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わたしの祈りは毒をも溶かす!

鼻血の親分

21話 また聞こえてます。特殊能力だなんて…②

「オリビア、改めて身の回りの物をオーダーしに行くから街へ出掛けなさい。モッペル、頼んだわね」
「かしこまりました。さ、お嬢様参りましょう」

 聞こえないフリしてニコニコする。

 伯爵邸のお泊まり用ね。この前、馬車の事故があって行けなかったヤツだ。気は進まないけど街へ出られるなんて数年ぶりかなぁ。

 少々浮かれた気分でエントランスホールから出て行く。花壇に囲まれた石畳みのロードを歩いていたら突然『シュンッ』と音が聞こえた。

 えっ?

「あっ、危ない、オリビア様……!」

 ーーガッシャーーンッ!

 ひぃっ!

 目の前に花瓶が落ちてきたのだ。屋敷の屋上から落下したものだと推測される。誰かが故意に落としたとしか思えないタイミングだった。間一髪で直接の被害は無かったけど、頭にでも当たれば死んでたかもしれない。

「何てことを!?」

 モッペルが屋上を見上げるけど人影は無い。恐らくイービルの仕業だと思うけど、使用人のヘクセは解雇したから別の使用人なのか?

「オ、オリビア様、お怪我はございませんか?」

 ガラスの破片が飛び散っていたけど何故かわたしは無傷だった。兄上さまの魔力でガードされてるのだろう。

「お気をつけください。まだイービル様は貴女を狙ってますよ。全く、信じられない娘ね!」
「あー、あー」

 わたしは大丈夫だよって手を振って表現した。

「そう。じゃアタシ、馬車へ先回りしますね。また暴走したら大変だから」

 モッペルが急いで馬車へ向かう。わたしはいつまでも屋上を見上げていた。すると人影が見える。ちらりと此方を伺ってる様だ。その姿は紛れもない妹だった。

 イービルね。貴女が直接手を下したのか。そんなにわたしが憎い? 叩いたことがよっぽど気に食わないみたいだけど自業自得だからね。
 
 妹を睨みつけて、ぷんっと前を向いて歩く。

 馬車は二台用意されていた。わたしはモッペルと乗車して、後ろの馬車には護衛の者四人が乗り込む。そして何事もなく出発した。

「あーあ、最悪だね。イービル様は。あ、そうだ。アタシねぇ、オリビア様付きの侍女に任命されたの。宜しくね」

 そうなんだ。よろしく、モッペル。

 何でも、伯爵様の愛人になるので専属の侍女を付けたらしい。別にいいんだけど。それにしてもモッペルはよく喋る。妹の悪口を永遠と喋ってる。いい加減、愛想笑いで応えるのも辛いよ。全部聞こえてるからね。

 やがて、数年ぶりの街へ到着した。お洋服屋さんなんて記憶が無いくらい久しぶりだ。生地を選んでサイズを測り、お紅茶を頂きながら一休みする。それから靴屋さんへ向かった。

 街を歩いてると人通りも多く、護衛の者が四方を囲くガードしていた。特に危険は無いと思うけど、人々の様子がどこかおかしく感じる。顔色も悪いし、わたしたち一行を恨めしそうに眺めていた。

 一応、領主の娘だけど恨まれてるのかなぁ?

「オリビア様、気をつけてください。ここらの民は皆んな阿片中毒なのです。アタシらが子爵の者だと分かってるから、おこぼれが欲しいのでしょう」

 民が阿片中毒ですって!?

「御主人様は阿片で民をコントロールしてるのさ。アタシもだけどね。ったく、そう簡単に手に入らないんだよ。おい、こっち見るな! シッシッ!」

 距離を保ってついて来る人々を、邪気を払うかの如く追い払おうとする彼女を見て、その中心に居る自分が何か悪いことをしてる様な気分になった。







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