わたしの祈りは毒をも溶かす!

鼻血の親分

46話 わたしの祈りは毒をも溶かす!⑬

 イービルや使用人らの中毒はどうにか抜けた様だ。食欲があり体力も回復している。

「ねえ、モッペル。お姉様は?」
「はー、もうてんやわんやだよ、三宝の山からも沢山来たからねぇ!」
「えっ? じゃあ陥落したの? 信じられない! もしかしてお母様も捕まったとか?」
「ええ、禁断症状が激しいから大変ですよ。あ、イービル様、それに使用人たち、もう調子良いようだし、ちょっとお手伝いしてくださいな」
「……う、うん。そうね。縛られてるのも嫌だし」

 ホールには多くの労働者が兵士に監視されながら集められていた。その奥のサロンではお母様含め、禁断症状の酷い人々が隔離されている。

 時折、悲鳴の様な断末魔の叫びが聞こえてくる。阿片中毒の末期とも言える状況に兵士らも動揺していた。

 暴れない様に縄で拘束されたお母様たちに一定の距離を保ってわたしはお祈りを捧げる。

「おいオリビア、そんなのいいから阿片をっ、お願いだから阿片をーーっ!」

 そこへイービルが現れた。

「お母様……」
「ああっ、イービル、いいところに! 早く阿片を持って来て、もう気が狂いそうだわっ!」
「お母様、今は苦しいけどお姉様なら治してくれるわ。ね、我慢して」
「はぁー? アンタ吸ったんでしよう。だからそんなに元気なんでしょうが!」
「違うの。お姉様に阿片抜きして貰ったの。お祈りして助けて貰ったのよ」
「何がお祈りよ、馬鹿馬鹿しい。そんなんで治る訳ないじゃない!」
「いいから、お姉様を信じて……」
「アンタ、一体どうしちゃったのよ!? あーー、苦しいっ、死にそうだ! 阿片を、阿片をくれーー!」

 お母様の中毒は激しかった。家族の中でもキャリアが一番長いに違いない。それだけに治すには時間がかかると思う。

 でも集中して祈りを続けていくうちに叫び声が聞こえなくなってきた。重度の禁断症状が落ち着いたのだ。モッペルやイービルの時と同様、皆んな首をうなだれ気絶した。

 よし、ひとまず乗り越えた!

 だけどわたしは度重なる集中力に疲れが溜まり、ふらふらだった。休まなければ良いお祈りを続けることは出来ない。

「オリビア様、少し休みましょう。お部屋のお布団を取り替えておきました。あ、それともお食事なさいますか?」
「ありがとう、モッペル……お水頂けない?」
「はい、どうぞ」

 差し出してきたのはイービルだった。

「イービル……」
「お姉様、ゴメンなさい。これまでのこと許して貰おうなんて思ってないけど……それでもこんな私を助けてくれた。ありがとう。も、もし牢屋から出ることができたら……ううっ、また私のお姉様になってください……うっ、うっ、うわーん!」
「イービル、もういいよ。裁きに従って罪を償ったらまた会おうね。だって貴女はたった一人の妹なんだもん」
「お姉様ーー!」

 わたしは妹を許すことにした。










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