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現実世界で虐められ続けた最弱の俺は、剣と魔法のファンタジー世界でMP0の生産チートで無双する。落ちこぼれ王女と親に生き方を決められた公爵令嬢との人生逆転物語。

漆黒の炎

農民と伝説の鍛冶師

 秀人達はユートピア国王都にある商業ギルドに来ていた。それは冒険者ギルドよりも大きくて豪華な建物だった。それだけで冒険者ギルドより潤っている事が予想出来る。建物の中に入り、秀人は奥にある受付に着くとボーイッシュな受付嬢に相談をする。

「すみません。農業がやりたいんですけど。農業に関する事はここで大丈夫ですか?」

「ええ。農民の方っすね。冒険者証を見せて下さい。なるほど……秀人さん。であれば、こちらで大丈夫ですよ。どのくらいの規模きぼで生産をしますか?」

「俺達はなるべく早く農民のレベルを上げたいんですけど、どうすれば良いですか?」

「農民レベルを上げる事を目的とされるなら、一人30フィールドとして、三人なら最低でも90フィールドあたりは欲しいですね。」

「経験値は二人分あれば十分ですよ。俺はマスターしているので。」

「うそ。その年で農民クラスが満月フルムーンっすか。ぱねぇっす。だったら同じく90フィールドのままにして秀人さんには職業経験値が入りませんので、収穫時の経験値はお二人で分け合う事になります。一人1.5倍ですね。しかも農民満月フルムーンの方がいたら、収穫時期が、一ヶ月から7日にまで短縮されます。最初の20までは1回の収穫で1.5レベルくらいあがると思って下さい。」

「1回の収穫で1アップを計算してくれたんですね。では90フィールドの土地をお願いします。」

「満月の方がお一人いらっしゃるなら、面積を倍にしても作業は簡単だと思います。200フィールドくらいはいきませんか? 農業ビジネスは効力エフェクト結晶クリスタルの収穫がキモですから、その確率を上げたい所です。200フィールドの面積なら確実に1つはゲット出来ます。効力エフェクト結晶クリスタルは大地の魔素を吸収した結晶です。」

「それは良い事を聞きました。効力エフェクト結晶クリスタルって農民が取得するものなんですね。それなら600フィールドでお願いします。」

「かしこまりーっす。えー!? 三人で600フィールドとなると結構きついですよ? まあでも、実はちょうど600フィールドの畑が売り出されてます。ここから近くて、とても良い所なんですよね。農業用の土地は安いですが販売と賃貸とどちらにしますか?」

「それぞれおいくらくらいですか?」

「農地は安いので買う場合は1フィールドが三万セガ借りる場合は一ヶ月で600セガですね。収穫は効力エフェクト結晶クリスタルの数によってばらつきますが野菜だけなら1フィールドで6個収穫。200だと1200取れるので100セガで売れる野菜なら12万です。」

「購入しても賃貸でも、野菜だけでもかなりの収益が見込めますね。購入します。」

「それは満月フルムーンの方がいて4倍だからですよ。いない場合は1か月で収穫、賃貸だと野菜だけだとトントンです。効力エフェクト結晶クリスタルも販売価格は世界統一のランク依存です。E100セガD千セガC1万セガB10万セガA100万セガ。B以上なら当たりですが、Cでやっと純利益になりますね。」

「なるほど。ランクの確率はわかりませんが、どの世界も最初は厳しいものなんですね。どれくらい栽培するかわからないので3か月の賃貸でお願いします。」

「そうですか。では、種を吟味した後で、土地を案内しますね。それで良ければその後で契約にしましょう。」

「いいえ。最初に契約させて下さい。また戻ってくるのは面倒なので。」

「ですがよろしいので? 契約した後だと気に入らなくても破棄出来ませんよ?」

「良い所なんですよね? それを信用します。」

「そうすっか。まいどあり~。」


 秀人達は、いろんな種を購入し受付嬢のクミンに土地を案内してもらう。

「ここがその土地です。どうです? 良い所でしょう。」

「はい。景色が綺麗ですね。街中なのに花や緑がいっぱいです。」

「ここは自然保護区画ですからね。私も癒されるっす。今後とも商業ギルドをよろしくっす。農民さんだから戦闘職に転職する事はないと思いますが各種ぞ材やアイテムの買取は、冒険者ギルドや個人商店よりもお得ですよ。冒険者ギルドの方は依頼が出ていればそちらの方が断然お得の場合もありますがね。じゃあ。農作業頑張って下さい。」

 クミンがいなくなった所で、秀人がスキルで全体的に土地の品質を改良した。耕された後みたいに種を植えるだけの状態になる。続けて、三人で種を植えていった。ただし秀人はいろいろな農民スキルを駆使し猛烈なスピードで種を植えていく。

