わたしの祈りは毒をも溶かす!

鼻血の親分

48話 わたしの祈りは毒をも溶かす!⑮

「オ、オリビア……はぁはぁ、祈るとは何だ?」
「そうだ、それより阿片をくれ。死にそうだよ」
「お父様、リュメル様、それにフレディ伯爵様、わたしのお祈りで阿片抜きを行います。三、四日で治してみせます」
「ふん、何をふざけたことを。そんなこと信じられるか、阿片がないと直ぐ廃人になってしまうわ!」

 お母様に加えてこの三人も監禁部屋へ収容された。わたしは意識を集中させ祈りを捧げる。

「ううっ、痛いじゃないかっ! カラダのあちこちに激痛が走る! や、やめろ、オリビア……祈りなんかより阿片を……阿片を持ってこい!」
「この三人は特に中毒が酷い様だな。だが、耐えるしかない」
「はぁはぁ……キースとやら……貴様、さっきから偉そうに……たかが諜報の隊長如きが……」
「そうだ。何がダンスの先生だよ。騙しやがって」

 縄で括られてる伯爵や令息が先生に歯向かおうとした。すると兄上さまが先生を庇う様に前へ立つ。

「大人しくしろ!」
「黙れ、ゲーニウス、お前は儂に逆らう反逆者だ! やはり王宮のスパイだったのか!」
「フレディ伯爵にリュメル令息、俺はアンタらの配下ではない。そしてお父様、貴方は子爵家の当主として失格だ。一生監獄で暮らすがよい」
「くっ……ゲーニウス、お前を後継者として大切に育てたのが間違いだったかな……いや、結果が全てだ。今となってはそれが正解だったのかもしれん」
「俺を阿片から遠ざけてくれたことは貴方の配慮だと感謝する。それはある意味、正解だ。薬物で民を奴隷化する様な領主にはなりたくなかったんでね」
「……お前にジョイコブ家を託す。好きにしろ。どうせ私らは廃人になるんだ」
「そう簡単に廃人にはさせませんよ。罪を償って貰いますから」
「はぁはぁ、そう言えば少し楽になってきた……」

 一心不乱にお祈りしたことで三名は次第に口数が減り、ついに気を失った。


 それから三日三晩ひたすら祈り続ける。次第にカラダの毒が浄化されていくのが見えてきた。何より彼らは食欲が出てきたのだ。それと同時にわたしの体力も限界に近づいていた。

「オリビア様、少し休みましょう。もう大丈夫かと思います。あとはお医者様にお任せしましょう」
「モッペル、他に重症の人はいないの?」
「あ、いや、それは……」
「いるのね。そこへ案内して……」

 と、立ち上がった瞬間、目眩がしてその場へ倒れ込んでしまった。

「オリビア様! ああっ、無茶し過ぎだよ。ベッドへ運びますからね。ひとまず眠ってください」

 わたしは疲れ果て、深い眠りについた。























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