現実世界で虐められ続けた最弱の俺は、剣と魔法のファンタジー世界でMP0の生産チートで無双する。落ちこぼれ王女と親に生き方を決められた公爵令嬢との人生逆転物語。
ユノの過去
ヴラドが仲間になった次の日、朝のホームルームが終わると秀人達は実習室に向かう前に改めて今後の方針を決めようとしていた。だが、そこで邪魔が入る。違うクラスのネセスーリ先生がモーリスとヴラドの2人に声を掛けたのだ。
「モーリス君。ヴラド君。お2人に進路の事でお話があります。一緒に来て頂けますか?」 
「はい。」「はい。」 
続いて呼び出されたのは陽菜。イケメン貴族の男子から呼び出しがある。だが、これを陽菜は秒で断る。その後でガッシュから指導内容の擦り合わせにと体術実験室での話し合いに向かった。 
残るは、秀人、ユノ、ケイニー、フレイドの4人。実習開始の時間まで残り20分。戦闘面で一番頼りになる心愛は現在は学校には通っていない。メンバーを確認した後でケイニーの脳裏に一抹の不安が過る。公爵家と戦闘能力が高いメンバーだけが分断されよからぬ不安を感じたのだ。 そして、その予感は正しかった。
「ユノ。ちょっとツラ貸しな。」 
ユノに声を掛けたのはキヌハだった。キヌハの後ろには取り巻きが6人と婚約者のギルガルド辺境伯の息子。ゲロ ギルガルド。ギルガルド辺境伯は最南端の領土を所持し、王都から離れてはいるが、一貴族の持つ軍事力と言う意味ではこの国で最強。その次期当主だ。そして、そこに、もう一人の派閥ホワイル王子とその取り巻き7人。16対4。人数的に圧倒的不利な状況でキヌハはユノをどこかに連れ出そうとしていた。 それに異を唱えたのは秀人だった。
「またメンヘラ王女か。良いですよって言うと思いますかね?」 
「メンヘラですって? あなた、この前から、なんて失礼な平民なの? 私は王族なのよ。黙ってひれ伏しなさい。」 
キヌハは、今までその美貌で誰からも甘やかされて育った。仮にそれが効かない相手がいたとしても権力で従わせてきた。それ故に精神面が殊の外弱い。秀人の僅かな誹謗だけで顔を真っ赤にして涙目になると悔しそうに地団駄を踏んだ。 
「お姉さま。いえ。キヌハ。学園内で王室の権力を振りかざすのは止めて頂戴。あなた達みたいな馬鹿がいるから王室の品位が下がるの。ハッキリ言います。これからは、私達に危害を加えるつもりなら、私達もただ黙って見ているとわ思わないで! ホワイルあんたもよ! それから、王子と王女に従っているあなた達。野蛮で無能な王族が権力を手にする事は絶対に無いわ。そんな事私が絶対にさせない。だから、あなた達も付き合う人間をよく考えた方が良いわよ。」 
今までに味わった事の無いユノからの追撃で、キヌハは完全に心を病んだ。目は完全に血走り言葉も出ない程に激昂している。SSクラスの王族同士の舌戦に野次馬の生徒達が各教室から続々と集まって来る。
王立第一魔法学園の1階、各クラスは隣に大きな実習室で隔たりがある為、廊下と教室を隔てる壁がまったく無い。丸見えの状態でヒートアップしていく抗争は全校生徒の見世物となりつつあった。 
 「庶子の分際で抜かすねえ。今までとはまったくの別人じゃねーか。だがキヌハの悪口は婚約者の俺が許さねえぞ。ギルガルド家の力を前にしてもお前はまだ上等を切るのか?」 
 「ええ。これからは何者にも屈しないわ。家族や仲間を守る為に自分の誇りを取り戻す。もう覚悟を決めたの。」 
 
