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現実世界で虐められ続けた最弱の俺は、剣と魔法のファンタジー世界でMP0の生産チートで無双する。落ちこぼれ王女と親に生き方を決められた公爵令嬢との人生逆転物語。

漆黒の炎

王立第一魔法学園①

 初めて異世界に来てから一週間の時が経過する。

 その日の朝。秀人が泊っている宿屋に、ユノの遣いという貴族の剣士が現れた。ノックの後で部屋に入って来た少年は秀人とその仲間の事を確認すると、ゆっくりと頷いていた。

「私の名前ははケイニー サウザント。殿下の騎士である。秀人 鬼宮殿、陽菜ひな西園寺さいおんじ殿、心愛ここあ鬼龍院きりゅういん殿の三人を迎えに来た。」 

 先日、ユノが来た時に陽菜と心愛についても、学園入りを提案されていた。ユノは秀人の友達として、陽菜達が異質な力を持つ事は十分に理解していた。だからこそ、この国に必要な人材として学園長まで伝えていた。学園長は秀人の鑑定結果しか持たなかったが、臨時試験の結果を受けた後だった為にこれを快諾する。

「ケイニーさん。一週間の約束でしたので、お待ちしておりました。」 

「うむ。学園長の所まで案内してやろう。表に馬車が着いているのでご同乗願おうか。」 

「「よろしくお願いします。」」 

 そうして、4人は馬車でおよそ10分程の王立第一魔法学園に案内された。
 鋼鉄で出来た幅が10メートル程ある立派な正門前で馬車を降ろされ、大柄で鎧をまとった学園の守護兵2名によって開門される。
 赤い屋根と白い壁、見た目は広くて巨大なお城みたいな学び舎だった。とても大きな校庭から中央の昇降口でスリッパにき替え、秀人達はケイニーに案内されるまま1階にある学園長室の前まで到着した。 

「失礼します。ザムガトルス学園長、ユノ王女殿下。鬼宮秀人殿とそのお仲間をご案内しました。」 

 学園長室には、奥の席に青い三角帽子を被った白髭の老人が、中央の応接用のソファーにユノ シエスタ ユートピアが座っている。 

「ケイニー案内してくれてありがとう。後はこちらで対応するので教室に戻っていいわ。」 

「はい殿下、かしこまりました。それでは、失礼します。」   

 ケイニーに替わり、今度は秀人達が学園長室に入室する。 

「「失礼します。」」 

「いらっしゃい。秀人 鬼宮君。陽菜 西園寺さいおんじ君。心愛 鬼龍院君だね。君達の話はユノ君から聞いておるよ。私はこの学園で学園長をしておるザムガトルスじゃ。」  

 学園長のザムガトルスが、部屋の奥から秀人に声を掛ける。秀人は手前側のソファーに腰かけると、少し遅れて学園長が、秀人の対面のソファーに座るユノの隣に腰を降ろし話始めた。 

「秀人君、君の未知の能力はいったいどういったたぐいの物なんだね? この時がLv1で今は少なくともLv34以上という話じゃな。鑑定結果をこちらで確認出来たもの。スキルや能力は戦闘向きではないが、それでも生産職の数やスキルが尋常ではない。これはもしや戦闘職以外の全てをマスターしているのではないのか? 満月フルムーンでなければアクティブスキルについては鑑定結果に表示されないのだからな。それに実際、君はオリハルコンの剣を『至高品質』で作れる程の高度な技能を持っているらしいじゃないか? あ、すまんのぉ。これはオフレコじゃったか。」 

「秀人君ごめんなさい。でも学園長は政治に関心の無い清廉せいれん潔白けっぱくな人格者だから安心して大丈夫ですよ。事情を説明出来る味方が必要だと思って、すでにいろいろと相談しました。学園長は悩みを抱える生徒の事は絶対に守ってくれる。この学校に来てから私がなんとかやって来れたのは、表向きは学園内では王族や貴族の権力を振りかざしてはいけないというルールがあるって事。それに学園長の力はこの国の中枢でも敵わない。私が生徒である以上、真貴族が迂闊うかつに手を出せないというそんな背景もあります。だから、なんでも話して大丈夫だと思います。」 

「なるほど。たしかに、安心して相談出来る大人は必要ですね。それならば、私も本当の事を言います。私と彼女達は、アルテミスと言う女神様の力でこのガイアという星とは別の世界からやって来ました。ただ、私が神様にお願いした願いが生産職と相性が良かった為に、たぶんこの能力を授かったんだと思います。そのおかげで、私の願いは叶いました。
 そして、神様からの説明の記憶が抜け落ちていて、世界に危機がせまっている事とそれを俺と仲間が倒す事以外はほとんどわからないんです。
 戦闘向きでないのにどうやって危機を乗り越えるべきかもまだわかりません。この一週間2人とダンジョンにも行ったのですが、ほぼ全てここにいる心愛先生の炎魔法で討伐しました。ちなみに陽菜の方は、あちらの世界で格闘技の全国大会を優勝する程の腕前です。なので、私よりも数段強いです。私は戦闘向きではありません。ハッキリ言って弱いです。ですが、私の持つ究極鑑定とやらの力で、全員がスキルの効果とかをだいたい理解しています。」 

ユノと学園長は、秀人の言葉の節々で軽い悲鳴を上げていた。そのどれもが衝撃の内容でそれを信じる為の証拠が鑑定結果やユノの体験が実際に経験している。ユノは感嘆し学園長は驚愕きょうがくしていた。



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