ドラゴンシップ麗しのヴィクトリア号の記録 ~美少女船長はギャンブル狂の最強魔法剣士を使役する~
第25話 たった一人の決戦
サウザーを出た翌日のヴィクトリア号船内。
夕食の時刻に、ロック、クローネ、ポロン、三人はアイリスに食堂に呼び出された。三人が同時に食堂に入ると、すみのテーブルでつまらなそうにコロンが座っていた。その姿を見たロックがコロンに声をかけた。
「なんでコロンが…… 座ってるんだ」
「今日の夕飯は私に任せてって……」
不安そうな顔でキッチンで見るコロンだった。
入り口からアイリスの姿がロックたちに見える。詳しくはわからないが、アイリスの背中は鍋から何かをすくっているように見えた。ロックはキッチンの入り口へと向かい、ポロンも彼に続く。
「おい。アイリスなんでコロンが……」
「入らないで! エッチ!」
振り向いて叫ぶアイリス、三角巾と服の上からエプロンをつけている。くっついてきてロックの足元にいるポロンが、上を向いて首をかしげるポロンだった。
「アイリスは料理は美味しいのだ?」
「普通だな。特にけなすこともほめることも出来ないような。料理の腕っていうならコロンの方が数倍上手だぞ」
視線をポロンに合わせるように、下を向いてロックが答えた。
稀にロックとアイリスはコロンが寝た後、食堂で夜食を勝手に作ったりしている。特に隠す必要もない会話で、声が聞こえたコロンは席に座ったまま、少し恥ずかしそうにしている。
アイリスは横目でロックを見て不服そうに口を尖らせた。
「ふんだ。もう作ってやらないわよ。ほら早く席に戻りなさい」
アイリスはおたまを鍋からだした、アイリスはおたまでロック達の後ろの食堂を指すのだった。呆れた顔でロックはポロンを連れて、テーブルへと戻り席についた。ロックは一人、向かいにクローネ、ポロン、コロンと並んで座っている。
少ししてトレイに器を四つ載せてアイリスがやってきた。
「じゃーん!」
テーブルの上にトレイを置いて、アイリスはみんなの注目を引くように、両腕を開いて器にもった料理を指す。身を乗り出し料理を除く四人…… 器に盛られた料理を見たロックが声をあげる。
「これ…… サウザーレース場の鹿肉のトマト煮込みか?」
濃厚なトマトソースがかかった、大きな鹿肉が器から溢れんばかりに盛られていた。この料理はサウザーレース場の名物鹿肉のトマト煮込みだ。アイリスに顔を向けたロックに彼女は得意げに笑った。
「そうよ。これ気に入っちゃってさ。みんなで食べようと鍋ごと買ったのよ」
キッチンに顔を向けるアイリス、コロン用に小さく作られたかまどの上に、大きな寸胴鍋が設置されているのが見える。
「どうりで出発まで俺にくっついてレース場に来るからおかしいと思ったが…… ってか鍋ごと買ったら次行った時の楽しみがなくなるだろうが!」
トマト煮込みをちびちびやりながら、レースを見るというのはロックの密かな楽しみだ。彼はそれを奪われたと思い、アイリスに文句を言うのだった。
「ふふーん。大丈夫よ。ちゃんと新しい鍋をおばちゃんには買ったわ。喜んでたわよ。たくさん作れるって」
「おっおう」
ロックの考えていることなどお見通しだと言わんばかりに、腕を組んで勝ち誇るアイリス、ロックは呆然と彼女を見つめていた。
「はぁ。正直にいうとあの鍋は邪魔ですけどね…… 四人しか居ないのに…… 寸胴鍋って……」
コロンが顎を両手に乗せて愚痴る、視線の先にはアイリスが買った大きな鍋が映っている。
「まぁ。しゃーない。ここはアイリスの船だしな」
「はは」
乾いた笑いするコロンだった。アイリスは全員の前に鹿肉のトマト煮込みが入った器を並べていく。まず、本人、次にクローネ、ポロン、コロンの順に器を並べた。アイリスはロックの隣に座り満足そうに笑った。
「じゃあ。いただきまーす」
「おい! 待て! 俺の分は?」
