王国再興物語〜無理ゲーオタクの異世界太平記〜
兄弟
旗揚げの宣言をしてから数日。
それからと言うととても忙しい毎日で、様々な勢力から味方するという書状を受け取り、整理し、従属の挨拶に来たものと謁見するというのをひたすらに繰り返す日々だった。
ジゲンは最初こそ不馴れで、見ていなければ不安なことばかりだったのが数日もすると手慣れてきて、最早補助はヤン殿だけで事足りるようになった。
しかも新たに仲間になった者に内政面で秀でた者もおり、もう私が口を出すこともなくなった。
段々とジゲンは王として認められてきている。
なので、やっとあの兄弟の件を片付ける事が出来るのだった。
「では、説明していただきましょうか。」
今この場にはセインやイリスを含めたアルフレッド様の郎党が全員揃っており、ローゼンの話に耳を傾けている。
因みにセインの傷は完治はしていないものの、かなりよくなっているとのことだ。
「……兄貴は、兄弟が両方の陣営に別れることで、どちらかが死んでもどちらかがいずれは領地を取り戻せる。そう言った形を作ろうとしていたらしい。」
つまりは2人で勢力的には弱いアルフレッド様の陣営にいるのではなく、バラけさせることでどちらが勝っても領地を取り戻せるという算段だというのだ。
「つまりは若に対して不満があったので離反したというわけではなかったのですね。」
「そうだな。セイン殿の言う通りだ。そもそも教団から話を持ちかけられたときは獄中にいた時だったらしい。」
つまりは私達が救出した時点でもう既に向こうの陣営だったということか。
ということはあの時の帝都強襲作戦の時に死んだ者達は無駄死にだったのか。
いや、あの作戦をするということになったから神樹の雫が手に入ったのだし、イリスも仲間になった。
無駄では無かったと思うことにしよう。
「まぁ、取り敢えずルーゼン殿が敵だという事実に変わりはありません。今なすべきは今後について考えるべきです。」
セインは立ち上がり、地図を広げる。
「帝国への侵攻作戦のため、あまり時間をかけてはいられません。早期に決着をつける必要があります。その為には一刻も早くアナテル国の援軍と合流することが大事です。」
確かに神聖帝国周辺にいた教団の者達も行方知れずとなり、神聖帝国が襲撃される恐れがなくなったらしいので、こちらに本腰を入れられる。
恐らく相手も作戦を変更したのだろう。
セインは地図の、私達の勢力圏に最も近い海の部分を指し示す。
「もう既にこの地点に上陸を始めているらしいです。現地の味方の誘導でスムーズに上陸できたと聞いてます。我々は全軍でそちらに向かい、合流し、一気に敵の王城まで攻め上ります。大軍にもなればこちらになびく勢力も更に出るでしょう。」
確かにそれはいい作戦な気もするが、大軍を動かすのに不利なこの地方ではあまり良い作戦とは思えない。
「セイン殿。それは……。」
するとセインはこちらに目線を向け、何も言うなと諭してくる。
多分。
一体どういうことか分からなかったが次の瞬間意味がすぐにわかった。
「その必要はないぞ。」
扉を開け、見覚えのある人物が入ってくる。
「久しぶりだな。皆。」
アルフレッド様が現れたのだ。
つまりアナテル国からの援軍の将はアルフレッド様だったのだ。
しかし、私は忘れてはいない。
何故私達が離れ離れになったのかを。
「アルフレッド様!」
アルフレッド様の元へと駆け寄り、頭を下げる。
「申し訳ありませんでした!」
一応水晶越しには謝ったが、やはり直接謝らなければ駄目だろう。
「……セラ。」
アルフレッド様は私の肩に手を置き、優しく言葉を投げかける。
「……7日間の漂流は辛かったぞ。」
死にたくなった。
主を守るためのわたしだと言うのに殺しかけた。
従者失格だ。
「死にます。」
「え?」
懐から短剣を取り出す。
「いや!冗談!冗談だから!」
「流石、アルフレッド様はお優しいです。ですがそのお優しいアルフレッド様を殺しかけてしまった事は事実!死にます!」
短剣を首に当てる。
「セイン!」
「はい!」
短剣を取るセイン。
「か、返して下さい!」
