現実世界で虐められ続けた最弱の俺は、剣と魔法のファンタジー世界でMP0の生産チートで無双する。落ちこぼれ王女と親に生き方を決められた公爵令嬢との人生逆転物語。
王立第一魔法学園③
SSクラスに配属された秀人達に待っていたのは、歓迎ではなく侮辱のような視線。このクラスは王族と貴族の中でも特別な階級、もしくは特に優秀な人材で構成されていた。
秀人は今更虐められる事くらいで怯まない。だが仲間を探さなければいけない状況では、虐めの対象は間違いなく問題である。先程から秀人を煽るこの男は、秀人に一歩ずつ近づき睨みつけながら質問をする。
「おいボンクラ。お前の天性なんだよ?」  
「クラフターです。」  
「ぐははは。情けねー。Sとはいえそれは戦闘向きじゃねえぞ。最弱天性の平民が、この国の未来を背負う予定のクラスに入って良いわけねえだろ? あんまり笑わせるなよな。」  
「お兄様。この学園で王族の力を誇示するのは禁止されています。やめて下さい。」  
秀人にとって衝撃の事実が判明する。突っかかってきた男はユノの兄だったのだ。
秀人は一週間前、ギルドの中でユノが腹違いの兄妹に虐められていると言っていた事を思い出す。そしてユノは両手を広げて秀人に近づく兄の間に立ちふさがる。秀人は陽菜を助けた時の自分を思い出してた。 だが、ユノの場合は、弱い女性で、それも今まで虐められてきた相手なのだ。秀人に怒りが沸き上がる。
「何だユノ! 貴様如きが俺様に意見をするな!」  
その男は妹に逆上し殴り掛かる。秀人は素早い動きで男の手を掴んでいた。   
「なんだ。貴様! 単なるクラフターの癖に、いったいなんなんだよこの力は……手がビクリとも動かせないぞ。は……はなせっ。」  
秀人が手を離すと男はその反動で尻餅をついて倒れる。顔面蒼白になりながら秀人を見上げていたので、秀人はそれを睨みながら声を荒げた。   
「妹を虐める兄があるか! ……暴力で解決しようとするのは今後はやめて欲しいです。ハッキリ言って俺は生産職にしか適正がないから弱い。でも、そういうのは習慣化するので、俺や友達がやられたら誰であれこうして抗います。平民ですがどうかよろしくお願いします。」 
一部始終を静観していたキュリオンだったが、秀人の王子に対するあいさつが終わった所でまた話始める。
「ホワイル君。なかなか見事にやられちゃいましたね。これは痛快です。皆さんはこの様に親の権力を使ったみっともない真似は絶対にやめましょう。ホワイル君は禁止事項を破り、学園内で身分による差別的な発言をしました。更に、公式的な決闘以外での生徒間の暴力もこの学園では禁止されています。私の前で暴力を振るおうとしたので合わせ技で生徒指導室で3日間の謹慎処分を言い渡します。カインズ先生ホワイル君を生徒指導室まで連れて行って下さい。」
「はい。キュリオン先生。」
ホワイル王子が、カインズによって生徒指導室まで連れて行かれ、陽菜と心愛はキュリオンが入口まで出向き、手招きによって2人とも教室に案内された。
「それでは、気を取り直して進めましょう。心愛さん。陽菜さん。順番に自己紹介とあいさつをよろしくお願いします。」
「はい。心愛 鬼龍院21才です。年齢は皆さんより年上だと思いますが、魔法の勉強をあまりして来なかったので勉強したいと思っています。七芒星の魔法師で、得意なのは火の範囲魔法。学園では特に回復魔法を勉強出来ればと思っています。よろしくお願いします。」
心愛のあいさつでは、クラスのほぼ全員が驚愕し極端に顔を変形させたり、生唾を飲み込んだりしているので、きっと、やらかしてしまったのだという事が分かった。
「サラッと七芒星と言いましたが、私の知る限りでは学園長くらいですよ。それに回復魔法とはまた珍しいですね。七芒星なら聖属性を使えるのは理解出来ますが、講義では教える人がいないので、聖属性が扱える学園長に個人的な指導が可能かどうかを頼んでみますね。もしくは簡単なものならユノさんが使えるのでユノさんに聞くと良いでしょう。水魔法の小回復程度なら授業でもやります。では、次は陽菜さん。お願いします。」
