ドラゴンシップ麗しのヴィクトリア号の記録 ~美少女船長はギャンブル狂の最強魔法剣士を使役する~
第18話 臆病者と呼ばれても
ロック達は地下神殿へと向かっている。泉の扉の向こうは砦の階段から続いていたむき出しの岩でなく、禊の場と同じ石造りで天井が高さと幅が三メートルずつくらいある広い廊下だった。
廊下は地下神殿を四角く囲んで一周する回廊になっており、禊の場から神殿の入り口へ行くには、角を二つ曲がって反対側へ移動する必要があった。温かい泉に浸かり、頬がほんのり桜色の湯上がり状態の、アイリスが背伸びをした。
「うーん。この後アイスクリームとかあったら最高なのになぁ」
「あのなぁ。遊びじゃないんだぞ。だいたいなお前はさっき自分の腹を確認しただろうが……」
「キッ! うるさいわね!」
呆れた顔でアイリスの、触れられたくない部分を、指摘するロックだった。アイリスは憮然とした顔で立ち止まり、不意に彼の足を前からかかとで踏みつけるのだった。
小さくするどいアイリスの一撃がロックの足に届く、彼女の小さな足と石畳みに挟まれた彼の足に痛みがはしる。
「いてぇな! お前!」
「べー! バーカ! 嫌い!」
足をあげ手で押さえるロック、アイリスは舌を出して腕を組んでそっぽをむいた。痛がるロックを見て心配そうにする、クローネの手をアイリスがつかんだ。
「こんなのは放っておいて行きしょう!」
「でっでも…… 痛そうですよ?」
「平気ですよ。この人は頑丈だけがとりえですから!」
「うるせえな!」
クローネを連れてロックに背を向けるアイリス、急に振り返って彼女だった。ロックは振り向いてアイリスが、優しい言葉をかけやりすぎたと謝罪してくれるかと期待した。しかし……
「べー!」
馬鹿にしたような顔でアイリスは舌をだした。
「チッ!」
舌打ちをして不満そうに、ロックは足から手を離し、二人の後をついていくのだった。三人は二つ角を曲がり、地下神殿の入り口の前へ続く回廊へとやってきた。
廊下を二十メートルほど進むと、大きな金属の扉が見えてきた。石造りの大きな燭台が金属の扉の横に二つ並んでいる。
この扉の向こうにロック達が目指す地下神殿がある。
「あっ! 遅いわよ! あんた達! なにやってんのよ! もう……」
燭台の横でミリンが待っており顔をだした。三人を見た彼女は、駆け寄って来て遅いを不満をもらすのだった。
「ミリンさん。先に行かれたと思っていましたが、待っててくれたのですね」
笑って少し嬉しそうにクローネはミリンに声をかけた。
「うっ……」
目をそらすミリンだった。クローネはなぜ目をそらされたのか、不思議そうに首をかしげる。ロックはクローネの肩に手をかけた。振り向くクローネに彼はゆっくりと首を横に振った。
「クローネ…… やめてやれ。こいつは待ってたんじゃなくてブルって一人で地下神殿の中に入れなかっただけだ」
「違うわよ!」
必死に叫ぶミリン、ロックが言ったことが図星のようだ。シロップに先を越されないようにロックはそんな彼女を見て優しく声をかける。
「なーに。臆病ってのは悪いことじゃない。なんせ敵の力を見くびらないってことだからな。闇雲につっこむやつよりも優秀だ」
「えっ!? そっそう!?」
笑顔をミリンに向けるロックだった。ミリンは彼の言葉に声をはずませて反応した。
「あぁ。ここでお前が行かなかったから死体が減って棺桶を一つ減らせる。得だろう? 棺桶は高いんだよ」
「なっ!? なんですって! 馬鹿にしないでよ!」
得意げな表情のロックにミリンが叫ぶ。慌ててアイリスが二人の間に体を入れた。
「もう…… ロック! ごめんなさい無神経な人なんです」
「なんだよ。本当に高いんだぞ。人の体格に合わせて作るからな。それにここは地下だろ? 死体を地上に運ぶのだってまた高いんだ」
「だまりなさい! まったく……」
頭を下げるアイリス、不満そうげにロックを見るミリンだった。