器が置かれてないロックがすぐに声を上げる。アイリスは速攻でフォークで鹿肉をさすと、大きく口を開けそのまま鹿肉の塊を一つ口へと放り込んだ。
「もぐもぐ…… あっ! そうだったわ。ごめんねぇ。はい。五デナよ」
舌を出して謝りながら、アイリスは右手を上に向けロックに差し出した。
「金とんのかよ」
「ふふふ。冗談よ。今から持ってくるからねぇ。私の食べてていいわよ」
「ったく……」
微笑んでロックのために鹿肉のトマト煮込みを取りいく。
ロックは不満そうにしながら、ごく自然にアイリスが食べていた器を自分に引き寄せ、彼女のフォークを使って鹿肉を頬張る。
すぐにアイリスは戻って来てテーブルに鹿肉のトマト煮込みを置く。隣に座っていたロックがアイリスの鹿肉にフォークを指して強奪する。
「あっ! なんで取るのよ」
ロックのフォークに手を伸ばすアイリス、彼はまた彼女の額に手を置いて制する。
「はぁ!? お前はこれの鹿肉一口でいっただろ。だから一個は俺のだろう」
「ダメよ! 返して!」
「こら! やめろ! くすぐるな。はははっ」
アイリスはロックのわきをくすぐって鹿肉を取り返そうとする。
「これ美味しいのだ!」
ポロンがコロンとクローネを交互に見て声をかける。笑顔でコロンはうなずいたが、クローネは食べる手を止めた状態で、目の前で繰り広げれる、二人のやり取りを見つめていた。首をかしげてコロンがまた口を開く。
「クローネどうしたのだ? 食べないのか?」
「えっ!? ごめんなさい。いただきます」
頬を赤くしてクローネは慌てて食べ始めた。ポロンは嬉しそうに笑っている。コロンはクローネを見て困った顔をするのだった……
そこへヴィクトリアからアイリスに連絡が入ってきた。
「(食事中のところごめんねぇ。わたしの後ろから猛スピードで小型魔導飛空船が近づいて来ているわ)」
「そう……」
アイリスはロックの方に顔を向けた。ロックにもヴィクトリアの声が届いており、目が合うと彼は笑ってうなずく。
「ごめんね。お願い」
「わかった」
立ち上がったロックが食堂の外へ。ポロンとコロンは黙って彼を見つめる。クローネは立ち上がり彼の背中に声をかける。
「あっあの! ロックさん! 気をつけてくださいね」
「えっ!? あぁ。任せておけ」
急に声をかけられて一瞬だけ戸惑ったロックだったが、すぐに笑って親指を立ててクローネに向けて去っていく。クローネは両手を胸の前に心配そうに彼の背中を見つめていた。
走ってブリッジの前に戻ると、ヴィクトリアの舌が伸びていた。ロックは舌に飛び乗った。
舌はすぐに口の先端へ、ロックは右手てで魔法を使い、浄火が灯るランタンに火をひつける。
「姐さん。距離は?」
「(私の後ろ…… 数百メートルまで来てるわね。止まる気はないみたい衝突するつもりかしら?)」
ロックはヴィクトリアの言葉に少し考えてまた口を開く。
「そいつ掴まえられるか?」
「(大丈夫よ。任せて)」
「よし! 掴まえたら口を開いて俺を出せ」
「(了解!)」
ロック両腕を体の横に開く、背負っていた杖を剣が彼の手に握られる。紫海を飛行するヴィクトリアの周りは、紫のキラキラ光る霧のような空間が広がり、視界はほぼ無いに等しい。
視界が悪い紫海でヴィクトリアは、エンシェントドラゴンの能力を使い周囲の状況を把握する。それは頭の近くにある器官から、クジラなどのように周囲に超音波を放ち、数キロの範囲で迫ってくる船や、紫海内の地形や障害物などを感知しているのだった。
矢のスピードで小型魔導飛空船が背後から、彼女へと迫ってきている。
「(甘いわよ!)」
ヴィクトリアは急速反転する。迫ってくる小型魔導飛空船が目の前にへ見えた。五メートルほどの木造の魔導飛空船で、マストは一つだけで相当無理して飛ばしたのか、船体には細かな傷が無数に出来ていた。両前足で挟み込むようにして、ヴィクトリアは小型魔導飛空船を掴まえた。衝撃はかなりあり、ヴィクトリアの船内は激しく揺れていた。
