入学式-1

都内郊外にある私立高校。
ここ、私立大南だいなん学院高校。

俺が生徒会室である書類を見ていると、目の前の男が話しかけてきた。

「結城ゆうきお前何ニヤついてんだよ？」

そんなにあきれ気味に言わなくても……。
勇だってあの書類見たんだからわかるでしょ？

「いや、だってうれしくてさぁー」

俺は、この学園の生徒会長の結城春斗ゆうきはると。
俺に話しかけてきたのは、葉山勇はやまいさみ。
勇はこの学園の副会長。

「でも何で彼女お前の前から姿消したんだろうな？」

そう。
それがわからないんだよね。
俺と彼女は、その、、、。
いわゆる、恋人って関係だった。
けれど、１枚の手紙を残して消えた。

心当たりは、ただ１つ。

「もしかして。俺って下手だったのかな？」

何がって。
好きな子が目の前にいればやりたくなるじゃない!

「結城？」

あ、ヤバ。
勇が凄い顔で睨んでる。
とりあえず誤魔化さなきゃ。

「いや、何でもない!!とにかく入学式が楽しみだね？」

そして入学式当日。

俺は生徒会室の窓から新入生を見つめていた。

何故かって？
あの子がわかるようにだよ!

俺は入学式を無事を終わらせると、あの子を待ち伏せる。

だって俺は話したいから。
彼女と話したいから。
そして、理由を聞きたい。

あ、来た!
よし……。

「悠奈ゆなちゃん、久しぶりだね!あ、髪染めたんだね？ね、話したいんだ。だから……」
「ごめんなさい。私急いでいるんで……」
「そ、そうだよね。今日入学式だっだもんね！またね」

悠奈ちゃん。
仕方ないか……。

「やーい振られてやんの!」

勇。
いたのか……。
人が悪いなぁ……。

「見てたの？」
「あぁ、お前、彼女のことになれば暴走しちゃうしな」

勇は俺をよく知ってるね。
暴走しないよ。
初日からこれか……。