いくじなし ③
18.留守
「たでーま、っと」
或る日。
所属する劇団の稽古を終え、星夜は、シェアハウスに帰宅した。
ガチャ、ガチャ
「鍵、掛かってんな。 て事は、二人共、外、出てんのか」
カチャリ
三つある鍵の内の一つで、星夜が、玄関のドアを開けると――。
「うぅ……おあ~!」
「は? おい、何で……?
ちょっ、瞳!? 拓児!?」
シーン……
「うっ、ひぐっ」
「マジかよ……うわ、メンドクセ」
「あー、うー」
「何だよ、分かんねぇよ……腹、減ってんのか?」
「あう、あうっ」
「あー……ミルクは、っと……」
台所で、朧気な記憶を頼りに、哺乳瓶と、粉ミルクを探す。
「あった、これだ。
何々、これを、沸騰さして、冷ます……?」
「うっ、うえっ」
「あー、もう、まだ熱いから、待てって……ほら」
「んく、んくっ」
「ふぅ」
「けぷっ」
「ん……」
「キャッ、キャッ」
満足したのか、赤ん坊は、スゥスゥと寝息を立てて、眠り出した。
「……………………」
『ねぇねぇ、お父さん!
文化祭で、おれのクラス、劇やるんだ!
おれ、主役に決まったから、見に来てよ!』
『私には、毎日、仕事がある。
お前のお遊戯会なんぞ、見に行く暇があるか』
『え……又……?』
『君。 息子の世話は、秘書の君に、一任してあるだろう?
私の手を、一々、煩わせるな』
『申し訳ございません、社長』
『じゃあな』
『あ……お父、さん……!』
『星夜様。
お父上は、貴方や、ご家族の為に、お仕事をなさっているのですよ』
『……はぁい』
「……あーあ。 だから、ガキは、嫌いなんだよ……」
或る日。
所属する劇団の稽古を終え、星夜は、シェアハウスに帰宅した。
ガチャ、ガチャ
「鍵、掛かってんな。 て事は、二人共、外、出てんのか」
カチャリ
三つある鍵の内の一つで、星夜が、玄関のドアを開けると――。
「うぅ……おあ~!」
「は? おい、何で……?
ちょっ、瞳!? 拓児!?」
シーン……
「うっ、ひぐっ」
「マジかよ……うわ、メンドクセ」
「あー、うー」
「何だよ、分かんねぇよ……腹、減ってんのか?」
「あう、あうっ」
「あー……ミルクは、っと……」
台所で、朧気な記憶を頼りに、哺乳瓶と、粉ミルクを探す。
「あった、これだ。
何々、これを、沸騰さして、冷ます……?」
「うっ、うえっ」
「あー、もう、まだ熱いから、待てって……ほら」
「んく、んくっ」
「ふぅ」
「けぷっ」
「ん……」
「キャッ、キャッ」
満足したのか、赤ん坊は、スゥスゥと寝息を立てて、眠り出した。
「……………………」
『ねぇねぇ、お父さん!
文化祭で、おれのクラス、劇やるんだ!
おれ、主役に決まったから、見に来てよ!』
『私には、毎日、仕事がある。
お前のお遊戯会なんぞ、見に行く暇があるか』
『え……又……?』
『君。 息子の世話は、秘書の君に、一任してあるだろう?
私の手を、一々、煩わせるな』
『申し訳ございません、社長』
『じゃあな』
『あ……お父、さん……!』
『星夜様。
お父上は、貴方や、ご家族の為に、お仕事をなさっているのですよ』
『……はぁい』
「……あーあ。 だから、ガキは、嫌いなんだよ……」
「いくじなし ③」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
3万
-
4.9万
-
-
5,039
-
2.5万
-
-
9,605
-
1.6万
-
-
1.2万
-
4.7万
-
-
8,076
-
5.5万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
1,247
-
8,347
-
-
162
-
146
-
-
9,268
-
2.3万
-
-
10
-
1
-
-
2,376
-
6,635
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
547
-
1,066
-
-
37
-
55
-
-
593
-
220
-
-
6,561
-
2.9万
-
-
30
-
10
-
-
134
-
227
-
-
386
-
438
-
-
1,564
-
2,745
「コメディー」の人気作品
-
-
9,864
-
1.4万
-
-
1,698
-
1,520
-
-
1,244
-
1,205
-
-
782
-
1,517
-
-
694
-
806
-
-
653
-
670
-
-
599
-
1,440
-
-
263
-
82
-
-
252
-
74
コメント