「陽菜 西園寺15才です。ジョブは暗黒格闘家で、闇属性の攻撃スキルがいくつか使えます。格闘技なら少しは自信があります。よろしくお願いします。」
秀人は陽菜に異世界でのジョブの凄さを説明する事をすっかり忘れていた。更に先程の聖属性同様、闇属性も特別なものなので、クラスの全員が先程と同じように驚愕している。
「陽菜さん。攻撃スキルに属性が入るのは、ジョブ以上ですので、それについても指導する人はいませんね。どちらにせよ今は闇属性の魔法でも指導者がいません。ですが、精霊紋の自属性を学ぶ事は出来ますよ。」
そして、キュリオンは、秀人が同じ特待生として、心愛と陽菜と同等とでも思ったのか、秀人の自己紹介で戦闘に関する事に触れていなかったので質問をしてくる。
「秀人君、もしかしてあなたも、七芒星とかジョブとか何か特別な能力を持っているのですか?」
「いえ。僕は魔力0MP0なので、そもそも魔法を使えないですし、戦う時は剣士クラスですが、戦闘に適正があるわけではありません。仲間達の中では一番弱い完全生産職特化タイプです。」
今度はクラス全員に安堵の表情から、続いて嫌悪する表情へと変わっていく。秀人はその対応には慣れているが、今の目的では受け入れがたい現実でもあった。弱肉強食の異世界ガイアでは戦闘に関係の無い天性は一般的にはハズレとされている。生産職を極める事は天才や長寿の種族でもない限り難しい。人間の寿命では満遍なく職業レベルを上げる必要のある生産職を生活に活かす事はとても困難なのだ。秀人はそれが不遇である事を皆の反応で一瞬で理解する。
「では、秀人君はあそこの奥の席に、心愛さんはこの教壇の前の席。陽菜さんは右の中ほどの空いている席に座って下さい。皆さん、仲良くやって下さいね。」
キュリオンが秀人の言葉と共に指さした席は窓際の一番後ろの席。隣には背が低くて気の良さそうな男の子が座っていた。秀人が席に着くと、その生徒が秀人を向き笑顔で小さく囁いた。
「やあ。僕はフレイド オイモ男爵家の当主14才だよ。フレイドって呼んでね。実はうちは父が早くに亡くなってしまい貴族とは名ばかりの貧乏貴族でね。僕も生活に役立ちそうなクラフターには少し興味があるんだ。だから君とは気が合いそうだね。」
クラフターに興味があるという事で、秀人はフレイドを究極鑑定してみる。
気になる部分は天性以下の部分だった。
天性 ?
天性S++++
『錬金ガチャ師』 錬金窯を装備する事により、生産職を逸脱した生産職オリジナルジョブ錬金ガチャ師になれる。全てのアイテムや装備をメイン素材にして、何かと掛け合わせ、同等以上で完全ランダムのアイテムが作成されるか、掛け合わせたアイテムの効果を引き継ぐか、素材ランクをランダムで2段階まで引き上げる事が出来る特殊な生産職。 ジョブレベルと錬金ガチャスキルの熟練度が高い程、術師の願いに寄り添う結果になる。
アビリティ
?
?
幸運++++
的中++++
属性 木 土 水
フレイドは学園長曰く勇者に多いと言われる謎の魂魄の2つ持ちだった。
だが、秀人と同じように1つ目が生産職の天性。この世界では、一人の人間に対して、天から与えられる才能が振り分けられるのでは無く、魂魄の数に対していくつか授かるという魂魄システムがある。フレイドは天性2つにアビリティー4つ。
属性が1.5+1.5で3枠という計算になる。ただし、フレイドの的中++++というアビリティに関しては、天性『錬金ガチャ師』の引きに起因しているが、遠距離攻撃などにも応用が利く。
秀人はもし仲良くなったら的中の能力についてフレイドに教えてあげようと思った。それとレア度の隣にある+の数が4つな事も気になった。『錬金ガチャ師』は、秀人がこの一週間でいろいろと鑑定したSランクの中でも性能が破格すぎた。
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