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わたしの祈りは毒をも溶かす!

鼻血の親分

49話 わたしの祈りは毒をも溶かす!⑯

 イービルは改心して中毒者に献身的な看病を続けていた。でも、お母様やお父様、伯爵様、リュメル様は阿片抜きの後も不服の様相を呈している。全く反省していないのだ。

「ねぇ、とっとと裁判でもしておくれよ」
「そうだ。いつまでここに縛り付けておくんだ」
「儂は伯爵だぞ。罪人とはいえ、それ相応の待遇があって然るべきだろう」
「ゲーニウス、お父様やジョイコブ夫妻の仰る通りだ。そもそもお前に何の権限があるのだ? もっと上の者を呼んでこいよ!」

 兄上さまが地下で収容人の取り調べを行なっていた時のことだ。

「そうですか。だが俺は上の者から取り調べを一任されてるんでね。……不服でしょうが」
「不服もいいところだ。これ以上、お前如きに協力する気はない」
「仕方ない。上の者は直ぐ近くにおられるので呼んできましょう」
「ゲーニウス、近くに居るって誰だ?」
「おいおい、まさか楽団もどきの先生ではないだろうな?」
「あら、伯爵様、キース先生は騎士団か何かの隊長でしょ? ゲーニウス、そんな下っ端じゃなくてさ、もっと上よ。そうね、せめて公爵クラスをお呼びなさい。私たち、貴族ですから」

 先生に連れられたわたしはイービル、モッペルと共に四人の容態確認のため、地下へ降りてきた。大方の取り調べが済んでるとのことで、三宝の山や伯爵邸の現場検証に行けるかの判断が必要だったのだ。

「あぁ、丁度此方へいらっしゃいました」

 一同は先生を見て落胆、或いは怒りの表情を見せる。

「だーかーらー、ダンスの先生じゃなくてー!」

 そんな苛立ちの表情を無視して先生は縄で括られた四人の前に立つ。

「オリビア、どうだ? 外へ出しても良いか?」
「はい。もう大丈夫です」
「ねぇ、キース先生ン。貴方って何の役職なの?」
「ん? ご夫人、僕は諜報機関の責任者ですが?」
「責任者? 貴方って貴族? 何? 男爵?」
「ははは……まぁ、そんなところだろうな。おい、我々を取り調べするんなら公爵くらい呼んできなさい。男爵隊長殿?」
「おーほほほほほほ……!」

 四人に笑みが溢れた。勝手に男爵だと決めつけている。階級では子爵、伯爵は断然上だから馬鹿にしてる様だ。捕まった恨みも拍車をかけていた。

 と、そこで兄上さまが静かに口を開く。その口元は薄笑いを浮かべていた。

「この御方は男爵ではない」
「はいぃ? じゃあ平民ですか? それはいくら何でも我々に失礼じゃないかー?」

 兄上さまは呆れた様子で大きくため息を吐いた。

「ふっ、キース様はこの国の王太子であられる。……次期、国王陛下だ!」

 一瞬、時が止まった。

 え? 先生って……王族? 王太子!?

「……なっ、何の冗談だ? ゲーニウス?」
「そ、そんなわけがないだろう。……ははは」
「そうだよ、ははは」

 四人が、いえ、ここに居る全員がキース先生に注目した。彼は軍服のマントを脱ぐ。そこには王族の証であるグレーの制服に金で統一された肩章の装飾や胸の勲章、牡丹が眩しく光っている。紛れもない王太子の出で立ちであった。

「皆さんに申し遅れた。僕は第一王子のノルトハイムだ。諜報機関のトップでもある」
「う…うそ?」
「し、信じられない……」
「な、な、何で殿下がこんな片田舎に居るんだ? 楽団員装ってまでこんな地方を探ってたんだ……?」
「僕はこの国から犯罪を無くすために働いてる。フレディ伯爵、君は違法薬物で不当な利益を得た。また薬物によって人々を奴隷化した。許されることではない」
「……は……も、申し訳ございません」
「その副官であるジョイコブ子爵も同罪だ」
「は、ははーーっ!」

 四人は地面に頭を擦りつけ平伏したーー

















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