出張!異世界研究所!〜異世界犯罪解決します〜
調査開始 1
「じゃ、気を付けろよ。立場が立場なだけに直接支援は出来ない。間接的には支援してやるから。」
ルイの元を訪れ、様々な情報を提供してもらった自分達はそのままトマスの実家へ向かうことにした。
あのあと追加でルイから貰った情報は、路地裏などの裏道が事細かく記された地図で、要所要所に事細かくメモがされている。
この部分はならず者が多いから通らない方が良いとか、ここは入り組んでいるので追手を撒くのに使えるとかそういったものだ。
これがあればある程度の荒事はなんとかなりそうだ。
また、彼は中隊長らしく、様々な部下があちこちに潜伏しているらしい。
指示は様々な手段を講じてバレないようにやり取りしているらしい。
「まぁ、実家までは徒歩で行ける距離だ。そこまで時間はかからない。」
「あ、そう言えば、トマス。」
一つ言っておかなければならないことがあった。
先程のルイとのやり取りでだ。
「さっきは俺達を庇うような行動に出てたけどそんな必要は無いぞ。軍属とかは関係無く俺達も頼ってくれ。」
「そうね。弱く見られるのは癪だわ。」
すると、トマスは何処か気まずそうにする。
「あーいや、そういうつもりじゃなかったんだがな。何というか癖みたいなもんだ。」
「癖?」
トマスは頷き、肯定を示す。
「ああ、昔から何かあったら皆の前に出て、俺が代わりに引き受けちまうんだよな。面倒事も率先してやるし。」
なるほど、先程のもそういう事だったのか。
だが、ならば尚更駄目だな。
「じゃあ、これからは何事も一歩下がってくれ。」
「え?」
困惑している。
そんなことを言われたのは初めてなのだろう。
「だが、それじゃあ俺がいる意味が……。」
「いいから!手を出さない事を覚えなさい!」
シャルの勢いに気圧されている。
まぁ、それもそうだろう。
お嬢さんと馬鹿にしていたシャルにここまでグイグイと来られては気圧されもする。
「……分かった。善処しよう。」
「分かれば良し!」
トマスが納得したので、シャルも落ち着いた。
まぁ、これでシャルも活躍する場が出来る。
それが嬉しいのだろう。
「ま、取り敢えず行こうか。」
「ああ。道案内くらいはさせてくれよ?」
前に出るなと言われた事を気にしているのか。
まぁ、それはそもそも彼の仕事だからな。
そもそも彼の実家は知らない。
「あぁ、勿論だ。」
すると、明らかにトマスは嬉しそうにする。
何処かシャルと似ている気がする。
多分、活躍したいとかそういうのでは無いが、誰かの役に立ちたいのだろう。
その気持ちは理解出来る。
それに、上司からサポートをしろと言われたのにこれで良いのかというのもあるのだろう。
まぁ、彼の立場を考えて少しは前に出させても良いかもしれない。
「ここから左に真っ直ぐしばらく行けば着く。道のりは長いけどな。」
「……結構寒い。」
確かに寒い。
大きな通りに出たが風が強い。
先程まで日が当たらない場所にいたので体が冷えたのに加え、海からの風が直接吹き付けてくる。
障害物が無いので確かに寒いな。
「これ、いるか?」
上着を脱ぎ、シャルにいるか聞く。
「……大丈夫。」
少し顔を赤らめている。
風邪でも引いたのだろうか。
「おい、顔が赤いぞ。やっぱりやるよ。」
「い、いらないから!」
頑なに拒否する。
しかし、ここから先、暫く寒いだろう。
無理はしてほしくない。
「ちょっとトマス!なんとかしてよ!」
「……俺は前に出過ぎない。」
トマスもシャルには暖かくしてほしいのだろうか。
まぁ、出来ることならシャルを説得してほしいのだが。
「あんた、後で覚えときなさいよ。」
シャルが怒りに満ちた声で言う。
しかし、これは自分ではなくトマスに向けられたものだ。
「……分かった。でも本当に寒かったら言えよ。いつでも貸してやるから。」
「……う、うん。」
これ以上シャルに無理強いしてはトマスがシャルに殺されるかもしれない。
トマスの戦闘能力は未知数だが、シャルはありえない程力強い。
とばっちりを食らってはトマスが可哀想だ。
シャルへの嫌がらせは程々にと後で教えておこう。
「もっと正直になればいいのに。」
「うるさい!」
シャルとトマスがじゃれ合っている。
というかシャルの拳がトマスの脇腹に命中する。
「ぐはっ!」
クリティカルヒットだ。
どうやら、忠告が遅かったようだ。
少し可哀想だが、身に沁みただろう。
