ドラゴンシップ麗しのヴィクトリア号の記録 ~美少女船長はギャンブル狂の最強魔法剣士を使役する~
第44話 もう少しだけ続く旅
三人はターミナルから出た。ターミナルの前は大きな通りだった。向かいには食堂や宿屋が数件ほど固まって並んでいる。
石畳みの通りには長方形の四角い線が引かれていた。アイリス達は歩かずに引かれた線の前で止まっていた。
「あっ! 来たわよ」
空を指さしたアイリスだった。アイリスの指の先には幌がついた、平たい小型魔導飛空船が浮かび。ゆっくりと三人の前に降りてきていた。船首の近くから黒の征服を着た車掌が降りて来て、小さな木製のタラップを、地面と小型魔導飛空船と間に取り付けた。この小型魔導飛空船は、マジックポットと呼ばれる空中バスで、定期的に空港やホテルなど町の主要施設などの停留所を巡回して人を運ぶ。
通りの上に描かれた白い線は、マジックポットの停留所を表している。
リオポリスは広く徒歩や馬車で移動では、時間がかかるため利用料金も安く運行本数も多い、このマジックポットで移動するのが主流だ。ちなみにマジックポットとは、小さな魔導飛空船の愛称を荒らす言葉で、現在はリオポリスの空中バスの意味へと置き換わっている。
タラップを上りマジックポットに乗り込むと三人、船内にはヘリの両脇に十人ほど座れる長椅子が置かれている。五人ほどの乗客がまばらに長椅子に座っている。三人は大きく空いていた長椅子のスペースにアイリス、クローネ、ロックの順で座った。
「出発します」
船尾から声がした。視線を向けると車掌と、同じ制服を来た操縦士が舵を持っていた。ゆっくりと船は浮かび上がり船首を北に向け動き出した。クローネは幌とヘリの隙間から町の風景を眺めながら隣に座るロックに嬉しそうに話しかける。
「いつも王城の窓からマジックポットが行き来するのを見てたんです。やっと乗れました」
「そうか」
「わぁ! 見てください! 町があんなに小さく!」
はしゃぐクローネをロックは笑顔で見守っていた。
マジックポットは王都の中心へと向かう。王城の門前で降下し停船する。石造りで出来た三メートルほどの城門向こうには、白く天まで届きそうな長い尖塔を中心に三本持つ、巨大なリオティネシア王城が三人を見下ろしていた。
城門は閉じられ近づく三人に門番をしていた兵士が近づく。彼は鉄の鎧に鉄兜をつけ右手には槍を握っている。
「止まれ」
左手を前に向け三人を止めた兵士。クローネが二人の前に出て兵士に声をかける。
「私達はお城に用事があるんですが?」
「申し訳ありません。アレサンドロ様の命令で現在は王城への出入りは停止しております。お引取りをください」
城に行きたいというクローネの申し出を、城門の兵士が申し訳無さそうに断った。
彼女は兵士の言葉を聞くと、すぐに前にまた一歩踏み出した。
「私はクローネ・ジュリー・リオティネシア。この王国の第一王女です。すぐに門を開けてください」
一歩前に出たクローネは自分の胸に手を当てて名乗る。
「クックローネ様だと!?」
驚いた城門の兵士はまじまじとクローネの顔を見た。彼の顔がハッという表情に変わった。
「たっ確かに…… 少々お待ちを」
慌てた様子で城門にある小さな扉から中へ入って行った。残ったもう一人は少し動揺した顔で城の中へ向かった相棒の様子を見つめている。
クローネの後ろに居たアイリスが、横に立つロックに顔を向けた。
「開けてくれるかしら?」
「無理だな。クローネだって分かった時点で通さないってことは彼女が来ることは想定内だ。対処も考えてあるんだろう」
「そうかしら? だってクローネは王女なのよ。帰ってきたってわかったらすぐに通すでしょう」
ロックの言葉を否定するアイリスだった。ロックは少し不満そうにアイリスの方に顔を向け近づける。
「そこまでいうなら。晩飯のおかず賭けようぜ」
「いいわよ。負けた方が好きなおかずを献上するのよ」
背伸びをしてロックと顔と顔を突き合わせるアイリス。夕飯のおかずを賭けた二人の勝負がここに始まった。少々くだらないが……
「クローネ様はガイル様が率いる親衛隊と同時に戻る予定だと…… ガイル様と一緒でない者は絶対に通すなと…… もっ申し訳ありません」
