王国再興物語〜無理ゲーオタクの異世界太平記〜
人ならざる者
「で、この子どうするの?」
俺達は今、海岸で保護した耳の長い少女を家まで運んで来た。
取り敢えず空いているベッドに寝かせたが、来ている服と言い、顔つきといい、この大陸では見たことが無い。
見た目からの年齢は俺と然程離れているようには見えないが、神話ではエルフは長寿だと聞く。
もしかするとかなりの高齢なのかもしれない。
「まぁ、目を覚ますまで保護するしかないでしょ。」
「そうね。そうするしか無いか……。」
そこで、あることを思い出した。
「あ、レオ姉さん。」
「……あ。忘れてた。」
今頃、怒り心頭だろう。
いや、健気に待っているかも知れない。
レオ姉さんは脳筋だからな。
「そういえばお父さんから手紙が来てたわよ。」
「手紙?」
クルシェ姉さんから手紙を受け取る。
手紙を開き、中身を読む。
内容は、俺達兄妹にとある重要な物を運んでほしいという内容だった。
姉3人は既にA級の冒険者として活躍している。
俺はまだ冒険者登録すらしていないのだが。
正直、面倒な事はしたくはないのだが、S級冒険者の父が俺達に依頼を出すという事はそれだけの事態なのだろう。
ここは田舎だ。
この大陸の情勢なんかは大概遅れて来る。
そのせいで俺達は最近の情勢には疎いのだが。
大陸では新たないくさが始まろうとしているらしい。
それに関連するのだろうか。
「で、受けるの?」
「え?俺に聞くの?」
まだ冒険者登録していないのに、俺に決めさせるのか。
いや、クルシェ姉さんは俺がどういう決断をするのかは理解しているのだろう。
「俺、まだ冒険者じゃないけど父さんを助けたい。父さんが俺達を頼るなんて初めてだし、姉さん達も拾ってくれた恩を返したいから勿論受けるつもりでしょ?」
「ふふ。勿論。他の子達がどうするかはまだ聞いてないけど、想いは同じはずよ。」
これまで父さんのような冒険者になるために鍛錬は欠かさなかった。
まぁ、レオ姉さんの訓練はキツ過ぎて逃げたんだけど。
「じゃあ、首都で動いてるあの子の所へ皆で行きましょう。」
あの子、というのは真ん中の姉のロゼ姉さんの事だ。
ロゼ姉さんは今は一人で別の依頼を解決している最中だ。
首都というのは俺達の住んでいる国、ワン公国の首都である。
父さんの住んでいた場所は元々は別だったらしいのだが、何故かここに引っ越してきたらしい。
父さんも大体は仕事で家を離れているのでそのあたりの事を詳しく聞いた事は無い。
「あ、でもこの子は?」
「……そうね。どうしましょう。」
クルシェ姉さんは頭が良いのか悪いのか。
所々抜けているところがある。
てっきり考えていたのかと思ったが。
「……ん。」
悩んでいるとエルフと思しき少女が目を覚ます。
「……ここは。」
「あ、大丈夫?」
エルフと思しき少女はかなり困惑しているようだ。
「取り敢えず、名前とか出身とか分かる?どうしてあんな所にいたの?」
「……ない。」
言葉は通じているようだ。
しかし、最初の方は声が小さくて聞き取れなかった。
「……分からない。」
「じゃあ、名前は?」
クルシェ姉さんが優しく聞き返す。
しかし、帰ってきた言葉は同じだった。
「……分からない。」
「え?」
これにはクルシェ姉さんも困惑の表情をあらわにする。
「何も思い出せないの……。」
「姉さん。これは……。」
クルシェ姉さんも理解したのか、頷く。
「ええ、記憶喪失、ね。」
記憶を失っているのでは仕方が無い。
ならば、する事は一つだ。
「姉さん。あのさ。」
「そうね。記憶を取り戻すまで面倒見ましょう。」
流石はクルシェ姉さんだ。
こちらの考えていることはお見通しのようだ。
向こうの意志は聞いていないが、断られはしないだろう。
父さんからの依頼、そしてエルフの少女の記憶を取り戻す2つの目的が生まれた。
