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馴れ初め⑥

すると、その週末は会えないと言ってたはずの喜多見さんから、返信が届いた。

『土曜、休日出勤なんですが、夜だけでも会えませんか?』

掛かった!!
私は魚を釣り上げる漁師さんの気分だった。
あとは、慌てず、リールを巻くだけ。

当時、私は、純朴な彼よりも、年下の私の方が恋愛経験値は上だと思っていた。

何年も彼女がいなさそうな彼。

常にほぼ途切れることなく、彼がいる私。

多分、過去の恋人の数は、私の方が多い。



それでも、週末、彼は、朴訥ぼくとつとした話し方でたどたどしく告白をしてくれた。

私はにっこり微笑んで、それを受けた。



その後は、早かった。


4ヶ月後、仕事の愚痴を零す私に彼は、

「仕事、辞める?」

と聞いてきた。思わず、

「は?   辞めたいけど、無理でしょ?」

と言うと、

「辞めていいよ。結婚しない?」

と彼は言った。

だから、私は、彼との結婚を決めて、寿退社をした。

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