わたしの祈りは毒をも溶かす!
27話 また聞こえてます。特殊能力だなんて…⑧
妹のイービルが警護の者二人を連れて入り口で立っていた。腕組みしてわたしを見据えながら。
「イ、イービル様!」
「モッペル、どういうことかしら?」
「いやぁ……その……」
妹は控えてる警護の者に顎をしゃくって命令する。
「おい、この不審者二人を監禁部屋へ連れて行きなさい。それからお母様を呼んできて頂戴」
「か、監禁部屋だなんて、勘弁してください」
「うるさい! 申し開きはそこで聞く!」
屈強の警護の者に腕を掴まれ、わたしとモッペルは再びあの部屋へ連れて行かれた。
しまった、どうしよう。まさかこのタイミングで妹が来るなんて思わなかったよ。何のために地下に行ったのか尋問される。でも感づいてるんじゃないの? 阿片を探してたって。
もはや言い逃れはできないな。
見覚えのある監禁部屋へ押し込まれた。そしておもむろに……
バチーーンッ!
妹から強烈な張り手を喰らう。一瞬、目の前が真っ暗になりキラキラと星の光りが見えた。頭がぼぉーっとしてクラクラする。
「ふん、この前の仕返しよ! お荷物令嬢の分際で私に張り合おうなんてあり得ないから!」
「ちょっと、イービル様! 乱暴はいけません」
「あん? モッペル、私はコイツに殴られたのよ。殴り返すのは当然だわ。だいたいお前ら地下の倉庫で何してたのよ? 正直に言いなさい」
「それは……」
「阿片を探してたのでしょう?」
「いえ、ただアタシはオリビア様が退屈と思ってどこか行きましょうとお誘いしたのです。そしたら筆談でお屋敷の中を探検したいと仰るので……」
「それで、何で地下の倉庫なのよ?」
「何となく、地下から始めようと思って……」
「本当のこと言わないと阿片あげないよ。阿片抜きって苦しいの知ってるでしょう? ふふん、頑張ってねえ」
「イービル様、本当なのです。まさか此処に阿片があるなんて知りませんでした。だからどうか阿片抜きだけはお許しください!」
モッペルは庇っている。地下に行きたいって要望したのはわたしなのに。
「そう。あくまでも私に嘘をつくのね。……では、これは何かしら?」
「えっ?」
妹がクシャクシャになった小さな紙切れを取り出し、目の前で広げて見せた。
『先生にしっかりとダンスを習え。夜は意識を集中させてお祈りしろ。俺を見習えよ。お前は妖精みたいで可愛いな。』
あっ、それは兄上さまと筆談した紙だ。無くしたと思ってた。でも何でイービルが持ってるの?
「イービル様、その筆談は?」
「ふん。全くコミニュケーション取ってない風の兄妹が、密かに仲良しだったのよ。流石は血を分けたお二人だこと」
「特に怪しい感じは見受けられませんが?」
「馬鹿ね。これは多分二人しか分からない暗号だよ。だって阿片に染まってないのは二人だけだから何か怪しいこと考えてるに決まってるわ」
なるほど。お察しがいいわね。そこまで推理してるなら、もういい。試してみるか。
睨みつけたまま視線を逸らさないイービルに向かって静かに深呼吸する。そして……
「わたしが地下へ行こうって誘ったの。だからモッペルは悪くないわ。責めるならわたしを責めなさい。イービル!」
そう言葉を口にした。
「イ、イービル様!」
「モッペル、どういうことかしら?」
「いやぁ……その……」
妹は控えてる警護の者に顎をしゃくって命令する。
「おい、この不審者二人を監禁部屋へ連れて行きなさい。それからお母様を呼んできて頂戴」
「か、監禁部屋だなんて、勘弁してください」
「うるさい! 申し開きはそこで聞く!」
屈強の警護の者に腕を掴まれ、わたしとモッペルは再びあの部屋へ連れて行かれた。
しまった、どうしよう。まさかこのタイミングで妹が来るなんて思わなかったよ。何のために地下に行ったのか尋問される。でも感づいてるんじゃないの? 阿片を探してたって。
もはや言い逃れはできないな。
見覚えのある監禁部屋へ押し込まれた。そしておもむろに……
バチーーンッ!
妹から強烈な張り手を喰らう。一瞬、目の前が真っ暗になりキラキラと星の光りが見えた。頭がぼぉーっとしてクラクラする。
「ふん、この前の仕返しよ! お荷物令嬢の分際で私に張り合おうなんてあり得ないから!」
「ちょっと、イービル様! 乱暴はいけません」
「あん? モッペル、私はコイツに殴られたのよ。殴り返すのは当然だわ。だいたいお前ら地下の倉庫で何してたのよ? 正直に言いなさい」
「それは……」
「阿片を探してたのでしょう?」
「いえ、ただアタシはオリビア様が退屈と思ってどこか行きましょうとお誘いしたのです。そしたら筆談でお屋敷の中を探検したいと仰るので……」
「それで、何で地下の倉庫なのよ?」
「何となく、地下から始めようと思って……」
「本当のこと言わないと阿片あげないよ。阿片抜きって苦しいの知ってるでしょう? ふふん、頑張ってねえ」
「イービル様、本当なのです。まさか此処に阿片があるなんて知りませんでした。だからどうか阿片抜きだけはお許しください!」
モッペルは庇っている。地下に行きたいって要望したのはわたしなのに。
「そう。あくまでも私に嘘をつくのね。……では、これは何かしら?」
「えっ?」
妹がクシャクシャになった小さな紙切れを取り出し、目の前で広げて見せた。
『先生にしっかりとダンスを習え。夜は意識を集中させてお祈りしろ。俺を見習えよ。お前は妖精みたいで可愛いな。』
あっ、それは兄上さまと筆談した紙だ。無くしたと思ってた。でも何でイービルが持ってるの?
「イービル様、その筆談は?」
「ふん。全くコミニュケーション取ってない風の兄妹が、密かに仲良しだったのよ。流石は血を分けたお二人だこと」
「特に怪しい感じは見受けられませんが?」
「馬鹿ね。これは多分二人しか分からない暗号だよ。だって阿片に染まってないのは二人だけだから何か怪しいこと考えてるに決まってるわ」
なるほど。お察しがいいわね。そこまで推理してるなら、もういい。試してみるか。
睨みつけたまま視線を逸らさないイービルに向かって静かに深呼吸する。そして……
「わたしが地下へ行こうって誘ったの。だからモッペルは悪くないわ。責めるならわたしを責めなさい。イービル!」
そう言葉を口にした。
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