気まずそうにクローネに再度断り頭を深く下げる兵士だった。彼は目の前にいるのが、クローネだと確信しているようだが、上官命令で通すことはできないと伝える。
クローネは頭を上げた兵士にニッコリと優しく微笑む。彼女は上官と自分で、兵士が板挟みにならないように、すぐに引き下がるるもりだ。
「わかりました。出直して来ます…… なっ!?」
兵士に背を向けたクローネがムッと顔を歪めた。
「いえーい」
「ふん! リオティネシア死ね!」
クローネの目の前で、拳を握って勝ち誇るロックと、悔しそうに死ねと吐き捨てるアイリスが見えた。
「コホン!」
二人に向かってクローネは大げさに咳払いをする。二人が同時にクローネに視線を向けた。ロックは頭をかき、アイリスは眼鏡をなおす動作する。
「悪い。悪い。ついな」
「ごっごめんなさい。私もつい熱くなったわ……」
謝るロックとアイリスに向かって呆れた顔をするクローネだった。気まずそうに顔を見合わせるロックとアイリスだった。
「ふふふ。もういいですよ。お二人とももう少しだけお付き合いください」
クローネが頭を下げた。クローネを引き渡したら終わる仕事はもう少し続く。
ロックとアイリスは笑ってうなずく。ロックがすぐアイリスにたずねる。
「ゲラパルト二世がいつここに到着するかわかるか?」
「えっと……」
アイリスはポケットから手帳を取り出した。中身を見ながらロックの質問に答える。
「あったわ。二日前にサウザーを出たみたいだから明日か明後日にはつくでしょう」
「じゃあ今日は宿を取るか」
「そうね…… いつもの”馬上の安らぎ亭”に行きましょうか」
「ならエビフライは俺のものだぞ」
「クッ……」
勝ち誇った顔のロックにアイリスは顔を歪めに悔しそうにする。
ロック達が宿泊する宿を話す。”馬上のやすらぎ亭”とは宿の名前で、ロック達がリオポリスに滞在する時に利用する。
リオポリスの宿代は高く一人五十デナを超えるのも珍しくない。馬上の安らぎ亭はサリトールなどと同じ十五デナほどで宿泊できる。また、宿の料理もうまく名物は巨大リアナ川海老を使ったエビフライである。
「あっ! でも…… 部屋は大丈夫かしらね。もう夕方だし……」
「じゃあ早く行こうぜ」
ロックが停留所を指さし急いで宿に向かおうと促す。
”馬上のやすらぎ亭”は人気の宿のため日没までに満室になることも珍しくない。まぁ最悪の場合はヴィクトリア号に戻ればベッドはあるが……
「ちょっと待ってください!」
クローネが停留所へ向かう二人を止めた。
「わたくしの知ってる宿ならいつでも平気です。そちらにしませんか?」
「えっ!? でも……」
「皆さんにぜひ泊まっていただきい宿なんです」
自分が知ってる宿を薦めるクローネ、アイリスとロックは顔を見合わせる。
「どうする?」
「良いんじゃないか? ここは俺達よりクローネの方が詳しいだろ」
「そうね。わかったわ。クローネ。案内して」
「はい」
嬉しそうに笑ったクローネは二人を連れて停留所へと向かう。
しばらくしてマジックポットに、また乗った三人は町の東にある王城の隣の区画へ向かった。ここは貴族や豪商等が住む区画で、高級そうな服や鞄が売られるおしゃれな通りが眼下に見えていた。ゆっくりと降下した、マジックポットが停留所に止まる。
「ここで降りますよ」
クローネに促されてロック達はマジックポットを降りた。
停留所に降りると目の前には小さな広場があった。高級な服を身につけた上品な人たちががベンチに座って雑談をしている光景が広がる。
「宿はあちらです」
クローネは停留所の広場の向いを手で指し示した。
「うわぁ。すげえな…… 城みてえだ」
「本当ね…… この辺で降りたことなかったからこんなに大きかったのね」
二人は呆然と空を見上げている。クローネが手で指ししめた先は、十四階建ての巨大な長方形の建物だった。
青い屋根に尖塔が立つ屋根を持つ建物はまるで城のようだった。クローネは手で建物を指ししめたまま見上げてる二人に口を開く。
「プラザリオホテル。他国の要人をお招きする王族御用達のホテルですわ」
ちょっと得意げにホテルの名前を言うクローネだった。
