だと悟ったんです。」 
秀人はアイテムボックスから、日本の百円ショップで購入した鏡を取り出しミノスに渡した。ガイアにも鏡はあるが、秀人は外側がプラスチック製で軽い日本製の方が使い勝手が良いと思っていた。 
「これ鏡だよ。自分の顔が映るからそれで確認すると良い。アジ・ダ・カーハか。人の心をモンスターに変える存在がいるなら、それを放ってはおけないな。」 
「……本当だ……ありがとうございます。あの。こんなに良くして頂いて、更に図々しいお願いだとは思うんですが、私を仲間にしてくれませんか? あんな姿だったものですからどこにも行き場が無いんです。生きる目的が復讐でしたが、それももうどうでも良くなってしまって。」 
「それは願ったりかなったりだよ。俺は秀人 鬼宮。この世界で仲間を探してるんだ。」 
「ユノ シエスタ ユートピアです。よろしくお願いします。ミノスさん。それなら、学園にも通っては如何ですか? ミノスさんお強いですし、さっきの話だと学園に通った経験はありませんよね? 手続きや支払いなどは、私がやりますんで。」 
「いいね。それ。頼むよユノ。」 
「僕は、ミノス カラキアです。本当にありがとうございます。学園生活。そんな普通の事を経験する事が出来るなんて本当に夢のようです。」 
「ミノス。あんた。あの攻撃で死なないなんて、本当に強いわね。私は陽菜西園寺よ。仕方ないから、友達になってあげるわ。よろしく。」 
陽菜が、ミノスに握手を求めているのを見て、秀人は笑顔になっていた。秀人は陽菜の優しさを誰よりもよく知っている。生まれた時から化け物扱いと言われたら、陽菜がどう思うかわかっていたのだ。秀人から見た陽菜は孤高でツンデレだが、本来はとても優しい性格だ。それに孤高というのも優しすぎるが故に、人の嫌な部分が見えすぎてしまうのだと考えている。プライドがかなり邪魔をしているが、本当は純粋な良い子である事を長年の付き合いの秀人はよく理解しているつもりだった。 
「カラキア? はて、聞き間違いかな? 中央大陸にそれと同じ王国があるが……。私はケイニー サウザント。ユノで……の騎士だ。これから、よろしく頼むぞ。」 
「カラキア国王が亜人の子を産んだ。……それはユートピアでも王にだけ密かに伝えられています。まだ、私が小さくて父上に可愛がられていた頃、父上から昔話として聞いたのです。ですが、天界が亜人を奴隷に指定している為に、王の側近がそれを無理やり隠したとされています。ミノスさん。もしかして、復讐と言うのは父親に対してですか? それならば誤解だと思います。たしかに、私の父上は、親子が無理やり分断された事、カラキア王が可愛い息子に会いたいと嘆いていた、と言ったのです。それを私の父に伝えたのはあなたのお父上なんですよ。」 
「母上だけじゃなかったのですね。父上が私を……。そうとも知らずに私は……今まで恨んでいたなんて。」 
「どうするミノス? 国に帰った方が良いんじゃないか?」 
「いいえ。事実を聞けただけで良かったです。僕が監禁されていた事もまた事実ですから、きっと立場はありません。それよりも、秀人さん達と一緒に初めての学園生活をしてみたいです。」 
「父親と無理やり、離れ離れになっていたなら、生きている事実を伝える事も大切だと思うけどな。まあ、ミノスがそうしたいって言うなら仕方ないけどさ。」 
「では、いずれ僕に力が付いた時にその名声として事実を伝えましょう。ミノス カラキア。カラキア国の王子は健在であると。」 
「ミノス王子!! その心意気、誠に素晴らしいです。」 
ケイニーの態度がガラリと変わった。秀人はケイニーに対して、権威的な物に少々囚われる傾向にあると感じたが、それは口には出さなかった。ユノとかモーリスとかヴラドとか、たまたま秀人達の周りに集まった人間が特殊なだけで、元からこの異世界は身分が存在し、それが揺るがない価値観として浸透していたからだ。
学園生活でも、ユノが皇太女になった途端に掌返しでクラスのみんながすり寄って来ていた。逆にホワイルやキヌハは、ユノが皇太女に任命された事で正式に継承権を剥奪されたようなものだった。ホワイルに至っては、皇太女を陥れようとした首謀者としての罪。王がここ数年、ユノを疎ましく思っていた事も王子の派閥による魔法での心理操作だと断定された。ホワイルは今や身分は平民となり取り巻き達が分かりやすく離れている。その事で学生寮の自室に引き籠りとなる。キヌハも辛うじて婚約者と取り巻き1人が残り肩身の狭い思いをしている。 
――そして、次はフランツの番だが、秀人はフランツの事をどちらかと言うと付き添い扱いの立場だと思い、とりあえず聞いてみる事にした。 
