王国再興物語〜無理ゲーオタクの異世界太平記〜
決戦前夜
その後集結した俺達はすぐさま宝物庫を包囲した。
前回侵入に使った経路も含めて逃げ場を無くし、勝利を確実にするためだ。
そして、落ち着いたところで一度皆を集めて情報を交換することとした。
アイフィス平原にて行われた決戦で敗北した敵軍はほとんどが投降したらしい。
だが、一部の兵は帝都へと退却する際にそのまま宝物庫へと入っていったとのことだ。
アイフィス決戦でルーゼンは投降し、マトウも投降する予定だったのだが、こちらには来ていないらしい。
心変わりしたか、敵に捕らえられたかのどちらかだろうとルーゼンは言っていた。
ローゼンとはまだしっかりと話していないらしかったので兄弟2人の時間を後で作ってやることにしよう。
仲間達にはルーゼンをどうするか問い詰められたが、俺はルーゼンを許そうと思っている。
勿論多くの者は良い顔をしなかったが、これは俺の我儘だ。
これ以上誰かの家族が死ぬのを見たくは無いとしっかりと理由を説明すると皆納得してくれた。
それと同じ理由でセイルズの首も取らないことにした。
セインは最初はいい顔をしていなかったが、納得してくれた様子だ。
まぁ、厳重に縛り上げて拘束はしておくが。
そして、ルーゼンとセイルズの処遇だが、最も損耗していた神聖帝国軍に一時的に預けることとなった。
フレク叔父上が責任をもって監視しておくとのことだ。
なので、最後の攻城戦には参加しないことになった。
まあ、戦力としては充分に足りているし、なんとかなるだろう。
アーロン兄上も神聖帝国軍程では無いがエルドニア軍の損耗も激しいから何処か部隊と混合させてほしいと言ってきた。
なので、俺達の軍と合流させることとした。
必然的に俺達が主力ということになった。
そして、話が纏まり一度解散し各部隊を作戦通り展開して攻城戦は明日から行うということで話がついた。
主要なメンバーは主力として城内に突入するので、各部隊の指揮官を除き、俺達と共に主力に組み込まれた。
城門は1つだけなので、北側はジゼルが、東側はヤンが、西側はアーロン兄上が担当することとなった。
エルドニア軍は部隊のみ、こちらと合流させアーロン兄上は別部隊の指揮をとることで話が決まった。
本来ならヤンではなくてジゲンが指揮をとる予定だったのだがジゲン本人の希望でジゲンはこちらに組み込まれた。
つまり、ここにはセイン、セラ、イリスさん、ゼイル殿、ローゼン、ジゲン、レインの8人が揃っている。
それに、エルドニア王国を脱出したときからの手勢や盗賊ギルドの面々、神刀派の手練れ等、腕っぷしを主力にした。
これほどの戦力ならば城内でも負けることは無いだろう。
そして、俺はセラに話を聞きに行った。
「セラ。ちょっといいか?」
「アルフレッド様。勿論大丈夫です。」
セラはセインやイリスと共に焚き火を囲みながら談笑を楽しんでいた。
セイン達に少しセラを借りると目で合図を送り、2人きりになれる所に連れ出した。
「それで、どうしたの?こんなところで。」
「いや、まだどうしてセラが戦線復帰しているのか聞いてなくてな。」
セラは少し不思議そうな顔をする。
が、すぐに何かに気付いたのかニヤニヤしている。
「でも、こんな人気の無い所に呼び出す理由は?」
恐らく気付いているのだろうが、からかっているのだろう。
「……ちょっとセラと2人きりで居たかっただけだ。」
「ふふ、素直でよろしい。」
少し楽しそうだ。
まぁ、しばらくあえていなかったので気持ちは分かる。
こういった感じで話すことが出来るのも人気が無いところだけなので、少し気を使わなければならないのが辛いが。
「レノン王が傷が治るのが早くなる秘薬をくれてね。それで、こっちに渡航している間になおったの。」
「そうか。じゃあ無理してたわけでは無いんだな。」
少し安心した。
俺のために無茶をして辛い思いをするのはやめてほしいからだ。
「ふふ、心配してくれてありがとう。」
「いや、そんなことは……。」
少し照れ臭く感じてしまった。
「あれ?2人とも何してるの?」
突然の声に驚いてしまう。
