封印から目覚めると鬼娘の私は陰陽師のお嫁になっていました

黒月白華

一緒に観ましょう

学校がようやく休日だと言って家にいる優平くん。
私はまだ嫁として何も出来ないままテレビで学習を続けていた。
だいぶ現代の物も覚えてきたし、今の学生がどのような言葉遣いなどをしているのも覚えてきた。

今日は民代さんが別の映画の恋愛学園モノDVDを借りて来てくれたので、優平くんに思い切って一緒に見れるか聞いてみた。

「えっ!?映画!?ああ、DVDか。…うーん、いいよ…。でも宿題があるしそれ終わってからでいい?」
宿題…。学校の先生から出されるヤツだ!私も画面の中とは言え結構覚えたもんだわ。

「は、はい!もちろんです!!終わったら一緒に観ましょう!」

「わ、わ判ったよ…」
と優平くんは宿題しに行った。
私もその間、漢字の書き取りを頑張った。きっとまだ私は小さい子供並みの頭なんだろうな…。

少し経った頃優平くんが

「終わったからいっ…一緒に観ようか…鈴さん…」
と私の部屋に来た。

「はいっ!!楽しみです!!」
と微笑むと優平くんが胸を抑えて

「ぐっ!…」
と言う。あれ?ドラマでもこう言うの最近見たかも?確か恋する女性徒が好きな人が登校してきた時にぐうっ!とか言って胸を抑えるやつ。
それに似てた。

優平くんはDVDをセットして再生する。

オープニングは子供の頃の二人が指切りして結婚の約束をするシーンから始まった。
それから数年後、田舎から都会の学校に転校してきた女の子は、いじめに遭い辛い日々を過ごす。

何だか自分のことを少し思い出す。石投げられると当然痛い。
転校生は教科書なんかをボロボロにされて泣いていると、数年前約束した彼が現れたが、彼は約束も彼女の事も忘れ去っていた。

「何で忘れるんですか!!酷いっ!可哀想!です!」
と私は思わず言うと優平くんは

「うん、そうだね…でも何か理由があるのかな?それともやっぱり幼過ぎて脳から消えちゃったのかも。人は古い記憶を忘れていくから」
と言う。どんな理由でも結婚の約束をしたのだ。

「私なら絶対に忘れません!!優平くんのお嫁さんになってと言う言葉も!!」
と言うと優平くんは真っ赤になり咳き込んだ。

「ゲホゲホ…」
と誤魔化すようにお茶を飲む。

「なのにこの男は酷い!あっ、別の女に呼ばれて行っちゃった!!酷い!」
女の子は1人で片付けていると今度は別の男子が手伝って拾ってくれる。ニヤリと女の子を舐め回すような視線で

『君…可愛いじゃないか?困ってるみたいだね?俺が助けてあげようか?』

『えっ!?いいです…拾ってくれたことはありがとうございます』
と明らかに嫌悪感を出して走り去った女の子を狙っている男の子に私はまた

「やめて!あの子が好きなのはあの酷い男なのに!」
と言いつつ興奮して角が出てくる。その様子に優平くんはぷっと笑う。

「優平くん?見てたよね?」

「うん…続きを観ようね」
と言われて見ていると…こそこそと女の子を呼び出す男の子。

『昨日はごめん…あの…覚えてるからっ!』
と赤くなり女の子も嬉しさで震えた。

『覚えてたのにどうして…』
と言うと男の子は

『あの時は他の女子が後ろで見ているの知ってたから咄嗟に他人のフリをしていたんだ!…許してくれる?』

『どうしよっかな?』
と言い、チラリと女の子が凝らしめるつもりでいうと女の子の顎を持ち、いきなり男の子はキスした。
きゃっ!大胆!ドキドキする。
チラリと優平くんを見ると優平くんもチラリと見て目が合って、パッと逸らされた。

ええ?

私は続きを見ると赤くなりながらも女の子は男の子を引っ叩いていた!!?

「えっ!?何で叩くの!?あの子男の子のこと好きなはずなのに!?」

「そりゃ驚いてつい手が出たんじゃ…」

「そ、そんな…」
もう男の子は傷付いた顔になり、そこに昨日のニヤケ男が現れて

『よぉ、親友…見てたぜ?この子お前のこと嫌いみたいだし俺が貰ってもいいよな?』
と言う。
えええ!?もっとあり得ない…。
そして男の子は…傷付きながらも

『嫌だ…』
と彼女の前にかっこよく立ち塞がりちょっと感動した。男の子は叩かれても女の子が昔と変わらず好きなのね。女の子も嬉しそう。

『こんな奴やめちゃいなよ…こいつ…君が転校してくるまでいろんな女と関係もってたんだから』
と言われ今度は女の子が傷付いた。

『本当なの?』

『出たら目だよ!信じて!言い寄る子はいたけど、俺断ったよ!?お前だけだよっ!』
と言う。

『焦ってバカじゃねーの?女ったらし!嘘つきが!』
と挑発してくるこのニヤケ男に腹が立つ。2人は間違いなく両想いなのに!

