ドラゴンシップ麗しのヴィクトリア号の記録 ~美少女船長はギャンブル狂の最強魔法剣士を使役する~
第31話 彼女の正体
大橋駆けの儀式が行わる当日。早朝からクローネとロックは、儀式の準備のために砦へ向かう。宿の前でロックとクローネの二人をアイリス、ポロン、コロンの三人が見送っていた。
「それじゃあ。行ってまいります」
ロックは笑顔だがどこか暗い表情をする、アイリスの顔を見て彼女に声をかける
「アイリス。何かあったらすぐに戻るからな」
「大丈夫よ。ロックはしっかりと自分の役目をこなしなさいね」
精一杯の明るい顔をするアイリスだった。コロンはアイリスを心配そうに見つめている。
ポロンがロックの前にやってきて笑って彼に声をかける。
「そうなのだ。ロックはちゃんとするのだ。教会の人はみんなフローラ様みたいに優しいひとばかりじゃないのだ」
「おっおう…… そっちもアイリスにわがまま言うなよ」
「言わないのだ。私はもう子供じゃないのだ」
胸をはって答えるポロン、ロックは彼女の頭を撫でた。ポロンの横に来てコロンは申し訳無さそうに口を開く。
「もう…… ポロン。申し訳ございません。ロックさん。いってらっしゃい。司教様によろしく」
ポロンとコロンには二人は、教会からの仕事とごまかしていた。
「あぁ。じゃあ行くぞ。クローネ」
「はい」
ロックとクローネは連れ立って宿から砦へと向かうのだった。
二人が出ていって数時間後…… 時刻は昼を過ぎていた。
ミーティアから請負ったダミーの仕事は、とっくに終わっており、暇なアイリスは窓際をボーっと見つめていた。普段なら仕事が暇になれば名物を食べに行ったり、魔導機関の文献を読んだりとする彼女だが、今日は気分が乗らないようだ。
「はぁ……」
肘を窓のヘリについて不満そうにため息をつくアイリス。ふと昨日二人が馬に乗っていた庭が見える……
「なんなのよ…… 二人ともあんな楽しそうにしてさ…… ロックは仕事なんだからもっとつまんなさそうにしなさいってのよ! バカ!」
最初は小さかったアイリスの独り言が徐々に大きくなっていく。直後に寝室の扉が開き、ポロンとコロンの二人が出てくる。
勢いよく寝室から出たポロンは、アイリスを見て嬉しそうに笑った。
「コロンとお昼ご飯を食べに行くのだ」
「はっ!? よっよかったわね…… いってらっしゃい」
独り言を聞かれたかもしらない思った、アイリスは一瞬動揺して声が震えていた。後から寝室から出てきたコロンは、ポロン横に来てアイリスに声をかける。
「よろしかったらご一緒しませんか?」
「えっ!? 私はいいわよ……」
手を前に出して横に振って断るアイリス、コロンの言葉にポロンが素早く反応する。
「おぉ! そうなのだ。アイリスも一緒に行くのだ」
「ポロンもこう行ってますし行きましょう」
「うーん。やっぱり。行かないわ。大人しくしてる」
二度目の誘いも断るアイリス、ポロンは彼女の元へとやって来て手をつかんだ。
「やーなのだ。いくのだ。一緒がいいのだ」
アイリスの手を引っ張って駄々をこねるポロン、コロンは小さく息を吐いて申し訳なさそうにしている。だた、コロンは駄々をこねるポロンを止めるつもりはないようだった。
「もう…… わかったわよ。行きましょうか」
「やったのだ! うれしいのだ!」
諦めたアイリスは承諾する。両手をあげて喜ぶポロンだった。
三人で昼食へと向かうために宿を出ていた。
「こっちにわたくしのおすすめの羊肉料理のお店があるんですよ」
宿から出たコロンはアイリスとポロンを、リオティネシア街道の裏路地へ連れていく。サリトールはリオティネシア街道を、中心に栄え多くの商店は街道沿い店をだしている。
しかし、あえて競争が激しいリオティネシア街道をさけ、裏路地に店を出している料理店などがあり、その中にはリオティネシア街道に面した店よりも美味しい料理を提供しているものもある。コロンは二人をそういった店に案内したいようだ。
「あれは……」
前を行くコロンが何かを見つけた。二十メートルほど先にある裏路地からリオティネシア街道へ続く、路地の前に人だかりが出来ていた。
