42歳 主婦 旦那様に片思い中【佳作受賞作品】

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デート⑩

「ああ。そうだった。でも、覚えてる?」

純ちゃんが、意味ありげに私を見つめる。

「うん」

忘れるわけがない。

観覧車が頂点に差し掛かった時、純ちゃんは、私の横髪をそっと耳にかけ、そのまま手をうなじに滑らせて、そっと唇を重ねた。


そう。
ここは、私たちが初めてキスを交わした場所。


「咲笑、愛してる」

純ちゃんに囁かれて、私は思わず、抱きついた。

「私も」


一周15分は、私たちには短すぎて、もう一周したい気分だった。


だけど、そんな事、できるわけもなく……

諦めて観覧車を降りる。


私たちは、観覧車を後にすると、純ちゃんに連れられて、コンサートホールにやってきた。


「パーカッション?」

14時からのコンサート。

入り口の電光掲示板には、今日の予定はパーカッションのコンサートだと表示されている。

前に来た時は、オーケストラのコンサートだった。

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