【毒舌系転職ライフ!】『フェアリーテイル』へようこそ!~リリスさんのパーフェクトマニュアル~ギルド冒険者を指南します!
31. 適材適所です
31. 適材適所です
そしてジェシカさんと食事を終えたあと、オレたちは街の広場に来ていた。この時間は屋台が並んでいて、とても賑やかだ。少しベンチに座って休憩することにした。するとジェシカさんはオレの方を向いて話しかけてきた。
「ねぇマスター?マスターはリリスさんと一緒に冒険者パーティーを組んでたんでしょ?」
「はい。一応リリスさんがリーダーでオレは1ヶ月くらいしか参加できなかったですけど。とても優しくて、強くて、何でもできて、本当に完璧超人でしたよ」
同じ冒険者パーティーの時のリリスさんは本当に優しかったし強かった。まぁギルド受付嬢になった今でもその強さは健在だけどね。
「ふーん。そうなんだ。」
「それがどうかしましたか?」
「リリスさんは良く周りの人のことを見てくれていると思っていたから。リーダーか。納得。」
「そうですね。みんなを良く見てますよね。」
「あのさマスター。私ねギルド受付嬢の仕事で苦手な事があるの」
え?意外なんだけど……ジェシカさんは仕事もできるし、苦手な事なんてないと思っていた。
「へぇ。意外ですね。何ですか?」
「……依頼を失敗した冒険者の対応。昔は『次は頑張って』とか『怪我はない?』とか声をかけてたけど。私にはそれしかできないのが辛くて。でもリリスさんはそれを見て察したのか、いつの頃か何も言わずに対応を代わってくれるようになった。」
「そうだったんですか。なんかリリスさんと上手くやってるみたいで安心したよ。」
そのあとは、しばらく雑談をしてオレたちは別れた。そしてレイアのことをジェシカさんに話すことは出来なかった。
◇◇◇
そのままギルドに戻り、夜。オレが部屋でゆっくりしているとコンコンとノック音が聞こえ、リリスさんが中に入ってくる。
「こんばんは。どうでしたか?」
「色々話せました。家族のことやギルドのこと。ジェシカさんが依頼を失敗した冒険者の対応が苦手でリリスさんがいつも代わってくれていることとか」
「そうですか」
「でも……ジェシカさんにはレイアのことは話せませんでした。きっとジェシカさんはギルド受付嬢に誇りを持っているからこそ、今の『フェアリーテイル』では働いていると言えないんだと思います。そして、レイアに冒険者をやらせたくない。」
オレがそう言うと、リリスさんは少し呆れた顔で言う。
「はぁ何のためにジェシカちゃんと一緒にいたんですか?デートなら本当に休みの日にやってほしいものです!これは仕事ですよ?まったくこれだからエミルくんはダメなんですよ。使えないですね」
「すいません……」
リリスさんは頬を膨らませながら毒を吐く。でも今回はリリスさんが正しいので何も言えない。
「まぁいいです。つまり私たち『フェアリーテイル』はジェシカちゃんから見て、まだまだ未熟と言うことですよね?まったく。エミルくんはマスターとしてもっと頑張らないとダメですよ?ここが親御さんにも報告できない、妹を在籍させたくない恥ずかしいギルドって思われてるんですから」
「いや……そこまでじゃ……」
「同じですよ。実際。私たちのギルドはまだそこまで知名度が高い訳でもないですし。それにしてもジェシカちゃんは面倒な女ですね!」
確かにリリスさんの言う通りだ。それを聞いてオレは何も言えなかった。オレのそんな様子を見てリリスさんはあることを話す。
「でも。ジェシカちゃんの親御さんは上級者ギルドを辞めてこの『フェアリーテイル』で働いていることを恥ずかしいと思うんですかね?」
「え?」
「レイアちゃんも上級者ギルドで働いていないとジェシカちゃんと一緒に働きたくないんですかね?」
「リリスさん……」
「……ジェシカちゃんは真面目で臆病な子なんだと思います。だから理想のギルド受付嬢像があるんでしょうね。だから心のどこかで、ギルド『ホワイトナイツ』で働けなくなった自分が受け入れられないし、怖いんだと思います。」
リリスさんは真剣な顔でオレに話してくれた。オレはずっとジェシカさんは強い人だって思っていた。でも違った。そして更に言葉を続ける。
「それと、さっき依頼を失敗した冒険者の対応の話がありましたけど、私は別にジェシカちゃんを助けているわけじゃない。その方がギルドの運営としてスムーズだからです。適材適所です。」
「ギルドのため……」
「エミルくんが今日やったことはジェシカちゃんへの優しさではありません。それでは何の解決にもならないし、結果逃げているだけです。君はこの『フェアリーテイル』のギルドマスターです。上に立つ者としてもっとしっかりしてください。」
リリスさんは淡々とそう言った。オレはそんなリリスさんの言葉を聞き、何も言うことが出来なかった。するとリリスさんはオレの顔を見て、微笑みながら言った。
「……大丈夫です。君なら。」
「え?」
「君は私が認めた人です。私の勘は当たるんですよ?」
