王国再興物語〜無理ゲーオタクの異世界太平記〜
アイフィス決戦 決着 その2
「……ここまでか。」
現在の状況は最悪と言って良いだろう。
なぜならこのエルドニア軍を救出するべくジゲン・アナテル連合軍が敵を突破し、すぐそこまで来ているのだが、敵の分厚い主力に阻まれ速度が落ちている。
兵力も敵の方が上だし、辛うじてここについたとしてもその頃にはエルドニア軍は全滅しているだろう。
どうにか我々の事は諦めて兵の温存に徹するように伝えたいのだが、その術もない。
もう目の前まで敵は来ている。
「アーロン様!お逃げ下さい!すぐそこまで敵が来ております!」
今、私は天幕の中で側近達と共にいた。
もう逃げ出すことなど出来ないとわかっているのだ。
兵が1人天幕の中に入ってきた時点でもう結末は見えている。
「いや、もう良い。」
側近達がこちらを見る。
「皆にはすまないことをしたな。」
「アーロン様……。」
もう少し上手く立ち回れたかもしれない。
ほんの少しでも状況が変わればこんなことにはなっていなかったかもしれない。
「あの時、本当に帝国に降っていれば皆をこんな死地に招く事はなかった。」
「アーロン様。」
すると側近の1人が立ち上がる。
「我々は望んで帝国と戦ったのです。アーロン様が立ち上がらずとも、私は1人でも帝国と戦っておりました。」
「儂もです!」
すると黙りこんでいた側近達が最初の者に同意し始める。
「お前ら……。」
ならば覚悟を決めるとしよう。
「ならば、最後まで付き合ってもらうぞ。」
席を立ち、天幕を出る。
当たり前のように側近達もついてきた。
外の様子はというとすぐそこまで敵が迫っている。
なんとか守って入るが、戦線は崩壊しつつある。
剣を抜き、声を上げる。
「私は最後のエルドニア国王、アロン王が第一子、アーロン・エルドニアである!これより我が軍は敵中を突破し、我等を救援せんと迫っている友軍の元へと駆け抜ける!皆よ!隣の友や兄弟が倒れようとも、一人でも多く友軍の元へとたどり着くのだ!全軍突撃!」
剣を敵の方へ向け、突撃指示を出す。
自分を先頭に敵陣へと向かう。
いきなりの出来事に敵は対応が遅れ、多少の混乱状態に陥っているのが分かる。
戦闘中だった味方も続々と合流し、それなりの数になる。
だが流石に敵の数が多く、敵も混乱が収まり、囲まれてしまう。
こちらの足も止まってしまい、最早打つ手は無しである。
「くそっ!ここまでか。」
「アーロン様。」
側近の一人が近づいてくる。
「最後までお仕え出来て嬉しかったです。」
「ふ。そうか。こちらも最後まで仕えてくれてありがとうな。」
皆が最後だと悟り、覚悟を決める。
だが、そうはならなかった。
「まだ覚悟を決めるのは早いですよ!」
空から声がする。
空を見上げると竜騎兵が一人いた。
あれはアルフレッドの従者のセラだ。
一応セラがフレン様と共に城にいた頃に面識はあった。
「セラか!?」
「はい!お久しぶりです!」
付近の敵を蹴散らしながら降りてくる。
「あぁ、久しぶりだな。だが、お前一人ではこの戦局は変えられないぞ?」
「はい。確かに一人では無理でしょうね。」
すると、包囲している敵の外側が少し騒がしいのに気づく。
「援軍を連れてきましたよ。」
数時間前。
「あれは?」
空からエルドニア軍が戦闘を繰り広げている場所以外にも火の手が上がっているのが見える。
「なるほど。」
つまりはエルドニア軍は帝都へと至る要所に予め部隊を派遣し、抑えていたのだ。
そして、帝国軍はそこも含めて同時に襲撃した。
「よし、ならば!」
竜を一番近くの要所へと飛ばす。
するとそこは小競り合いが繰り広げられていた。
帝国からすれば敵を抑えられれば良いので、少数の部隊しかいないのだ。