口を開けたヴィクトリア、ロックの目の前にあった巨大な牙が、上下に離れて別れていく。同時に紫の色の霧が彼の周囲に漂い始めた。ヴィクトリアの舌を前へ進み口の外へ……
「うわあああああああああああああああああああああああああああ!!」
甲高くどこか悲痛な、思いがこもった激しい、叫び声がロックの目の前に届く。
「はっ!? お前は……」
ロックの目の前には髪を振り乱して、槍を振り上げたベリーチェが居た。どうやら彼女は小型魔導飛空船が捕まった直後に船を捨ててヴィクトリアへ乗り込もうと飛び上がったようだ。
眉間にシワを寄せ、怒りにこもった顔で、ロックを睨みつけるベリーチェ。彼女の鋭く尖った目には強烈な殺意がこもっている。
ベリーチェは槍を振り下ろした。十字の刃を持つ彼女の槍がロックへと迫っていくる。
冷静にロックは剣を、頭の上に水平に持っていき、槍を受け止める。激しい重い衝撃がロックを襲う。ベリーチェの槍に押されロックの剣がかすかに揺れる。
腕に力を込めるロック、ベリーチェの槍は防がれた。舌の上に乗ったベリーチェとロックは、槍と剣を挟んだ至近距離で対峙する。
「あんたを殺す! いいや! 全員殺す!!!」
剣と槍を挟んで激しく叫び声をロックにぶつけるベリーチェだった。ロックは左手に持った杖から手をはなす。そのままロックは左手を前にだし、彼女の槍を左手につかんだ。
「そうかい。悪いな大事な積荷を積んでるんだ。出て行け!」
左手をひいいて横に大きく振る。槍を持ったままのベリーチェの体が浮いたたままロックの横に移動する。ロックは左手に持った槍をベリーチェごと外に放り投げた。投げられたベリーチェは槍を持ったまま小型飛空船へと戻っていく。
足で地面を蹴って空を飛び、ロックはベリーチェを追いかける。
ヴィクトリアの舌の上に、立ったままだった杖も、彼を追いかけるようにして飛んでいく。
夕食の時刻に、ロック、クローネ、ポロン、三人はアイリスに食堂に呼び出された。三人が同時に食堂に入ると、すみのテーブルでつまらなそうにコロンが座っていた。その姿を見たロックがコロンに声をかけた。
「なんでコロンが…… 座ってるんだ」
「今日の夕飯は私に任せてって……」
不安そうな顔でキッチンで見るコロンだった。
入り口からアイリスの姿がロックたちに見える。詳しくはわからないが、アイリスの背中は鍋から何かをすくっているように見えた。ロックはキッチンの入り口へと向かい、ポロンも彼に続く。
「おい。アイリスなんでコロンが……」
「入らないで! エッチ!」
振り向いて叫ぶアイリス、三角巾と服の上からエプロンをつけている。くっついてきてロックの足元にいるポロンが、上を向いて首をかしげるポロンだった。
「アイリスは料理は美味しいのだ?」
「普通だな。特にけなすこともほめることも出来ないような。料理の腕っていうならコロンの方が数倍上手だぞ」
視線をポロンに合わせるように、下を向いてロックが答えた。
稀にロックとアイリスはコロンが寝た後、食堂で夜食を勝手に作ったりしている。特に隠す必要もない会話で、声が聞こえたコロンは席に座ったまま、少し恥ずかしそうにしている。
アイリスは横目でロックを見て不服そうに口を尖らせた。
「ふんだ。もう作ってやらないわよ。ほら早く席に戻りなさい」
アイリスはおたまを鍋からだした、アイリスはおたまでロック達の後ろの食堂を指すのだった。呆れた顔でロックはポロンを連れて、テーブルへと戻り席についた。ロックは一人、向かいにクローネ、ポロン、コロンと並んで座っている。
少ししてトレイに器を四つ載せてアイリスがやってきた。
「じゃーん!」