クローネはどうしたらいいかわからず困惑しているようだった。
直後……
「うわああああああああああああああああああああああああ!」
扉の向こうから廊下に叫び声が響く。この声を聞いたミリンがすぐに反応する。
「この声は…… シロップ!? ねえ! あんた早く行きましょう」
ミリンは扉を指して、巫女からもらった鍵を、扉の鍵穴にさして回す。
「待て! いきなり飛び込むのは」
「うるさいわね。シロップが…… 弟が中に居るのよ」
「おっおい……」
制止したロックの言葉を無視して、ミリンは神殿への扉にさした鍵を開ける。ガチャンという大きな音が響き、金属の古い扉は甲高い音を立てて開く。この音は神殿の中にも響いていた。
地下神殿は真四角で広い空間に、十メートルはあろうかという高い天井に、装飾され模様が描かれた床、左右の壁から五メートルくらいに等間隔で石の柱が並んでいた。
一番奥には幅五メートルほどの数十センチの段があり、その上に石で出来た祭壇が置かれている
石の柱には派遣された冒険者や、兵士達のものと思わわれる血の赤い跡がいくつもつき、床には彼らの装備品が散らばっている。
「シロップ!」
ミリンが叫んで走り出した。神殿の真ん中にシロップが倒れていた。少し離れたところにクプが倒れている。
倒れた二人は怪我をしているようで、周囲の床には血が流れ出ていた。
「チッ! アイリス! ボルトを装填しろ」
「うん!」
アイリスがロックに言われたとおりに、クロスボウを肩から外しボルトとを装填する。その間にミリンがシロップの元へ駆け寄り膝をついた。
「逃げろ!!」
ロックの声がする。声に反応したミリンが、振り向くと柱の影から紫色のミノタウロスが姿を現した。
頭に二本の角を生やした牛の顔を持ち、体は人間の姿をした魔物ミノタウロス。三メートルはあろうかという大きな体に盛り上がった筋肉、下半身に毛皮を巻き手には大きな木の棍棒を持っている。モグリンから情報通りに、紫海の瘴気をすいこみ体色は紫色に変化して、口から端から紫の霧が漏れている。
ミノタウロスは一直線にミリンに向かっていき距離を一気につめる。
「何よ! こんなやつ」
ミリンは背負っていた盾と斧を取り出し、斧を右手、盾を左手に持って構える。ミノタウロスは手に持った大きな混紡を振りる。
「うがああああああ!!!!!」
口を大きく開け棍棒を横から、開いた口の上顎の牙からよだれが糸を引く。足を踏ん張り盾を構えて、ミノタウロスの棍棒をミリンは受け止めた。
「きゃああああ!」
激しい衝撃がミリンを襲う。ミノタウロスの一撃を盾で受けたミリンだったが、衝撃に耐えきれずに吹き飛ばされた。
「ぐはっ!?」
勢いよくミリンは背中から大の字に柱に叩きつけられ、彼女の後頭部と背中に衝撃と激痛が走った。両手から斧と盾がはなれ床に転がった。
柱からずり落ちたミリンは床に落ちる。気を失ったのか彼女は柱を背に床に、座ったまま頭を下にもたげて横にかすかに揺れていた。追撃しようとミノタウロスは駆け出し、ミリンとの距離をつめていく。クローネがミリンに向かって叫ぶ。
「ミリンさん! えっ!?」
クローネの手を誰かがつかんだ、直後に彼女の見ていた風景が変わった。
そして目の前に紫色の巨大なミノタウロスが現れた。ミノタウロスは棍棒を振り上げた、クローネを睨みつけた。棍棒が振り下ろされクローネに迫る、目の前がミノタウロスが持つ木の棍棒の木目で覆い尽くされた。
「ひっ!?」
迫ってくる棍棒にクローネは、恐怖で身が縮こまり目をそむけた。大きな音が神殿に響く……
音がした直後、クローネの体には何も起きていなかった。足元に人の影らしき物が見えた彼女はゆっくりと顔をあげる。
「えっ!? ロックさん……」
クローネの目の前にロックが立って、左手に持った杖の先端をミノタウロスに向けていた。
ミノタウロスの棍棒はロックの杖の前にで止まっていた。ロックの杖の周り数十センチほどの青い透明な、光の壁のようなが見えている。