ユノ入学の日――― 
王立第一魔法学園に入学したユノはとても晴れやかな気分だった。たまに遠くから眺める事しか出来なかった尊敬する兄や姉と一緒に学ぶ事が出来る。初めての兄妹の対面を目前にして、期待に胸を膨らませ前日は眠れずにいた。
だが、期待とは振ら腹に、その現実はとても残酷なものだった。 入学の日、ユノは真っ先に兄弟の元へ向かい、はじめての挨拶をする。
「お兄様。お姉様。とてもお会いしとうございました。これからよろしくお願いします。」 
満遍の笑顔で挨拶をするユノに対して、兄姉は顔を歪ませていた。
 「は? 会いたかっただと? 此方にとってお前の存在は邪魔以外の何物でもない。平民の子が王の嫡子と対等だなんて思うなよ。お前の立場はこれから俺たちがよーく分からせてやる。お前とお前の仲間は全て俺たちの敵だ。」 
「本当に惨めな子ね。頭の中がお花畑なんじゃないの?自分から学園を辞めてくれると助かるわ。お前は落ちこぼれの烙印を押されて王位継承のレースから外れてくれればそれで良い。ついでに国外に逃げてくれれば万々歳なんだけどね。そうしたくなる様な学園生活になると思うわよ。」 
「お兄様。お姉様。あんまりです。私は立場を弁え継承に関わりません。ですから、せめて兄弟仲良く……。」 
 
話の途中でキヌハがユノのお腹を蹴り上げる。 
「ウザい。覚えておきなさい。私達に口答えは絶対に許さない。」 
「やめてください。私はただ仲良く……。」 
キヌハはそれも遮り、幼いユノの頬を全力で平手打ちをした。
「口答えは許さないって言ってるでしょ。逆らえば逆らう程、暴力は酷くなると思いなさい? 返事は?」 
ユノは自分が如何に馬鹿だったのか思い知った。こんな最低の兄と姉の存在をずっと憧れて、少しでもそのステージに近づきたいと今まで努力して来たのだ。全てが無意味だった。
ユノは母親にいつも心に誇りを持ち、自分が正しいと思う事だけをしなさいと言われて育った。だが、ユノの心を大きく育てたのはそれじゃない。
例えば、ケイニーの父親に「ケイニーに才能が無い? 剣術だけを見てレッテルを貼ったり、その可能性を奪わないでくれるかな。ケイニーはあんた達と違って、清い心という器があるの。それを持つ者だけが本物になれる。」と幼いながらに諭した時は、母の言葉より、賢いであろう兄ならどうしたか、正義の心を持つ姉ならどう切り抜けるか。という心のコンパスを持って生きて来たのだ。
だからこそ、ユノの心は、その大前提の兄弟への尊敬ごと簡単に折られていた。
 
「……はい。」 
「ふん。議論は時間の無駄。とりあえず、あなたがこれからこの学園でどうしたら良いか答えなさい。」 
「友達を作っ……ぐはっ。」 
キヌハがまたユノのお腹を蹴る。ユノは地べたに倒れた。 
「友達なんて作ったら、そいつもあなたと同じ目にあうわよ。それでどうしたいの?」 
「勉強だけをし……ぐっ。」 
キヌハがまた倒れているユノのお腹を蹴りあげる。
「あなたは何も学ぶ必要無し。とりあえず、分からない様だから教えてあげる。家でじっとしてなさい。それが出来なければ、学園に来ても1人だけでひっそりと何もしないで。どうするの?」 
 「何もしません。…ひっそりと大人しくしています。」 
「まあ。それなら良いわ。でも、虐めは続くわよ。あなたが逆らわなければ軽く済むけど逆らえば酷くなる事を覚えておきなさい。」 
「さて、次は俺だな。」 
今度はキヌハ王女に代わり、ホワイル王子が寝ているユノの顔面を思い切り蹴り飛ばす。 
「とりあえず、これでしばらくは学園に通えないだろう。俺の虐めは理不尽だから、よおく覚えておけ。理由に関わらず俺の虫の居所が悪ければお前を虐待する。お前が優秀だと感じられる振る舞いをすれば酷くなるのはキヌハと変わらないが、不機嫌な時の八つ当たりや気まぐれなどもある。」 
ホワイルは、先程の蹴りで歪んでいるユノの顔面の前に自分の顔を覗かせるとニタァーっと笑った。 
「俺が王になったらお前を殺すのも有りだな。」 
それがユノが学園に来た最初の日だった。
それからは学園では誰とも話さずに、唯一の救いは、落ちこぼれのレッテルを貼られたケイニーだけがユノと一緒にいても大丈夫だった事だ。それは許されたのだが、それからはケイニーも一緒に王子の理不尽な暴力を受ける事になる。 ただキヌハは最初にケイニーがユノに近づいた時に怒り狂い2人を攻撃したが、ケイニーがこのまま何もしないで落ちこぼれとして生きる事を条件にこれを許した。以来、キヌハの暴力はほぼ治まり、ユノが大人しくしている分には言葉で罵るだけになった。 
そして現在―――
 