すぐさま降下し、敵を攻撃する。
「な!なんだと!?」
「くそ!」
敵は軽い混乱状態である。
それもそうだ。
敵が空から来るとは思いもよらないだろう。
「よし!今だ!かかれ!」
エルドニア軍も隙を見て反撃する。
「ちっ!撤退だ!急げ!」
帝国も自らの不利を悟ったのか、すぐさま撤退していった。
「ありがとうございます。攻めるに攻めきれずに苦戦していたところでした。」
「他の要所も全て襲われています。一番近いところに救援に行ってください。ここの全軍なら難なく助け出せるでしょう。その調子で他の要所も開放していってください。私は一番遠くの要所へと向かいます。」
つまりは散らばっている要所の防衛隊を1つにまとめその全軍でもってしてエルドニア本軍を救う。
恐らくアーロン様が予め考えていた策だろう。
「了解しました!では!」
すぐさま部隊をまとめ、駆け出していった。
こちらも竜を飛ばし、次の場所へと向かう。
「なんとかもってくださいね!アーロン様!」
「というわけです。」
迫ってくる敵を斬り伏せつつ、状況の説明を行う。
「なるほどな。よくやってくれた。本当に助かった。」
既に先程救ってきた友軍も既にすぐ近くまで来ており、包囲も崩れ始めている。
友軍がすぐ近くまで来ていると分かり、士気も持ち直してきているようだ。
どうやらジゲン達の軍もすぐそこまで来ているらしく、あと少しで合流出来る。
合流さえ出来れば、後は殲滅するのみだ。
士気も高いし、この戦は勝てる。
「やってくれたな。セラ殿。」
「っ!」
敵の中に見覚えのある人物がいた。
「ルーゼン殿……。」
「じゃあ、早速始めようぜ!」
ルーゼンが武器を構える。
アーロン様では、恐らく敵わない。
この中でルーゼンと戦えるのは自分しかいないだろう。
「仕方がありませんね……では、始めましょう!」
現在の状況は最悪と言って良いだろう。
なぜならこのエルドニア軍を救出するべくジゲン・アナテル連合軍が敵を突破し、すぐそこまで来ているのだが、敵の分厚い主力に阻まれ速度が落ちている。
兵力も敵の方が上だし、辛うじてここについたとしてもその頃にはエルドニア軍は全滅しているだろう。
どうにか我々の事は諦めて兵の温存に徹するように伝えたいのだが、その術もない。
もう目の前まで敵は来ている。
「アーロン様!お逃げ下さい!すぐそこまで敵が来ております!」
今、私は天幕の中で側近達と共にいた。
もう逃げ出すことなど出来ないとわかっているのだ。
兵が1人天幕の中に入ってきた時点でもう結末は見えている。
「いや、もう良い。」
側近達がこちらを見る。
「皆にはすまないことをしたな。」
「アーロン様……。」
もう少し上手く立ち回れたかもしれない。
ほんの少しでも状況が変わればこんなことにはなっていなかったかもしれない。
「あの時、本当に帝国に降っていれば皆をこんな死地に招く事はなかった。」
「アーロン様。」
すると側近の1人が立ち上がる。
「我々は望んで帝国と戦ったのです。アーロン様が立ち上がらずとも、私は1人でも帝国と戦っておりました。」
「儂もです!」
すると黙りこんでいた側近達が最初の者に同意し始める。
「お前ら……。」
ならば覚悟を決めるとしよう。
「ならば、最後まで付き合ってもらうぞ。」
席を立ち、天幕を出る。
当たり前のように側近達もついてきた。
外の様子はというとすぐそこまで敵が迫っている。
なんとか守って入るが、戦線は崩壊しつつある。
剣を抜き、声を上げる。
「私は最後のエルドニア国王、アロン王が第一子、アーロン・エルドニアである!これより我が軍は敵中を突破し、我等を救援せんと迫っている友軍の元へと駆け抜ける!皆よ!隣の友や兄弟が倒れようとも、一人でも多く友軍の元へとたどり着くのだ!全軍突撃!」