「フランツさん。みんなは戦闘を体験しましたが、フランツさんはどうしますか? フランツさんのレベルだとこのダンジョンの敵はもう格下ですよね。」 
「もちろん。私もやりますよ。師匠に今の自分の力を見せる事は弟子として当然の事です。」 
――フランツは次の階層の一発目に一人で戦闘したが、レベルが高い上に、秀人が渡した最高の装備なので予想通りの瞬殺だった。――
と、秀人は予想していたが、これまで陽菜やユノ、ケイニーの戦いを見た上での予想だったので、それは少し外れだった。
フランツが先頭で地下26階に降りていく中。最初に現れたのは、口が嘴で緑の皮膚、羽の生えた悪魔タイプのモンスター、ガーゴイルだった。そして、これがこれまでで一番時間を掛けた戦いになる。とはいえ双剣と雷魔法を使い、終始フランツ有利の戦況が続いたのだが、3分以上の時間を掛けて敵のHPを削り切る戦いだった。フランツはそれが終わると秀人達の気持ちを理解しているかのように笑顔で話していた。
「モンスターの討伐なんて、こっちの方が普通なんですよ。むしろ師匠に教えを頂いた後なのでこれでも数倍は良くなってます。はっきり言って師匠や皆さんの戦いが異常すぎます。たぶん、天性の威力補正が凄すぎるんですね。皆さんの場合、同じスキルでも私の何倍の威力にもなっているって事です。」
それからは、マルコは全体攻撃魔法を無しにして、爪と牙による近距離戦闘に切り替えて貰う。全員参加のバトルで戦闘を進めていき、戦闘の技術を高めていった。A級ダンジョン攻略は予定より大幅に早まり夕方には最後の階層のボスの部屋の前まで来ていた。 
「これは……いったい。」 
「おーう。ミノス君。ごめんな。鑑定したらモンスターだったから戦ったんだけど、そもそも本当は人間だったみたいだね。」 
秀人の説明に足りない部分をマァムが補足していた。
「ミノスさん。驚いているようですが、今のあなたの顔は人間と一緒ですよ。マスターがあなたの不幸の源を取り除いたのです。」 
「……俺が人間の顔に……。信じられない。」 
「戸惑っている所悪いけど、君は何でモンスターにされていたの?」 
「モンスターの見た目は、生まれつきなんです。僕はそれで生まれた時から化け物扱い。父親にすら疎まれ、牢屋の中で大きくなりました。人間には散々酷い目にあわされて、それを母上が自らの命と引き換えに逃がしてくれました。今は確認出来る限りで言うと、マスターさんのおかげで人間と見た目が変わらないんでしょうか? なぜダンジョンでモンスターにされていたのか。それはアジ・ダ・カーハという魔竜に、このダンジョンに閉じ込められて、心までモンスターに変えられたからです。たぶん、僕は復讐心の塊みたいなものだったので、それを付け込まれたんだと思います。ですが、モンスターの時、最後にマスターさんのおかげで、その復讐心も消えました。死の間際に復讐など無駄な心だと悟ったんです。」 
秀人はアイテムボックスから、日本の百円ショップで購入した鏡を取り出しミノスに渡した。ガイアにも鏡はあるが、秀人は外側がプラスチック製で軽い日本製の方が使い勝手が良いと思っていた。 
「これ鏡だよ。自分の顔が映るからそれで確認すると良い。アジ・ダ・カーハか。人の心をモンスターに変える存在がいるなら、それを放ってはおけないな。」 
「……本当だ……ありがとうございます。あの。こんなに良くして頂いて、更に図々しいお願いだとは思うんですが、私を仲間にしてくれませんか? あんな姿だったものですからどこにも行き場が無いんです。生きる目的が復讐でしたが、それももうどうでも良くなってしまって。」 
「それは願ったりかなったりだよ。俺は秀人 鬼宮。この世界で仲間を探してるんだ。」 
「ユノ シエスタ ユートピアです。よろしくお願いします。ミノスさん。それなら、学園にも通っては如何ですか? ミノスさんお強いですし、さっきの話だと学園に通った経験はありませんよね? 手続きや支払いなどは、私がやりますんで。」 
「いいね。それ。頼むよユノ。」 
「僕は、ミノス カラキアです。本当にありがとうございます。学園生活。そんな普通の事を経験する事が出来るなんて本当に夢のようです。」 
「ミノス。あんた。あの攻撃で死なないなんて、本当に強いわね。私は陽菜西園寺よ。仕方ないから、友達になってあげるわ。よろしく。」 
陽菜が、ミノスに握手を求めているのを見て、秀人は笑顔になっていた。秀人は陽菜の優しさを誰よりもよく知っている。生まれた時から化け物扱いと言われたら、陽菜がどう思うかわかっていたのだ。秀人から見た陽菜は孤高でツンデレだが、本来はとても優しい性格だ。それに孤高というのも優しすぎるが故に、人の嫌な部分が見えすぎてしまうのだと考えている。プライドがかなり邪魔をしているが、本当は純粋な良い子である事を長年の付き合いの秀人はよく理解しているつもりだった。 
