封印から目覚めると鬼娘の私は陰陽師のお嫁になっていました

黒月白華

学校生活の始まり

朝だ!!
とうとう私は今日から女子高生になるんだ!!

おさらいは沢山した!お勉強の方は優平くんが何とか術で誤魔化すって言ってくれたので学力は追いついてないんだけどそれでも学校生活という初めての経験がようやく始まることに私はウキウキした!そして着替えてカーテンを開けると…………

ドザアアアアア!!!

「!!!」
めちゃくちゃ土砂降りでなんと!!大雨警報というやつが出ていた!

なんと…私の転校1日目が緊急連絡網で学校はお休みになった。

なのに優平くんはにこにこしていた。
私は違和感を感じた。
まさか!!

「優平くん?まさか…!この雨って…優平くんがやったのでしょうか?」
ビクッとして優平くんは汗をかき

「な、ななな何言ってんの?鈴さん?自然現象じゃないかなあ?」
な、なんて判りやすい旦那様だ!!
私はむーっと近づいてじいいいっと優平くんを見つめた。

「そそ、そんなに見ないでよ?自然現象だってば……」
と優平くんは目を逸らし始めた!!嘘つきは目を逸らすと前に番組でやっていたのだ!!

「ほほほ、鈴様、陰陽師は天候をも操る力があるんですよー?その証拠にここら辺一帯だけ大雨警報が出るなんて明らかにおかしいでしょう??」
と民代さんが言う。

「やっぱり!!そんなに私を学校に連れて行きたくないんですね!?優平くん!!」

「うう、民代さん酷いよぉ!」

「酷いのはどっちですかね?可愛いお嫁さんが楽しみにしていた学校生活を!」

「うぐっ……」

「明日同じことしたら、もう優平くんにお弁当作るのやめます!!」
と私はツーンとしたら途端に慌てて

「や、そそ、それは嫌だよぉ…。判ったよ…。はぁ」

次の日ようやく空が晴れてるのも確認した私は制服を着込んでやっと女子高生になれた!!
朝から早く起きてお弁当を二つ作る。
これがクラスメイトに同じ内容のお弁当だってバレたら優平くんとラブラブな噂が立つのだ。ドラマで見た!!

私が浮き浮きしてるのに優平くんは暗かった。
そして傘を持っていた。晴れてるのに。

「今日は術を使ってないけど帰りに降るからね。僕の力で止めることも出来るけど…。あんまり不自然に雨雲を停滞させとくと大災害にも繋がりやすいしやめとくよ」

「じゃあ、私も傘を…」
と言うけど

「鈴さんの傘はまだ買ってないよ…。ごめんね。ずっと家にいたし…自分で選びたいかなって…。今度買いに行こうね。梅雨だし」
と言う。そう言えば庭にも少しだけ紫陽花の咲いている所があった。

「判りました!雨が降ったら入れてくださいね?」

「う、うん…」
そして玄関を元気に出てバス停に行こうとしたら止められた。

「あの…。バスは痴漢に会うし…式神で行こう!!」
と何と私をバスに乗せたくないのか式神の鳥を出した。私は呆れた。
しかし旦那様の嫉妬には敵わないので口出しはやめて置いた。2人で式神に乗り空を飛んでいるとこれはこれで中々気持ちが良かった。
何せ、通学は無理でも学校に着いてしまえば女子高生だし!!

早めに出て人気のない所に降り立ち、優平くんと職員室に向かい、担任の先生と挨拶した。担任は草野先生と言う男の先生で私を見ると何故か

「お、おおっ!土倉の親戚の子か…。ほおおー」
とジロジロ見られて優平くんは

「先生セクハラです!教育委員会に訴えます」
と言ったら先生は黙った。
すると今度は職員室にイドミさんとミッキーくんが入って来た。

「どうも…」

「おおーっ!もしやもう2人の転校生か!お前らは違うクラスだけどな」
と草野先生が言うとミッキーくんは心なしか

「ああー!そうなんですか?それは良かった……、いや何でもないです…」
と優平くんが先生の後ろでミッキーくんをにこにこ見ているのに気付いて汗をかいた。

「貴方達は私のクラスよ。私はA組担任の堀越七実よ。芦谷光邦くんと古井戸イドミさんね?芦谷くんはハーフなのかしら?」

「はい…父がイギリス人ですけど俺別に日本語喋れますよ。見た目だけ外国人ですけど。日本で生まれたから日本語も普通に話せて英語も普通に話せます」
と言う。流石ミッキーくん。バカだけど計算も英語も出来るなんてやっぱり医者になろうとしてるだけあり頭はいいんだ!!