リリスさんはオレに向かって微笑むと、そのまま部屋から出ていった。リリスさんのその笑顔を見たオレは心が温かくなった気がした。
そしてジェシカさんと食事を終えたあと、オレたちは街の広場に来ていた。この時間は屋台が並んでいて、とても賑やかだ。少しベンチに座って休憩することにした。するとジェシカさんはオレの方を向いて話しかけてきた。
「ねぇマスター?マスターはリリスさんと一緒に冒険者パーティーを組んでたんでしょ?」
「はい。一応リリスさんがリーダーでオレは1ヶ月くらいしか参加できなかったですけど。とても優しくて、強くて、何でもできて、本当に完璧超人でしたよ」
同じ冒険者パーティーの時のリリスさんは本当に優しかったし強かった。まぁギルド受付嬢になった今でもその強さは健在だけどね。
「ふーん。そうなんだ。」
「それがどうかしましたか?」
「リリスさんは良く周りの人のことを見てくれていると思っていたから。リーダーか。納得。」
「そうですね。みんなを良く見てますよね。」
「あのさマスター。私ねギルド受付嬢の仕事で苦手な事があるの」
え?意外なんだけど……ジェシカさんは仕事もできるし、苦手な事なんてないと思っていた。
「へぇ。意外ですね。何ですか?」
「……依頼を失敗した冒険者の対応。昔は『次は頑張って』とか『怪我はない?』とか声をかけてたけど。私にはそれしかできないのが辛くて。でもリリスさんはそれを見て察したのか、いつの頃か何も言わずに対応を代わってくれるようになった。」
「そうだったんですか。なんかリリスさんと上手くやってるみたいで安心したよ。」
そのあとは、しばらく雑談をしてオレたちは別れた。そしてレイアのことをジェシカさんに話すことは出来なかった。
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そのままギルドに戻り、夜。オレが部屋でゆっくりしているとコンコンとノック音が聞こえ、リリスさんが中に入ってくる。
「こんばんは。どうでしたか?」
「色々話せました。家族のことやギルドのこと。ジェシカさんが依頼を失敗した冒険者の対応が苦手でリリスさんがいつも代わってくれていることとか」
「そうですか」
「でも……ジェシカさんにはレイアのことは話せませんでした。きっとジェシカさんはギルド受付嬢に誇りを持っているからこそ、今の『フェアリーテイル』では働いていると言えないんだと思います。そして、レイアに冒険者をやらせたくない。」
オレがそう言うと、リリスさんは少し呆れた顔で言う。
「はぁ何のためにジェシカちゃんと一緒にいたんですか?デートなら本当に休みの日にやってほしいものです!これは仕事ですよ?まったくこれだからエミルくんはダメなんですよ。使えないですね」
「すいません……」
リリスさんは頬を膨らませながら毒を吐く。でも今回はリリスさんが正しいので何も言えない。
「まぁいいです。つまり私たち『フェアリーテイル』はジェシカちゃんから見て、まだまだ未熟と言うことですよね?まったく。エミルくんはマスターとしてもっと頑張らないとダメですよ?ここが親御さんにも報告できない、妹を在籍させたくない恥ずかしいギルドって思われてるんですから」
「いや……そこまでじゃ……」
「同じですよ。実際。私たちのギルドはまだそこまで知名度が高い訳でもないですし。それにしてもジェシカちゃんは面倒な女ですね!」
確かにリリスさんの言う通りだ。それを聞いてオレは何も言えなかった。オレのそんな様子を見てリリスさんはあることを話す。
「でも。ジェシカちゃんの親御さんは上級者ギルドを辞めてこの『フェアリーテイル』で働いていることを恥ずかしいと思うんですかね?」
「え?」
「レイアちゃんも上級者ギルドで働いていないとジェシカちゃんと一緒に働きたくないんですかね?」
「リリスさん……」
「……ジェシカちゃんは真面目で臆病な子なんだと思います。だから理想のギルド受付嬢像があるんでしょうね。だから心のどこかで、ギルド『ホワイトナイツ』で働けなくなった自分が受け入れられないし、怖いんだと思います。」
リリスさんは真剣な顔でオレに話してくれた。オレはずっとジェシカさんは強い人だって思っていた。でも違った。そして更に言葉を続ける。
「それと、さっき依頼を失敗した冒険者の対応の話がありましたけど、私は別にジェシカちゃんを助けているわけじゃない。その方がギルドの運営としてスムーズだからです。適材適所です。」
「ギルドのため……」
「エミルくんが今日やったことはジェシカちゃんへの優しさではありません。それでは何の解決にもならないし、結果逃げているだけです。君はこの『フェアリーテイル』のギルドマスターです。上に立つ者としてもっとしっかりしてください。」
リリスさんは淡々とそう言った。オレはそんなリリスさんの言葉を聞き、何も言うことが出来なかった。するとリリスさんはオレの顔を見て、微笑みながら言った。
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