【毒舌系転職ライフ!】『フェアリーテイル』へようこそ!~リリスさんのパーフェクトマニュアル~ギルド冒険者を指南します!
42. 気が知れない
42. 気が知れない
そして翌日早朝。オレとリリスさんはギルド『フェアリーテイル』の前でハリーさんを待っている。期限は夕刻。それまでになんとしてもドラゴンの体内にある宝石を持ち帰らなくては。
「えっと……依頼はサーベルボアの討伐ですね。鋭い牙が特徴の魔物ですね」
サーベルボア。その名の通り牙を武器に戦う猪型の魔物だ。ランクとしてはCだが、突進攻撃はかなり強力で油断できない相手だ。……リリスさんなら問題ないと思うけどさ。問題はドラゴンのほうだ。
「それよりドラゴン討伐は大丈夫なんですよねリリスさん?」
「Sランクの私にかかれば余裕ですよ。それよりこれ見てください!今日はいつもの剣じゃなくて刀なんですよ。最近若い冒険者の中でサムライブームが来てるので、流行に乗ってみました!女の子たちは『サムライ女子』なんて呼ばれて、和装の装備を買うんです!最近のは可愛いものが多いですから、それと……」
リリスさんはとても機嫌が良さそうだ。かなり早口だし。というか冒険者のジョブにブームとかあるのか……。『サムライ女子』って……。そんなことを話しているとハリーさんがやってくる。
「お待たせしました!馬車を用意したので早速行きましょう!」
そう言って馬車に乗り込む。今回向かうのは王都から西に位置する霧の深い渓谷。そこの最奥部に目的のドラゴンがいる巣穴があるとのことだ。
馬車に揺られながら、オレ達は目的地を目指す。その間もリリスさんはずっと上機嫌で鼻歌交じりに景色を見ている。
「なんか楽しそうですねリリスさん?」
「そりゃ楽しいに決まってますよ!今はギルド受付嬢であっても、冒険者歴のほうが長いですからね!」
「でもリリスさんは今はギルド受付嬢ですからね?また冒険者に戻りたいとか言わないでくださいよ?」
「そんなこと絶対にありえませんから安心してください!今から冒険者に戻ったら毎日が暇すぎてつまらないですし、自分が楽したいからって、私のことを尊敬している振りして近づくクズを相手しないといけないですし、なんて言っても野営が嫌です。固い地面で寝ますし、ご飯は保存食ですし、お風呂にも入れない。地獄ですよ」
めちゃくちゃ言うじゃんこの人……。饒舌で毒舌モードに入ってるよ……一番面倒だ。しかしリリスさんは止まらず話し続ける。
「あと。たまに夜の焚き火の前で夢を語り合ったり、パーティーの親睦を深めるなんて理想を語る勘違い野郎に付き合わされたり、恋愛相談なんてされた日にはもう最悪ですよ。こう言っちゃなんですけど、冒険者をやってる人の気が知れません!」
……その冒険者をSランクになるまでやってたのはリリスさんだよね?とか言うと、今の倍以上オレに毒が吐かれそなので黙っておく。リリスさんの毒舌は目的の霧の谷に到着するまで止まらなかった。ちなみにハリーさんはその様子を見て戸惑っていたが……。
そして霧の谷の入り口にいる騎士にギルドの依頼書を見せて中に入っていく。霧の谷は名前通り深い霧に覆われており視界が悪い。しかも崖のような地形のため足場が悪く、注意して進まなくてはならない。
「ハリーさん。ドラゴンはどの辺りにいるか分かりますか?」
「霧の谷の奥のほうに巣穴がある。そこまで行けば確実に会えるはずだ」
「そうですか……。気を引き締めていきましょう」
こうしてオレたちは霧の谷を進んでいった。道中出てくる魔物をリリスさんが難なく倒しながら進んでいく。しかし、時間だけが過ぎていき一向にドラゴンの巣穴が見つからない。もう太陽は真上にある。ふと横を見るとハリーさんが焦りを募らせていた。
「おかしいですね……。サーベルボアがなかなか見つかりません。そろそろ出てきてもいいはずなんですが……」