三人が人だかりを避けるようにして、横を通り過ぎようとした。路地からリオティネシア街道まで人が詰まっているようで話し声が聞こえる。
「まだか。リオティネシアの王女と騎士様!」
「クローネ様はきっと美しくなってるぞ」
会話を聞いていたアイリスの顔が青ざめた。ポロンは会話に耳を傾け、コロンは振り返りアイリスの顔を見ていた。コロンはアイリスに向かってつぶやく。
「リオティネシア王国の王女…… サリトールにいらしてるのですね? 確か…… リオティネシア王国の王女の名前はクローネ……」
「そっそうなんだ…… 偶然ねぇ……」
一筋の汗を流しアイリスは、動揺し声を震わせてコロンに答える。コロンがチラッとアイリスを見て、首を大きく横に振ってまた前を向いてあるき出そうする。
しかし、ポロンがコロンの袖を引っ張って止めた。
「待つのだ! 王女と騎士をみたいのだ!」
「ちょっとダメよ。急がないと……」
道案内をしているコロンではなく、横からアイリスが慌てた様子でポロンに注意をする。
しかし、アイリスが止めた直後に人々からどよめきが起きた。
「おぉ! 来たぞ! クローネ様! お美しい」
「後ろの騎士様も凛々しいわ」
王女達が路地の前を横切っていった。人だかりでよくは見えないが、馬上にいるためロックとクローネの姿はわずかに小さいポロンにも見えた。
クローネはヴィクトリア号で、用意した黒の服から白いドレスに着替え、ロックは銀色の鎧に身をつつんでいた。
「あれは…… クローネとロックなのだ? なんで二人が馬に……」
首をかしげるポロン、慌ててアイリスは両手を大きく振ってポロンに答える。
「ちっ違うわよ。二人は教会で仕事をしてるのよ。騎士と王子のわけないでしょ。他人の空似よ……」
「そうなのか? うーん。よくわからないのだ」
指を顎において難しい顔で考えるポロンだった。アイリスはなんとか誤魔化そうと必死に頭を巡らせている。
「ほら! 早く行かないと大好きな羊肉なくなっちゃうわよ」
「おぉ! そうだったのだ! 急ぐのだ!」
ポロンは手をたたくと、早足で先に進みコロンも、追い抜いて行ってしまった。
「ふぅ…… なんとか…… はっ!」
息を吐いたアイリスが前を向いた。ジトっとした目でコロンがアイリスを見つめている。
「わたくし達に内緒なのはいいですが…… 後で何が起きてるかくらいは教えてくださいね」
「えっ!? なんのこと!?」
コロンは大体の事情を察したようだ。しかし、アイリスは往生際が悪くなおも誤魔化そうとした。
彼女の態度に呆れた顔をするコロンだった。
「クローネさんのことですよ。一国の王女が貨物船に紛れて移動するなんてなにか大きな事をしているのすよね」
「コロン…… あなたクローネのこと知ってたの? いつから?」
驚きながら尋ねるアイリスにコロンはニッコリと笑った。
「彼女とヴィクトリア号の食堂でお会いした時からです」
「えっ!? それって…… じゃあ…… 最初からあなたはクローネの正体を……」
笑顔でうなずいたコロン、必死にクローネの正体を隠していた、アイリスは全身から力抜ける感覚した。
「向こうは覚えてないかもですが、わたくし達は幼い頃に何度か彼女にお会いしてますから」
「あっ!? そうか…… じゃあポロンも」
ポロンの方を向くアイリス、先に行ったポロンが振り返った。
「早く来るのだー!」
「はーい」
手招きをして呼ぶポロンに、コロンは振り返って返事をした。視線をアイリスに戻したコロンはニッコリと微笑む。
「ポロンは大丈夫です。昔のことはあまり覚えていません…… それにあの子は人を疑うことを知らないですしね」
少し寂しそうにアイリスに口を開くとポロンの元へと向かう。アイリスは肩を落としてドッと疲れた顔をして二人を追いかけるのだった。
「あそこですよ」
ロック達を見た路地から五分ほど歩くと、コロンが道の先を指差し二人に声をかけた。
コロンが指した先に小さな赤い屋根の食堂が見えた。風に乗って漂ってくる肉の焼ける匂いと香辛料の香りに、アイリスとポロンの顔を明るくなる。
