わたしの祈りは毒をも溶かす!
28話 また聞こえてます。特殊能力だなんて…⑨
一瞬、辺りは静まり返った。イービルは目を丸くして驚いている。いえ、モッペルも護衛の者もわたしが言葉を発したことに愕然とした。
「し、喋った……また、喋った」
「オリビア様……貴女、聞こえてたの?」
「ええ、聞こえてるよ」
「お姉様……ふふふ、やるじゃない。とんだお荷物令嬢だったのね」
「アタシを騙してたのですか? オリビア様」
「モッペル、黙っていてごめんなさい。でも完全に治った訳ではないの。わたしは断片的に聞こえるようになっただけで、いつ元へ戻るか予測がつかない。だから、聞こえてるうちに言わせて貰います」
「ほぉ~ん。何が仰りたいの、お姉様?」
「子爵家は阿片に塗れてるわ。阿片で人を従わせている。全て間違ってると思う」
「なーるほどー。で、王宮にでも密告するおつもり? 言っとくけどお姉様も子爵家の一員ですわよ。やってないって言い逃れ出来ないからね?」
そこへドタドタと大勢の足音が聞こえてきた。お母様が監禁部屋へ向かってるのだろう。
そういえば、わたしの耳は聞こえたままだ。以前、言葉を発して間もなく雑音に変化したけどまだ聞こえてる。これが兄上さまの言ってた進化ってことなのかな?
程なく、血相を変えたお母様が現れた。
「オリビア、また喋ったって?」
「お母様! お姉様はやはり騙してたのです。こともあろうか王宮に密告するため、倉庫で阿片を探してました。如何がしますか?」
「阿片を? 貴女、モッペルと三宝の山にも行ってたそうじゃない。誰の指示で動いてるの? 言いなさい!」
ここで兄上さまやキース先生のことを話す訳にはいかない。
「……お母様、誰の指示でもありません。わたしが子爵家のことを勝手に調べていたのです」
「そう、惚けるつもりね。分かったわ。イービル、例のモノを準備しなさい」
「はい。やはりお姉様も洗礼が必要なのね。これで正式な子爵家の一員よ。ホホホホホ!」
せ、洗礼? 一体なに?
「仕方ない。貴女が正直に話してくれないからね。これまで障害者だから気遣ってたのにねぇ」
ま、まさか……!?
妹は何やら異臭のするキセルを持ってきた。ランプの火であぶり煙が立っている。
「さぁ、オリビア。貴女も阿片の味を覚えなさい。子爵家の洗礼よう」
「ひぃぃっ!」
「おい、押さえ込め!」
護衛の者たちがわたしを羽交締めにする。そしてイービルの手で鼻を塞がれた。
い、息が……、苦しい、苦しいよう。
「さぁお姉様、我慢しないで吸いなさい」
口にキセルを突っ込まれる。
い、嫌だ、やだ、やだ!
「息しないと死ぬわよ、さぁさぁ、さぁーー」
「うぅぅ……ぅ……ぅ」
どうしようもなく息を、いえ阿片を吸い込んでしまった。でもイービルは一回で許してくれない。何回も何回も吸わざるをえなかった。わたしは強制的に阿片を吸わされたのだ。
「もういいでしょう、イービル」
「ふんっ!」
護衛の者の手が離れ、イービルがわたしを突き飛ばす。
「これでお姉様も阿片中毒ね。私には逆らえないのよ。ホホホホホホホホ……!」
「オリビアは此処に監禁します。モッペル、アンタも本来ならクビにしたいところだけど、特別に許してあげるわ。彼女の面倒みなさい。いいこと?」
「は、はい。かしこまりました」
うつ伏せになって涙がたくさん溢れた。腹が立って嗚咽もした。わたしは正義感ある兄上さまやキース先生のお役に立ちたかっただけ。
それがまさか、まさか自分が阿片の餌食になろうとはーー
「し、喋った……また、喋った」
「オリビア様……貴女、聞こえてたの?」
「ええ、聞こえてるよ」
「お姉様……ふふふ、やるじゃない。とんだお荷物令嬢だったのね」
「アタシを騙してたのですか? オリビア様」
「モッペル、黙っていてごめんなさい。でも完全に治った訳ではないの。わたしは断片的に聞こえるようになっただけで、いつ元へ戻るか予測がつかない。だから、聞こえてるうちに言わせて貰います」
「ほぉ~ん。何が仰りたいの、お姉様?」
「子爵家は阿片に塗れてるわ。阿片で人を従わせている。全て間違ってると思う」
「なーるほどー。で、王宮にでも密告するおつもり? 言っとくけどお姉様も子爵家の一員ですわよ。やってないって言い逃れ出来ないからね?」
そこへドタドタと大勢の足音が聞こえてきた。お母様が監禁部屋へ向かってるのだろう。
そういえば、わたしの耳は聞こえたままだ。以前、言葉を発して間もなく雑音に変化したけどまだ聞こえてる。これが兄上さまの言ってた進化ってことなのかな?
程なく、血相を変えたお母様が現れた。
「オリビア、また喋ったって?」
「お母様! お姉様はやはり騙してたのです。こともあろうか王宮に密告するため、倉庫で阿片を探してました。如何がしますか?」
「阿片を? 貴女、モッペルと三宝の山にも行ってたそうじゃない。誰の指示で動いてるの? 言いなさい!」
ここで兄上さまやキース先生のことを話す訳にはいかない。
「……お母様、誰の指示でもありません。わたしが子爵家のことを勝手に調べていたのです」
「そう、惚けるつもりね。分かったわ。イービル、例のモノを準備しなさい」
「はい。やはりお姉様も洗礼が必要なのね。これで正式な子爵家の一員よ。ホホホホホ!」
せ、洗礼? 一体なに?
「仕方ない。貴女が正直に話してくれないからね。これまで障害者だから気遣ってたのにねぇ」
ま、まさか……!?
妹は何やら異臭のするキセルを持ってきた。ランプの火であぶり煙が立っている。
「さぁ、オリビア。貴女も阿片の味を覚えなさい。子爵家の洗礼よう」
「ひぃぃっ!」
「おい、押さえ込め!」
護衛の者たちがわたしを羽交締めにする。そしてイービルの手で鼻を塞がれた。
い、息が……、苦しい、苦しいよう。
「さぁお姉様、我慢しないで吸いなさい」
口にキセルを突っ込まれる。
い、嫌だ、やだ、やだ!
「息しないと死ぬわよ、さぁさぁ、さぁーー」
「うぅぅ……ぅ……ぅ」
どうしようもなく息を、いえ阿片を吸い込んでしまった。でもイービルは一回で許してくれない。何回も何回も吸わざるをえなかった。わたしは強制的に阿片を吸わされたのだ。
「もういいでしょう、イービル」
「ふんっ!」
護衛の者の手が離れ、イービルがわたしを突き飛ばす。
「これでお姉様も阿片中毒ね。私には逆らえないのよ。ホホホホホホホホ……!」
「オリビアは此処に監禁します。モッペル、アンタも本来ならクビにしたいところだけど、特別に許してあげるわ。彼女の面倒みなさい。いいこと?」
「は、はい。かしこまりました」
うつ伏せになって涙がたくさん溢れた。腹が立って嗚咽もした。わたしは正義感ある兄上さまやキース先生のお役に立ちたかっただけ。
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