そんな時、目の前に一匹のサーベルボアが姿を現す。そしてサーベルボアはこちらを見つけるとそのまま逃げていく。
「あ。逃げました。追いかけないとですね!エミルくん。先に行っててください!」
「あっリリスさん!?」
リリスさんはそのままオレの制止を振り切って走って行ってしまう。マジ?オレとハリーさんは戦えないんだけど……。どうしようかと考えていると、ハリーさんがオレに向かって話しかけてくる。
「……マスターくん。先に行こう」
「え?いや危険ですよ?それこそドラゴンが出てきたら……」
「危険は承知している。もしここで立ち止まり諦めて、最悪後悔するなら私は死んだっていいと思っている。だから頼む。行かせてくれ」
そう言うハリーさん。その瞳からは強い覚悟を感じた。これはハリーさんの依頼だ。依頼主であるハリーさんの意思を無下にすることはできない。
「……わかりました。行きましょう」
「ありがとうマスターくん!」
そう言ってオレとハリーさんはそのままドラゴンの巣穴に向かって歩きだす。
リリスさんと別れて数時間。リリスさんはまだ帰ってこない。幸い魔物に出くわしても、逃げることができたので問題はなかった。だが、いつ戻ってくるかもわからないリリスさんを待つのも正直限界だった。
「リリスさん遅いですね……」
「ああ。まさかサーベルボアにやられてるんじゃ……」
「いやあの人に限ってそれはないかと思いますけど……」
すると突然大きな地響きと共に、轟音が鳴り響く。まさか……。音のした方向を見てみると、そこには巨大な白い翼を広げた竜がいた。体長は10メートル程。全身が白銀のように輝いており、鋭い牙や爪を持っている。
『グオオォオ!』
ドラゴンは雄叫びを上げる。オレたちは咄嵯に近くの木陰に隠れるが強力なブレス攻撃によりオレとハリーさんは吹き飛ばされてしまう。
マジかよ……強すぎるぞ。このままじゃ死ぬ!リリスさん早く帰ってきてくれ!
そして翌日早朝。オレとリリスさんはギルド『フェアリーテイル』の前でハリーさんを待っている。期限は夕刻。それまでになんとしてもドラゴンの体内にある宝石を持ち帰らなくては。
「えっと……依頼はサーベルボアの討伐ですね。鋭い牙が特徴の魔物ですね」
サーベルボア。その名の通り牙を武器に戦う猪型の魔物だ。ランクとしてはCだが、突進攻撃はかなり強力で油断できない相手だ。……リリスさんなら問題ないと思うけどさ。問題はドラゴンのほうだ。
「それよりドラゴン討伐は大丈夫なんですよねリリスさん?」
「Sランクの私にかかれば余裕ですよ。それよりこれ見てください!今日はいつもの剣じゃなくて刀なんですよ。最近若い冒険者の中でサムライブームが来てるので、流行に乗ってみました!女の子たちは『サムライ女子』なんて呼ばれて、和装の装備を買うんです!最近のは可愛いものが多いですから、それと……」
リリスさんはとても機嫌が良さそうだ。かなり早口だし。というか冒険者のジョブにブームとかあるのか……。『サムライ女子』って……。そんなことを話しているとハリーさんがやってくる。
「お待たせしました!馬車を用意したので早速行きましょう!」
そう言って馬車に乗り込む。今回向かうのは王都から西に位置する霧の深い渓谷。そこの最奥部に目的のドラゴンがいる巣穴があるとのことだ。
馬車に揺られながら、オレ達は目的地を目指す。その間もリリスさんはずっと上機嫌で鼻歌交じりに景色を見ている。
「なんか楽しそうですねリリスさん?」
「そりゃ楽しいに決まってますよ!今はギルド受付嬢であっても、冒険者歴のほうが長いですからね!」
「でもリリスさんは今はギルド受付嬢ですからね?また冒険者に戻りたいとか言わないでくださいよ?」