 秀人は農民を満月フルムーンにしていると、作業効率が上がると言うクミンの話を聞いて、自分ならきっともっと早いと踏んだ。秀人は農民クラスの上位、農民ジョブと更に上位の真農民ジョブを持っている。ゆえに教えられた三倍の土地を借りた。

「ふあー。農作業ってけっこう大変だな。土壌の整備から植えてからの水やりスキル、3時間も掛かった。……あれ? 最初の方に植えた野菜。もう収穫時期になっているぞ?」

 秀人には農民ジョブのパッシブスキル【収穫時期判別】がある。その能力は野菜が収穫時期に達したものを正確に判別できる。

「でも、クミンさんは七日は掛かるって言ってたよね?」

「あ? 俺の場合は収穫までの時間が240倍速になるみたいだ。正確に言うと農民クラスが4倍で、そこから農民ジョブの6倍で真農民ジョブで10倍だね。1か月かかるものなら約3時間で収穫できるみたい。」

「何そのやば過ぎるチート。」
「秀人君凄いですね。」

 全員で手分けして収穫すると、一回の収穫で陽菜と心愛の農民クラスのレベルがマックスまで上昇していた。効力エフェクト結晶クリスタルを収穫した際の職業経験値が大きい。真農民のあらゆるスキルの効果で効力エフェクト結晶クリスタルはランクA50個S30個とSS20個を収穫していた。

 秀人は異世界での生産職に活路を見出した。戦闘にはまったく使えないと思っていた生産職。だが、効力エフェクト結晶クリスタルのSSは一つでステータスが35も上昇する。

 これまでの間、秀人が制作した武器や防具には、それを付けるスロットが必ず4つ用意されている事が分かった。全ての武器防具に140ずつのステータスが上昇すると、7か所で1000は上昇する。更にHPなら3倍、攻撃力、魔力なら2倍の数値。全部HPの効力エフェクト結晶クリスタルを付ければHPは3倍の3000。全部攻撃力で固めたら2000上昇する。

 そして、ギルドで分かった事だが1レベルの上昇では、基礎値分が丸々上昇するという事だった。異世界の人間はLv100なら基本的には、全てが100の数値という事になる。これを考えるとエフェクトクリスタルの上昇値は凄い。

 この時に秀人は思った。生産チートこそ本当に恐ろしいのではないかと。


 効力エフェクト結晶クリスタルの大量収穫は、陽菜と心愛のジョブレベルだけではなく、秀人を含めた全員のレベルが急上昇する結果になった。今回たった一度の収穫だけで全員がLv27にまで到達していたのだ。

 そして、この急激なレベルの変化は、秀人にとってのある事を衝撃的に変えていた。それを見た陽菜と心愛が驚愕きょうがくしている。

「えっ!! ……秀人。秀人だよね? 心愛さん、ちょっと秀人を見て?」
「ななな! 異世界の農業はダイエットに効果があるんですか?」

「は? 二人共、何を驚いているんだよ?」

 秀人の体形はぽっちゃりから、背の高い痩せ型の筋肉質に変わっていた。

「あんた。たかが農業をやっただけで、痩せすぎよ!」
「顔の造りは変わってませんが、明らかに今までの秀人君じゃないです。」

 秀人は自分のお腹を確認した。自分の腹筋がシックスパックに割れている。

「え? えー--!!」





 ――ここはある貴族の屋敷。一人の部下が報告をしていた。


「ヒートアイル卿。先日ユノ王女がオリハルコンの剣『王者の剣』を王に納品した件ですが、その前に鍛冶屋バロンである少年からユノ王女が剣を受け取った瞬間を目撃されていました。」

「……少年だと? 鍛冶屋バロンとやらの店員か何かか。」

「私は、店員ではなく鍛冶屋バロンの店主リンドブルク。若き天才の弟子だと考えております。」

「若き天才だと? では、その鍛冶屋バロンの店主リンドブルクがオリハルコンの剣を作ったという事か。なぜ少年は店員ではなく弟子なのだ?」

 ヒートアイル侯爵は勿体つけて情報を小出しする部下に少しイラついている。

「そうですね。ここからは、教師として学園に潜入した私の成果になります。本日、ユノ王女は学園長ザムガトルスと密談をした模様です。その内容は、ある少年を学園に入学させる事になります。ここで点と点が繋がりました。Sランク唯一級ユニークの武器となると、相場は1000万セガ以上からになります。ユノ王女は最近になって大金をかき集めておりましたが、それでも剣を買うにしては足りなかったのでしょう。
 ユノ王女はリンドブルクの弟子を魔法学園に入学させる事で、おそらくは足りない金額を補ったのではないでしょうか。そして、それは、天才リンドブルクにとって、少年がただの店員では無い事を意味します。リンドブルクは独身の28才、家族もおりません。職場の関係ならばより繋がりの深い師弟関係である可能性が高いのです。」