誇り高い生き方をする為の新しい指針は、大好きな秀人に上書きされる。ユノの今は兄や姉に出逢う以前よりも、気高いプライドを持っていた。それは困っている人を迷わずに助ける秀人に、少しでも近づく為に、自分に出来る事を考え抜いた結果でもある。
「ええ。これからは何者にも屈しないわ。家族や仲間を守る為に自分の誇りを取り戻す。もう覚悟を決めたの。」 
ゲロが王子を見る。
「めんどくせえ。ホワイル。もうこの場で全員をやっちまおうぜ。」 
「そうだな。こうして糞生意気に変貌したのが、ユノの本性だったとしたらもう体面を気にする必要もない。大儀はこちらにある。」 
 王子側がユノ側に襲い掛かる一歩手前で、それを遮ったのは秀人だった。 
「その前にひとつ忠告をしても良いかな?」 
出鼻を挫かれたホワイルは不機嫌そうに秀人を見る。
「は? 何をだ?」 
「たまたまユノが売り言葉に買い言葉で興奮してしまったけど、俺達は出来れば引いて欲しいんだよ。あんた達、ここで襲い掛かって来たとしても、勝算はまったく無いよ? あんた達の強さに対する評価が地に落ちるだけだ。俺達も暴力では解決したくないので、一度は交渉したいんだよね。あとは、もしここで喧嘩になったとしても、嫌なのにただ従ってる人がいたら、その人達は逃げた方が良いと思う。お前らでは絶対に俺達に勝てない。」 
 
「ははははは。完全に狂ったなこの雑魚。お前等の戦力はここにはいない。」「げははは。勝算が無いとか、この人数が見えないのか。それはお前等の方だろう。」「ぐぬぬ…。」 
「あらら。交渉決裂だね。でも、問題を武力で捻じ伏せる以外の方法、今後は考えないといけないな。心愛との約束の手前もある。」 
 
この戦いを見たたくさんの学生達は後に、これが全てのはじまりだったと話す事になる。
ユートピア国の英雄とその仲間達の力は、この戦いをきっかけにして、国内全土に広まっていく事になるからだ。
「モーリス君。ヴラド君。お2人に進路の事でお話があります。一緒に来て頂けますか?」 
「はい。」「はい。」 
続いて呼び出されたのは陽菜。イケメン貴族の男子から呼び出しがある。だが、これを陽菜は秒で断る。その後でガッシュから指導内容の擦り合わせにと体術実験室での話し合いに向かった。 
残るは、秀人、ユノ、ケイニー、フレイドの4人。実習開始の時間まで残り20分。戦闘面で一番頼りになる心愛は現在は学校には通っていない。メンバーを確認した後でケイニーの脳裏に一抹の不安が過る。公爵家と戦闘能力が高いメンバーだけが分断されよからぬ不安を感じたのだ。 そして、その予感は正しかった。
「ユノ。ちょっとツラ貸しな。」 
ユノに声を掛けたのはキヌハだった。キヌハの後ろには取り巻きが6人と婚約者のギルガルド辺境伯の息子。ゲロ ギルガルド。ギルガルド辺境伯は最南端の領土を所持し、王都から離れてはいるが、一貴族の持つ軍事力と言う意味ではこの国で最強。その次期当主だ。そして、そこに、もう一人の派閥ホワイル王子とその取り巻き7人。16対4。人数的に圧倒的不利な状況でキヌハはユノをどこかに連れ出そうとしていた。 それに異を唱えたのは秀人だった。
「またメンヘラ王女か。良いですよって言うと思いますかね?」 
「メンヘラですって? あなた、この前から、なんて失礼な平民なの? 私は王族なのよ。黙ってひれ伏しなさい。」 
キヌハは、今までその美貌で誰からも甘やかされて育った。仮にそれが効かない相手がいたとしても権力で従わせてきた。それ故に精神面が殊の外弱い。秀人の僅かな誹謗だけで顔を真っ赤にして涙目になると悔しそうに地団駄を踏んだ。 
「お姉さま。いえ。キヌハ。学園内で王室の権力を振りかざすのは止めて頂戴。あなた達みたいな馬鹿がいるから王室の品位が下がるの。ハッキリ言います。これからは、私達に危害を加えるつもりなら、私達もただ黙って見ているとわ思わないで! ホワイルあんたもよ! それから、王子と王女に従っているあなた達。野蛮で無能な王族が権力を手にする事は絶対に無いわ。そんな事私が絶対にさせない。だから、あなた達も付き合う人間をよく考えた方が良いわよ。」 
今までに味わった事の無いユノからの追撃で、キヌハは完全に心を病んだ。目は完全に血走り言葉も出ない程に激昂している。SSクラスの王族同士の舌戦に野次馬の生徒達が各教室から続々と集まって来る。
王立第一魔法学園の1階、各クラスは隣に大きな実習室で隔たりがある為、廊下と教室を隔てる壁がまったく無い。丸見えの状態でヒートアップしていく抗争は全校生徒の見世物となりつつあった。 
 「庶子の分際で抜かすねえ。今までとはまったくの別人じゃねーか。だがキヌハの悪口は婚約者の俺が許さねえぞ。ギルガルド家の力を前にしてもお前はまだ上等を切るのか?」 
 「ええ。これからは何者にも屈しないわ。家族や仲間を守る為に自分の誇りを取り戻す。もう覚悟を決めたの。」 
 
