【勘違い系お仕事ライフ!】マリアさんはアザと可愛い!~同僚の金髪美少女メイドはいつもオレにだけ優しい。きっとオレが好きなんだと思う………たぶん。

夕姫

16. メイドさんと思惑

16. メイドさんと思惑



 私は庭師のロダンさんと休憩したあと中庭の花壇の仕事を手伝っていく。

「ロダンさん、このへんはどうしますか?」

「そうじゃの……じゃあ、ここをこっちに植え替えてもらえるかの?」

「はい」

 私は指示された場所に花を植えていく。ここも一面季節の花が咲き誇る美しい庭園になる予定だ。目を瞑ってその光景を想像してする。うん。楽しみだなぁ。そんなことを考えていると後ろから私を呼ぶ声が聞こえてくる。

「マリアお仕事ご苦労様。少しよろしいかしら?」

「メリッサさん?はい。なんでしょうか?」

 振り向くとそこにはメイド長のメリッサさんがいた。相変わらず綺麗で凛としている人だなと思う。

「書斎部屋の掃除なのたけど、体調不良のメイドがいて手が足りないみたいなのよ。あなたにも手伝ってもらいたいのだけれど……」

「えっと、今はロダンさんと一緒に花の手入れをしていまして……。」

「ここはもうワシ1人で大丈夫だから行っておいで」

「あっはい。メリッサさん、それでは書斎の掃除に向かいます」

「よろしくね。マリア」

 こうして私はメリッサさんに言われたように書斎の掃除を手伝いに向かうことにした。

「ここかな?」

 しばらく歩くと目的の場所に到着する。扉には書斎と書かれている。私はノックをし中に入る。すると中には本棚に囲まれるように机がある。

 私が来ると、そこにいた使用人やメイドたちは口を揃えて『救世主』とか『天使』などと呟いていた。その言葉を聞いてカイル君の顔が頭の中をよぎる。そして少し頬を緩ませてしまう。いけない、いけない!気を取り直して掃除を始めよう。まずは床に落ちている本を片付けなくちゃ。

 そして書斎の掃除はあっという間に終わり、私は掃除用具を片付けようと歩いているとカイル君とミーアを見つける。2人に声をかけようとした時、衝撃的な光景を目にした。

 少し離れていて良く聞き取れなかったけど、カイル君がミーアの手を握り『よろしくお願いします』と言っていた。しかもミーアも『絶対マリアには近づけさせないんだから』とか言ってたし……。

 えぇー!?カップル成立!?ミーアそこまでカイル君のこと好きだったんだね。ごめん気がつかなかったよ。しかもこんな身近で……でもロダンさんも隠れて付き合っている人いるって言ってたし、そういうものなのかな? とりあえずこのことは内緒にしておかないとね。

 安心して私はこっそり応援してあげるからね。おめでとうカイル君、ミーア。

コメント

コメントを書く

「コメディー」の人気作品

書籍化作品