現実世界で虐められ続けた最弱の俺は、剣と魔法のファンタジー世界でMP0の生産チートで無双する。落ちこぼれ王女と親に生き方を決められた公爵令嬢との人生逆転物語。
早期リタイア①
その朝、大学の講義室には、いつものように、落ち込んでいる心愛の姿があった。友達のいない心愛だが、容姿が良い事もあり、いつも男が寄って来る。
「ねえ、心愛ちゃん。講義が終わったらデートにでも行かない?」
「……。」
だが、心愛はそれを無視する。
「いい加減にしろ。せっかく誘ってやったのに無視するなよな。」
学生の仲間達が遠くから二人に近寄って来る。
「失敗したのか? ならお前も、もう良いよな。おい鬼龍院、講義が終わったら俺達にちょっと付き合えよ。大切な話があるんだ。」
美人だが内向的で大学とアルバイトのどちらにも友達がいない事は調べがついている。何かをしても相談する相手もいない環境で、振られ続けた者達が腹いせに何かをしようとしているのだ。
「ひょっとして乱暴しようとしてますか? こういうのが嫌だから、誰とも話さないんです。人間は簡単に信用できない。……私にはGPSが付いています。予定と違う行動をしたら、即座に警察が動きますよ。」
心愛は、講義室を出る。心愛の言葉に騙され、学生達は心愛を追いかける事はなかった。
これで心愛の午前中の予定が空になった。心愛は適当に街をぶらついた後で家に戻る。
鬼龍院心愛は、21才の大学生だった。教師になる事を夢見て大学に入ったは良いが、教育実習に失敗した。自分の中にある正義を貫き、既存の権力に逆らった。生徒の為に戦ったのだから、その事に後悔はない。
ただ、卒業を間近に目指していた教師とは別の就職活動をしなければならない。夢を失った事は心愛を怠惰にさせた。
こんなはずじゃなかった。
そして、一番悔やまれるのは、それでも生徒をちゃんと助けられなかった事だ。その事が理由でどこか無気力になっていた。
心愛はベッドに横になりながら、タブレットでネットを検索する。就職情報を探そうとしていたのに、いつの間にかアニメの獣人を検索していた。
「かわいいっ。やっぱり二次元は癒される。」
『ピンポーン』
玄関のチャイムが鳴った。
今日は大学の講義をさぼってアパートにいる。来客も配達の予定もない。――何かの勧誘だろうか。――
心愛が居留守をしようと思った時に玄関から声が聞こえて来た。
「心愛先生。いませんかっ!? ……俺ですっ。鬼宮です!!」
心愛は、秀人の声を聞くと急いで玄関の扉を開けた。
「秀人君久しぶりだね。ん? ……コスプレですか?」
それは心愛が救えなかった生徒だった。何かあったら家に来るように心愛はアパートの場所を教えていた。だが、それ以前に電話をするはずなので、訪ねて来た理由が心配になる。
「ごめんなさい。先生にしか頼れなくて、来てしまいました。」
心愛はその言葉に笑顔を作る。たった二週間だけだけど、心愛にとっては可愛い教え子だ。不安にさせてはいけないと考える。
「とりあえず中に入って下さいな。」 
心愛は秀人を部屋に案内する。
心愛は秀人に何かあったらすぐに来るように何度も言っていた。こうして秀人が訪れた事は、何かがあったのだと心構えをした。なるべく優しく、黙って悩みを聞いてあげよう。心愛はそう思った。
「飲み物は何が良いですか? ウーロン茶と紅茶とコーヒーがあるけど。」
「……すみません。ウーロン茶を。」
「はい。畏まらなくていいのよ。くつろいでくださいね。」
心愛が用意した座布団に秀人が座ると、心愛は冷蔵庫に入っていたウーロン茶を差し出す。 
「ありがとうございます。あの……今からする話ですが、心の準備をして貰えますか?」 
心愛は胸が張り裂けそうな思いだった。秀人の学校や家庭での状況はよく知っている。
「え? 何だろうな。でも、いつでも相談して欲しいと言ったのは私です。心の準備なんていりませんよ。秀人君は状況が状況なのでとても心配です。」 
秀人は腰の前に手を当てるが、心愛には何も見えない。
「これを見て下さい。この透明な亀裂が異空間にアイテムを保存するアイテムボックスと言う物です。」
心愛はその言葉の響きに胸がときめいた。だが、空想の時間は一瞬で現実に戻って来る。
「まさか。からかって――」
「――そしてこれが、中に入っていた金とダイヤモンドです。僕は剣と魔法のファンタジー世界に繋がる扉を持っています。異世界から金とダイヤモンドを持って来ました。」 
立ったまま聞いていた心愛は、ひっくり返った。何もないはずの空間から、秀人は金とダイヤモンドを取り出したのだ。心愛の頭に一気にファンタジーの世界が広がる。
心愛はしばらく呆然としていたが、やっと起き上がると、もう一度だけ驚いた。
「そっ……そんなー!」 
夢にまで見た異世界を現実のものとして秀人から聞かされた。空間の裂け目からものを取り出した事はその証拠になる。
心愛は秀人に近づくとアイテムボックスの中に手を入れようとする。しかし、いくらその場所を探しても心愛には触れられない。通り抜けて秀人の股間の辺りをまさぐっていた。