テーブルの上にトレイを置いて、アイリスはみんなの注目を引くように、両腕を開いて器にもった料理を指す。身を乗り出し料理を除く四人…… 器に盛られた料理を見たロックが声をあげる。
「これ…… サウザーレース場の鹿肉のトマト煮込みか?」
濃厚なトマトソースがかかった、大きな鹿肉が器から溢れんばかりに盛られていた。この料理はサウザーレース場の名物鹿肉のトマト煮込みだ。アイリスに顔を向けたロックに彼女は得意げに笑った。
「そうよ。これ気に入っちゃってさ。みんなで食べようと鍋ごと買ったのよ」
キッチンに顔を向けるアイリス、コロン用に小さく作られたかまどの上に、大きな寸胴鍋が設置されているのが見える。
「どうりで出発まで俺にくっついてレース場に来るからおかしいと思ったが…… ってか鍋ごと買ったら次行った時の楽しみがなくなるだろうが!」
トマト煮込みをちびちびやりながら、レースを見るというのはロックの密かな楽しみだ。彼はそれを奪われたと思い、アイリスに文句を言うのだった。
「ふふーん。大丈夫よ。ちゃんと新しい鍋をおばちゃんには買ったわ。喜んでたわよ。たくさん作れるって」
「おっおう」
ロックの考えていることなどお見通しだと言わんばかりに、腕を組んで勝ち誇るアイリス、ロックは呆然と彼女を見つめていた。
「はぁ。正直にいうとあの鍋は邪魔ですけどね…… 四人しか居ないのに…… 寸胴鍋って……」
コロンが顎を両手に乗せて愚痴る、視線の先にはアイリスが買った大きな鍋が映っている。
「まぁ。しゃーない。ここはアイリスの船だしな」
「はは」
乾いた笑いするコロンだった。アイリスは全員の前に鹿肉のトマト煮込みが入った器を並べていく。まず、本人、次にクローネ、ポロン、コロンの順に器を並べた。アイリスはロックの隣に座り満足そうに笑った。
「じゃあ。いただきまーす」
「おい! 待て! 俺の分は?」
器が置かれてないロックがすぐに声を上げる。アイリスは速攻でフォークで鹿肉をさすと、大きく口を開けそのまま鹿肉の塊を一つ口へと放り込んだ。
「もぐもぐ…… あっ! そうだったわ。ごめんねぇ。はい。五デナよ」
舌を出して謝りながら、アイリスは右手を上に向けロックに差し出した。
「金とんのかよ」
「ふふふ。冗談よ。今から持ってくるからねぇ。私の食べてていいわよ」
「ったく……」
微笑んでロックのために鹿肉のトマト煮込みを取りいく。
ロックは不満そうにしながら、ごく自然にアイリスが食べていた器を自分に引き寄せ、彼女のフォークを使って鹿肉を頬張る。
すぐにアイリスは戻って来てテーブルに鹿肉のトマト煮込みを置く。隣に座っていたロックがアイリスの鹿肉にフォークを指して強奪する。
「あっ! なんで取るのよ」
ロックのフォークに手を伸ばすアイリス、彼はまた彼女の額に手を置いて制する。
「はぁ!? お前はこれの鹿肉一口でいっただろ。だから一個は俺のだろう」
「ダメよ! 返して!」
「こら! やめろ! くすぐるな。はははっ」
アイリスはロックのわきをくすぐって鹿肉を取り返そうとする。
「これ美味しいのだ!」
ポロンがコロンとクローネを交互に見て声をかける。笑顔でコロンはうなずいたが、クローネは食べる手を止めた状態で、目の前で繰り広げれる、二人のやり取りを見つめていた。首をかしげてコロンがまた口を開く。
「クローネどうしたのだ? 食べないのか?」
「えっ!? ごめんなさい。いただきます」
頬を赤くしてクローネは慌てて食べ始めた。ポロンは嬉しそうに笑っている。コロンはクローネを見て困った顔をするのだった……
そこへヴィクトリアからアイリスに連絡が入ってきた。
「(食事中のところごめんねぇ。わたしの後ろから猛スピードで小型魔導飛空船が近づいて来ているわ)」
「そう……」
アイリスはロックの方に顔を向けた。ロックにもヴィクトリアの声が届いており、目が合うと彼は笑ってうなずく。
「ごめんね。お願い」
「わかった」