ユノ入学の日――― 
王立第一魔法学園に入学したユノはとても晴れやかな気分だった。たまに遠くから眺める事しか出来なかった尊敬する兄や姉と一緒に学ぶ事が出来る。初めての兄妹の対面を目前にして、期待に胸を膨らませ前日は眠れずにいた。
だが、期待とは振ら腹に、その現実はとても残酷なものだった。 入学の日、ユノは真っ先に兄弟の元へ向かい、はじめての挨拶をする。
「お兄様。お姉様。とてもお会いしとうございました。これからよろしくお願いします。」 
満遍の笑顔で挨拶をするユノに対して、兄姉は顔を歪ませていた。
 「は? 会いたかっただと? 此方にとってお前の存在は邪魔以外の何物でもない。平民の子が王の嫡子と対等だなんて思うなよ。お前の立場はこれから俺たちがよーく分からせてやる。お前とお前の仲間は全て俺たちの敵だ。」 
「本当に惨めな子ね。頭の中がお花畑なんじゃないの?自分から学園を辞めてくれると助かるわ。お前は落ちこぼれの烙印を押されて王位継承のレースから外れてくれればそれで良い。ついでに国外に逃げてくれれば万々歳なんだけどね。そうしたくなる様な学園生活になると思うわよ。」 
「お兄様。お姉様。あんまりです。私は立場を弁え継承に関わりません。ですから、せめて兄弟仲良く……。」 
 
話の途中でキヌハがユノのお腹を蹴り上げる。 
「ウザい。覚えておきなさい。私達に口答えは絶対に許さない。」 
「やめてください。私はただ仲良く……。」 
キヌハはそれも遮り、幼いユノの頬を全力で平手打ちをした。
「口答えは許さないって言ってるでしょ。逆らえば逆らう程、暴力は酷くなると思いなさい? 返事は?」 
ユノは自分が如何に馬鹿だったのか思い知った。こんな最低の兄と姉の存在をずっと憧れて、少しでもそのステージに近づきたいと今まで努力して来たのだ。全てが無意味だった。
ユノは母親にいつも心に誇りを持ち、自分が正しいと思う事だけをしなさいと言われて育った。だが、ユノの心を大きく育てたのはそれじゃない。
例えば、ケイニーの父親に「ケイニーに才能が無い? 剣術だけを見てレッテルを貼ったり、その可能性を奪わないでくれるかな。ケイニーはあんた達と違って、清い心という器があるの。それを持つ者だけが本物になれる。」と幼いながらに諭した時は、母の言葉より、賢いであろう兄ならどうしたか、正義の心を持つ姉ならどう切り抜けるか。という心のコンパスを持って生きて来たのだ。
だからこそ、ユノの心は、その大前提の兄弟への尊敬ごと簡単に折られていた。
 
