レジスタンス 〜日本興亡史〜
間話 陰謀
「姫、対PM専門部隊の実用性も証明されたことです。今こそ帝の孫だということを名乗り出て新日本を打ち倒す機会では?」
そう言うと藍染明は義理の娘ということになっている夏目に飲み物を差し出した。
「確かに前の戦いでは運よく勝てましたが、あの二人も朝倉の救援がなければ負けていました。今回は朝倉の機転に助けられました。」
夏目は差し出された飲み物を飲みながら言う。
「ですが、次の戦いがそこまで上手く行くとは思えません。今回のデータをもとに改善できる部分は改善して、それを他部隊にも共有させて、その間に少しでも多くのパワーメイルを確保する。それぐらいやってからじゃないと万全とは言えません。」
「なるほど、流石姫でございます。」
隣を見ると藍染明は頭を下げていた。
「それと、貴方は確かに私を匿い、助けてはくれましたが、10年前のクーデター時、帝居が陥落すると見るやいなや真っ先に新日本に降伏し、帝を差し出したのを私は忘れてはいません。あなたも帝を殺した男、私の仇であることを忘れないでください。」
「はっ承知いたしました。」
夏目はそそくさと自分の部屋へと帰っていった。
夏目が居なくなるのを確認すると藍染明はタバコに火をつけた。
「小娘が、調子に乗りやがって。」
煙を吐き出し落ち着く。
「まぁ予定を早められなかっただけだしな、慌てない慌てない。」
そう言うとタバコの火を消し携帯灰皿に入れ、自分の部屋へと戻っていった。
「はぁ、疲れた。」
部屋に戻るやいなや夏目は即座に自分のベッドにダイブした。
「……早く二人に会いたいな。」
あの一件から色々な事後の処置に追われ、学校に通うことが出来ていなかった。
学校は数日の臨時休校をしており、その間は二人もこちらに顔を出してくれていたのだが、学校が始まると顔を出さなくなった。
ふとベッドの枕元にあった旅行について書かれたパンフレットに目をやる。
「旅行にでも行きたいな……。」
10年前のクーデター以来、一度も遊びに出かけたことがなかった。
柏木が持ってきてくれた漫画や小説、アニメやゲームで色んなことを知ってはいたが、全て2次元の話であった為強い憧れを抱いていた。
しかしそこで思い出す。
様々な作品で多くの少年少女達が青春を謳歌しているイベントがあることを。
「高校といえば修学旅行があるじゃない!」
夏目はベッドを飛び起き、明日学校に行くために、明日やる予定の仕事をすべて終わらせようと動き始めた。
「いや、無理です。」
「どうして!?」
学校に行き、朝のホームルーム等を過ごし、昼休みになったところでまず担任の元へと今すぐ修学旅行に行きたいと伝えていた。
「まず、この学校では2年生が修学旅行に行く決まりとなっています。それに今すぐなんて無理に決まっているでしょう。宿泊研修ならまだしも。」
「宿泊研修?」
2次元で色々と調べてはいたが、そこまでの情報は無かった。
というか眼の前の、遊びに行けるという希望に目がくらみ何も考えていなかった。
久々に顔を合わせたあの二人にもすこし引かれたぐらいだ。
「あ、その宿泊研修?はいつあるんですか?」
「一月後だな。」
なるほど。
「あ、じゃあ宿泊研修なら明日に出来ま……」
「無理だ。」
そう言うと先生はそそくさと職員室へと向かっていった。
だが、あの先生は自分が帝の孫娘だということを知らないのだから仕方がない。
「あ、それなら……。」
「あ、明日ですか?」
「はい!」
ものすごい笑顔で校長相手に明日宿泊研修にしろという。
校長はこちらの事情を知っている。
急に校長に合わせろといったものだから流石に柏木は駄目だといったが、付いてくるならということで校長に合わせてもらった。
「何かと思ったらそんなことですか?」
かなり呆れたような口調で柏木に言われる。
「えーだって10年前から遊びに行かせてもらえてないんだもん。」
「自分の立場を考えたら無理だってわかるでしょう?」
呆れた顔でこちらを見る柏木。
「さ、流石に明日というのは、他の生徒のこともありますし、そうですね、3週間後位なら……。」
「校長!?無理に応じなくてもいいんですよ!?」
「……1週間後は?」
「せめて2週間後でお願いします。」
頭を下げる校長。
身分を隠してこの学校に通わせてもらうことができたのはこの校長のおかげでもある。
そろそろ折れるとしよう。
「分かりました。それで手を打ちましょう。」
「あ、ありがとうこざいます!」
「いや!校長が感謝を言われるべきなんですけど!?」
柏木のツッコミをよそに校長室を去る。
「いやー!2週間後が楽しみだなー!」
つい口に出しながら廊下を歩く。
因みにだがここでのやり取りは職員室の先生にも聞こえていた。
後に夏目は実はとんでもないお嬢様で箱入り娘であること(間違ってはいない)とこの校長が女子高生にも勝てない校長としてレッテルを貼られることになることは誰も知らない。
