出張!異世界研究所!〜異世界犯罪解決します〜
違和感 3
あの後、シャルが付近にいないことを確認し、そそくさと汽車に乗り目的地へと向かった。
もしシャルにバレていたらどうなるだろうか。
……考えたくもないな。
「ここか……。」
シャルに隠れて訪れたのは軍の駐屯地である。
それも首都の駐屯地では無く郊外の駐屯地である。
郊外であることが大事なのだ。
そして、郊外であるからかなりの田舎である。
首都から数時間かけて来たのだ。
「あのーすいませーん。」
「お疲れ様です。」
衛門の兵士が敬礼をしてくれる。
軽く頭を下げ、答える。
「ここの広報の方に少しお聞きしたいんですけど……。」
「失礼ですが、身分を証明できるものはお持ちですか?」
自分は懐から名刺を取り出した。
異世界研究所は一応軍と同じで国の機関である。
知名度はそれなりにあるはずだ。
「異世界研究所の者です。」
「あ、そうでしたか。少々お待ち下さい。」
どうやら通じたようだ。
すると兵士は詰所に合図をする。
少しすると詰所から隊長と思われる男がやって来た。
体つきがよく、かなり鍛えられているのが分かる。
襟元の階級章は、あれは確か曹長だったはずだ。
「お疲れ様です。トマス・シェンダーと申します。ここからは私が案内致します。ではこちらへ。」
だが、その見た目とは裏腹に荒々しい態度ではなく誠実な印象だ。
すると軍の車へと案内される。
かなり装甲が厚い。
簡単には壊れなさそうだ。
「本日はどのようなご要件で?」
「いえ、少し調べ物をしていると軍に聞いてみた方が早いと思えるものがありまして。」
車というものには初めて乗ったが乗り心地は良い。
軍の物だからかもしれないがそれでもかなり良い。
汽車なんかは比べ物にはならない。
「因みにどのような内容かお聞きしても?」
「……すいませんが依頼人のプライバシーもありますので……。」
依頼人も何も無いのだが、警戒はしておく。
「そうですか。あ、着きましたよ。帰りもお送り致しますので私はここでお待ちしております。」
「ありがとうございます。では。」
車を降り、目の前にある建物へと入る。
受付に要件を言うと少し待つように言われ、しばらくすると奥へと案内された。
応接室のようなところへと案内され、案内されるがままに椅子へと座る。
出入り口は1つ。
窓はあるがそこまでは大きく無い。
しばらくすると少し太り気味の広報官の男が入ってきた。
「お久しぶりで……おや、研究所の人だと聞いてクレアさんかと思ったのですが……。」
「ああ、自分はクレアさんの助手です。訳あって自分が来ました。」
広報官の男は向かいの椅子へと座った。
「そうでしたか。私はサーシェル・ウェインと申します。では、ご要件を伺いましょう。」
襟元の階級章は大尉。
中隊長クラスだろうか。
「では、早速。」
懐から鉄の玉を取り出す。
「これをご存知無いですか?」
「……これをどこで?」
先程までの物腰の柔らかな雰囲気が一瞬で消えた。
「異世界関連の事件について調べていたら手に入れることが出来ました。何でも異世界人が持っていたそうで。」
「なるほど……。なぜこちらに?」
その疑問はご尤もだ。
「銃。というものをご存知ですか?」
「っ!」
明らかに動揺している。
「……申し訳ありません。少々急用を思い出しました。この話はまたいずれ。」
すると袋に入った新品のハンカチをテーブルに置き、耳打ちをしてくる。
「この話を私以外にされましたか?」
「……いえ。」
慎重に言葉を選ぶ。
もしかすると命はないかもしれないからだ。
「では、今後誰にも話さないことです。命の保証は出来ません。」
すると、サーシェルは扉を開け出ていこうとする。
「そのハンカチは餞別です。お土産にどうぞ。立派な柄ですのでよく見てみてください。」
「……分かりました。」
ハンカチを懐にしまい、席を立つ。
「では、失礼します。」
「はい。お気をつけて。」
見送られながらトマスの車へと乗り込む。
「何か収穫は得られましたか?」
「ええ。ものすごい収穫でしたね。」
どうやら適当に訪れた駐屯地で大当たりを引いたようだった。
さて、これから先は慎重に行動するとしよう。
その後、衛門から外に出て、人の気配があまりしない所で先程貰ったハンカチを見てみる。
すると、ハンカチの入っている袋の中に1枚のメモが入っていた。
「明日の2030に開拓記念公園に、か。」
「へー、そうなんだ。」
聞き覚えのある声が聞こえる。
恐る恐る顔を上げる。
すると今一番見たくない顔があった。
自分はメモをしまう。
「……さて、飯にするか。」
こういうのはスルーするのに限る。
何も見ていないフリをしてその場を去ろうとする。
「待てやコラ。」
首根っこを捕まれてしまう。
「あ、シャルさん。お疲れ様です。」
「あ、うん。お疲れー。じゃ、無いだろ!」
「ぐふっ!」
鳩尾にキツイ一発もらう。
ヤバイ。
この子を怒らせると命の危険があるかもしれない。
かなりブチギレてるし。
「はぁ。ま、これくらいで許して上げるわ。」
「あ、ありがとうございます……。」
これからいたずらは程々にしよう。