「返すわけ無いでしょう!落ち着いて下さい!この件はもう終わったでしょう!?アルフレッド様もセラ殿をからかわないで下さい!」
するとアルフレッド様が歩み寄ってきた。
「まぁ、そうだな。すまないセラ。お前の気持ちも考えずに軽率な発言をした。」
アルフレッド様が頭を下げる。
「あぁ、主に頭を下げさせるなんて……やはり死のう。セイン殿。ナイフを返して下さい。」
「だから出来ませんって!」
頑なに拒み続けるセイン。
周りの者は我関せずといった様子である。
「なんでですか!この除き魔!私の裸を見たくせに!」
その発言で少し空気が変わる。
「そうなのか?セイン?」
「もしそうだとしたら命はありませんよ?義父殿。」
「殺すしかねぇな。」
「いえ、それでは生ぬるいです。死にたくても死ねないというのが人間一番辛いんですよ。」
実はセインに裸を見られた事は知られてはいなかった。
そこをうまく伏せて、あそこで彼が見たことを報告したのだ。
そして、先程まで遠くで見ていた全員がセインの元へと寄ってくる。
イリスに至ってはなんか笑顔でものすごく怖いことも言ってるし、ローゼンは即断しすぎな気もするが。
ジョナサンまでもそう来るとは思わなかったが。
「え、いや、それは、その。」
全員の視線がセインへ集まる。
「あ、あれは不可抗力でした!」
その後はよく覚えていない。
が、セインがボコボコにされてスカッとしたのは覚えている。
傷が完治していないというのに可哀想にも見えたがまぁ、スカッとしたのでそれで良しとする。
これでまたセインが前線に出れるのが遅くなりそうだ。
それと自決については確かに少し冷静さを欠いていた。
もうやめよう。
今後は何があってもアルフレッド様の元を離れないようにしなければ。
これからはずっと側でお支えするとしよう。
……何か忘れている気がする。
何だったかよく思い出せないがアルフレッド様が来る前何か大事な事を会議してたような?
その後が色々ありすぎてよく覚えていない。
まぁ、それについてはアルフレッド様が戻ってきたのだから今後はアルフレッド様がなんとかしてくれるでしょう。
私はそれをお支えするのみです。
それからと言うととても忙しい毎日で、様々な勢力から味方するという書状を受け取り、整理し、従属の挨拶に来たものと謁見するというのをひたすらに繰り返す日々だった。
ジゲンは最初こそ不馴れで、見ていなければ不安なことばかりだったのが数日もすると手慣れてきて、最早補助はヤン殿だけで事足りるようになった。
しかも新たに仲間になった者に内政面で秀でた者もおり、もう私が口を出すこともなくなった。
段々とジゲンは王として認められてきている。
なので、やっとあの兄弟の件を片付ける事が出来るのだった。
「では、説明していただきましょうか。」
今この場にはセインやイリスを含めたアルフレッド様の郎党が全員揃っており、ローゼンの話に耳を傾けている。
因みにセインの傷は完治はしていないものの、かなりよくなっているとのことだ。
「……兄貴は、兄弟が両方の陣営に別れることで、どちらかが死んでもどちらかがいずれは領地を取り戻せる。そう言った形を作ろうとしていたらしい。」
つまりは2人で勢力的には弱いアルフレッド様の陣営にいるのではなく、バラけさせることでどちらが勝っても領地を取り戻せるという算段だというのだ。
「つまりは若に対して不満があったので離反したというわけではなかったのですね。」
「そうだな。セイン殿の言う通りだ。そもそも教団から話を持ちかけられたときは獄中にいた時だったらしい。」
つまりは私達が救出した時点でもう既に向こうの陣営だったということか。
ということはあの時の帝都強襲作戦の時に死んだ者達は無駄死にだったのか。
いや、あの作戦をするということになったから神樹の雫が手に入ったのだし、イリスも仲間になった。
無駄では無かったと思うことにしよう。
「まぁ、取り敢えずルーゼン殿が敵だという事実に変わりはありません。今なすべきは今後について考えるべきです。」
セインは立ち上がり、地図を広げる。