これで、これからの道中、トマスもシャルへのちょっかいは程々にするだろう。
ルイの元を訪れ、様々な情報を提供してもらった自分達はそのままトマスの実家へ向かうことにした。
あのあと追加でルイから貰った情報は、路地裏などの裏道が事細かく記された地図で、要所要所に事細かくメモがされている。
この部分はならず者が多いから通らない方が良いとか、ここは入り組んでいるので追手を撒くのに使えるとかそういったものだ。
これがあればある程度の荒事はなんとかなりそうだ。
また、彼は中隊長らしく、様々な部下があちこちに潜伏しているらしい。
指示は様々な手段を講じてバレないようにやり取りしているらしい。
「まぁ、実家までは徒歩で行ける距離だ。そこまで時間はかからない。」
「あ、そう言えば、トマス。」
一つ言っておかなければならないことがあった。
先程のルイとのやり取りでだ。
「さっきは俺達を庇うような行動に出てたけどそんな必要は無いぞ。軍属とかは関係無く俺達も頼ってくれ。」
「そうね。弱く見られるのは癪だわ。」
すると、トマスは何処か気まずそうにする。
「あーいや、そういうつもりじゃなかったんだがな。何というか癖みたいなもんだ。」
「癖?」
トマスは頷き、肯定を示す。
「ああ、昔から何かあったら皆の前に出て、俺が代わりに引き受けちまうんだよな。面倒事も率先してやるし。」
なるほど、先程のもそういう事だったのか。
だが、ならば尚更駄目だな。
「じゃあ、これからは何事も一歩下がってくれ。」
「え?」
困惑している。
そんなことを言われたのは初めてなのだろう。
「だが、それじゃあ俺がいる意味が……。」
「いいから!手を出さない事を覚えなさい!」
シャルの勢いに気圧されている。
まぁ、それもそうだろう。
お嬢さんと馬鹿にしていたシャルにここまでグイグイと来られては気圧されもする。
「……分かった。善処しよう。」
「分かれば良し!」
トマスが納得したので、シャルも落ち着いた。
まぁ、これでシャルも活躍する場が出来る。
それが嬉しいのだろう。
「ま、取り敢えず行こうか。」
「ああ。道案内くらいはさせてくれよ?」
前に出るなと言われた事を気にしているのか。
まぁ、それはそもそも彼の仕事だからな。
そもそも彼の実家は知らない。
「あぁ、勿論だ。」
すると、明らかにトマスは嬉しそうにする。
何処かシャルと似ている気がする。
多分、活躍したいとかそういうのでは無いが、誰かの役に立ちたいのだろう。
その気持ちは理解出来る。
それに、上司からサポートをしろと言われたのにこれで良いのかというのもあるのだろう。
まぁ、彼の立場を考えて少しは前に出させても良いかもしれない。
「ここから左に真っ直ぐしばらく行けば着く。道のりは長いけどな。」
「……結構寒い。」
確かに寒い。
大きな通りに出たが風が強い。
先程まで日が当たらない場所にいたので体が冷えたのに加え、海からの風が直接吹き付けてくる。
障害物が無いので確かに寒いな。
「これ、いるか?」
上着を脱ぎ、シャルにいるか聞く。
「……大丈夫。」
少し顔を赤らめている。
風邪でも引いたのだろうか。
「おい、顔が赤いぞ。やっぱりやるよ。」
「い、いらないから!」
頑なに拒否する。
しかし、ここから先、暫く寒いだろう。
無理はしてほしくない。
「ちょっとトマス!なんとかしてよ!」
「……俺は前に出過ぎない。」
トマスもシャルには暖かくしてほしいのだろうか。
まぁ、出来ることならシャルを説得してほしいのだが。
「あんた、後で覚えときなさいよ。」
シャルが怒りに満ちた声で言う。
しかし、これは自分ではなくトマスに向けられたものだ。
「……分かった。でも本当に寒かったら言えよ。いつでも貸してやるから。」
「……う、うん。」
これ以上シャルに無理強いしてはトマスがシャルに殺されるかもしれない。
トマスの戦闘能力は未知数だが、シャルはありえない程力強い。
とばっちりを食らってはトマスが可哀想だ。
シャルへの嫌がらせは程々にと後で教えておこう。
「もっと正直になればいいのに。」
「うるさい!」
シャルとトマスがじゃれ合っている。
というかシャルの拳がトマスの脇腹に命中する。
「ぐはっ!」
クリティカルヒットだ。
どうやら、忠告が遅かったようだ。
少し可哀想だが、身に沁みただろう。
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