先ほどまでの会話を聞かれていたら色々と面倒なことになってしまう。
「レイン!?何でここに!?」
「……2人きりで何してたの?」
声の主はレインだった。
取り敢えず安心した。
「えぇ、まあ色々と。」
セラが少し話をややこしくしようとしているように感じるんだが、気のせいだと言ってほしい。
まぁ、レインは俺達の関係を知っているので特に問題は無いだろう。
肝心のレインはと言うとマイン剣を大事そうに抱えていた。
「そういうレインはどうしてこんなところに?」
「……マインをね、出来るだけ静かな所に埋めてあげたかったの。遺品しかないけど、何も無いよりかはましかなって。」
レインは少し泣いているようだった。
「まぁ、本国に帰ったらしっかりとしたお墓をつくってあげるけどそれまでほったらかしにするのも可哀想てしょ?」
「……そうだな、俺も手伝っていいか?いや、手伝わせてほしい。」
「私も良いですか?」
セラも協力を申し出てくれた。
レインからすればマインは姉のような存在だったのだろう。
それに、俺もマインは昔から知っている。
少し位は手伝いたい。
少し時間をかけて立派とは言えないが墓が完成した。
形見の剣を埋めただけだが、供養は出来るだろう。
「ここからなら宝物庫がよく見える。最後の戦いもマインがしっかりと見守ってくれているさ。」
「ええ。そうね。頑張らないと。」
墓に手を合わせる。
(必ず無事に終わらせて見せる。だから見ていてくれ。)
「さて、お邪魔したみたいで悪かったわね。私は退散するわ。」
「いえ、全然お邪魔ではありませんよ。少しゆっくりしていったらどうですか?」
確かにここで少しセラとゆっくり話していくつもりだったしちょうど良い。
「そうだな、ゆっくりしていくといいさ。別に大したことは話していなかったし。」
まぁ、確かに2人きりで甘い時間を過ごしたいなんて思ったりしなかった訳では無いが、レインと共にいる時間も良いだろう。
「……いえ、せっかくだけど遠慮するわ。しばらくアルを一人占めしてた訳だし、今日くらいはあなたに譲ってあげる。」
「……では、ありがたく。」
なんか、俺が物みたいに扱われている気がするが、彼女達が喜ぶのならそれも甘んじて受け入れよう。
レインはそのまま立ち去っていった。
「あ、そういえばこちらにわたってくるときにイルカがいたの!」
「へぇ、良いな。俺の時は海戦の後だったからか何にもいなかったからな。」
その後、セラとしばらくの間2人きりの時間を満喫したのだった。
「ふふ、こんなことでアルの一番は変わらないわ。」
確かに出来ればアルと話していたかったが、セラも可哀想だと感じるし、これくらいは良いだろう。
そう思いながらあの場を後にしようとしていると道端から気配を感じた。
腰の剣に手をかけ警戒する。
「……誰?」
あの二人の時間を邪魔したくは無い。
出来るだけ静かに聞く。
するとガサガサと草木を揺らしながら人が出てきた。
「あ、貴方達!何してるの!?」
茂みから出てきたのはセインとイリスだった。
「静かに!若に聞こえてしまいます!」
「今いい所なんですから!」
どうやらあの二人の後を追って様子を見ていたようだ。
この二人はアルやセラがくっつくことを望んでいるそうなので、気持ちはわからなくは無い。
剣から手を離し、話を聞く。
「……何でこんなことを?」
「いや、それは執事として若の将来の相手の見定めを……。」
目が泳いでいる。
恐らく単に気になっただけだろう。
「なら、私のこともそうやって覗いてたんだ?」
「すいません!ただの野次馬です!」
土下座をしている。
まぁ、ここまで潔いなら許すとしよう。
「で、貴女は?」
「私は親友の恋路を見守るためです!」
曇りの無い瞳をしている。
ただ純粋に応援しているのだろう。
まあ、セラの親友だという話だし、許すとしよう。
「まあ、良いわ。アルにへは言わないでおいてあげる。その代わり……。」
2人は安心した様子を見せたが、何を要求されるのか不安そうな顔もしている。
「私も混ぜなさい!」
その後、アルフレッドやレイン達一行が見当たらないと大騒ぎしていたことを知ることになる。