「帝国への侵攻作戦のため、あまり時間をかけてはいられません。早期に決着をつける必要があります。その為には一刻も早くアナテル国の援軍と合流することが大事です。」
確かに神聖帝国周辺にいた教団の者達も行方知れずとなり、神聖帝国が襲撃される恐れがなくなったらしいので、こちらに本腰を入れられる。
恐らく相手も作戦を変更したのだろう。
セインは地図の、私達の勢力圏に最も近い海の部分を指し示す。
「もう既にこの地点に上陸を始めているらしいです。現地の味方の誘導でスムーズに上陸できたと聞いてます。我々は全軍でそちらに向かい、合流し、一気に敵の王城まで攻め上ります。大軍にもなればこちらになびく勢力も更に出るでしょう。」
確かにそれはいい作戦な気もするが、大軍を動かすのに不利なこの地方ではあまり良い作戦とは思えない。
「セイン殿。それは……。」
するとセインはこちらに目線を向け、何も言うなと諭してくる。
多分。
一体どういうことか分からなかったが次の瞬間意味がすぐにわかった。
「その必要はないぞ。」
扉を開け、見覚えのある人物が入ってくる。
「久しぶりだな。皆。」
アルフレッド様が現れたのだ。
つまりアナテル国からの援軍の将はアルフレッド様だったのだ。
しかし、私は忘れてはいない。
何故私達が離れ離れになったのかを。
「アルフレッド様!」
アルフレッド様の元へと駆け寄り、頭を下げる。
「申し訳ありませんでした!」
一応水晶越しには謝ったが、やはり直接謝らなければ駄目だろう。
「……セラ。」
アルフレッド様は私の肩に手を置き、優しく言葉を投げかける。
「……7日間の漂流は辛かったぞ。」
死にたくなった。
主を守るためのわたしだと言うのに殺しかけた。
従者失格だ。
「死にます。」
「え?」
懐から短剣を取り出す。
「いや!冗談!冗談だから!」
「流石、アルフレッド様はお優しいです。ですがそのお優しいアルフレッド様を殺しかけてしまった事は事実!死にます!」
短剣を首に当てる。
「セイン!」
「はい!」
短剣を取るセイン。
「か、返して下さい!」
「返すわけ無いでしょう!落ち着いて下さい!この件はもう終わったでしょう!?アルフレッド様もセラ殿をからかわないで下さい!」
するとアルフレッド様が歩み寄ってきた。
「まぁ、そうだな。すまないセラ。お前の気持ちも考えずに軽率な発言をした。」
アルフレッド様が頭を下げる。
「あぁ、主に頭を下げさせるなんて……やはり死のう。セイン殿。ナイフを返して下さい。」
「だから出来ませんって!」
頑なに拒み続けるセイン。
周りの者は我関せずといった様子である。
「なんでですか!この除き魔!私の裸を見たくせに!」
その発言で少し空気が変わる。
「そうなのか?セイン?」
「もしそうだとしたら命はありませんよ?義父殿。」
「殺すしかねぇな。」
「いえ、それでは生ぬるいです。死にたくても死ねないというのが人間一番辛いんですよ。」
実はセインに裸を見られた事は知られてはいなかった。
そこをうまく伏せて、あそこで彼が見たことを報告したのだ。
そして、先程まで遠くで見ていた全員がセインの元へと寄ってくる。
イリスに至ってはなんか笑顔でものすごく怖いことも言ってるし、ローゼンは即断しすぎな気もするが。
ジョナサンまでもそう来るとは思わなかったが。
「え、いや、それは、その。」
全員の視線がセインへ集まる。
「あ、あれは不可抗力でした!」
その後はよく覚えていない。
が、セインがボコボコにされてスカッとしたのは覚えている。
傷が完治していないというのに可哀想にも見えたがまぁ、スカッとしたのでそれで良しとする。
これでまたセインが前線に出れるのが遅くなりそうだ。
それと自決については確かに少し冷静さを欠いていた。
もうやめよう。
今後は何があってもアルフレッド様の元を離れないようにしなければ。
これからはずっと側でお支えするとしよう。
……何か忘れている気がする。
何だったかよく思い出せないがアルフレッド様が来る前何か大事な事を会議してたような?
その後が色々ありすぎてよく覚えていない。
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