「これは名店よ」
「急ぐのだ!」
「はい」
三人は少し早足で赤い屋根の食堂、”風の草原亭”へ突撃するのだった。
「それじゃあ。行ってまいります」
ロックは笑顔だがどこか暗い表情をする、アイリスの顔を見て彼女に声をかける
「アイリス。何かあったらすぐに戻るからな」
「大丈夫よ。ロックはしっかりと自分の役目をこなしなさいね」
精一杯の明るい顔をするアイリスだった。コロンはアイリスを心配そうに見つめている。
ポロンがロックの前にやってきて笑って彼に声をかける。
「そうなのだ。ロックはちゃんとするのだ。教会の人はみんなフローラ様みたいに優しいひとばかりじゃないのだ」
「おっおう…… そっちもアイリスにわがまま言うなよ」
「言わないのだ。私はもう子供じゃないのだ」
胸をはって答えるポロン、ロックは彼女の頭を撫でた。ポロンの横に来てコロンは申し訳無さそうに口を開く。
「もう…… ポロン。申し訳ございません。ロックさん。いってらっしゃい。司教様によろしく」
ポロンとコロンには二人は、教会からの仕事とごまかしていた。
「あぁ。じゃあ行くぞ。クローネ」
「はい」
ロックとクローネは連れ立って宿から砦へと向かうのだった。
二人が出ていって数時間後…… 時刻は昼を過ぎていた。
ミーティアから請負ったダミーの仕事は、とっくに終わっており、暇なアイリスは窓際をボーっと見つめていた。普段なら仕事が暇になれば名物を食べに行ったり、魔導機関の文献を読んだりとする彼女だが、今日は気分が乗らないようだ。
「はぁ……」
肘を窓のヘリについて不満そうにため息をつくアイリス。ふと昨日二人が馬に乗っていた庭が見える……
「なんなのよ…… 二人ともあんな楽しそうにしてさ…… ロックは仕事なんだからもっとつまんなさそうにしなさいってのよ! バカ!」
最初は小さかったアイリスの独り言が徐々に大きくなっていく。直後に寝室の扉が開き、ポロンとコロンの二人が出てくる。
勢いよく寝室から出たポロンは、アイリスを見て嬉しそうに笑った。
「コロンとお昼ご飯を食べに行くのだ」
「はっ!? よっよかったわね…… いってらっしゃい」
独り言を聞かれたかもしらない思った、アイリスは一瞬動揺して声が震えていた。後から寝室から出てきたコロンは、ポロン横に来てアイリスに声をかける。
「よろしかったらご一緒しませんか?」
「えっ!? 私はいいわよ……」
手を前に出して横に振って断るアイリス、コロンの言葉にポロンが素早く反応する。
「おぉ! そうなのだ。アイリスも一緒に行くのだ」
「ポロンもこう行ってますし行きましょう」
「うーん。やっぱり。行かないわ。大人しくしてる」
二度目の誘いも断るアイリス、ポロンは彼女の元へとやって来て手をつかんだ。
「やーなのだ。いくのだ。一緒がいいのだ」
アイリスの手を引っ張って駄々をこねるポロン、コロンは小さく息を吐いて申し訳なさそうにしている。だた、コロンは駄々をこねるポロンを止めるつもりはないようだった。
「もう…… わかったわよ。行きましょうか」
「やったのだ! うれしいのだ!」
諦めたアイリスは承諾する。両手をあげて喜ぶポロンだった。
三人で昼食へと向かうために宿を出ていた。
「こっちにわたくしのおすすめの羊肉料理のお店があるんですよ」
宿から出たコロンはアイリスとポロンを、リオティネシア街道の裏路地へ連れていく。サリトールはリオティネシア街道を、中心に栄え多くの商店は街道沿い店をだしている。
しかし、あえて競争が激しいリオティネシア街道をさけ、裏路地に店を出している料理店などがあり、その中にはリオティネシア街道に面した店よりも美味しい料理を提供しているものもある。コロンは二人をそういった店に案内したいようだ。
「あれは……」
前を行くコロンが何かを見つけた。二十メートルほど先にある裏路地からリオティネシア街道へ続く、路地の前に人だかりが出来ていた。
三人が人だかりを避けるようにして、横を通り過ぎようとした。路地からリオティネシア街道まで人が詰まっているようで話し声が聞こえる。