「何でこのニヤケ男は邪魔してくるんですか?」
と優平くんに言うと

「ええと…まあ、男の子に勝てなくてこの男の子から唯一大事な彼女を奪おうとしてるとしか…」
と言ったのでなるほどと思い続きを見る。

ニヤケ男と男の子は喧嘩になり騒ぎになり先生から散々叱られた。

帰りに男の子は女の子にまた謝り一緒にお祭りでハナビを見る約束をした。ハナビって何かな?と私も楽しみにしていて当日可愛い着物で現れた女の子と逸れないよう手を繋ぎ周る。
わぁ、今のお祭りってこんなのなんだ!!村のお祭りと全く違う!!そもそもお祭りの時私は村に入れなかった。こっそりと覗きに行くと明るい賑わいで太鼓が鳴って火の前でお酒を飲む男達が多かった。

続きを見ていると女の子にケイヒンというのをシャテキ?で取ってあげた男の子。一生大切にすると甘い空気になった。

そこでバーンと空に花が咲いた。

「これ…これが花火!?綺麗…」
画面越しでもこんなに綺麗な花が咲くなら本物はどのくらいだろ?

「う…すす鈴さん…花火…見たいの?」

「はい!!」

「そっか…夏になったら行こうか…。それまでちゃんと勉強進めておかないと周りから変な目で見られちゃうかもしれないね。

その角も伸びても見られないよう僕が術をかけてあげるよ、その時は…」
と言ってくれた。花火が見れる!!とワクワクしていたら男の子はまた告白して女の子も笑ってうなづいてキスをした。
後ろには花火でとても綺麗だと思った。

優平くんをチラリと見ると彼は照れている。
そうか…こういうのなんだ…?と私は思った。

「優平くんもこんな女の子好きですか?」

「えっ!!?いやあの…ぼぼ僕は…」

「花火観に行ったら私ともキスしてくださりますか?」

「ええっ!?流石に恥ずかしいよっ!これは映画で見栄えいいけど、実際こんな人の多いところでしないよっ!!してる人もいると思うけど、ぼ、僕は嫌だ!!するなら2人きりがいい!?見られたくないよっ!」
と赤くなる。

「そうなんですね…この花火が後ろにあって凄く綺麗だったので…」

「まぁ映画の見せ場だからね…」
でも優平くんは2人きりがいいと言ったし残念だけど花火を後ろにキスは諦めることになりそうだ。

続きを見ているとあのニヤケ男が家に来て女の子を押し倒していた。

えっ!!?何でそうなった!!?

女の子は抵抗するがついにニヤケにキスされ、そこを訪ねてきた男の子に見られてしまい男の子は誤解する。女の子はニヤケを殴り追いかけ事情を説明するけど男の子は許してくれないみたい。

「うっ!女の子無理矢理やられたのに…」
と涙が出そうになる。優平くんは静かにハンカチを渡してくれる。優しい。

結局女の子は心が傷付いたまま、すれ違いに過ごす2人…。わたしの胸がキュッと締め付けられる。痛いくらいだ。

「だ、大丈夫?かなり感情移入してるね?」

「優平くん!辛いよ!女の子可哀想…」

「……くっ!」
と優平くんはまた赤くなった。

続きを見ると気まずい2人は体育倉庫の片付けを命じられ、ニヤケ男も反省したのか2人を取り持とうとわざと鍵を閉めて出られなくなる。

最初は出られなくてなんとか脱出しようとする2人だけど、誰も来ないしどうしていいか分からなくて女の子はドキドキしながら男の子にまた謝り本当に好きだし、約束は守りたいと告げると男の子もようやく判ってくれて距離は縮まった。それから…あれ?
2人はキスを始めたけど何かいつものより長いし濃い。

優平くんは「不味い…!」と呟き、画面の前に立ち塞がり

「そっ…そろそろやまる?あんまり長くテレビ見てると目が疲れるよ!?」
と焦るけど無言でどいてと抗議すると優平くんは観念して退いた。

すると女の子は男の子にシャツの上から胸を触られていて女の子はそれを許していた。

『もう叩かない?』

『うん…好きっ…私の初めてをー…』
と言うところでテレビの電源を切られた!!

「優平くん!!」

「いやいや、鈴さん!この先は!!」

「ええ?やっと2人が結ばれるのに見ないの!?どうしてっ!?」

「ははは恥ずかしいことするから!!」

「それが見たいんです!」

「だっ…だめーー!」
と私と優平くんは喧嘩みたいになった。

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