立ち上がったロックが食堂の外へ。ポロンとコロンは黙って彼を見つめる。クローネは立ち上がり彼の背中に声をかける。
「あっあの! ロックさん! 気をつけてくださいね」
「えっ!? あぁ。任せておけ」
急に声をかけられて一瞬だけ戸惑ったロックだったが、すぐに笑って親指を立ててクローネに向けて去っていく。クローネは両手を胸の前に心配そうに彼の背中を見つめていた。
走ってブリッジの前に戻ると、ヴィクトリアの舌が伸びていた。ロックは舌に飛び乗った。
舌はすぐに口の先端へ、ロックは右手てで魔法を使い、浄火が灯るランタンに火をひつける。
「姐さん。距離は?」
「(私の後ろ…… 数百メートルまで来てるわね。止まる気はないみたい衝突するつもりかしら?)」
ロックはヴィクトリアの言葉に少し考えてまた口を開く。
「そいつ掴まえられるか?」
「(大丈夫よ。任せて)」
「よし! 掴まえたら口を開いて俺を出せ」
「(了解!)」
ロック両腕を体の横に開く、背負っていた杖を剣が彼の手に握られる。紫海を飛行するヴィクトリアの周りは、紫のキラキラ光る霧のような空間が広がり、視界はほぼ無いに等しい。
視界が悪い紫海でヴィクトリアは、エンシェントドラゴンの能力を使い周囲の状況を把握する。それは頭の近くにある器官から、クジラなどのように周囲に超音波を放ち、数キロの範囲で迫ってくる船や、紫海内の地形や障害物などを感知しているのだった。
矢のスピードで小型魔導飛空船が背後から、彼女へと迫ってきている。
「(甘いわよ!)」
ヴィクトリアは急速反転する。迫ってくる小型魔導飛空船が目の前にへ見えた。五メートルほどの木造の魔導飛空船で、マストは一つだけで相当無理して飛ばしたのか、船体には細かな傷が無数に出来ていた。両前足で挟み込むようにして、ヴィクトリアは小型魔導飛空船を掴まえた。衝撃はかなりあり、ヴィクトリアの船内は激しく揺れていた。
口を開けたヴィクトリア、ロックの目の前にあった巨大な牙が、上下に離れて別れていく。同時に紫の色の霧が彼の周囲に漂い始めた。ヴィクトリアの舌を前へ進み口の外へ……
「うわあああああああああああああああああああああああああああ!!」
甲高くどこか悲痛な、思いがこもった激しい、叫び声がロックの目の前に届く。
「はっ!? お前は……」
ロックの目の前には髪を振り乱して、槍を振り上げたベリーチェが居た。どうやら彼女は小型魔導飛空船が捕まった直後に船を捨ててヴィクトリアへ乗り込もうと飛び上がったようだ。
眉間にシワを寄せ、怒りにこもった顔で、ロックを睨みつけるベリーチェ。彼女の鋭く尖った目には強烈な殺意がこもっている。
ベリーチェは槍を振り下ろした。十字の刃を持つ彼女の槍がロックへと迫っていくる。
冷静にロックは剣を、頭の上に水平に持っていき、槍を受け止める。激しい重い衝撃がロックを襲う。ベリーチェの槍に押されロックの剣がかすかに揺れる。
腕に力を込めるロック、ベリーチェの槍は防がれた。舌の上に乗ったベリーチェとロックは、槍と剣を挟んだ至近距離で対峙する。
「あんたを殺す! いいや! 全員殺す!!!」
剣と槍を挟んで激しく叫び声をロックにぶつけるベリーチェだった。ロックは左手に持った杖から手をはなす。そのままロックは左手を前にだし、彼女の槍を左手につかんだ。
「そうかい。悪いな大事な積荷を積んでるんだ。出て行け!」
左手をひいいて横に大きく振る。槍を持ったままのベリーチェの体が浮いたたままロックの横に移動する。ロックは左手に持った槍をベリーチェごと外に放り投げた。投げられたベリーチェは槍を持ったまま小型飛空船へと戻っていく。
足で地面を蹴って空を飛び、ロックはベリーチェを追いかける。
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