「……はい。」 
「ふん。議論は時間の無駄。とりあえず、あなたがこれからこの学園でどうしたら良いか答えなさい。」 
「友達を作っ……ぐはっ。」 
キヌハがまたユノのお腹を蹴る。ユノは地べたに倒れた。 
「友達なんて作ったら、そいつもあなたと同じ目にあうわよ。それでどうしたいの?」 
「勉強だけをし……ぐっ。」 
キヌハがまた倒れているユノのお腹を蹴りあげる。
「あなたは何も学ぶ必要無し。とりあえず、分からない様だから教えてあげる。家でじっとしてなさい。それが出来なければ、学園に来ても1人だけでひっそりと何もしないで。どうするの?」 
 「何もしません。…ひっそりと大人しくしています。」 
「まあ。それなら良いわ。でも、虐めは続くわよ。あなたが逆らわなければ軽く済むけど逆らえば酷くなる事を覚えておきなさい。」 
「さて、次は俺だな。」 
今度はキヌハ王女に代わり、ホワイル王子が寝ているユノの顔面を思い切り蹴り飛ばす。 
「とりあえず、これでしばらくは学園に通えないだろう。俺の虐めは理不尽だから、よおく覚えておけ。理由に関わらず俺の虫の居所が悪ければお前を虐待する。お前が優秀だと感じられる振る舞いをすれば酷くなるのはキヌハと変わらないが、不機嫌な時の八つ当たりや気まぐれなどもある。」 
ホワイルは、先程の蹴りで歪んでいるユノの顔面の前に自分の顔を覗かせるとニタァーっと笑った。 
「俺が王になったらお前を殺すのも有りだな。」 
それがユノが学園に来た最初の日だった。
それからは学園では誰とも話さずに、唯一の救いは、落ちこぼれのレッテルを貼られたケイニーだけがユノと一緒にいても大丈夫だった事だ。それは許されたのだが、それからはケイニーも一緒に王子の理不尽な暴力を受ける事になる。 ただキヌハは最初にケイニーがユノに近づいた時に怒り狂い2人を攻撃したが、ケイニーがこのまま何もしないで落ちこぼれとして生きる事を条件にこれを許した。以来、キヌハの暴力はほぼ治まり、ユノが大人しくしている分には言葉で罵るだけになった。 
そして現在―――
 
誇り高い生き方をする為の新しい指針は、大好きな秀人に上書きされる。ユノの今は兄や姉に出逢う以前よりも、気高いプライドを持っていた。それは困っている人を迷わずに助ける秀人に、少しでも近づく為に、自分に出来る事を考え抜いた結果でもある。
「ええ。これからは何者にも屈しないわ。家族や仲間を守る為に自分の誇りを取り戻す。もう覚悟を決めたの。」 
ゲロが王子を見る。
「めんどくせえ。ホワイル。もうこの場で全員をやっちまおうぜ。」 
「そうだな。こうして糞生意気に変貌したのが、ユノの本性だったとしたらもう体面を気にする必要もない。大儀はこちらにある。」 
 王子側がユノ側に襲い掛かる一歩手前で、それを遮ったのは秀人だった。 
「その前にひとつ忠告をしても良いかな?」 
出鼻を挫かれたホワイルは不機嫌そうに秀人を見る。
「は? 何をだ?」 
「たまたまユノが売り言葉に買い言葉で興奮してしまったけど、俺達は出来れば引いて欲しいんだよ。あんた達、ここで襲い掛かって来たとしても、勝算はまったく無いよ? あんた達の強さに対する評価が地に落ちるだけだ。俺達も暴力では解決したくないので、一度は交渉したいんだよね。あとは、もしここで喧嘩になったとしても、嫌なのにただ従ってる人がいたら、その人達は逃げた方が良いと思う。お前らでは絶対に俺達に勝てない。」 
 
「ははははは。完全に狂ったなこの雑魚。お前等の戦力はここにはいない。」「げははは。勝算が無いとか、この人数が見えないのか。それはお前等の方だろう。」「ぐぬぬ…。」 
「あらら。交渉決裂だね。でも、問題を武力で捻じ伏せる以外の方法、今後は考えないといけないな。心愛との約束の手前もある。」 
 
この戦いを見たたくさんの学生達は後に、これが全てのはじまりだったと話す事になる。
ユートピア国の英雄とその仲間達の力は、この戦いをきっかけにして、国内全土に広まっていく事になるからだ。
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