ロックは静かに振り向いた。
「さっさと足元にいるバカを助けてやれ」
「えっ!?」
クローネが足元を見るとミリンが倒れていた。クローネは慌ててしゃがんでミリンの肩に手をかけた。
ロックはとっさに空間転移で、アイリスとクローネを連れてミリンの前に移動したのだ。
「うがああああああ!!!!」
ミノタウロスが叫び声をあげた。ロックはやつの顔を見上げて目をジッと見ていた。再度、ミノタウロスが大きく右手を横に持っていく。今度は棍棒で横から薙ぎ払おうとした。
「おっと!」
「えっ!?」
振り向いたロックはクローネの背中に手を置いた。また彼女の視界が変わり、装飾された綺麗な床と、ミリンが倒れてい柱の根元が下に見えた。
ミノタウロスの棍棒が、自分たちが居た場所を通過していた。
「わたくし…… 体が浮いて……」
顔を横に向けるとロックが笑って右の親指を立て、反対には気を失ったミリンが浮かんでいる。ロックの魔法により彼らは瞬時に浮かび上がりミノタウロスの一撃をかわしたのだ。
「キャッ!」
急降下していくクローネ達、彼女の視界がまた変わった。クローネの目に横を向いた、ミノタウロスが棍棒が空振りしたのを、不思議がっている姿が見えた。
「おらこっちだ!」
振り向くと座った、ミリンの後ろにロックが立って笑っていた。ミノタウロスから、クローネが一番近い場所に立っている。
慌てて前を向いたクローネ、ミノタウロスはロックの声に反応しこちらを向いていた。
「うがああああああああああああああああああああああああ!!!」
叫び声をあげたミノタウロスが、クローネに向かって左手を伸ばす。慌ててロックに助けを求めようするクローネだった。
「しゃがめ!」
ニンマリと微笑みロックが叫んで体を横に向けた。彼の後ろからクロスボウを構えたアイリスが現れた。ロックの言葉に従ってクローネがしゃがむ。
「くらいなさい!」
アイリスがクロスボウのトリガーを引く。台座に固定された弓の弦が前に押し出され、音とともにボルトが撃ち出された。
撃ち出されたボルトは一筋に白い光となってミノタウロスへ向かっていくのだった。
廊下は地下神殿を四角く囲んで一周する回廊になっており、禊の場から神殿の入り口へ行くには、角を二つ曲がって反対側へ移動する必要があった。温かい泉に浸かり、頬がほんのり桜色の湯上がり状態の、アイリスが背伸びをした。
「うーん。この後アイスクリームとかあったら最高なのになぁ」
「あのなぁ。遊びじゃないんだぞ。だいたいなお前はさっき自分の腹を確認しただろうが……」
「キッ! うるさいわね!」
呆れた顔でアイリスの、触れられたくない部分を、指摘するロックだった。アイリスは憮然とした顔で立ち止まり、不意に彼の足を前からかかとで踏みつけるのだった。
小さくするどいアイリスの一撃がロックの足に届く、彼女の小さな足と石畳みに挟まれた彼の足に痛みがはしる。
「いてぇな! お前!」
「べー! バーカ! 嫌い!」
足をあげ手で押さえるロック、アイリスは舌を出して腕を組んでそっぽをむいた。痛がるロックを見て心配そうにする、クローネの手をアイリスがつかんだ。
「こんなのは放っておいて行きしょう!」
「でっでも…… 痛そうですよ?」
「平気ですよ。この人は頑丈だけがとりえですから!」
「うるせえな!」
クローネを連れてロックに背を向けるアイリス、急に振り返って彼女だった。ロックは振り向いてアイリスが、優しい言葉をかけやりすぎたと謝罪してくれるかと期待した。しかし……
「べー!」
馬鹿にしたような顔でアイリスは舌をだした。
「チッ!」
舌打ちをして不満そうに、ロックは足から手を離し、二人の後をついていくのだった。三人は二つ角を曲がり、地下神殿の入り口の前へ続く回廊へとやってきた。
廊下を二十メートルほど進むと、大きな金属の扉が見えてきた。石造りの大きな燭台が金属の扉の横に二つ並んでいる。
この扉の向こうにロック達が目指す地下神殿がある。