 ここまでの話で、ヒートアイルは、やっとその危険性を理解した。ヒートアイルは後継者争いに第一王子を推している。ヒートアイルが所属する派閥の全体が概ね第一王子を推している中で、最も第一王子に固執しているのは、ヒートアイルであった。だからこそ、ユノやその母親を貶おとしめる騒動やその流れに乗って、ユノ王女の母親に無実の罪を着せた。

「くそ。ユノのやつめ。危険すぎるぞ。母親の極刑を阻止しただけでなく、天才との繋がりをより深めるつもりか。させてたまるか。
 ……待てよ。アムド。そのバロンという店から天才リンドブルクを攫って来い。この俺がリンドブルクを所有すれば、王子を王にする今の計画と同等かそれ以上の利があると言える。上手くいけばこの国の権力が俺だけに集中するぞ。そうだ、天才鍛冶師は――」

「それは無理です。リンドブルクは店を閉め、いなくなりました。おそらく身の危険を感じたのでしょう。手がかりはその少年の方にしかありません。ですが、ユノが去った後、リンドブルクは隣にある大きな鍛冶店サンシータのゲロマムシに怒鳴り込んだそうです。商売ガタキが近くで店を開いたので、相当恨んでいたんじゃないですか?」

「何? リンドブルクと因縁のあった鍛冶店サンシータのゲロマムシ。天才の邪魔をするなど国家に対する反逆に等しいぞ。潰すしかあるまい。それでアムド。お前はどうやってリンドブルクを探すつもりだ?」

「許可を頂ければ私に良い考えがあります。ですが、それは真貴族会議に話を持ち込まないという事でよろしいですか?」

「当たり前だ。下手したら貴族権力が割れるような話だぞ。で、どうするつもりなんだ?」

「少年が学園に入学した時点でこの国最大の戦力、ザムガトルス学園長の庇護下に入ります。そこで、中立を貫く絶対権力ザムガトルス学園長の排除。ユノとリンドブルクの繋がりを絶つ事。一石二鳥の計画があります。」

「一石三鳥にはならぬか? ユノは今、権力を剥奪された王女だ。それなのに、俺が陥れたクレインを平然と救ってみせた。今後、俺だけじゃなく真貴族会議の計画にも邪魔になるだろう。ユノも学園から排除しろ。そうなれば流石に王宮から追い出されて本物の庶民になるだろう。」

「了解しました。」

「ただこの計画は少々話が大きすぎる。補佐としてマーズも付けるぞ。ここでリンドブルクを手に入れる事は、お前自体が第三の勢力になり得るという話だからな。」

「失敗したら潜入させた手駒を2つも失う事になりますよ? よろしいのですか?」

「かまわん。リスクより、リターンが大きいからな。リンドブルクについてはこちらでも調べる。お前達教師は学園の事に集中しろ。」

「わかりました。ですが裏切るならヒートアイル卿に、この話をしていないと思うのですが仕方ないですね。」

「アムド頼んだぞ。」

「必ずやお役に立たせて頂きます。マイロード。」



この三日後、鍛冶店サンシータの店主ゲロマムシが国家反逆罪で捕まり、鍛冶店サンシータもユートピア王国から跡形もなく消えていた。その本当の理由を知る者はヒートアイル卿とアムドのみだった。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇    


※ここからは後書きです。興味の無い場合は読み飛ばして下さい。 


Eランク 基本生産クラス アルチザン

農民 鍛冶師 錬金術師 彫金師 鎧細工師 木工師 縫製職人 薬師  デザイナー 採掘師 採集師 剥取職人 料理人
   

Dランク 亜種生産クラス ビジネスマン
(全てのアルチザンのクラスレベルを半月にするとなれる職業)
鑑定人 商人 奴隷商 運搬うんぱん人  探検家 船長など


半月ハーフムーン満月フルムーンとは
クラスやジョブレベルが半分の状態とマスターの状態で、条件を満たす事により、さまざまな特典がある。
クラスレベル 25半月 50満月  ジョブレベル 50半月 100満月  

「現実世界で虐められ続けた最弱の俺は、剣と魔法のファンタジー世界でMP0の生産チートで無双する。落ちこぼれ王女と親に生き方を決められた公爵令嬢との人生逆転物語。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

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