「でも、大丈夫? ここって高いんでしょ? 私そんなお金……」
アイリスは心配そうに宿代を尋ねる。高級ホテルと名高いプラザリオホテルの一泊料金は最低でも一人千デナはかかることは知られれている。アイリス達が普段使う宿は、高くても一泊一人五十デナくらいなので、その値段は破格ではある。
「大丈夫ですから! 行きますよ」
クローネはニッコリと微笑むとプラザリオホテルへ二人を連れて行く。扉を開けて中へ入る三人……
「うひゃああ」
「どっどうしよう。私達どう考えても場違いよ」
「うろたえるな。堂々としろ。田舎者だって舐められるぞ!」
ロビーは天井からシャンデリアに照らされ床は輝き、天井や柱などいたるところに装飾施されている。
慣れた様子で進むクローネ、慣れないロックとアイリスは、周りを見ながら不安そうに進む。二人の手は自然とつながる。
扉から十メートルほど進むと大理石を削ったような輝くカウンターがあり、ビシッとした高そうな青い制服を来た上品な中年の男性が立っていた。近づくクローネにカウンターに男性が驚いた顔をする。
「クっクローネ様!? いつお戻りに!?」
「しー。今日はお忍びですわ
名前を呼ばれて口に指を当ておちゃめに笑うクローネだった。クローネの態度に男性はすぐに真面目な顔をする。
「はっ! ではいつものお部屋に?」
「はい。お願いします」
「そちらのお二人は?」
「連れのものですわ。後ほど三人ほど追加で宿泊しますので後で迎えに行ってください」
「かしこまりました」
ニッコリと微笑むクローネ、男性がベルを鳴らす。場違いな場所で緊張している、ロックとアイリスに堂々と笑顔で受け答えしている、クローネを異次元の魔物でも見るような目で見ていた。
近くに立っていた白い制服の男がカウンターへやってきた。
「こちらのお客様を最上階のロイヤルスイーツ……」
「はい。かしこまりました」
男性が白いスーツの男に耳打ちをした。返事をした白いスーツの男はクローネの前に立った。
「では、ご案内いたします。お荷物は?」
「大丈夫ですよ。ほら行きますよー」
「「ひゃい!」」
緊張して裏返った声で、返事をするロックとアイリス、二人の様子にクローネは笑っていた。
石畳みの通りには長方形の四角い線が引かれていた。アイリス達は歩かずに引かれた線の前で止まっていた。
「あっ! 来たわよ」
空を指さしたアイリスだった。アイリスの指の先には幌がついた、平たい小型魔導飛空船が浮かび。ゆっくりと三人の前に降りてきていた。船首の近くから黒の征服を着た車掌が降りて来て、小さな木製のタラップを、地面と小型魔導飛空船と間に取り付けた。この小型魔導飛空船は、マジックポットと呼ばれる空中バスで、定期的に空港やホテルなど町の主要施設などの停留所を巡回して人を運ぶ。
通りの上に描かれた白い線は、マジックポットの停留所を表している。
リオポリスは広く徒歩や馬車で移動では、時間がかかるため利用料金も安く運行本数も多い、このマジックポットで移動するのが主流だ。ちなみにマジックポットとは、小さな魔導飛空船の愛称を荒らす言葉で、現在はリオポリスの空中バスの意味へと置き換わっている。
タラップを上りマジックポットに乗り込むと三人、船内にはヘリの両脇に十人ほど座れる長椅子が置かれている。五人ほどの乗客がまばらに長椅子に座っている。三人は大きく空いていた長椅子のスペースにアイリス、クローネ、ロックの順で座った。
「出発します」
船尾から声がした。視線を向けると車掌と、同じ制服を来た操縦士が舵を持っていた。ゆっくりと船は浮かび上がり船首を北に向け動き出した。クローネは幌とヘリの隙間から町の風景を眺めながら隣に座るロックに嬉しそうに話しかける。
「いつも王城の窓からマジックポットが行き来するのを見てたんです。やっと乗れました」
「そうか」
「わぁ! 見てください! 町があんなに小さく!」
はしゃぐクローネをロックは笑顔で見守っていた。
マジックポットは王都の中心へと向かう。王城の門前で降下し停船する。石造りで出来た三メートルほどの城門向こうには、白く天まで届きそうな長い尖塔を中心に三本持つ、巨大なリオティネシア王城が三人を見下ろしていた。
