【毒舌系転職ライフ!】『フェアリーテイル』へようこそ!~リリスさんのパーフェクトマニュアル~ギルド冒険者を指南します!
47. ローレライ
47. ローレライ
そして翌日。改めて昨日の海岸へ向かうことにする。今回はリリスさんが一緒なので心強い。ちなみにジェシカさんとレイアも一緒だ。
「あの。レイアちゃんは百歩譲っても分かるんですけど、なんでジェシカちゃんも一緒なんですか?」
「え?だってリリスさんが一緒に調査しろって言ったんじゃない」
「……口実ですか。まぁ今さら戻れと言っても無駄でしょうし、良いですよ」
「事実でしょ。なんで口実なの」
相変わらずの2人だが、喧嘩するほど仲が良いとも言うし放っておこう。そんなこんなでオレ達は夜の海岸に着いたのだが、やはり何も無い。
「うーん。やっぱり何も無いですね。リリスさんはどう思いますか?」
「焦る必要はないですよ。『ローレライ』は間違いなくまた現れます。あと歌声が聴こえるのはきっとエミルくんだけです。魔力が低い人間ほど魅了されますからね」
……そういうものなのか?ちょっと待て。あの時エドガーさんは分かるが、ジェシカさんも聞こえなかったと言っていたけど?
「あのリリスさん。ジェシカさんも聞こえなかったんですけど……」
「はい?それはジェシカちゃんのほうがエミルくんより魔力があるからじゃないんですか?そんなこと子供でも分かるじゃないですか。まったく。」
どうやらオレの魔力は相当低いらしい。一応レイアもクレリックだし、姉のジェシカさんも冒険者の道があったのかも……。
「マスター。気を落とさないで。私は別に魔法が使えるわけじゃないから」
「ありがとう。ジェシカさん」
オレが落ち込んでいるとリリスさんが話しかけてくる。
「まぁエミルくんがどれだけ低レベルかは置いておいて、とりあえずエミルくんはここで待機していてください。私とジェシカちゃんとレイアちゃんで辺りを探してきますから。」
「はい。分かりました」
それからしばらく3人は砂浜を歩き回りながら何かないか探し回った。そんな様子を見ていると、突然昨日の歌声が聴こえてくる。
オレはみんなに知らせようとしたが、声が出ない。それどころか足が勝手にその歌声のほうへ動こうとする。なんとか抵抗するが、ダメだ。このままだとあの子のもとへ行ってしまう。そのまま歩き続けると昨日の月明かりに照らされた女の子の後ろ姿が見えた。
すると女の子はこちらを振り向き、微笑むとそのままオレの足は一歩ずつ前へと進んでいく。この先は危ないと頭では分かっているが、どうしてもこの子のそばに行きたいという気持ちが勝っている。そしてとうとうオレは目の前まで来てしまった。
「こんばんわ。私の歌を聞きに来てくれたのかな?」
「……うん。すごく綺麗な声で歌うんだね」
「ありがとう!あなたと共に幸せに過ごせるならどんなに素敵かしら。さぁ一緒に行きましょう?」
そう言うと女の子は手を差し出してくる。それを見た瞬間、頭の中が真っ白になり何も考えられなくなる。そして自然と女の子の手を取ってしまう。
「あ、あぁ……」
「ふふっ。これでもう大丈夫よ。私と一緒に暮らしましょ?ずっと愛してあげる……」
「はい……」
そして次の瞬間、目の前の女の子が真っ二つに切り裂かれるとそのまま消えていく。それと同時にオレは正気を取り戻す。
「え……あ……え……!?」
「ちっ。やはり幻影でしたか」
リリスさんが剣を構えて立っていた。オレが魅了されている間に助けてくれたようだ。
「大丈夫ですかエミルくん?まったく君は本当に期待を裏切りませんね?危うく死ぬところでしたよ?」
「は、はい……すみません。助かりました……」
あのままなら間違いなくオレは……。そんなことを考えると身体が震えて止まらない。
「まぁいいです。それより……あそこに行くしかないみたいですね」
リリスさんが指をさす方向にボロボロになった大型船が見える。あれは噂の『幽霊船』!?それを見たジェシカさんが話し出す。
「まさかあそこに行くのリリスさん?」
「もちろんです。あそこに『ローレライ』の本体がいるはずです。」
「あのリリスさん。エドガーさんやアンナを呼んできた方が良くないですか?」
オレがそう言うとリリスさんはため息をつきながら話す。
「はぁ……君って人は……。そんな時間ありません。それにエドガーさんの守りのスキルは私の防御魔法のほうが余裕で効果ありますし、アンナちゃんの魔法は私なら話しながらでも威力のあるものが使えますよ。ちなみにレイアちゃんの回復魔法や補助魔法も私なら軽く使えます。異論はありますかエミルくん?」
「いえ……無いです」
「よろしい。じゃあ早速行きますよ。レイアちゃんはエミルくんとジェシカちゃんを守ってあげてくださいね」
「はい。分かりました。マスターさんとお姉ちゃんは私から離れないでね」
こうしてオレたちは異変の原因、姿を現した『幽霊船』へと向かうことになったのだった。
そして翌日。改めて昨日の海岸へ向かうことにする。今回はリリスさんが一緒なので心強い。ちなみにジェシカさんとレイアも一緒だ。
「あの。レイアちゃんは百歩譲っても分かるんですけど、なんでジェシカちゃんも一緒なんですか?」
「え?だってリリスさんが一緒に調査しろって言ったんじゃない」
「……口実ですか。まぁ今さら戻れと言っても無駄でしょうし、良いですよ」
「事実でしょ。なんで口実なの」
相変わらずの2人だが、喧嘩するほど仲が良いとも言うし放っておこう。そんなこんなでオレ達は夜の海岸に着いたのだが、やはり何も無い。
「うーん。やっぱり何も無いですね。リリスさんはどう思いますか?」
「焦る必要はないですよ。『ローレライ』は間違いなくまた現れます。あと歌声が聴こえるのはきっとエミルくんだけです。魔力が低い人間ほど魅了されますからね」
……そういうものなのか?ちょっと待て。あの時エドガーさんは分かるが、ジェシカさんも聞こえなかったと言っていたけど?
