封印から目覚めると鬼娘の私は陰陽師のお嫁になっていました

黒月白華

ママさんバレー

私は玄関に置いてある回覧板と言うのに気付いた。これテレビで奥様がお隣さんに回すやつだ!
中を見ると

【ママさんバレー参加者募集】
の文字がある。
ママさんバレーは何とか読めた。漢字まだ少ししか解らない私はふーむ、と唸る。
民代さんがどうしたんですか?と覗き込んで

「あら、これは鈴さん若いから参加出来ませんね」
と言われた。

「ええっ!?でも奥様が参加できるんでしょう?ドラマで見ました!」

「それはほら結婚してる方ですよ。鈴さんは特殊でしょう?若い鈴さんは高校生くらいに見えますから浮きますよ?離れにいる優平様のお母様向けですよ」

「ぶーっ」
と膨れた。私は年齢的にJKらしいしダメらしい。

「でも見学に行かれるくらいならいいでしょう。小夜子奥様が参加するなら応援に行きましょう」
と早速民代さんと私は離れに行き、優平くんのお母様に聞いてみた。

「あらまあ、久しぶりに身体を動かそうかしら!」
すると青白い顔したお父様の俊和さんがやってきて

「ママさんバレーだって!?見学?私も行こう!!取材に!!」
と言うからお母様がお父様に肘打ちを喰らわせた。

「痛い!!」

「あら、変態さん。そんなに奥様の悩ましいボディがみたいのかしら?この変態!!」
とにこにこ怖い笑顔で言う。

「いや、今度のネタをイケメン自治会長とのいけないママさんバレーレッスンにしようかなって」

「………鈴さんこの変態はともかく応援してね?」
お母様はお父様を無視した。

「小夜子さん??小夜子さん?酷いよ、ほんとにネタなのに」

「鬼は昼間には出ないのだから大丈夫ですよね?優平くんに聞いてみます」
と言い、また真っ赤になって帰ってきた優平くんがお風呂から上がった後聞いてみた。

「ううん、いいよ…。僕も行こうか?どうせ父さんの代わりに資料の写真を撮ってこいと言われるんだ」

「原稿の資料ですか?」

「そうだよ、よく勉強したね、偉いよ、この分じゃもう少し外に慣れてきたら学校行けるね」
と頭を撫でられる。

「はいっ!楽しみです!!でもまだ文字が読めないから漢字とか頑張らないと…」
と言うと優平くんはニコリと笑い、

「じゃあ、今日からメールを覚えてみない?」
と言う。メール!!よく女子高生とかがいじってるやつ!」

「離れていても文を送り合えるし、メールを打てば漢字変換するしその時に文字を覚えられるよ。使い方を教えようね」
と優平くんはメールの打ち方から送信、受信まで教えてくれたので必死で覚える。
確かに平仮名で打てば漢字が出てくる。
最初は漢字が間違っていないか私は辞書を側に置いて調べた。とんでもなく遅いけど、これなら覚えていけばなんとかなる!

優平くんも最初は私が判るような漢字やひらがなでばかり送ってくれたり、ちょっと難しそうな漢字には( )をつけてふりがなを振ってくれたのでより解りやすくなった。

そして土曜日に公民館でママさんバレー大会が行われ、私と優平くんと民代さんは応援に出かけた。また外に出れて嬉しい。
小夜子お母様は私を皆に

「優平の彼女でね、平安寺鈴さんて言うのよ」
と何か勝手に苗字をつけられた。へいあんじ??
民代さんがコソリと

「平安時代からとったんでしょうね。奥様安易ですわ」
と言った。平安時代…私の生きてた時代だ。
私は日本の歴史で平安時代を勉強している。自分の時代のことを勉強しているなんて変だけど。他にも戦国時代に江戸時代と日本の歴史を知っていくのはちょっと楽しかった。

それから優平くんは資料写真を撮りつつ小夜子お母様を応援したが、小夜子お母様はこけて怪我をしてしまった!!