「ちょっ! 心愛先生っ! いやよ。やめて。ひどいですっ。」
「ねえ、心愛ちゃん。講義が終わったらデートにでも行かない?」
「……。」
だが、心愛はそれを無視する。
「いい加減にしろ。せっかく誘ってやったのに無視するなよな。」
学生の仲間達が遠くから二人に近寄って来る。
「失敗したのか? ならお前も、もう良いよな。おい鬼龍院、講義が終わったら俺達にちょっと付き合えよ。大切な話があるんだ。」
美人だが内向的で大学とアルバイトのどちらにも友達がいない事は調べがついている。何かをしても相談する相手もいない環境で、振られ続けた者達が腹いせに何かをしようとしているのだ。
「ひょっとして乱暴しようとしてますか? こういうのが嫌だから、誰とも話さないんです。人間は簡単に信用できない。……私にはGPSが付いています。予定と違う行動をしたら、即座に警察が動きますよ。」
心愛は、講義室を出る。心愛の言葉に騙され、学生達は心愛を追いかける事はなかった。
これで心愛の午前中の予定が空になった。心愛は適当に街をぶらついた後で家に戻る。
鬼龍院心愛は、21才の大学生だった。教師になる事を夢見て大学に入ったは良いが、教育実習に失敗した。自分の中にある正義を貫き、既存の権力に逆らった。生徒の為に戦ったのだから、その事に後悔はない。
ただ、卒業を間近に目指していた教師とは別の就職活動をしなければならない。夢を失った事は心愛を怠惰にさせた。
こんなはずじゃなかった。
そして、一番悔やまれるのは、それでも生徒をちゃんと助けられなかった事だ。その事が理由でどこか無気力になっていた。
心愛はベッドに横になりながら、タブレットでネットを検索する。就職情報を探そうとしていたのに、いつの間にかアニメの獣人を検索していた。
「かわいいっ。やっぱり二次元は癒される。」
『ピンポーン』
玄関のチャイムが鳴った。
今日は大学の講義をさぼってアパートにいる。来客も配達の予定もない。――何かの勧誘だろうか。――
心愛が居留守をしようと思った時に玄関から声が聞こえて来た。
「心愛先生。いませんかっ!? ……俺ですっ。鬼宮です!!」
心愛は、秀人の声を聞くと急いで玄関の扉を開けた。
「秀人君久しぶりだね。ん? ……コスプレですか?」
それは心愛が救えなかった生徒だった。何かあったら家に来るように心愛はアパートの場所を教えていた。だが、それ以前に電話をするはずなので、訪ねて来た理由が心配になる。
「ごめんなさい。先生にしか頼れなくて、来てしまいました。」
心愛はその言葉に笑顔を作る。たった二週間だけだけど、心愛にとっては可愛い教え子だ。不安にさせてはいけないと考える。
「とりあえず中に入って下さいな。」 
心愛は秀人を部屋に案内する。
心愛は秀人に何かあったらすぐに来るように何度も言っていた。こうして秀人が訪れた事は、何かがあったのだと心構えをした。なるべく優しく、黙って悩みを聞いてあげよう。心愛はそう思った。
「飲み物は何が良いですか? ウーロン茶と紅茶とコーヒーがあるけど。」
「……すみません。ウーロン茶を。」
「はい。畏まらなくていいのよ。くつろいでくださいね。」
心愛が用意した座布団に秀人が座ると、心愛は冷蔵庫に入っていたウーロン茶を差し出す。 
「ありがとうございます。あの……今からする話ですが、心の準備をして貰えますか?」 
心愛は胸が張り裂けそうな思いだった。秀人の学校や家庭での状況はよく知っている。
「え? 何だろうな。でも、いつでも相談して欲しいと言ったのは私です。心の準備なんていりませんよ。秀人君は状況が状況なのでとても心配です。」 
秀人は腰の前に手を当てるが、心愛には何も見えない。
「これを見て下さい。この透明な亀裂が異空間にアイテムを保存するアイテムボックスと言う物です。」
心愛はその言葉の響きに胸がときめいた。だが、空想の時間は一瞬で現実に戻って来る。
「まさか。からかって――」
「――そしてこれが、中に入っていた金とダイヤモンドです。僕は剣と魔法のファンタジー世界に繋がる扉を持っています。異世界から金とダイヤモンドを持って来ました。」 
立ったまま聞いていた心愛は、ひっくり返った。何もないはずの空間から、秀人は金とダイヤモンドを取り出したのだ。心愛の頭に一気にファンタジーの世界が広がる。
心愛はしばらく呆然としていたが、やっと起き上がると、もう一度だけ驚いた。
「そっ……そんなー!」 
夢にまで見た異世界を現実のものとして秀人から聞かされた。空間の裂け目からものを取り出した事はその証拠になる。
心愛は秀人に近づくとアイテムボックスの中に手を入れようとする。しかし、いくらその場所を探しても心愛には触れられない。通り抜けて秀人の股間の辺りをまさぐっていた。
「ちょっ! 心愛先生っ! いやよ。やめて。ひどいですっ。」
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