「あのリリスさん。ジェシカさんも聞こえなかったんですけど……」
「はい?それはジェシカちゃんのほうがエミルくんより魔力があるからじゃないんですか?そんなこと子供でも分かるじゃないですか。まったく。」
どうやらオレの魔力は相当低いらしい。一応レイアもクレリックだし、姉のジェシカさんも冒険者の道があったのかも……。
「マスター。気を落とさないで。私は別に魔法が使えるわけじゃないから」
「ありがとう。ジェシカさん」
オレが落ち込んでいるとリリスさんが話しかけてくる。
「まぁエミルくんがどれだけ低レベルかは置いておいて、とりあえずエミルくんはここで待機していてください。私とジェシカちゃんとレイアちゃんで辺りを探してきますから。」
「はい。分かりました」
それからしばらく3人は砂浜を歩き回りながら何かないか探し回った。そんな様子を見ていると、突然昨日の歌声が聴こえてくる。
オレはみんなに知らせようとしたが、声が出ない。それどころか足が勝手にその歌声のほうへ動こうとする。なんとか抵抗するが、ダメだ。このままだとあの子のもとへ行ってしまう。そのまま歩き続けると昨日の月明かりに照らされた女の子の後ろ姿が見えた。
すると女の子はこちらを振り向き、微笑むとそのままオレの足は一歩ずつ前へと進んでいく。この先は危ないと頭では分かっているが、どうしてもこの子のそばに行きたいという気持ちが勝っている。そしてとうとうオレは目の前まで来てしまった。
「こんばんわ。私の歌を聞きに来てくれたのかな?」
「……うん。すごく綺麗な声で歌うんだね」
「ありがとう!あなたと共に幸せに過ごせるならどんなに素敵かしら。さぁ一緒に行きましょう?」
そう言うと女の子は手を差し出してくる。それを見た瞬間、頭の中が真っ白になり何も考えられなくなる。そして自然と女の子の手を取ってしまう。
「あ、あぁ……」
「ふふっ。これでもう大丈夫よ。私と一緒に暮らしましょ?ずっと愛してあげる……」
「はい……」
そして次の瞬間、目の前の女の子が真っ二つに切り裂かれるとそのまま消えていく。それと同時にオレは正気を取り戻す。
「え……あ……え……!?」
「ちっ。やはり幻影でしたか」
リリスさんが剣を構えて立っていた。オレが魅了されている間に助けてくれたようだ。
「大丈夫ですかエミルくん?まったく君は本当に期待を裏切りませんね?危うく死ぬところでしたよ?」
「は、はい……すみません。助かりました……」
あのままなら間違いなくオレは……。そんなことを考えると身体が震えて止まらない。
「まぁいいです。それより……あそこに行くしかないみたいですね」
リリスさんが指をさす方向にボロボロになった大型船が見える。あれは噂の『幽霊船』!?それを見たジェシカさんが話し出す。
「まさかあそこに行くのリリスさん?」
「もちろんです。あそこに『ローレライ』の本体がいるはずです。」
「あのリリスさん。エドガーさんやアンナを呼んできた方が良くないですか?」
オレがそう言うとリリスさんはため息をつきながら話す。
「はぁ……君って人は……。そんな時間ありません。それにエドガーさんの守りのスキルは私の防御魔法のほうが余裕で効果ありますし、アンナちゃんの魔法は私なら話しながらでも威力のあるものが使えますよ。ちなみにレイアちゃんの回復魔法や補助魔法も私なら軽く使えます。異論はありますかエミルくん?」
「いえ……無いです」
「よろしい。じゃあ早速行きますよ。レイアちゃんはエミルくんとジェシカちゃんを守ってあげてくださいね」
「はい。分かりました。マスターさんとお姉ちゃんは私から離れないでね」
こうしてオレたちは異変の原因、姿を現した『幽霊船』へと向かうことになったのだった。
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