わたしの祈りは毒をも溶かす!
15話 ああっ、聞こえなくなってる!②
薄暗くて埃っぽい地下の一室。狭い空間には何も無く不安になりながらしゃがんでいた。
こんなお部屋があったんだ。でも薄気味悪いよ。一体わたしはどうなるのかな? 実は聞こえてただけで監禁されるなんておかしいよね。
「オリビア様、聞こえてるんだって? 全く、貴女の世話をしろって奥方様から命令されてねー」
何を言ってるのか分からないけどモッペルが鍵を開け、身の回りの物を持ってお部屋に入って来た。
「布団もランプもあるから」
布団はありがたい。これが無いと寝れないからね。それにお着替えもある。
「……で、いつからなんだい?」
聞こえないので返答のしようがない。モッペルはこれまで筆談しようとはしなかった。面倒臭いのでしょうね。だからわたしが聞こえてるものだと決めつけて一方的に喋った。
「この前さ、阿片のことうっかり話したけどマズかったね。多分、奥方様が貴女を監禁したのは子爵家の秘密を知ってたんじゃないかって疑ってるからだと思うの。明日から取り調べが始まるわ。貴女もとことん不幸なお嬢様よねぇ」
「……」
「もう演技はいいのよ?」
「あー、あー、……」
「何よ、もうイイって」
わかって貰えないよね。アプレンの魔力とやらで聞こえる様になったって。でも、数日しか効力が無かったって上手く説明する自信もない。
「……そう。言いたくないのね。分かった。時々、見回りに来るから何か欲しい物があったら言ってね。オリビア様」
モッペルはお部屋から出て行く。鍵を掛けるノイズ音が聞こえた。
わたしは布団を被り涙ぐむ。どうなるのか不安で一杯だったのだ。
でも、クヨクヨしてばかりはいられない。
そういえば最近、嬉しかったこと、楽しかったことを思い浮かべて寝るなんてしなくなったな。こう言う時だからこそ、やらなければ。
と、思うけど良い出来事が全く浮かばないよ。
暫くぼぉーっとしていたら何処からともなく声が聞こえてきた。
「おいおい、最近サボってるじゃないか?」
「えっ、ア、アプレン? アプレンなの?」
突然、妖精の声がした。紛れもなくあの声はアプレンだ。そして徐々にちっちゃな男の子の姿が見えてきた。
「アプレン! ああっ、何処行ってたのよう!」
「うーん、魔力で疲れ果ててお休みしてたんだ」
「そうなの? ねぇ、わたし監禁されちゃった。ついイービルに腹が立って声を上げたの。ゴメンなさい。約束守れなかった」
「まぁ仕方ない。だが、お前はイービルを叩いた。よくやったな。褒めてやる」
「ううっ……アプ……レーン……」
「泣くな。お前はやることがあるんだぞ。もっと強くなれ!」
「何よ、ちょっとくらい泣いたっていいじゃん。色々あって辛かったんだからぁ、う、うぇぇん……えーーん、えーーん」
ちょっとどころじゃ無かった。大泣きしてしまった。でも泣いてスッキリした気がする。
「ねぇねぇ、アプレンってひょっとして兄上さまなの? グスン」
「そろそろ本当のこと言わなければいけないな」
ランプが灯ったとはいえ、薄暗くて不気味な監禁部屋でわたしは布団を被って彼のお話を聞く。寂しくはない。一人っきりではないという安心感があったのだ。
こんなお部屋があったんだ。でも薄気味悪いよ。一体わたしはどうなるのかな? 実は聞こえてただけで監禁されるなんておかしいよね。
「オリビア様、聞こえてるんだって? 全く、貴女の世話をしろって奥方様から命令されてねー」
何を言ってるのか分からないけどモッペルが鍵を開け、身の回りの物を持ってお部屋に入って来た。
「布団もランプもあるから」
布団はありがたい。これが無いと寝れないからね。それにお着替えもある。
「……で、いつからなんだい?」
聞こえないので返答のしようがない。モッペルはこれまで筆談しようとはしなかった。面倒臭いのでしょうね。だからわたしが聞こえてるものだと決めつけて一方的に喋った。
「この前さ、阿片のことうっかり話したけどマズかったね。多分、奥方様が貴女を監禁したのは子爵家の秘密を知ってたんじゃないかって疑ってるからだと思うの。明日から取り調べが始まるわ。貴女もとことん不幸なお嬢様よねぇ」
「……」
「もう演技はいいのよ?」
「あー、あー、……」
「何よ、もうイイって」
わかって貰えないよね。アプレンの魔力とやらで聞こえる様になったって。でも、数日しか効力が無かったって上手く説明する自信もない。
「……そう。言いたくないのね。分かった。時々、見回りに来るから何か欲しい物があったら言ってね。オリビア様」
モッペルはお部屋から出て行く。鍵を掛けるノイズ音が聞こえた。
わたしは布団を被り涙ぐむ。どうなるのか不安で一杯だったのだ。
でも、クヨクヨしてばかりはいられない。
そういえば最近、嬉しかったこと、楽しかったことを思い浮かべて寝るなんてしなくなったな。こう言う時だからこそ、やらなければ。
と、思うけど良い出来事が全く浮かばないよ。
暫くぼぉーっとしていたら何処からともなく声が聞こえてきた。
「おいおい、最近サボってるじゃないか?」
「えっ、ア、アプレン? アプレンなの?」
突然、妖精の声がした。紛れもなくあの声はアプレンだ。そして徐々にちっちゃな男の子の姿が見えてきた。
「アプレン! ああっ、何処行ってたのよう!」
「うーん、魔力で疲れ果ててお休みしてたんだ」
「そうなの? ねぇ、わたし監禁されちゃった。ついイービルに腹が立って声を上げたの。ゴメンなさい。約束守れなかった」
「まぁ仕方ない。だが、お前はイービルを叩いた。よくやったな。褒めてやる」
「ううっ……アプ……レーン……」
「泣くな。お前はやることがあるんだぞ。もっと強くなれ!」
「何よ、ちょっとくらい泣いたっていいじゃん。色々あって辛かったんだからぁ、う、うぇぇん……えーーん、えーーん」
ちょっとどころじゃ無かった。大泣きしてしまった。でも泣いてスッキリした気がする。
「ねぇねぇ、アプレンってひょっとして兄上さまなの? グスン」
「そろそろ本当のこと言わなければいけないな」
ランプが灯ったとはいえ、薄暗くて不気味な監禁部屋でわたしは布団を被って彼のお話を聞く。寂しくはない。一人っきりではないという安心感があったのだ。
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