王国再興物語〜無理ゲーオタクの異世界太平記〜
戦の前の休息
上陸については呆気なく出来た。
敵は海戦で勝てると思っていたのかまともな部隊が配備されておらず、難なく突破し橋頭堡を確保できた。
が、他の方面ではそうは行っておらず、特にフレク叔父上の部隊が苦戦しているらしい。
相手にオルフェンがいるらしく、内情を知り尽くされているので、苦戦しているとのことだ。
ジゲンの方面はイリスや、ヤン、ローゼンにアナテルのジゼルと言った将が揃っているので今回の進攻の主力とみていたのだが、敵軍はルーゼンが指揮をしているようで苦戦していた。
ルーゼンだけならまだ突破できたかも知れないがマトウの軍までいるらしい。
総合的に見て戦力的には優位に立っているが、苦戦を強いられている。
唯一エルドニア軍方面が優勢であった。
敵も油断していたのかどんどんと進攻していき、大規模な戦闘もあったのだが、アーロン兄上とセインの指揮で難なく突破し、帝都目前まで迫っているようだ。
セインは傷が癒えたので戦線に復帰している。
我々も帝都まで近いところにいる。
あまりゆっくりはしていられないが長い船旅の疲れを癒す時間も必要だろう。
警戒は怠らずに休息をとることにした。
「アル。」
声のする方へ向くとレインが飲み物を持って近寄ってきた。
「あぁ、ありがとう。」
レインから飲み物を手渡されたので、受け取り一口飲む。
疲れた体には只の水もとても美味しく感じてしまう。
「それで、このあとはどうするの?」
レインは隣に座る。
「そうだな。このまま帝都へと進攻する。流石にエルドニア軍だけでは帝都守備隊相手に苦戦してしまうだろうしな。」
「まあ、そうでしょうね。」
レインもそうだと予想していたようだ。
「でも、もうすぐね。もうすぐ帝国を倒してフレン様を生き返らせられる。」
そういえばレインに聞いておかなければならないことがあったのだった。
下手をすればここで関係が終わってしまうかもしれない。
が、聞いておかなければならないのだ。
「……なぁ、レイン。」
「……何?」
レインは俺が何て言うのかなんとなく察しているような様子をしている。
「神樹の雫があればネロ様をよみがえらせられるんだぞ?欲しいとは思わないのか?」
「……まぁ、そう思った時もあったわ。でも、あなたはずっと前からフレン様を生き返らせる為だけに旅をしてきた。それなのに私がなんの苦労もせずに横から奪い取って母上を生き返らせるのは卑怯でしょ?」
うっすらと涙を浮かべている。
「母上には……会いたいわ。でも、その為にあなたとの関係を壊したくないの。私はあなたと一緒に居たい。今はそれだけでいいの。」
先程の戦闘を見てレインも立ち直ったと思っていたが、やはりまだ無理をしているところがあったようだ。
レインの肩を抱き寄せ、頭を撫でる。
「……神樹の雫、いや神具は遥か西の大陸からもたらされたものだと言う話だ。」
レインはこちらの意図を察したのか、表情がすこし明るくなったように感じた。
「だから、西の大陸に行けば神樹の雫がまだ手に入るかもしれない。」
「アル……。」
伝承では俺達の祖先は西の大陸から移住してきたとそう伝わっている。
果たして本当にあるのかどうかすら怪しいが、希望を持たせておくのは大事だろう。
「ふふ、ありがとうね。」
「いや、俺は何もしていないさ。」
レインをこれ以上悲しませない為に俺は最善を尽くす。
今はそれだけでいい。
「まったく。入っていきにくくなっちまった。」
2人の様子を遠目から眺めていたゼイル。
飲み物を持っていき、これまでの旅を労ってやるつもりだったのに先を越されたようだ。
「あら、ゼイル殿もですか?」
するとゼイルの後ろから声をかける女性がいた。
「おや、マイン殿。ということはあなたも?」
2人はかるく笑い合う。
「はは、これも何かの縁だ。向こうで共に飲みませんか?」
「ええ、良いですね。」
2人はレインとアルフレッド達のことが遠目から確認できる位置にて飲むことにした。
「いやいや、それにしてもあなたの技はすごい。」
「え!そうですか!?あの双蛇殿に誉められるとは思ってませんでしたよ。」
マインは純粋に嬉しいようだ。
S級冒険者というのは肩書以上の存在があるらしい。
「まぁ、共に目的が一致しているようなものです。今後とも宜しくお願いします。」
「ええ、こちらこそ。」
ゼイルはアルフレッドを、マインはレインを守る。