城門は閉じられ近づく三人に門番をしていた兵士が近づく。彼は鉄の鎧に鉄兜をつけ右手には槍を握っている。
「止まれ」
左手を前に向け三人を止めた兵士。クローネが二人の前に出て兵士に声をかける。
「私達はお城に用事があるんですが?」
「申し訳ありません。アレサンドロ様の命令で現在は王城への出入りは停止しております。お引取りをください」
城に行きたいというクローネの申し出を、城門の兵士が申し訳無さそうに断った。
彼女は兵士の言葉を聞くと、すぐに前にまた一歩踏み出した。
「私はクローネ・ジュリー・リオティネシア。この王国の第一王女です。すぐに門を開けてください」
一歩前に出たクローネは自分の胸に手を当てて名乗る。
「クックローネ様だと!?」
驚いた城門の兵士はまじまじとクローネの顔を見た。彼の顔がハッという表情に変わった。
「たっ確かに…… 少々お待ちを」
慌てた様子で城門にある小さな扉から中へ入って行った。残ったもう一人は少し動揺した顔で城の中へ向かった相棒の様子を見つめている。
クローネの後ろに居たアイリスが、横に立つロックに顔を向けた。
「開けてくれるかしら?」
「無理だな。クローネだって分かった時点で通さないってことは彼女が来ることは想定内だ。対処も考えてあるんだろう」
「そうかしら? だってクローネは王女なのよ。帰ってきたってわかったらすぐに通すでしょう」
ロックの言葉を否定するアイリスだった。ロックは少し不満そうにアイリスの方に顔を向け近づける。
「そこまでいうなら。晩飯のおかず賭けようぜ」
「いいわよ。負けた方が好きなおかずを献上するのよ」
背伸びをしてロックと顔と顔を突き合わせるアイリス。夕飯のおかずを賭けた二人の勝負がここに始まった。少々くだらないが……
「クローネ様はガイル様が率いる親衛隊と同時に戻る予定だと…… ガイル様と一緒でない者は絶対に通すなと…… もっ申し訳ありません」
気まずそうにクローネに再度断り頭を深く下げる兵士だった。彼は目の前にいるのが、クローネだと確信しているようだが、上官命令で通すことはできないと伝える。
クローネは頭を上げた兵士にニッコリと優しく微笑む。彼女は上官と自分で、兵士が板挟みにならないように、すぐに引き下がるるもりだ。
「わかりました。出直して来ます…… なっ!?」
兵士に背を向けたクローネがムッと顔を歪めた。
「いえーい」
「ふん! リオティネシア死ね!」
クローネの目の前で、拳を握って勝ち誇るロックと、悔しそうに死ねと吐き捨てるアイリスが見えた。
「コホン!」
二人に向かってクローネは大げさに咳払いをする。二人が同時にクローネに視線を向けた。ロックは頭をかき、アイリスは眼鏡をなおす動作する。
「悪い。悪い。ついな」
「ごっごめんなさい。私もつい熱くなったわ……」
謝るロックとアイリスに向かって呆れた顔をするクローネだった。気まずそうに顔を見合わせるロックとアイリスだった。
「ふふふ。もういいですよ。お二人とももう少しだけお付き合いください」
クローネが頭を下げた。クローネを引き渡したら終わる仕事はもう少し続く。
ロックとアイリスは笑ってうなずく。ロックがすぐアイリスにたずねる。
「ゲラパルト二世がいつここに到着するかわかるか?」
「えっと……」
アイリスはポケットから手帳を取り出した。中身を見ながらロックの質問に答える。
「あったわ。二日前にサウザーを出たみたいだから明日か明後日にはつくでしょう」
「じゃあ今日は宿を取るか」
「そうね…… いつもの”馬上の安らぎ亭”に行きましょうか」
「ならエビフライは俺のものだぞ」
「クッ……」
勝ち誇った顔のロックにアイリスは顔を歪めに悔しそうにする。
ロック達が宿泊する宿を話す。”馬上のやすらぎ亭”とは宿の名前で、ロック達がリオポリスに滞在する時に利用する。
リオポリスの宿代は高く一人五十デナを超えるのも珍しくない。馬上の安らぎ亭はサリトールなどと同じ十五デナほどで宿泊できる。また、宿の料理もうまく名物は巨大リアナ川海老を使ったエビフライである。
「あっ! でも…… 部屋は大丈夫かしらね。もう夕方だし……」
