わたしの祈りは毒をも溶かす!

鼻血の親分

35話 わたしの祈りは毒をも溶かす!②

「オリビア様、おはようございます。朝食です」

 いつもの如くモッペルに起こされた。一瞬、ここがどこだか忘れている。キョロキョロしながら暫くぼぉーっとした。

「ここってパン屋さんなんだね。美味しいパンとスープ持ってきたからねー」

 とてもいい匂いがする。

「あー、あー?」
「うん? 楽団の人が変装してやってるんだって」

 焼きたての芳ばしい香りに思わず口へ頬張った。

 おいしいっ!

「あら、食欲あるじゃない。禁断症状は治った様だね。すごい回復力だ。普通二、三日は食欲もなく廃人みたいになるのにねぇ。先生も戻られたから報告しないと」

 モッペルは何やら嬉しそうだ。いつもの笑顔にわたしもホッとする。

 食べ終わった頃、先生がお部屋に来られた。

「オリビア、大丈夫か?」
「あー……」
「声がまた聞こえないみたいですよ」
「そうか。阿片の所為せいだな。では紙とペンを用意しないと」
「禁断症状はもう大丈夫。すごい食欲だから」
「それは一安心」
「それより先生。正直に言うとアタシ、阿片中毒なんだよね。そろそろクスリが切れそうなんだ。そしたら暴れるし大声出すかもしれない。何処かで縛ってくれない?」
「いいのか、モッペル?」
「子爵家に戻ってもどんな仕置きが待ってるか分からないし、アタシはオリビア様の侍女だからお側でちゃんと世話したいんだ」
「症状から抜け出すのはかなり辛いぞ?」
「だから、お願いしてるのさ。アタシを監禁しなかったら阿片欲しさにお屋敷戻って奥方様に何もかもバラす様になるよ?」
「……分かった。地下室がある。大声出しても外には漏れないだろう」
「ありがとう。じゃあオリビア様、暫くお世話出来ないからゴメンなさい。良くなったらまた宜しくねー」

 そう笑顔を見せた彼女は先生の案内でお部屋から出て行った。

 何の会話なのか分からない。一人ぼっちになってちょっと不安に感じた。

 むーん。退屈だなあ……

 窓から街並みの景色を眺めてみる。

 五階くらいかな? いい景色だ。まさかわたしがここに居るなんて誰も想像出来ないよね。

「オリビア?」

 物思いに耽っていると先生が戻ってきた。紙とペンを持っている。

『モッペルは禁断症状が出そうだから、地下室に監禁した。楽団員が面倒みる。知り合いの医者も呼んだから心配しなくていい。』

 そっか。モッペルも中毒だもんね。わたしはどうお祈りすれば良いのか分からないけど彼女を救ってやりたい。楽にしてあげたいよ。

『後で案内して下さい。お祈りしようと思います』

「うむ、それは良い」と先生はうなづく。そしてさらに筆談が続く。

『此処は僕の秘密の拠点だ。一階でパン屋を営み、後は執務室や倉庫、居住の部屋がある。五階まであって全ての住民は僕の仲間だ。ゲーニウスの部屋もある。だから安全な場所だ。心配いらない。』

『先生ありがとうございます。また音が聞こえないのでご面倒おかけします。あれから知り得た情報は子爵家の地下にある倉庫に阿片が隠されています。でも鍵はお母様がお持ちで確認出来てません。』

「なるほど」

『伯爵邸にも大量の阿片がある。子爵家同様、僕はこれから総力を上げて叩き潰すつもりだ。』

 先生って何者ですか? 聞いてもいいのかなぁ……?

 










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