剣を敵の方へ向け、突撃指示を出す。
自分を先頭に敵陣へと向かう。
いきなりの出来事に敵は対応が遅れ、多少の混乱状態に陥っているのが分かる。
戦闘中だった味方も続々と合流し、それなりの数になる。
だが流石に敵の数が多く、敵も混乱が収まり、囲まれてしまう。
こちらの足も止まってしまい、最早打つ手は無しである。
「くそっ!ここまでか。」
「アーロン様。」
側近の一人が近づいてくる。
「最後までお仕え出来て嬉しかったです。」
「ふ。そうか。こちらも最後まで仕えてくれてありがとうな。」
皆が最後だと悟り、覚悟を決める。
だが、そうはならなかった。
「まだ覚悟を決めるのは早いですよ!」
空から声がする。
空を見上げると竜騎兵が一人いた。
あれはアルフレッドの従者のセラだ。
一応セラがフレン様と共に城にいた頃に面識はあった。
「セラか!?」
「はい!お久しぶりです!」
付近の敵を蹴散らしながら降りてくる。
「あぁ、久しぶりだな。だが、お前一人ではこの戦局は変えられないぞ?」
「はい。確かに一人では無理でしょうね。」
すると、包囲している敵の外側が少し騒がしいのに気づく。
「援軍を連れてきましたよ。」
数時間前。
「あれは?」
空からエルドニア軍が戦闘を繰り広げている場所以外にも火の手が上がっているのが見える。
「なるほど。」
つまりはエルドニア軍は帝都へと至る要所に予め部隊を派遣し、抑えていたのだ。
そして、帝国軍はそこも含めて同時に襲撃した。
「よし、ならば!」
竜を一番近くの要所へと飛ばす。
するとそこは小競り合いが繰り広げられていた。
帝国からすれば敵を抑えられれば良いので、少数の部隊しかいないのだ。
すぐさま降下し、敵を攻撃する。
「な!なんだと!?」
「くそ!」
敵は軽い混乱状態である。
それもそうだ。
敵が空から来るとは思いもよらないだろう。
「よし!今だ!かかれ!」
エルドニア軍も隙を見て反撃する。
「ちっ!撤退だ!急げ!」
帝国も自らの不利を悟ったのか、すぐさま撤退していった。
「ありがとうございます。攻めるに攻めきれずに苦戦していたところでした。」
「他の要所も全て襲われています。一番近いところに救援に行ってください。ここの全軍なら難なく助け出せるでしょう。その調子で他の要所も開放していってください。私は一番遠くの要所へと向かいます。」
つまりは散らばっている要所の防衛隊を1つにまとめその全軍でもってしてエルドニア本軍を救う。
恐らくアーロン様が予め考えていた策だろう。
「了解しました!では!」
すぐさま部隊をまとめ、駆け出していった。
こちらも竜を飛ばし、次の場所へと向かう。
「なんとかもってくださいね!アーロン様!」
「というわけです。」
迫ってくる敵を斬り伏せつつ、状況の説明を行う。
「なるほどな。よくやってくれた。本当に助かった。」
既に先程救ってきた友軍も既にすぐ近くまで来ており、包囲も崩れ始めている。
友軍がすぐ近くまで来ていると分かり、士気も持ち直してきているようだ。
どうやらジゲン達の軍もすぐそこまで来ているらしく、あと少しで合流出来る。
合流さえ出来れば、後は殲滅するのみだ。
士気も高いし、この戦は勝てる。
「やってくれたな。セラ殿。」
「っ!」
敵の中に見覚えのある人物がいた。
「ルーゼン殿……。」
「じゃあ、早速始めようぜ!」
ルーゼンが武器を構える。
アーロン様では、恐らく敵わない。
この中でルーゼンと戦えるのは自分しかいないだろう。
「仕方がありませんね……では、始めましょう!」
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