わたしの祈りは毒をも溶かす!
18話 ああっ、聞こえなくなってる!⑤
「どういうことだ、奥方? 命を狙われたと記してある。そのショックで一瞬だけ音が聞こえたと彼女は主張してるが……」
紙を見たガレッタ先生は不審に思い、お母様に問いただした。
「あ、あれは事故よ! 私が娘の命を狙ったって言うの? 被害妄想も甚だしいわ!」
お母様は「わー、わー」と騒がしい。
「先生、もうその話はいいから。で、そんなことってあり得るの?」
冷静なイービルが質問する。
「聞いたことはない。が、本人がそう主張してるんだ。儂はオリビアを信じたい。この娘は幼い頃から診てきた。ココロの優しい娘だと知っとるからな」
「分かりました、先生。お手数お掛けしました。息子の治療を引き継ぎお願いしますね」
ガレッタ先生が監禁部屋から出て行く。お母様と妹は、わたしの主張に納得されたのでしょうか? でも二人はこそこそとお話してる。とてもそうは思えない。
やがて、見知らぬ二人組が入って来た。一風変わった出立の男性だ。
「じゃあオリビア、これから二人のお話を聞いて頂戴。私らは席を外すから……」
「とても面白いお話よ。お姉様、遠慮なく楽しんでねぇ……うふふ」
突然現れた二人組を残してお母様とイービル、それに護衛の者が出て行く。でも扉は開けたままだ。わたしを遠くから監視してる様に思えた。
後で知ったことだが、演芸を生業とする芸人がわたしの前で面白いお話を披露して笑うかどうかを試していたのだ。笑えば聞こえてると。
でも見知らぬ二人組がいくら楽しそうなお話をされても全く雑音にしか聞こえないわたしは、笑いようも無くどちらかと言えば苦痛な時間だった。早く終わってよーー、と思って笑うどころじゃない。
そんなわたしの無反応さを見て、お話が尽きた芸人さんは頭をうな垂れて監禁部屋を後にした。
「オリビア、アンタ本当に聞こえてない様ね。ここへ呼ぶ前に私も二人からお話聞いたけど大笑いしたわ。でもアンタは全く笑わなかった」
「お母様、ではお姉様の言うことを信じると?」
「そうね。その方が子爵家にとっても都合がいいわ。この娘は何も知らない。……オリビア、釈放するわね」
「待って、まだ安心出来ないよ。また突然聞こえる様になるかもしれない」
「イービル、かと言っていつまでも監禁出来ないわ。この娘は伯爵様に献上する大切な物だからねぇ」
「じゃあせめて一発叩かせてよ! 叩いたくらいで傷が残る様なことにならないから!」
「ダメ。そもそも貴女、モッペルが目撃してるのよ。あれは事故じゃない。へクセも口を割ったわ。全て貴女がやらせたことだって。まぁ表に出すつもりはないけどね」
「お、お母様……知ってたの?」
「オリビアをどう憎んでるのか知らないけど、大切な物に手を出していけない。それにゲーニウスが大怪我したのよ。反省しなさい」
「……くっ」
状況が掴めないけど鬼の形相で妹がわたしを睨んでいる。その目に薄らと涙が滲んでるのが見えた。それがもの凄く悔しい表情へ変わっていく。
「ふんっ!」
イービルが怒りに震えながら出て行った。そしてわたしも監禁部屋から釈放された。
紙を見たガレッタ先生は不審に思い、お母様に問いただした。
「あ、あれは事故よ! 私が娘の命を狙ったって言うの? 被害妄想も甚だしいわ!」
お母様は「わー、わー」と騒がしい。
「先生、もうその話はいいから。で、そんなことってあり得るの?」
冷静なイービルが質問する。
「聞いたことはない。が、本人がそう主張してるんだ。儂はオリビアを信じたい。この娘は幼い頃から診てきた。ココロの優しい娘だと知っとるからな」
「分かりました、先生。お手数お掛けしました。息子の治療を引き継ぎお願いしますね」
ガレッタ先生が監禁部屋から出て行く。お母様と妹は、わたしの主張に納得されたのでしょうか? でも二人はこそこそとお話してる。とてもそうは思えない。
やがて、見知らぬ二人組が入って来た。一風変わった出立の男性だ。
「じゃあオリビア、これから二人のお話を聞いて頂戴。私らは席を外すから……」
「とても面白いお話よ。お姉様、遠慮なく楽しんでねぇ……うふふ」
突然現れた二人組を残してお母様とイービル、それに護衛の者が出て行く。でも扉は開けたままだ。わたしを遠くから監視してる様に思えた。
後で知ったことだが、演芸を生業とする芸人がわたしの前で面白いお話を披露して笑うかどうかを試していたのだ。笑えば聞こえてると。
でも見知らぬ二人組がいくら楽しそうなお話をされても全く雑音にしか聞こえないわたしは、笑いようも無くどちらかと言えば苦痛な時間だった。早く終わってよーー、と思って笑うどころじゃない。
そんなわたしの無反応さを見て、お話が尽きた芸人さんは頭をうな垂れて監禁部屋を後にした。
「オリビア、アンタ本当に聞こえてない様ね。ここへ呼ぶ前に私も二人からお話聞いたけど大笑いしたわ。でもアンタは全く笑わなかった」
「お母様、ではお姉様の言うことを信じると?」
「そうね。その方が子爵家にとっても都合がいいわ。この娘は何も知らない。……オリビア、釈放するわね」
「待って、まだ安心出来ないよ。また突然聞こえる様になるかもしれない」
「イービル、かと言っていつまでも監禁出来ないわ。この娘は伯爵様に献上する大切な物だからねぇ」
「じゃあせめて一発叩かせてよ! 叩いたくらいで傷が残る様なことにならないから!」
「ダメ。そもそも貴女、モッペルが目撃してるのよ。あれは事故じゃない。へクセも口を割ったわ。全て貴女がやらせたことだって。まぁ表に出すつもりはないけどね」
「お、お母様……知ってたの?」
「オリビアをどう憎んでるのか知らないけど、大切な物に手を出していけない。それにゲーニウスが大怪我したのよ。反省しなさい」
「……くっ」
状況が掴めないけど鬼の形相で妹がわたしを睨んでいる。その目に薄らと涙が滲んでるのが見えた。それがもの凄く悔しい表情へ変わっていく。
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