そう心に決めたのであった。
もしシャルにバレていたらどうなるだろうか。
……考えたくもないな。
「ここか……。」
シャルに隠れて訪れたのは軍の駐屯地である。
それも首都の駐屯地では無く郊外の駐屯地である。
郊外であることが大事なのだ。
そして、郊外であるからかなりの田舎である。
首都から数時間かけて来たのだ。
「あのーすいませーん。」
「お疲れ様です。」
衛門の兵士が敬礼をしてくれる。
軽く頭を下げ、答える。
「ここの広報の方に少しお聞きしたいんですけど……。」
「失礼ですが、身分を証明できるものはお持ちですか?」
自分は懐から名刺を取り出した。
異世界研究所は一応軍と同じで国の機関である。
知名度はそれなりにあるはずだ。
「異世界研究所の者です。」
「あ、そうでしたか。少々お待ち下さい。」
どうやら通じたようだ。
すると兵士は詰所に合図をする。
少しすると詰所から隊長と思われる男がやって来た。
体つきがよく、かなり鍛えられているのが分かる。
襟元の階級章は、あれは確か曹長だったはずだ。
「お疲れ様です。トマス・シェンダーと申します。ここからは私が案内致します。ではこちらへ。」
だが、その見た目とは裏腹に荒々しい態度ではなく誠実な印象だ。
すると軍の車へと案内される。
かなり装甲が厚い。
簡単には壊れなさそうだ。
「本日はどのようなご要件で?」
「いえ、少し調べ物をしていると軍に聞いてみた方が早いと思えるものがありまして。」
車というものには初めて乗ったが乗り心地は良い。
軍の物だからかもしれないがそれでもかなり良い。
汽車なんかは比べ物にはならない。
「因みにどのような内容かお聞きしても?」
「……すいませんが依頼人のプライバシーもありますので……。」
依頼人も何も無いのだが、警戒はしておく。
「そうですか。あ、着きましたよ。帰りもお送り致しますので私はここでお待ちしております。」
「ありがとうございます。では。」
車を降り、目の前にある建物へと入る。
受付に要件を言うと少し待つように言われ、しばらくすると奥へと案内された。
応接室のようなところへと案内され、案内されるがままに椅子へと座る。
出入り口は1つ。
窓はあるがそこまでは大きく無い。
しばらくすると少し太り気味の広報官の男が入ってきた。
「お久しぶりで……おや、研究所の人だと聞いてクレアさんかと思ったのですが……。」
「ああ、自分はクレアさんの助手です。訳あって自分が来ました。」
広報官の男は向かいの椅子へと座った。
「そうでしたか。私はサーシェル・ウェインと申します。では、ご要件を伺いましょう。」
襟元の階級章は大尉。
中隊長クラスだろうか。
「では、早速。」
懐から鉄の玉を取り出す。
「これをご存知無いですか?」
「……これをどこで?」
先程までの物腰の柔らかな雰囲気が一瞬で消えた。
「異世界関連の事件について調べていたら手に入れることが出来ました。何でも異世界人が持っていたそうで。」
「なるほど……。なぜこちらに?」
その疑問はご尤もだ。
「銃。というものをご存知ですか?」
「っ!」
明らかに動揺している。
「……申し訳ありません。少々急用を思い出しました。この話はまたいずれ。」
すると袋に入った新品のハンカチをテーブルに置き、耳打ちをしてくる。
「この話を私以外にされましたか?」
「……いえ。」
慎重に言葉を選ぶ。
もしかすると命はないかもしれないからだ。
「では、今後誰にも話さないことです。命の保証は出来ません。」
すると、サーシェルは扉を開け出ていこうとする。
「そのハンカチは餞別です。お土産にどうぞ。立派な柄ですのでよく見てみてください。」
「……分かりました。」
ハンカチを懐にしまい、席を立つ。
「では、失礼します。」
「はい。お気をつけて。」
見送られながらトマスの車へと乗り込む。
「何か収穫は得られましたか?」
「ええ。ものすごい収穫でしたね。」
どうやら適当に訪れた駐屯地で大当たりを引いたようだった。
さて、これから先は慎重に行動するとしよう。
その後、衛門から外に出て、人の気配があまりしない所で先程貰ったハンカチを見てみる。
すると、ハンカチの入っている袋の中に1枚のメモが入っていた。
「明日の2030に開拓記念公園に、か。」
「へー、そうなんだ。」
聞き覚えのある声が聞こえる。
恐る恐る顔を上げる。
すると今一番見たくない顔があった。
自分はメモをしまう。
「……さて、飯にするか。」
こういうのはスルーするのに限る。
何も見ていないフリをしてその場を去ろうとする。
「待てやコラ。」
首根っこを捕まれてしまう。
「あ、シャルさん。お疲れ様です。」
「あ、うん。お疲れー。じゃ、無いだろ!」
「ぐふっ!」
鳩尾にキツイ一発もらう。
ヤバイ。
この子を怒らせると命の危険があるかもしれない。
かなりブチギレてるし。
「はぁ。ま、これくらいで許して上げるわ。」
「あ、ありがとうございます……。」
これからいたずらは程々にしよう。
そう心に決めたのであった。
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