「そう、それなら良かったわ。そちらの古井戸さん…腕を組んでるけど貴方達お知り合いなの?」
とミッキーくんとイドミさんは恋人みたいにくっ付いて気付いたミッキーくんは、

「んなああああ!!いやっ!!そんな!ちち違いますって!!この人ちょっとそこで迷子になってたんで連れてきてやったんです!!初めて会いましたよ!はーっはっはっ!」
とかなり苦しく言い訳していた!!
ミッキーくんはテイッと腕を離した。

「どうもありがとうございまスロバキア…」
と他人みたいに接した。イドミさんは少しだけ怒ってるように見えた。

「まぁ転校生三人はもう少しここで待ってなさい。後で教室に案内しよう。土倉は先に教室に行っていいぞ」
と草野先生が言って

「じゃあ、鈴さんまた後で…」
と名残惜しそうに去った。私は優平くんと同じC組である。
イドミさんと離れちゃった…。折角友達になれると思ったのに…。
イドミさんはチラリと見ると

「私、古井戸イドミ。イドでいいどーっ」
と話しかけてくれた!!
私はぱあっと明るくなり

「あっ!あの!私は平安寺鈴!!よろしくね!イドさん!」
と私も初めて会ったように挨拶した。それからクラスは離れるけど女子同士転校生同士困ったことがあったら力になると話している。
ミッキーくんは優平くんから私と話すなと言われているから私のことは無視していた。案外約束は守るタイプなのかもしれない。

それから時間になり私は草野先生の後に着いてC組にやってくる。
ああ、これから転校生の挨拶ってやつだわ!!楽しみ!!

ガラリと先生の

「お前ら、転校生だ…ぞ?ん?男子どうした!!?」

教室に入ると男子が何か悶え苦しんでいた!!

「う、うぐううう!目があああ!」

「腹がいてええ」

「ず、頭痛が…」

「うげ…吐き気…」
とほぼ全員の男子が苦しんでおり、優平くんだけピンピンしていた。ゆ…優平くん!さては…呪いましたね?クラスの男子全員を!!

ドラマで見た、美少女転校生を見て男子がポーッとする場面は無くなった。


「平安寺鈴です…。よろしくお願いします…」
と頭を下げ、空いていた席に私は座るように言われた。優平くんとは席が真逆の方向に分かれていた。私は窓側の後ろの方で、優平くんは入り口に近い前の方であった。

授業は案の定全く判らなかったけど、優平くんに術をかけたシャーペンをもらって、これを持つと優平くんが持っているもう一つのシャーペンと繋がっていて優平くんがシャーペンを使うと私のシャーペンも動き出すのである。

なるほど、動きが見られないように席をわざと離したのかもしれない。そして私が窓側の後ろは他の男子から見られにくい場所であった!!授業中に後ろをチラチラ見るわけにはいかないだろうし。
それは優平くんもだけど…。
でもシャーペンが動いて…