「そんなこと絶対にありえませんから安心してください!今から冒険者に戻ったら毎日が暇すぎてつまらないですし、自分が楽したいからって、私のことを尊敬している振りして近づくクズを相手しないといけないですし、なんて言っても野営が嫌です。固い地面で寝ますし、ご飯は保存食ですし、お風呂にも入れない。地獄ですよ」
めちゃくちゃ言うじゃんこの人……。饒舌で毒舌モードに入ってるよ……一番面倒だ。しかしリリスさんは止まらず話し続ける。
「あと。たまに夜の焚き火の前で夢を語り合ったり、パーティーの親睦を深めるなんて理想を語る勘違い野郎に付き合わされたり、恋愛相談なんてされた日にはもう最悪ですよ。こう言っちゃなんですけど、冒険者をやってる人の気が知れません!」
……その冒険者をSランクになるまでやってたのはリリスさんだよね?とか言うと、今の倍以上オレに毒が吐かれそなので黙っておく。リリスさんの毒舌は目的の霧の谷に到着するまで止まらなかった。ちなみにハリーさんはその様子を見て戸惑っていたが……。
そして霧の谷の入り口にいる騎士にギルドの依頼書を見せて中に入っていく。霧の谷は名前通り深い霧に覆われており視界が悪い。しかも崖のような地形のため足場が悪く、注意して進まなくてはならない。
「ハリーさん。ドラゴンはどの辺りにいるか分かりますか?」
「霧の谷の奥のほうに巣穴がある。そこまで行けば確実に会えるはずだ」
「そうですか……。気を引き締めていきましょう」
こうしてオレたちは霧の谷を進んでいった。道中出てくる魔物をリリスさんが難なく倒しながら進んでいく。しかし、時間だけが過ぎていき一向にドラゴンの巣穴が見つからない。もう太陽は真上にある。ふと横を見るとハリーさんが焦りを募らせていた。
「おかしいですね……。サーベルボアがなかなか見つかりません。そろそろ出てきてもいいはずなんですが……」
そんな時、目の前に一匹のサーベルボアが姿を現す。そしてサーベルボアはこちらを見つけるとそのまま逃げていく。
「あ。逃げました。追いかけないとですね!エミルくん。先に行っててください!」
「あっリリスさん!?」
リリスさんはそのままオレの制止を振り切って走って行ってしまう。マジ?オレとハリーさんは戦えないんだけど……。どうしようかと考えていると、ハリーさんがオレに向かって話しかけてくる。
「……マスターくん。先に行こう」
「え?いや危険ですよ?それこそドラゴンが出てきたら……」
「危険は承知している。もしここで立ち止まり諦めて、最悪後悔するなら私は死んだっていいと思っている。だから頼む。行かせてくれ」
そう言うハリーさん。その瞳からは強い覚悟を感じた。これはハリーさんの依頼だ。依頼主であるハリーさんの意思を無下にすることはできない。
「……わかりました。行きましょう」
「ありがとうマスターくん!」
そう言ってオレとハリーさんはそのままドラゴンの巣穴に向かって歩きだす。
リリスさんと別れて数時間。リリスさんはまだ帰ってこない。幸い魔物に出くわしても、逃げることができたので問題はなかった。だが、いつ戻ってくるかもわからないリリスさんを待つのも正直限界だった。
「リリスさん遅いですね……」
「ああ。まさかサーベルボアにやられてるんじゃ……」
「いやあの人に限ってそれはないかと思いますけど……」
すると突然大きな地響きと共に、轟音が鳴り響く。まさか……。音のした方向を見てみると、そこには巨大な白い翼を広げた竜がいた。体長は10メートル程。全身が白銀のように輝いており、鋭い牙や爪を持っている。
『グオオォオ!』
ドラゴンは雄叫びを上げる。オレたちは咄嵯に近くの木陰に隠れるが強力なブレス攻撃によりオレとハリーさんは吹き飛ばされてしまう。
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