前回侵入に使った経路も含めて逃げ場を無くし、勝利を確実にするためだ。
そして、落ち着いたところで一度皆を集めて情報を交換することとした。
アイフィス平原にて行われた決戦で敗北した敵軍はほとんどが投降したらしい。
だが、一部の兵は帝都へと退却する際にそのまま宝物庫へと入っていったとのことだ。
アイフィス決戦でルーゼンは投降し、マトウも投降する予定だったのだが、こちらには来ていないらしい。
心変わりしたか、敵に捕らえられたかのどちらかだろうとルーゼンは言っていた。
ローゼンとはまだしっかりと話していないらしかったので兄弟2人の時間を後で作ってやることにしよう。
仲間達にはルーゼンをどうするか問い詰められたが、俺はルーゼンを許そうと思っている。
勿論多くの者は良い顔をしなかったが、これは俺の我儘だ。
これ以上誰かの家族が死ぬのを見たくは無いとしっかりと理由を説明すると皆納得してくれた。
それと同じ理由でセイルズの首も取らないことにした。
セインは最初はいい顔をしていなかったが、納得してくれた様子だ。
まぁ、厳重に縛り上げて拘束はしておくが。
そして、ルーゼンとセイルズの処遇だが、最も損耗していた神聖帝国軍に一時的に預けることとなった。
フレク叔父上が責任をもって監視しておくとのことだ。
なので、最後の攻城戦には参加しないことになった。
まあ、戦力としては充分に足りているし、なんとかなるだろう。
アーロン兄上も神聖帝国軍程では無いがエルドニア軍の損耗も激しいから何処か部隊と混合させてほしいと言ってきた。
なので、俺達の軍と合流させることとした。
必然的に俺達が主力ということになった。
そして、話が纏まり一度解散し各部隊を作戦通り展開して攻城戦は明日から行うということで話がついた。
主要なメンバーは主力として城内に突入するので、各部隊の指揮官を除き、俺達と共に主力に組み込まれた。
城門は1つだけなので、北側はジゼルが、東側はヤンが、西側はアーロン兄上が担当することとなった。
エルドニア軍は部隊のみ、こちらと合流させアーロン兄上は別部隊の指揮をとることで話が決まった。
本来ならヤンではなくてジゲンが指揮をとる予定だったのだがジゲン本人の希望でジゲンはこちらに組み込まれた。
つまり、ここにはセイン、セラ、イリスさん、ゼイル殿、ローゼン、ジゲン、レインの8人が揃っている。
それに、エルドニア王国を脱出したときからの手勢や盗賊ギルドの面々、神刀派の手練れ等、腕っぷしを主力にした。
これほどの戦力ならば城内でも負けることは無いだろう。
そして、俺はセラに話を聞きに行った。
「セラ。ちょっといいか?」
「アルフレッド様。勿論大丈夫です。」
セラはセインやイリスと共に焚き火を囲みながら談笑を楽しんでいた。
セイン達に少しセラを借りると目で合図を送り、2人きりになれる所に連れ出した。
「それで、どうしたの?こんなところで。」
「いや、まだどうしてセラが戦線復帰しているのか聞いてなくてな。」
セラは少し不思議そうな顔をする。
が、すぐに何かに気付いたのかニヤニヤしている。
「でも、こんな人気の無い所に呼び出す理由は?」
恐らく気付いているのだろうが、からかっているのだろう。
「……ちょっとセラと2人きりで居たかっただけだ。」
「ふふ、素直でよろしい。」
少し楽しそうだ。
まぁ、しばらくあえていなかったので気持ちは分かる。
こういった感じで話すことが出来るのも人気が無いところだけなので、少し気を使わなければならないのが辛いが。
「レノン王が傷が治るのが早くなる秘薬をくれてね。それで、こっちに渡航している間になおったの。」
「そうか。じゃあ無理してたわけでは無いんだな。」
少し安心した。
俺のために無茶をして辛い思いをするのはやめてほしいからだ。
「ふふ、心配してくれてありがとう。」
「いや、そんなことは……。」
少し照れ臭く感じてしまった。
「あれ?2人とも何してるの?」
突然の声に驚いてしまう。
先ほどまでの会話を聞かれていたら色々と面倒なことになってしまう。
「レイン!?何でここに!?」
「……2人きりで何してたの?」