これから、忙しくなりそうだ。
俺達は今、海岸で保護した耳の長い少女を家まで運んで来た。
取り敢えず空いているベッドに寝かせたが、来ている服と言い、顔つきといい、この大陸では見たことが無い。
見た目からの年齢は俺と然程離れているようには見えないが、神話ではエルフは長寿だと聞く。
もしかするとかなりの高齢なのかもしれない。
「まぁ、目を覚ますまで保護するしかないでしょ。」
「そうね。そうするしか無いか……。」
そこで、あることを思い出した。
「あ、レオ姉さん。」
「……あ。忘れてた。」
今頃、怒り心頭だろう。
いや、健気に待っているかも知れない。
レオ姉さんは脳筋だからな。
「そういえばお父さんから手紙が来てたわよ。」
「手紙?」
クルシェ姉さんから手紙を受け取る。
手紙を開き、中身を読む。
内容は、俺達兄妹にとある重要な物を運んでほしいという内容だった。
姉3人は既にA級の冒険者として活躍している。
俺はまだ冒険者登録すらしていないのだが。
正直、面倒な事はしたくはないのだが、S級冒険者の父が俺達に依頼を出すという事はそれだけの事態なのだろう。
ここは田舎だ。
この大陸の情勢なんかは大概遅れて来る。
そのせいで俺達は最近の情勢には疎いのだが。
大陸では新たないくさが始まろうとしているらしい。
それに関連するのだろうか。
「で、受けるの?」
「え?俺に聞くの?」
まだ冒険者登録していないのに、俺に決めさせるのか。
いや、クルシェ姉さんは俺がどういう決断をするのかは理解しているのだろう。
「俺、まだ冒険者じゃないけど父さんを助けたい。父さんが俺達を頼るなんて初めてだし、姉さん達も拾ってくれた恩を返したいから勿論受けるつもりでしょ?」
「ふふ。勿論。他の子達がどうするかはまだ聞いてないけど、想いは同じはずよ。」
これまで父さんのような冒険者になるために鍛錬は欠かさなかった。
まぁ、レオ姉さんの訓練はキツ過ぎて逃げたんだけど。
「じゃあ、首都で動いてるあの子の所へ皆で行きましょう。」
あの子、というのは真ん中の姉のロゼ姉さんの事だ。
ロゼ姉さんは今は一人で別の依頼を解決している最中だ。
首都というのは俺達の住んでいる国、ワン公国の首都である。
父さんの住んでいた場所は元々は別だったらしいのだが、何故かここに引っ越してきたらしい。
父さんも大体は仕事で家を離れているのでそのあたりの事を詳しく聞いた事は無い。
「あ、でもこの子は?」
「……そうね。どうしましょう。」
クルシェ姉さんは頭が良いのか悪いのか。
所々抜けているところがある。
てっきり考えていたのかと思ったが。
「……ん。」
悩んでいるとエルフと思しき少女が目を覚ます。
「……ここは。」
「あ、大丈夫?」
エルフと思しき少女はかなり困惑しているようだ。
「取り敢えず、名前とか出身とか分かる?どうしてあんな所にいたの?」
「……ない。」
言葉は通じているようだ。
しかし、最初の方は声が小さくて聞き取れなかった。
「……分からない。」
「じゃあ、名前は?」
クルシェ姉さんが優しく聞き返す。
しかし、帰ってきた言葉は同じだった。
「……分からない。」
「え?」
これにはクルシェ姉さんも困惑の表情をあらわにする。
「何も思い出せないの……。」
「姉さん。これは……。」
クルシェ姉さんも理解したのか、頷く。
「ええ、記憶喪失、ね。」
記憶を失っているのでは仕方が無い。
ならば、する事は一つだ。
「姉さん。あのさ。」
「そうね。記憶を取り戻すまで面倒見ましょう。」
流石はクルシェ姉さんだ。
こちらの考えていることはお見通しのようだ。
向こうの意志は聞いていないが、断られはしないだろう。
父さんからの依頼、そしてエルフの少女の記憶を取り戻す2つの目的が生まれた。
これから、忙しくなりそうだ。
コメント