「あっ! 遅いわよ! あんた達! なにやってんのよ! もう……」
燭台の横でミリンが待っており顔をだした。三人を見た彼女は、駆け寄って来て遅いを不満をもらすのだった。
「ミリンさん。先に行かれたと思っていましたが、待っててくれたのですね」
笑って少し嬉しそうにクローネはミリンに声をかけた。
「うっ……」
目をそらすミリンだった。クローネはなぜ目をそらされたのか、不思議そうに首をかしげる。ロックはクローネの肩に手をかけた。振り向くクローネに彼はゆっくりと首を横に振った。
「クローネ…… やめてやれ。こいつは待ってたんじゃなくてブルって一人で地下神殿の中に入れなかっただけだ」
「違うわよ!」
必死に叫ぶミリン、ロックが言ったことが図星のようだ。シロップに先を越されないようにロックはそんな彼女を見て優しく声をかける。
「なーに。臆病ってのは悪いことじゃない。なんせ敵の力を見くびらないってことだからな。闇雲につっこむやつよりも優秀だ」
「えっ!? そっそう!?」
笑顔をミリンに向けるロックだった。ミリンは彼の言葉に声をはずませて反応した。
「あぁ。ここでお前が行かなかったから死体が減って棺桶を一つ減らせる。得だろう? 棺桶は高いんだよ」
「なっ!? なんですって! 馬鹿にしないでよ!」
得意げな表情のロックにミリンが叫ぶ。慌ててアイリスが二人の間に体を入れた。
「もう…… ロック! ごめんなさい無神経な人なんです」
「なんだよ。本当に高いんだぞ。人の体格に合わせて作るからな。それにここは地下だろ? 死体を地上に運ぶのだってまた高いんだ」
「だまりなさい! まったく……」
頭を下げるアイリス、不満そうげにロックを見るミリンだった。
クローネはどうしたらいいかわからず困惑しているようだった。
直後……
「うわああああああああああああああああああああああああ!」
扉の向こうから廊下に叫び声が響く。この声を聞いたミリンがすぐに反応する。
「この声は…… シロップ!? ねえ! あんた早く行きましょう」
ミリンは扉を指して、巫女からもらった鍵を、扉の鍵穴にさして回す。
「待て! いきなり飛び込むのは」
「うるさいわね。シロップが…… 弟が中に居るのよ」
「おっおい……」
制止したロックの言葉を無視して、ミリンは神殿への扉にさした鍵を開ける。ガチャンという大きな音が響き、金属の古い扉は甲高い音を立てて開く。この音は神殿の中にも響いていた。
地下神殿は真四角で広い空間に、十メートルはあろうかという高い天井に、装飾され模様が描かれた床、左右の壁から五メートルくらいに等間隔で石の柱が並んでいた。
一番奥には幅五メートルほどの数十センチの段があり、その上に石で出来た祭壇が置かれている
石の柱には派遣された冒険者や、兵士達のものと思わわれる血の赤い跡がいくつもつき、床には彼らの装備品が散らばっている。
「シロップ!」
ミリンが叫んで走り出した。神殿の真ん中にシロップが倒れていた。少し離れたところにクプが倒れている。
倒れた二人は怪我をしているようで、周囲の床には血が流れ出ていた。
「チッ! アイリス! ボルトを装填しろ」
「うん!」
アイリスがロックに言われたとおりに、クロスボウを肩から外しボルトとを装填する。その間にミリンがシロップの元へ駆け寄り膝をついた。
「逃げろ!!」
ロックの声がする。声に反応したミリンが、振り向くと柱の影から紫色のミノタウロスが姿を現した。
頭に二本の角を生やした牛の顔を持ち、体は人間の姿をした魔物ミノタウロス。三メートルはあろうかという大きな体に盛り上がった筋肉、下半身に毛皮を巻き手には大きな木の棍棒を持っている。モグリンから情報通りに、紫海の瘴気をすいこみ体色は紫色に変化して、口から端から紫の霧が漏れている。
ミノタウロスは一直線にミリンに向かっていき距離を一気につめる。
「何よ! こんなやつ」
