【毒舌系転職ライフ!】『フェアリーテイル』へようこそ!~リリスさんのパーフェクトマニュアル~ギルド冒険者を指南します!
35. 足手まとい
35. 足手まとい
そして翌日。ギルド『フェアリーテイル』はいつも通りの営業をしている。受付カウンターではジェシカさんが冒険者の依頼を受理していた。
「はい。オーク材の採取の依頼ですね。あとは同行依頼。受理しました。レイアご指名よ」
「お姉ちゃん。えっと……内容は?」
「こちらの槍騎士の冒険者のかたが、オーク材の採取の依頼をするから、回復役にあなたが指名されたの」
「採取か良かった。あのよろしくお願いします!」
そう言ってレイアは頭を下げる。ジェシカさんとリリスさんが笑顔で見送る。そしてレイアがギルドを出ていき、しばらくしてからジェシカさんが声をかけてきた。
「ねぇマスター。昨日レイアに何かあったの?帰ってからもどこか上の空で元気がなかったから気になるんだけど」
「実は……」
オレは事情を話した。同行依頼を失敗して落ち込んでいたこと、その原因が自分にあり、足を引っ張ってしまったこと、それをずっと引きずっていることを話した。
「そうなんだ……」
「はい……」
ジェシカさんも深刻そうにしていた。すると、カウンターにいたリリスさんが話しかけてくる。
「放って置けばいいとおもいますよ。仕事なんだし、失敗もあります」
「いやリリスさん……それは少し冷たくないですか?」
「ならエミルくんはこのギルドに100名の同行依頼の冒険者がいたら、いちいち全員のフォローするんですか?贔屓せずに同等に丁寧に接しますか?そうやって特定の人をフォローできるのは人数が少ないからであって、そもそもエドガーさんやアンナちゃんだって頑張ってるんです。そんな贔屓は可哀想ですよ?」
「それは……」
「それにレイアちゃんは冒険者です。これから経験を積んでいけば良いんですよ。それなのにここで優しくしたら甘えると思いますし、成長もしません」
リリスさんの言うことはもっともだ。すごいド正論を言われたんだが……。今回のは毒ではなくて、ただの説教だ。
「確かに……リリスさんの言うとおりだな……すいません」
「いえいえ。分かってもらえれば良いんですよ」
リリスさんは満足したのかニコニコしていた。そしてしばらくしてからレイアとその槍騎士の冒険者が戻ってくる。
「お帰りなさいレイア。どうだった?」
「うん!無事に終わったよお姉ちゃん!採取もきちんとできたし」
「そう。よかったわね」
レイアは嬉しそうに笑っていた。その様子に安心する。しかし、それを見てリリスさんはオレに話す。
「……ダメですね。エミルくん。レイアちゃんを同行依頼からはずしたほうがいいと思いますよ」
「え?」
「あの!私、何かダメでしたか……?その……」
レイアはすごく困った顔をしている。そしてリリスさんは書類を整理しながら答える。
「はい。ダメですね。同行依頼は初級冒険者のためにと、このギルド『フェアリーテイル』だけの特別に行っているものです。レイアちゃんは内容によってやる気が変わるんですか?これは仕事です。お金をもらっている以上最大限の力を発揮するべきですよ」
「私は一生懸命やって……」
「なら。今から魔物討伐の同行依頼が来たらレイアちゃんは最大限の力を発揮できるんですか?私はそうは思いません。さっき見ていましたけど、魔物討伐やダンジョン攻略の依頼に怯えてるじゃないですか。そんな人には同行依頼は無理です。ジェシカちゃんのサポートでもしててください。足手まといですよ。」
「!?……足手まとい……。」
「レイア。私もリリスさんの言う通りだと思うよ?これは仕事なの。そしてこれはあなたが何とかするしかないの」
「お姉ちゃんまで……」
すごく厳しいことを言うリリスさんとジェシカさん。さすがに言いすぎじゃないか?と思ったが、その表情はとても真剣で、レイアのことを本気で思っていることが伝わった。
レイアは何も言えずに下を向いていたが、顔を上げると泣きじゃくった顔でクエストボードから一枚の依頼書をはがしリリスさんがいるカウンターにバンッと叩きつけるように置く。
「それなら……この依頼を受けます!」
依頼書を見ると『ダンジョン攻略』の依頼だった。そしてポケットから銅貨6枚を取り出してカウンターに置く。
「そして『正義のヒーロー』と『天才魔法少女』の同行をお願いします!」
は?ちょっと待て!