「じゃあ早く行こうぜ」
ロックが停留所を指さし急いで宿に向かおうと促す。
”馬上のやすらぎ亭”は人気の宿のため日没までに満室になることも珍しくない。まぁ最悪の場合はヴィクトリア号に戻ればベッドはあるが……
「ちょっと待ってください!」
クローネが停留所へ向かう二人を止めた。
「わたくしの知ってる宿ならいつでも平気です。そちらにしませんか?」
「えっ!? でも……」
「皆さんにぜひ泊まっていただきい宿なんです」
自分が知ってる宿を薦めるクローネ、アイリスとロックは顔を見合わせる。
「どうする?」
「良いんじゃないか? ここは俺達よりクローネの方が詳しいだろ」
「そうね。わかったわ。クローネ。案内して」
「はい」
嬉しそうに笑ったクローネは二人を連れて停留所へと向かう。
しばらくしてマジックポットに、また乗った三人は町の東にある王城の隣の区画へ向かった。ここは貴族や豪商等が住む区画で、高級そうな服や鞄が売られるおしゃれな通りが眼下に見えていた。ゆっくりと降下した、マジックポットが停留所に止まる。
「ここで降りますよ」
クローネに促されてロック達はマジックポットを降りた。
停留所に降りると目の前には小さな広場があった。高級な服を身につけた上品な人たちががベンチに座って雑談をしている光景が広がる。
「宿はあちらです」
クローネは停留所の広場の向いを手で指し示した。
「うわぁ。すげえな…… 城みてえだ」
「本当ね…… この辺で降りたことなかったからこんなに大きかったのね」
二人は呆然と空を見上げている。クローネが手で指ししめた先は、十四階建ての巨大な長方形の建物だった。
青い屋根に尖塔が立つ屋根を持つ建物はまるで城のようだった。クローネは手で建物を指ししめたまま見上げてる二人に口を開く。
「プラザリオホテル。他国の要人をお招きする王族御用達のホテルですわ」
ちょっと得意げにホテルの名前を言うクローネだった。
「でも、大丈夫? ここって高いんでしょ? 私そんなお金……」
アイリスは心配そうに宿代を尋ねる。高級ホテルと名高いプラザリオホテルの一泊料金は最低でも一人千デナはかかることは知られれている。アイリス達が普段使う宿は、高くても一泊一人五十デナくらいなので、その値段は破格ではある。
「大丈夫ですから! 行きますよ」
クローネはニッコリと微笑むとプラザリオホテルへ二人を連れて行く。扉を開けて中へ入る三人……
「うひゃああ」
「どっどうしよう。私達どう考えても場違いよ」
「うろたえるな。堂々としろ。田舎者だって舐められるぞ!」
ロビーは天井からシャンデリアに照らされ床は輝き、天井や柱などいたるところに装飾施されている。
慣れた様子で進むクローネ、慣れないロックとアイリスは、周りを見ながら不安そうに進む。二人の手は自然とつながる。
扉から十メートルほど進むと大理石を削ったような輝くカウンターがあり、ビシッとした高そうな青い制服を来た上品な中年の男性が立っていた。近づくクローネにカウンターに男性が驚いた顔をする。
「クっクローネ様!? いつお戻りに!?」
「しー。今日はお忍びですわ
名前を呼ばれて口に指を当ておちゃめに笑うクローネだった。クローネの態度に男性はすぐに真面目な顔をする。
「はっ! ではいつものお部屋に?」
「はい。お願いします」
「そちらのお二人は?」
「連れのものですわ。後ほど三人ほど追加で宿泊しますので後で迎えに行ってください」
「かしこまりました」
ニッコリと微笑むクローネ、男性がベルを鳴らす。場違いな場所で緊張している、ロックとアイリスに堂々と笑顔で受け答えしている、クローネを異次元の魔物でも見るような目で見ていた。
近くに立っていた白い制服の男がカウンターへやってきた。
「こちらのお客様を最上階のロイヤルスイーツ……」
「はい。かしこまりました」
男性が白いスーツの男に耳打ちをした。返事をした白いスーツの男はクローネの前に立った。
「では、ご案内いたします。お荷物は?」
「大丈夫ですよ。ほら行きますよー」
「「ひゃい!」」
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