ミリンは背負っていた盾と斧を取り出し、斧を右手、盾を左手に持って構える。ミノタウロスは手に持った大きな混紡を振りる。
「うがああああああ!!!!!」
口を大きく開け棍棒を横から、開いた口の上顎の牙からよだれが糸を引く。足を踏ん張り盾を構えて、ミノタウロスの棍棒をミリンは受け止めた。
「きゃああああ!」
激しい衝撃がミリンを襲う。ミノタウロスの一撃を盾で受けたミリンだったが、衝撃に耐えきれずに吹き飛ばされた。
「ぐはっ!?」
勢いよくミリンは背中から大の字に柱に叩きつけられ、彼女の後頭部と背中に衝撃と激痛が走った。両手から斧と盾がはなれ床に転がった。
柱からずり落ちたミリンは床に落ちる。気を失ったのか彼女は柱を背に床に、座ったまま頭を下にもたげて横にかすかに揺れていた。追撃しようとミノタウロスは駆け出し、ミリンとの距離をつめていく。クローネがミリンに向かって叫ぶ。
「ミリンさん! えっ!?」
クローネの手を誰かがつかんだ、直後に彼女の見ていた風景が変わった。
そして目の前に紫色の巨大なミノタウロスが現れた。ミノタウロスは棍棒を振り上げた、クローネを睨みつけた。棍棒が振り下ろされクローネに迫る、目の前がミノタウロスが持つ木の棍棒の木目で覆い尽くされた。
「ひっ!?」
迫ってくる棍棒にクローネは、恐怖で身が縮こまり目をそむけた。大きな音が神殿に響く……
音がした直後、クローネの体には何も起きていなかった。足元に人の影らしき物が見えた彼女はゆっくりと顔をあげる。
「えっ!? ロックさん……」
クローネの目の前にロックが立って、左手に持った杖の先端をミノタウロスに向けていた。
ミノタウロスの棍棒はロックの杖の前にで止まっていた。ロックの杖の周り数十センチほどの青い透明な、光の壁のようなが見えている。
ロックは静かに振り向いた。
「さっさと足元にいるバカを助けてやれ」
「えっ!?」
クローネが足元を見るとミリンが倒れていた。クローネは慌ててしゃがんでミリンの肩に手をかけた。
ロックはとっさに空間転移で、アイリスとクローネを連れてミリンの前に移動したのだ。
「うがああああああ!!!!」
ミノタウロスが叫び声をあげた。ロックはやつの顔を見上げて目をジッと見ていた。再度、ミノタウロスが大きく右手を横に持っていく。今度は棍棒で横から薙ぎ払おうとした。
「おっと!」
「えっ!?」
振り向いたロックはクローネの背中に手を置いた。また彼女の視界が変わり、装飾された綺麗な床と、ミリンが倒れてい柱の根元が下に見えた。
ミノタウロスの棍棒が、自分たちが居た場所を通過していた。
「わたくし…… 体が浮いて……」
顔を横に向けるとロックが笑って右の親指を立て、反対には気を失ったミリンが浮かんでいる。ロックの魔法により彼らは瞬時に浮かび上がりミノタウロスの一撃をかわしたのだ。
「キャッ!」
急降下していくクローネ達、彼女の視界がまた変わった。クローネの目に横を向いた、ミノタウロスが棍棒が空振りしたのを、不思議がっている姿が見えた。
「おらこっちだ!」
振り向くと座った、ミリンの後ろにロックが立って笑っていた。ミノタウロスから、クローネが一番近い場所に立っている。
慌てて前を向いたクローネ、ミノタウロスはロックの声に反応しこちらを向いていた。
「うがああああああああああああああああああああああああ!!!」
叫び声をあげたミノタウロスが、クローネに向かって左手を伸ばす。慌ててロックに助けを求めようするクローネだった。
「しゃがめ!」
ニンマリと微笑みロックが叫んで体を横に向けた。彼の後ろからクロスボウを構えたアイリスが現れた。ロックの言葉に従ってクローネがしゃがむ。
「くらいなさい!」
アイリスがクロスボウのトリガーを引く。台座に固定された弓の弦が前に押し出され、音とともにボルトが撃ち出された。
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