わたしの祈りは毒をも溶かす!
6話 あ、聞こえるよう。でもこれが現実なのか…⑥
夜は静かで心地いいな。耳を澄ませば微かに虫の声が聞こえてくるよ。低周波の雑音ではなく透き通る音で一定のリズムがあるの。その音を聞きながら今日一日を振り返ってみようか。色んな出来事があったよ……
「ねぇ、アプレン?」
いくら呼んでも返事がない。おかしい。アプレンはわたしが想像した架空の妖精だけど全く現れる気配がなかった。
「お話することがいっぱいあるのに……」
次第に頭の中は嫌な出来事が浮かんでくる。
「とっとと起きなさいよ、このお荷物令嬢が!」
「まぁ、傷物にしちゃ公爵家だなんて上出来ですこと。よくやったわねー、オリビア?」
「いいこと? 私はお荷物お姉様に優しく接するココロの美しい伯爵令嬢だからねー」
モッペルにお母様にイービル。皆んな優しくて笑顔で接してくれてると思ってた。でも違ったの。わたしは聞こえないからお荷物の様に迷惑かけてたのね。ごめんなさい。
自然と涙が溢れてくる。
「うぅぅ……うわぁぁん……わぁぁん……」
布団を被って久しぶりに泣いた。たくさん泣いた。こんな現実なら知らない方が良かった。
元に戻してもらいたいよう、アプレンとお話したいよう。どうして出てこないのお?
「アプレーーン、もういいから、もう分かったからあぁぁ……」
思わず声を発した。もしかしたら元通りになるかもしれない。でも耳を澄ませば虫の鳴き声が聞こえてくる。
「うぅ、やっぱり人前で言わなきゃダメなのかな」
ただ、声を発したことで少し冷静になれた。
いかん。こんな悲しい気持ちで寝るのはダメだと約束してた。寝る前は今日一日の嬉しかったこと、楽しかったことを一つ二つ思い浮かべてお話しないと。アプレンが居なくてもやらなくちゃ。
音が聞こえる、声が聞こえる。良かったことがたくさんあるよ。
『私はお美しいオリビア様と踊りたいんだ。今度是非、お願いしたい』
だって。リュメル様ーー! 素敵な笑顔だったよ。大好き。あんな妹に負けたくないわ。
「本人の居る前で売るとか傷物とか、よくそんなこと言えるな?」
兄上さま、怖い存在だと思っていたけど、わたしのこと本当は心配してくれてたんだ。嬉しいよう。うふふ。
気持ちが切り替わった。このまま寝よう……
何回も寝返りをうった。無理に楽しいことだけを考えていたけど、自然と嫌な出来事が頭をよぎる。
「お姉様のお相手は違いますわよ。彼のお父様でしょ!」
わたしはフレディ伯爵様とダンスを踊ってお見合いするのかしら。気に入って貰えたならそのまま連れて行かれて……
ああぁぁ、イヤだ。イヤだよう。でも、それが子爵家のお役に立てられるなら。
だって傷物のお荷物令嬢ですもんね。このまま一生ここでお世話になって皆んなに迷惑かけるより、わたしなりに生きていかなくてはならないよね。例えそれが愛人でも。
耳が治って嬉しいこと、楽しいことよりも、やはりマイナス思考の方が優る結果となった。でも負けたくない。現実を知った良い機会だ。そう思いながらわたしはいつの間にか深い眠りについた。
「ねぇ、アプレン?」
いくら呼んでも返事がない。おかしい。アプレンはわたしが想像した架空の妖精だけど全く現れる気配がなかった。
「お話することがいっぱいあるのに……」
次第に頭の中は嫌な出来事が浮かんでくる。
「とっとと起きなさいよ、このお荷物令嬢が!」
「まぁ、傷物にしちゃ公爵家だなんて上出来ですこと。よくやったわねー、オリビア?」
「いいこと? 私はお荷物お姉様に優しく接するココロの美しい伯爵令嬢だからねー」
モッペルにお母様にイービル。皆んな優しくて笑顔で接してくれてると思ってた。でも違ったの。わたしは聞こえないからお荷物の様に迷惑かけてたのね。ごめんなさい。
自然と涙が溢れてくる。
「うぅぅ……うわぁぁん……わぁぁん……」
布団を被って久しぶりに泣いた。たくさん泣いた。こんな現実なら知らない方が良かった。
元に戻してもらいたいよう、アプレンとお話したいよう。どうして出てこないのお?
「アプレーーン、もういいから、もう分かったからあぁぁ……」
思わず声を発した。もしかしたら元通りになるかもしれない。でも耳を澄ませば虫の鳴き声が聞こえてくる。
「うぅ、やっぱり人前で言わなきゃダメなのかな」
ただ、声を発したことで少し冷静になれた。
いかん。こんな悲しい気持ちで寝るのはダメだと約束してた。寝る前は今日一日の嬉しかったこと、楽しかったことを一つ二つ思い浮かべてお話しないと。アプレンが居なくてもやらなくちゃ。
音が聞こえる、声が聞こえる。良かったことがたくさんあるよ。
『私はお美しいオリビア様と踊りたいんだ。今度是非、お願いしたい』
だって。リュメル様ーー! 素敵な笑顔だったよ。大好き。あんな妹に負けたくないわ。
「本人の居る前で売るとか傷物とか、よくそんなこと言えるな?」
兄上さま、怖い存在だと思っていたけど、わたしのこと本当は心配してくれてたんだ。嬉しいよう。うふふ。
気持ちが切り替わった。このまま寝よう……
何回も寝返りをうった。無理に楽しいことだけを考えていたけど、自然と嫌な出来事が頭をよぎる。
「お姉様のお相手は違いますわよ。彼のお父様でしょ!」
わたしはフレディ伯爵様とダンスを踊ってお見合いするのかしら。気に入って貰えたならそのまま連れて行かれて……
ああぁぁ、イヤだ。イヤだよう。でも、それが子爵家のお役に立てられるなら。
だって傷物のお荷物令嬢ですもんね。このまま一生ここでお世話になって皆んなに迷惑かけるより、わたしなりに生きていかなくてはならないよね。例えそれが愛人でも。
耳が治って嬉しいこと、楽しいことよりも、やはりマイナス思考の方が優る結果となった。でも負けたくない。現実を知った良い機会だ。そう思いながらわたしはいつの間にか深い眠りについた。
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