わたしの祈りは毒をも溶かす!
12話 あ、聞こえるよう。でもこれが現実なのか…⑫
朝を迎えていつもの支度を整える。代わり映えしない一日が始まった。準備が整ったわたしは朝食のダイニングホールへ行くために、大きな螺旋階段を降りようとした。
ーーと、その時だ。誰かにドンッと背中を押されたのです。
「あ……っ?」
ち、ちょっと、落ちるっ!
ひぃぃーーっ!?
ドガッ、ゴロゴロ、ドガ、ドガッ、ゴトンーー。
「お、お嬢様!?」
お部屋の掃除を軽く済ませたモッペルが階段の途中で倒れているわたしを見つけ、慌てて駆け寄った。
う、うーん……
「大変! オリビア様、大丈夫ですか?」
お洋服がボロボロになっていた。わたしは落下したことにびっくりして頭がぼぉーとしている。でも不思議と痛みを感じてない。奇跡的に怪我はない様だ。そして徐々に正気が戻ってきて、誰かに背中を押されたことを思い出していた。
誰なの? イービル?
ふらふらと立ち上がってみたけど心臓がバクバクして思わずしゃがみ込む。その時、階段上から明るい声が聞こえてきた。
「あら、お姉様、如何されましたか?」
妹がニヤついて眺めていた。
「イービル様、オリビア様が階段から落下したのです。誰か近くに居ませんでしたか?」
「さあねぇー。で、お怪我はないの?」
モッペルがわたしのカラダの隅々まで確認するが特に何もない。かすり傷一つもないのだ。
「大丈夫の様ですね。でも念のためお医者様に診察して貰わないと。それにしても何があったの? って言っても聞こえないか……」
イービルがゆっくりと階段を降って来る。
「ねえ、モッペル。さっき誰か居ませんでしたって、アレどう言う意味かしら?」
「えっ? あ、いや……もしかして誰かがオリビア様を……」
「ふーん、私が背中を押したとでも?」
「いえ、とんでもございません。使用人の誰かと言う意味です」
そう言ってモッペルが階段を見上げた時、ちょうどヘクセが様子を伺うかの様に顔を覗かせた。
「使用人がそんなことする訳ないでしょう?」
「ヘクセッ! こっちへ来なさい!」
「な、何? 大声で。貴女はヘクセが犯人だと?」
「怪しいです! いえ、その前にお医者様を呼ばないと。ヘクセ、お医者様を呼んで来なさい!」
「ヘクセ、お前はいいから仕事してな!」
「いや、しかし……」
「モッペル。アンタ、調子乗ってんじゃないわよ。使用人に戻りたいの? 何なら代わりにヘクセを侍女にしたって良いんだからね?」
「イービル様、いくら何でもあんまりです!」
「あら、私に歯向かう気? そう。じゃ阿片を分けてあげないわよ。ご自分で正規のお値段でご購入くださいね。もう知らな~い」
「そ、それは……困ります……ご勘弁ください」
阿片って? モッペルは中毒なの? それにイービルが阿片のこと知ってる。というかやってる!?
「いいこと? お姉様は足を踏み外して勝手に転んだの。例えヘクセが背中を押したとしてもアンタには関係ない。余計なこと、考えない方が身のためですわよ。うふふ」
一体どう言うことなのでしょう。この子爵家で阿片がまかり通っている。何も知らないのはわたしだけかもしれないよ?
そう思うと背筋が寒く感じてきた……
ーーと、その時だ。誰かにドンッと背中を押されたのです。
「あ……っ?」
ち、ちょっと、落ちるっ!
ひぃぃーーっ!?
ドガッ、ゴロゴロ、ドガ、ドガッ、ゴトンーー。
「お、お嬢様!?」
お部屋の掃除を軽く済ませたモッペルが階段の途中で倒れているわたしを見つけ、慌てて駆け寄った。
う、うーん……
「大変! オリビア様、大丈夫ですか?」
お洋服がボロボロになっていた。わたしは落下したことにびっくりして頭がぼぉーとしている。でも不思議と痛みを感じてない。奇跡的に怪我はない様だ。そして徐々に正気が戻ってきて、誰かに背中を押されたことを思い出していた。
誰なの? イービル?
ふらふらと立ち上がってみたけど心臓がバクバクして思わずしゃがみ込む。その時、階段上から明るい声が聞こえてきた。
「あら、お姉様、如何されましたか?」
妹がニヤついて眺めていた。
「イービル様、オリビア様が階段から落下したのです。誰か近くに居ませんでしたか?」
「さあねぇー。で、お怪我はないの?」
モッペルがわたしのカラダの隅々まで確認するが特に何もない。かすり傷一つもないのだ。
「大丈夫の様ですね。でも念のためお医者様に診察して貰わないと。それにしても何があったの? って言っても聞こえないか……」
イービルがゆっくりと階段を降って来る。
「ねえ、モッペル。さっき誰か居ませんでしたって、アレどう言う意味かしら?」
「えっ? あ、いや……もしかして誰かがオリビア様を……」
「ふーん、私が背中を押したとでも?」
「いえ、とんでもございません。使用人の誰かと言う意味です」
そう言ってモッペルが階段を見上げた時、ちょうどヘクセが様子を伺うかの様に顔を覗かせた。
「使用人がそんなことする訳ないでしょう?」
「ヘクセッ! こっちへ来なさい!」
「な、何? 大声で。貴女はヘクセが犯人だと?」
「怪しいです! いえ、その前にお医者様を呼ばないと。ヘクセ、お医者様を呼んで来なさい!」
「ヘクセ、お前はいいから仕事してな!」
「いや、しかし……」
「モッペル。アンタ、調子乗ってんじゃないわよ。使用人に戻りたいの? 何なら代わりにヘクセを侍女にしたって良いんだからね?」
「イービル様、いくら何でもあんまりです!」
「あら、私に歯向かう気? そう。じゃ阿片を分けてあげないわよ。ご自分で正規のお値段でご購入くださいね。もう知らな~い」
「そ、それは……困ります……ご勘弁ください」
阿片って? モッペルは中毒なの? それにイービルが阿片のこと知ってる。というかやってる!?
「いいこと? お姉様は足を踏み外して勝手に転んだの。例えヘクセが背中を押したとしてもアンタには関係ない。余計なこと、考えない方が身のためですわよ。うふふ」
一体どう言うことなのでしょう。この子爵家で阿片がまかり通っている。何も知らないのはわたしだけかもしれないよ?
そう思うと背筋が寒く感じてきた……
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