【鈴さん後で校内を案内するよ】
とノートに書かれた。あ、こう言う使い方も出来るんだ…。私は返事を書いた。

【ありがとう!優平くん、好き♡】
と書いておいて、誰にも見られないように文字を消した。

休憩時間になると女子がたくさん寄ってきて値踏みするように話しかけた。

「平安寺さんて髪サラサラだね!」

「なんかいい匂いする!」

「ねえねえ、帰り一緒に帰らない?」
と言われ

「ごめんなさい、帰りは優平くんと一緒に帰るように言われてるの…。ごめんなさい…」
とやんわり断ると

「優平って…土倉くん?親戚なんだっけ?」

「う、うん!一緒に住んでるの!引っ越して来たばかりだからまだゴタゴタしてて…、道も覚えてないし。ごめんね」
と用意しておいたことを言っておいた。

「ふーん、落ち着いたらまた行こうね!あ、土倉くんて彼女いるの?」

「ええ…?知らない…」
と言うと

「土倉くんてなんかちょっと弱そうだけどミステリアスな感じのイケメンだよね?」

「あ、判る!なーんか隠してそう!」
と詮索されているがやっぱり優平くんはモテるのだと判った。
クラスの女の子たちはチャイムが鳴ると席に戻る。

お昼になると優平くんに連れられ人気のない旧校舎屋上に連れられてくる。

「イドミさん達どうしてるのでしょう…」
私に興味本位で話しかけてくる女の子は多いけど皆それらが優平くん目当てだとなんとなく判って親しいクラスで友達は出来そうにないなぁと感じた。

ああ、私の学園ライフの楽しみが…。しょんぼりしていると…

「………すす、鈴さんは僕と2人で食べるの嫌?…ミッキーくん達を呼んだ方が良かったのかな?」

「………私…優平くんと2人でも大丈夫ですよ…」
と笑ってみたけど、ドラマで友達とお弁当おかず交換とか憧れていたのでちょっと残念。

「明日からはミッキーくん達を呼ぶよ…ごめんね鈴さん」
と何故か優平くんには私のことは解ってしまうみたい。

「お友達が欲しかっただけなんです…」
と言うと

「友達……。そう…だよね」
と今度は優平くんがしょんぼりした。そう言えば優平くんの友達はいないのか聞いてみると

「上辺だけならいるよ…。話したりする程度だよ。でも皆…僕を合コンのメンバーに入れようとしたり、僕といるとなんか女子が寄ってくるからとから、後はお金持ってるからって理由」

「じゃあ優平くんもいないのですか?」

「それに僕は鬼退治があるから…。友達と遅くまで遊んだりはできないんだ。

だから初めから作らないことにしてる。いつも学校が終わると部活にも入らず帰るよ…。

ごめん鈴さんが想像していたようなキラキラしたものじゃなくて…部活にも入らせてあげられなくて…」
そりゃ部活に入ると陽も暮れるだろうし危険になる。優平くんは毎日鬼退治をして血を被って帰るのだから…。

私は決心した。

「優平くん!!ミッキーくんと友達になってください!この前も下僕から友達にはしてあげるった言ってたじゃないですか!!」

「そ、それは…。ミッキーくんとはそんなつもりじゃ…。酒呑童子のことで情報がいるし、必ず酒呑童子の生まれ変わりは芦谷光邦に接触すると思うから…。その時彼がどう動くのか見極める為に…今は信用させようと……」
と優平くんはちょっと苦しそうに言った。

「…優平くん…」

「げ、幻滅した?ぼ、僕は…陰陽師で普通になりたくても…無理なんだ…。もう遅い。鬼と闘って鬼をずっと殺すのが生まれ変わった僕の使命…。他にはない。ミッキーくんみたいに医者を目指すって夢も見れない。

いや、僕は医者なんて興味ないけど…。ミッキーくんは違うよ…。ちゃんと勉強しながらいい大学に入ったらなれる。僕には何もない…。家を継ぐことだけ…」

それを聞いて私は胸が締め付けられた。優平くんは小さい頃からずっと鬼退治を嫌々していて、臆病だからきっと怖かったけど、ある日あんな変態になるほど恐怖が越えてしまった。

ドラマで子供がよく【将来の夢は】の作文を読むことがある。彼がどんなに苦しんでそれを書いたのか。もちろん立派な陰陽師になることです!なんて書けないだろうから、嘘を適当に書いたのかもしれない。そう思うと私は。

「鈴さん!?どうして泣いてるの!?」
と慌てた。すると物陰から

「おやおや…女の子を泣かせるなんて…罪作りな男だね、優平」
と男の子みたいな感じの女の子?が現れた。

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