「あっ!お母様が!!」

「あーあ…こりゃ、負けかな…」
と優平くんもがっかりしたが、お母様はこちらに来て

「鈴さん!見ていたでしょう?代わりに!私の代わりに出て!!」
と言われる!!

「母さん!鈴さんはバレーなんかやったことないよー?」

「でも見てたから何となく判るわよね?」

「えっ…あの…は、はい…」
と言い、私はお母様の代わりにコートに入る。
今日は短パンツを履いて腿までのロングニーソを履いていたし動きやすい。上はパーカーを貸してもらった。
髪の毛をポニーテールと言うのに結んでもらい、バレーボールを初めて手にした。結構硬い。
私はサーブを打ってみてボールは高速でバシンっと相手コートにヒットして点があっさり入り、同じチームの奥様達はポカンとしていたが、嬉しがった!

私もこんなに身体を動かすのは…ああ、1200年ぶり?というかこんなスポーツと言うのは当たり前だけど無かった。
貴族が蹴鞠とか言うので遊んでいると噂で聞いたくらいで庶民はせいぜい石を投げて遊ぶ石投や独楽や雛人形遊びだ。村八分の私は雛人形や独楽は手に入れられないからいつもその辺の石を拾い石投を1人でしていた。

「その調子よぉー!鈴さん!!」
と小夜子お母様と民代さんは応援する。優平くんは驚いていた。

「ほんとに初めて?凄いや…」

「見て覚えるのが早いですよね。鈴さんは。もしかしたらそういう能力があるのかもしれませんよ」
と民代さんが言う。

「た、確かに鈴さんは吸収が早いというか、一度教えたことあまり忘れないね…」
結局私のサーブでほとんど勝ち上がり、優勝した!!こんなに皆と動いて遊ぶ?のは面白い!本当は遊びではないんだっけ?

「やったわ!!鈴さん凄いじゃない!!打ち上げよ!ファミレス行きましょう!!なんでもおばちゃんが奢ってあげるわ!!」

「えっ!?ファミレス!?」
これもドラマでよく見るやつ!!

「ええ!?あの…でももうすぐ夕方だし!!僕たちは!!」
と優平くんは鬼を気にした。

「いいじゃないの!彼氏さんも!ほらほら!」
と連れて行かれる。

「不味いなぁ…」
と優平くんは呟く。

「行こうよ!優平くん!何とか夕方前で切り上げるから!!」
と私もお願いっと可愛くしてみると優平くんはあっさりと

「鈴さんがそう言うなら…ちょっとだけね」
と照れながら言う。やった!!
それから長いファミレスでの奥様劇場が繰り広げられた!

「うちの旦那ったらすぐオナラするのよ!」

「あら、うちも!若い頃なんてトイレ使うのも恥ずかしくてさ!今じゃ、お前臭いんだよ!って!」

「昔は排泄物でさえ愛しいとか言ってたのに旦那なんて歳とるとそうなるのよ!」

「ええっ!?優平くんもそうなっちゃう?」

「ならないよっ!!」

「あらー?なるわよぉ?」
ホホホと奥様達が笑い私も楽しくなる。
その時にカシャンとスプーンをテーブルの下に落としてしまった!!
し、しまった!早く拾わなきゃ!
と思うと

「僕が拾うよ」
と優平くんは落ちたスプーンを拾う為テーブルの下に潜る。その際に奥様の一人が

「あら、おほほほ!鈴ちゃん、お気をつけて?彼氏に下着見られちゃうわよおほほはほ!」
と言われてテーブルに思いっきりガツンと頭を打った優平くんがスプーンを拾って頭をさすり真っ赤になりながら出てきた。

「あら優平!鈴さんの下着どうだったの?」

「みみみ見てないよっ!!何言ってんだよ!!」
と赤くなる。

「絶対見たわよねー?」

「若いわねぇ!!」
と奥様達が反応を面白がり笑う。

「やめてよ!ほら!そろそろ時間ですっ!本当に失礼しますから!!」
と優平くんは急いで会計を済まし民代さんや私に小夜子お母様を連れて急いで外に出たのであった。奥様達の分もきっちり払っていったらしく、この後優平くんの株は奥様たちの間で上がったという。

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