「カラキア? はて、聞き間違いかな? 中央大陸にそれと同じ王国があるが……。私はケイニー サウザント。ユノで……の騎士だ。これから、よろしく頼むぞ。」 
「カラキア国王が亜人の子を産んだ。……それはユートピアでも王にだけ密かに伝えられています。まだ、私が小さくて父上に可愛がられていた頃、父上から昔話として聞いたのです。ですが、天界が亜人を奴隷に指定している為に、王の側近がそれを無理やり隠したとされています。ミノスさん。もしかして、復讐と言うのは父親に対してですか? それならば誤解だと思います。たしかに、私の父上は、親子が無理やり分断された事、カラキア王が可愛い息子に会いたいと嘆いていた、と言ったのです。それを私の父に伝えたのはあなたのお父上なんですよ。」 
「母上だけじゃなかったのですね。父上が私を……。そうとも知らずに私は……今まで恨んでいたなんて。」 
「どうするミノス? 国に帰った方が良いんじゃないか?」 
「いいえ。事実を聞けただけで良かったです。僕が監禁されていた事もまた事実ですから、きっと立場はありません。それよりも、秀人さん達と一緒に初めての学園生活をしてみたいです。」 
「父親と無理やり、離れ離れになっていたなら、生きている事実を伝える事も大切だと思うけどな。まあ、ミノスがそうしたいって言うなら仕方ないけどさ。」 
「では、いずれ僕に力が付いた時にその名声として事実を伝えましょう。ミノス カラキア。カラキア国の王子は健在であると。」 
「ミノス王子!! その心意気、誠に素晴らしいです。」 
ケイニーの態度がガラリと変わった。秀人はケイニーに対して、権威的な物に少々囚われる傾向にあると感じたが、それは口には出さなかった。ユノとかモーリスとかヴラドとか、たまたま秀人達の周りに集まった人間が特殊なだけで、元からこの異世界は身分が存在し、それが揺るがない価値観として浸透していたからだ。
学園生活でも、ユノが皇太女になった途端に掌返しでクラスのみんながすり寄って来ていた。逆にホワイルやキヌハは、ユノが皇太女に任命された事で正式に継承権を剥奪されたようなものだった。ホワイルに至っては、皇太女を陥れようとした首謀者としての罪。王がここ数年、ユノを疎ましく思っていた事も王子の派閥による魔法での心理操作だと断定された。ホワイルは今や身分は平民となり取り巻き達が分かりやすく離れている。その事で学生寮の自室に引き籠りとなる。キヌハも辛うじて婚約者と取り巻き1人が残り肩身の狭い思いをしている。 
――そして、次はフランツの番だが、秀人はフランツの事をどちらかと言うと付き添い扱いの立場だと思い、とりあえず聞いてみる事にした。 
「フランツさん。みんなは戦闘を体験しましたが、フランツさんはどうしますか? フランツさんのレベルだとこのダンジョンの敵はもう格下ですよね。」 
「もちろん。私もやりますよ。師匠に今の自分の力を見せる事は弟子として当然の事です。」 
――フランツは次の階層の一発目に一人で戦闘したが、レベルが高い上に、秀人が渡した最高の装備なので予想通りの瞬殺だった。――
と、秀人は予想していたが、これまで陽菜やユノ、ケイニーの戦いを見た上での予想だったので、それは少し外れだった。
フランツが先頭で地下26階に降りていく中。最初に現れたのは、口が嘴で緑の皮膚、羽の生えた悪魔タイプのモンスター、ガーゴイルだった。そして、これがこれまでで一番時間を掛けた戦いになる。とはいえ双剣と雷魔法を使い、終始フランツ有利の戦況が続いたのだが、3分以上の時間を掛けて敵のHPを削り切る戦いだった。フランツはそれが終わると秀人達の気持ちを理解しているかのように笑顔で話していた。
「モンスターの討伐なんて、こっちの方が普通なんですよ。むしろ師匠に教えを頂いた後なのでこれでも数倍は良くなってます。はっきり言って師匠や皆さんの戦いが異常すぎます。たぶん、天性の威力補正が凄すぎるんですね。皆さんの場合、同じスキルでも私の何倍の威力にもなっているって事です。」
それからは、マルコは全体攻撃魔法を無しにして、爪と牙による近距離戦闘に切り替えて貰う。全員参加のバトルで戦闘を進めていき、戦闘の技術を高めていった。A級ダンジョン攻略は予定より大幅に早まり夕方には最後の階層のボスの部屋の前まで来ていた。 
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