マインはレインの為にアルフレッドも守らなければならないので、利害は一致しているということだろう。
敵は海戦で勝てると思っていたのかまともな部隊が配備されておらず、難なく突破し橋頭堡を確保できた。
が、他の方面ではそうは行っておらず、特にフレク叔父上の部隊が苦戦しているらしい。
相手にオルフェンがいるらしく、内情を知り尽くされているので、苦戦しているとのことだ。
ジゲンの方面はイリスや、ヤン、ローゼンにアナテルのジゼルと言った将が揃っているので今回の進攻の主力とみていたのだが、敵軍はルーゼンが指揮をしているようで苦戦していた。
ルーゼンだけならまだ突破できたかも知れないがマトウの軍までいるらしい。
総合的に見て戦力的には優位に立っているが、苦戦を強いられている。
唯一エルドニア軍方面が優勢であった。
敵も油断していたのかどんどんと進攻していき、大規模な戦闘もあったのだが、アーロン兄上とセインの指揮で難なく突破し、帝都目前まで迫っているようだ。
セインは傷が癒えたので戦線に復帰している。
我々も帝都まで近いところにいる。
あまりゆっくりはしていられないが長い船旅の疲れを癒す時間も必要だろう。
警戒は怠らずに休息をとることにした。
「アル。」
声のする方へ向くとレインが飲み物を持って近寄ってきた。
「あぁ、ありがとう。」
レインから飲み物を手渡されたので、受け取り一口飲む。
疲れた体には只の水もとても美味しく感じてしまう。
「それで、このあとはどうするの?」
レインは隣に座る。
「そうだな。このまま帝都へと進攻する。流石にエルドニア軍だけでは帝都守備隊相手に苦戦してしまうだろうしな。」
「まあ、そうでしょうね。」
レインもそうだと予想していたようだ。
「でも、もうすぐね。もうすぐ帝国を倒してフレン様を生き返らせられる。」
そういえばレインに聞いておかなければならないことがあったのだった。
下手をすればここで関係が終わってしまうかもしれない。
が、聞いておかなければならないのだ。
「……なぁ、レイン。」
「……何?」
レインは俺が何て言うのかなんとなく察しているような様子をしている。
「神樹の雫があればネロ様をよみがえらせられるんだぞ?欲しいとは思わないのか?」
「……まぁ、そう思った時もあったわ。でも、あなたはずっと前からフレン様を生き返らせる為だけに旅をしてきた。それなのに私がなんの苦労もせずに横から奪い取って母上を生き返らせるのは卑怯でしょ?」
うっすらと涙を浮かべている。
「母上には……会いたいわ。でも、その為にあなたとの関係を壊したくないの。私はあなたと一緒に居たい。今はそれだけでいいの。」
先程の戦闘を見てレインも立ち直ったと思っていたが、やはりまだ無理をしているところがあったようだ。
レインの肩を抱き寄せ、頭を撫でる。
「……神樹の雫、いや神具は遥か西の大陸からもたらされたものだと言う話だ。」
レインはこちらの意図を察したのか、表情がすこし明るくなったように感じた。
「だから、西の大陸に行けば神樹の雫がまだ手に入るかもしれない。」
「アル……。」
伝承では俺達の祖先は西の大陸から移住してきたとそう伝わっている。
果たして本当にあるのかどうかすら怪しいが、希望を持たせておくのは大事だろう。
「ふふ、ありがとうね。」
「いや、俺は何もしていないさ。」
レインをこれ以上悲しませない為に俺は最善を尽くす。
今はそれだけでいい。
「まったく。入っていきにくくなっちまった。」
2人の様子を遠目から眺めていたゼイル。
飲み物を持っていき、これまでの旅を労ってやるつもりだったのに先を越されたようだ。
「あら、ゼイル殿もですか?」
するとゼイルの後ろから声をかける女性がいた。
「おや、マイン殿。ということはあなたも?」
2人はかるく笑い合う。
「はは、これも何かの縁だ。向こうで共に飲みませんか?」
「ええ、良いですね。」
2人はレインとアルフレッド達のことが遠目から確認できる位置にて飲むことにした。
「いやいや、それにしてもあなたの技はすごい。」
「え!そうですか!?あの双蛇殿に誉められるとは思ってませんでしたよ。」
マインは純粋に嬉しいようだ。
S級冒険者というのは肩書以上の存在があるらしい。
「まぁ、共に目的が一致しているようなものです。今後とも宜しくお願いします。」
「ええ、こちらこそ。」
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