声の主はレインだった。
取り敢えず安心した。
「えぇ、まあ色々と。」
セラが少し話をややこしくしようとしているように感じるんだが、気のせいだと言ってほしい。
まぁ、レインは俺達の関係を知っているので特に問題は無いだろう。
肝心のレインはと言うとマイン剣を大事そうに抱えていた。
「そういうレインはどうしてこんなところに?」
「……マインをね、出来るだけ静かな所に埋めてあげたかったの。遺品しかないけど、何も無いよりかはましかなって。」
レインは少し泣いているようだった。
「まぁ、本国に帰ったらしっかりとしたお墓をつくってあげるけどそれまでほったらかしにするのも可哀想てしょ?」
「……そうだな、俺も手伝っていいか?いや、手伝わせてほしい。」
「私も良いですか?」
セラも協力を申し出てくれた。
レインからすればマインは姉のような存在だったのだろう。
それに、俺もマインは昔から知っている。
少し位は手伝いたい。
少し時間をかけて立派とは言えないが墓が完成した。
形見の剣を埋めただけだが、供養は出来るだろう。
「ここからなら宝物庫がよく見える。最後の戦いもマインがしっかりと見守ってくれているさ。」
「ええ。そうね。頑張らないと。」
墓に手を合わせる。
(必ず無事に終わらせて見せる。だから見ていてくれ。)
「さて、お邪魔したみたいで悪かったわね。私は退散するわ。」
「いえ、全然お邪魔ではありませんよ。少しゆっくりしていったらどうですか?」
確かにここで少しセラとゆっくり話していくつもりだったしちょうど良い。
「そうだな、ゆっくりしていくといいさ。別に大したことは話していなかったし。」
まぁ、確かに2人きりで甘い時間を過ごしたいなんて思ったりしなかった訳では無いが、レインと共にいる時間も良いだろう。
「……いえ、せっかくだけど遠慮するわ。しばらくアルを一人占めしてた訳だし、今日くらいはあなたに譲ってあげる。」
「……では、ありがたく。」
なんか、俺が物みたいに扱われている気がするが、彼女達が喜ぶのならそれも甘んじて受け入れよう。
レインはそのまま立ち去っていった。
「あ、そういえばこちらにわたってくるときにイルカがいたの!」
「へぇ、良いな。俺の時は海戦の後だったからか何にもいなかったからな。」
その後、セラとしばらくの間2人きりの時間を満喫したのだった。
「ふふ、こんなことでアルの一番は変わらないわ。」
確かに出来ればアルと話していたかったが、セラも可哀想だと感じるし、これくらいは良いだろう。
そう思いながらあの場を後にしようとしていると道端から気配を感じた。
腰の剣に手をかけ警戒する。
「……誰?」
あの二人の時間を邪魔したくは無い。
出来るだけ静かに聞く。
するとガサガサと草木を揺らしながら人が出てきた。
「あ、貴方達!何してるの!?」
茂みから出てきたのはセインとイリスだった。
「静かに!若に聞こえてしまいます!」
「今いい所なんですから!」
どうやらあの二人の後を追って様子を見ていたようだ。
この二人はアルやセラがくっつくことを望んでいるそうなので、気持ちはわからなくは無い。
剣から手を離し、話を聞く。
「……何でこんなことを?」
「いや、それは執事として若の将来の相手の見定めを……。」
目が泳いでいる。
恐らく単に気になっただけだろう。
「なら、私のこともそうやって覗いてたんだ?」
「すいません!ただの野次馬です!」
土下座をしている。
まぁ、ここまで潔いなら許すとしよう。
「で、貴女は?」
「私は親友の恋路を見守るためです!」
曇りの無い瞳をしている。
ただ純粋に応援しているのだろう。
まあ、セラの親友だという話だし、許すとしよう。
「まあ、良いわ。アルにへは言わないでおいてあげる。その代わり……。」
2人は安心した様子を見せたが、何を要求されるのか不安そうな顔もしている。
「私も混ぜなさい!」
その後、アルフレッドやレイン達一行が見当たらないと大騒ぎしていたことを知ることになる。
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