「はい。分かりました。受理しますね」
リリスさんはあっさり受理してしまう。そしてレイアはこちらを見る。
「マスターさん。準備があるので今日は早退させてください!失礼します!」
そう言って部屋を出ていった。なんかヤバいことになったな……。
「あのリリスさん……」
「レイアちゃんも冒険者ですから問題はないと思いますよ。いやぁそれにしても、この大人の私に向かってあそこまで感情を剥き出しにするなんてレイアちゃんもやりますね?ジェシカさんと違って肉食系だったりします?」
「あの子は負けず嫌いだから。ねぇマスター。もし良かったら一緒に行ってあげて。お願い」
そう言ってジェシカさんが頭を下げる。もちろんオレは了承する。まったく大変なことになった……。でもこのままじゃいけないのはオレだってわかる。これはギルド『フェアリーテイル』の問題だからな。
そして翌日。ギルド『フェアリーテイル』はいつも通りの営業をしている。受付カウンターではジェシカさんが冒険者の依頼を受理していた。
「はい。オーク材の採取の依頼ですね。あとは同行依頼。受理しました。レイアご指名よ」
「お姉ちゃん。えっと……内容は?」
「こちらの槍騎士の冒険者のかたが、オーク材の採取の依頼をするから、回復役にあなたが指名されたの」
「採取か良かった。あのよろしくお願いします!」
そう言ってレイアは頭を下げる。ジェシカさんとリリスさんが笑顔で見送る。そしてレイアがギルドを出ていき、しばらくしてからジェシカさんが声をかけてきた。
「ねぇマスター。昨日レイアに何かあったの?帰ってからもどこか上の空で元気がなかったから気になるんだけど」
「実は……」
オレは事情を話した。同行依頼を失敗して落ち込んでいたこと、その原因が自分にあり、足を引っ張ってしまったこと、それをずっと引きずっていることを話した。
「そうなんだ……」
「はい……」
ジェシカさんも深刻そうにしていた。すると、カウンターにいたリリスさんが話しかけてくる。
「放って置けばいいとおもいますよ。仕事なんだし、失敗もあります」
「いやリリスさん……それは少し冷たくないですか?」
「ならエミルくんはこのギルドに100名の同行依頼の冒険者がいたら、いちいち全員のフォローするんですか?贔屓せずに同等に丁寧に接しますか?そうやって特定の人をフォローできるのは人数が少ないからであって、そもそもエドガーさんやアンナちゃんだって頑張ってるんです。そんな贔屓は可哀想ですよ?」
「それは……」
「それにレイアちゃんは冒険者です。これから経験を積んでいけば良いんですよ。それなのにここで優しくしたら甘えると思いますし、成長もしません」
リリスさんの言うことはもっともだ。すごいド正論を言われたんだが……。今回のは毒ではなくて、ただの説教だ。
「確かに……リリスさんの言うとおりだな……すいません」
「いえいえ。分かってもらえれば良いんですよ」
リリスさんは満足したのかニコニコしていた。そしてしばらくしてからレイアとその槍騎士の冒険者が戻ってくる。
「お帰りなさいレイア。どうだった?」
「うん!無事に終わったよお姉ちゃん!採取もきちんとできたし」
「そう。よかったわね」
レイアは嬉しそうに笑っていた。その様子に安心する。しかし、それを見てリリスさんはオレに話す。
「……ダメですね。エミルくん。レイアちゃんを同行依頼からはずしたほうがいいと思いますよ」
「え?」
「あの!私、何かダメでしたか……?その……」
レイアはすごく困った顔をしている。そしてリリスさんは書類を整理しながら答える。
「はい。ダメですね。同行依頼は初級冒険者のためにと、このギルド『フェアリーテイル』だけの特別に行っているものです。レイアちゃんは内容によってやる気が変わるんですか?これは仕事です。お金をもらっている以上最大限の力を発揮するべきですよ」
「私は一生懸命やって……」
「なら。今から魔物討伐の同行依頼が来たらレイアちゃんは最大限の力を発揮できるんですか?私はそうは思いません。さっき見ていましたけど、魔物討伐やダンジョン攻略の依頼に怯えてるじゃないですか。そんな人には同行依頼は無理です。ジェシカちゃんのサポートでもしててください。足手まといですよ。」
「!?……足手まとい……。」
「レイア。私もリリスさんの言う通りだと思うよ?これは仕事なの。そしてこれはあなたが何とかするしかないの」
「お姉ちゃんまで……」
すごく厳しいことを言うリリスさんとジェシカさん。さすがに言いすぎじゃないか?と思ったが、その表情はとても真剣で、レイアのことを本気で思っていることが伝わった。
レイアは何も言えずに下を向いていたが、顔を上げると泣きじゃくった顔でクエストボードから一枚の依頼書をはがしリリスさんがいるカウンターにバンッと叩きつけるように置く。
「それなら……この依頼を受けます!」
依頼書を見ると『ダンジョン攻略』の依頼だった。そしてポケットから銅貨6枚を取り出してカウンターに置く。
「そして『正義のヒーロー』と『天才魔法少女』の同行をお願いします!」
は?ちょっと待て!
「はい。分かりました。受理しますね」
リリスさんはあっさり受理してしまう。そしてレイアはこちらを見る。
「マスターさん。準備があるので今日は早退させてください!失礼します!」
そう言って部屋を出ていった。なんかヤバいことになったな……。
「あのリリスさん……」
「レイアちゃんも冒険者ですから問題はないと思いますよ。いやぁそれにしても、この大人の私に向かってあそこまで感情を剥き出しにするなんてレイアちゃんもやりますね?ジェシカさんと違って肉食系だったりします?」
「あの子は負けず嫌いだから。ねぇマスター。もし良かったら一緒に行ってあげて。お願い」
そう言ってジェシカさんが頭を下げる。もちろんオレは了承する。まったく大変なことになった……。でもこのままじゃいけないのはオレだってわかる。これはギルド『フェアリーテイル』の問題だからな。
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