「まだか。リオティネシアの王女と騎士様!」
「クローネ様はきっと美しくなってるぞ」
会話を聞いていたアイリスの顔が青ざめた。ポロンは会話に耳を傾け、コロンは振り返りアイリスの顔を見ていた。コロンはアイリスに向かってつぶやく。
「リオティネシア王国の王女…… サリトールにいらしてるのですね? 確か…… リオティネシア王国の王女の名前はクローネ……」
「そっそうなんだ…… 偶然ねぇ……」
一筋の汗を流しアイリスは、動揺し声を震わせてコロンに答える。コロンがチラッとアイリスを見て、首を大きく横に振ってまた前を向いてあるき出そうする。
しかし、ポロンがコロンの袖を引っ張って止めた。
「待つのだ! 王女と騎士をみたいのだ!」
「ちょっとダメよ。急がないと……」
道案内をしているコロンではなく、横からアイリスが慌てた様子でポロンに注意をする。
しかし、アイリスが止めた直後に人々からどよめきが起きた。
「おぉ! 来たぞ! クローネ様! お美しい」
「後ろの騎士様も凛々しいわ」
王女達が路地の前を横切っていった。人だかりでよくは見えないが、馬上にいるためロックとクローネの姿はわずかに小さいポロンにも見えた。
クローネはヴィクトリア号で、用意した黒の服から白いドレスに着替え、ロックは銀色の鎧に身をつつんでいた。
「あれは…… クローネとロックなのだ? なんで二人が馬に……」
首をかしげるポロン、慌ててアイリスは両手を大きく振ってポロンに答える。
「ちっ違うわよ。二人は教会で仕事をしてるのよ。騎士と王子のわけないでしょ。他人の空似よ……」
「そうなのか? うーん。よくわからないのだ」
指を顎において難しい顔で考えるポロンだった。アイリスはなんとか誤魔化そうと必死に頭を巡らせている。
「ほら! 早く行かないと大好きな羊肉なくなっちゃうわよ」
「おぉ! そうだったのだ! 急ぐのだ!」
ポロンは手をたたくと、早足で先に進みコロンも、追い抜いて行ってしまった。
「ふぅ…… なんとか…… はっ!」
息を吐いたアイリスが前を向いた。ジトっとした目でコロンがアイリスを見つめている。
「わたくし達に内緒なのはいいですが…… 後で何が起きてるかくらいは教えてくださいね」
「えっ!? なんのこと!?」
コロンは大体の事情を察したようだ。しかし、アイリスは往生際が悪くなおも誤魔化そうとした。
彼女の態度に呆れた顔をするコロンだった。
「クローネさんのことですよ。一国の王女が貨物船に紛れて移動するなんてなにか大きな事をしているのすよね」
「コロン…… あなたクローネのこと知ってたの? いつから?」
驚きながら尋ねるアイリスにコロンはニッコリと笑った。
「彼女とヴィクトリア号の食堂でお会いした時からです」
「えっ!? それって…… じゃあ…… 最初からあなたはクローネの正体を……」
笑顔でうなずいたコロン、必死にクローネの正体を隠していた、アイリスは全身から力抜ける感覚した。
「向こうは覚えてないかもですが、わたくし達は幼い頃に何度か彼女にお会いしてますから」
「あっ!? そうか…… じゃあポロンも」
ポロンの方を向くアイリス、先に行ったポロンが振り返った。
「早く来るのだー!」
「はーい」
手招きをして呼ぶポロンに、コロンは振り返って返事をした。視線をアイリスに戻したコロンはニッコリと微笑む。
「ポロンは大丈夫です。昔のことはあまり覚えていません…… それにあの子は人を疑うことを知らないですしね」
少し寂しそうにアイリスに口を開くとポロンの元へと向かう。アイリスは肩を落としてドッと疲れた顔をして二人を追いかけるのだった。
「あそこですよ」
ロック達を見た路地から五分ほど歩くと、コロンが道の先を指差し二人に声をかけた。
コロンが指した先に小さな赤い屋根の食堂が見えた。風に乗って漂ってくる肉の焼ける匂いと香辛料の香りに、アイリスとポロンの顔を明るくなる。
「これは名店よ」
「急ぐのだ!」
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