そう言うと藍染明は義理の娘ということになっている夏目に飲み物を差し出した。
「確かに前の戦いでは運よく勝てましたが、あの二人も朝倉の救援がなければ負けていました。今回は朝倉の機転に助けられました。」
夏目は差し出された飲み物を飲みながら言う。
「ですが、次の戦いがそこまで上手く行くとは思えません。今回のデータをもとに改善できる部分は改善して、それを他部隊にも共有させて、その間に少しでも多くのパワーメイルを確保する。それぐらいやってからじゃないと万全とは言えません。」
「なるほど、流石姫でございます。」
隣を見ると藍染明は頭を下げていた。
「それと、貴方は確かに私を匿い、助けてはくれましたが、10年前のクーデター時、帝居が陥落すると見るやいなや真っ先に新日本に降伏し、帝を差し出したのを私は忘れてはいません。あなたも帝を殺した男、私の仇であることを忘れないでください。」
「はっ承知いたしました。」
夏目はそそくさと自分の部屋へと帰っていった。
夏目が居なくなるのを確認すると藍染明はタバコに火をつけた。
「小娘が、調子に乗りやがって。」
煙を吐き出し落ち着く。
「まぁ予定を早められなかっただけだしな、慌てない慌てない。」
そう言うとタバコの火を消し携帯灰皿に入れ、自分の部屋へと戻っていった。
「はぁ、疲れた。」
部屋に戻るやいなや夏目は即座に自分のベッドにダイブした。
「……早く二人に会いたいな。」
あの一件から色々な事後の処置に追われ、学校に通うことが出来ていなかった。
学校は数日の臨時休校をしており、その間は二人もこちらに顔を出してくれていたのだが、学校が始まると顔を出さなくなった。
ふとベッドの枕元にあった旅行について書かれたパンフレットに目をやる。
「旅行にでも行きたいな……。」
10年前のクーデター以来、一度も遊びに出かけたことがなかった。
柏木が持ってきてくれた漫画や小説、アニメやゲームで色んなことを知ってはいたが、全て2次元の話であった為強い憧れを抱いていた。
しかしそこで思い出す。
様々な作品で多くの少年少女達が青春を謳歌しているイベントがあることを。
「高校といえば修学旅行があるじゃない!」
夏目はベッドを飛び起き、明日学校に行くために、明日やる予定の仕事をすべて終わらせようと動き始めた。
「いや、無理です。」
「どうして!?」
学校に行き、朝のホームルーム等を過ごし、昼休みになったところでまず担任の元へと今すぐ修学旅行に行きたいと伝えていた。
「まず、この学校では2年生が修学旅行に行く決まりとなっています。それに今すぐなんて無理に決まっているでしょう。宿泊研修ならまだしも。」
「宿泊研修?」
2次元で色々と調べてはいたが、そこまでの情報は無かった。
というか眼の前の、遊びに行けるという希望に目がくらみ何も考えていなかった。
久々に顔を合わせたあの二人にもすこし引かれたぐらいだ。
「あ、その宿泊研修?はいつあるんですか?」
「一月後だな。」
なるほど。
「あ、じゃあ宿泊研修なら明日に出来ま……」
「無理だ。」
そう言うと先生はそそくさと職員室へと向かっていった。
だが、あの先生は自分が帝の孫娘だということを知らないのだから仕方がない。
「あ、それなら……。」
「あ、明日ですか?」
「はい!」
ものすごい笑顔で校長相手に明日宿泊研修にしろという。
校長はこちらの事情を知っている。
急に校長に合わせろといったものだから流石に柏木は駄目だといったが、付いてくるならということで校長に合わせてもらった。
「何かと思ったらそんなことですか?」
かなり呆れたような口調で柏木に言われる。
「えーだって10年前から遊びに行かせてもらえてないんだもん。」
「自分の立場を考えたら無理だってわかるでしょう?」
呆れた顔でこちらを見る柏木。
「さ、流石に明日というのは、他の生徒のこともありますし、そうですね、3週間後位なら……。」
「校長!?無理に応じなくてもいいんですよ!?」
「……1週間後は?」
「せめて2週間後でお願いします。」
頭を下げる校長。
身分を隠してこの学校に通わせてもらうことができたのはこの校長のおかげでもある。
そろそろ折れるとしよう。
「分かりました。それで手を打ちましょう。」
「あ、ありがとうこざいます!」
「いや!校長が感謝を言われるべきなんですけど!?」
柏木のツッコミをよそに校長室を去る。
「いやー!2週間後が楽しみだなー!」
つい口に出しながら廊下を歩く。
因みにだがここでのやり取りは職員室の先生にも聞こえていた。
後に夏目は実はとんでもないお嬢様で箱入り娘であること(間違ってはいない)とこの校長が女子高生にも勝てない校長としてレッテルを貼られることになることは誰も知らない。
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