【毒舌系転職ライフ!】『フェアリーテイル』へようこそ!~リリスさんのパーフェクトマニュアル~ギルド冒険者を指南します!

夕姫

29. 探し人

第5章 探し人はギルド受付嬢のお姉ちゃん?



29. 探し人



 ギルド『フェアリーテイル』を設立して2ヶ月が過ぎた。この間は、メルさんのアイテム屋でリリスさんがスキルで調合した『リリスポーション』が評判を呼び、かなりの数の人が買いに来てくれた。

 今ではメルさんのアイテム屋の看板商品になりつつある。メルさんも凄く喜んでいたし、ほぼ毎週のようにメルさんから調合の依頼として大量の注文が入るようになった。本当に力になれて良かったよな。

 今は、朝早くから頼まれていたリリスポーションをメルさんのアイテム屋に納品している。

「メルさん。これ、頼まれていたポーションです」

「いつもありがとうございます」

「いえいえ。大繁盛みたいですね。」

「はい。おかげ様で。あのいつも大量に注文してしまってリリスさんの業務に支障はありませんでしょうか?」

「大丈夫ですよ。リリスさんは……その……何でもできるので」

 そう。リリスさんはいつも暇潰し程度にポーションの調合をやっている。どちらかと言うとポーションに貼る、あのリリスさんのシールのほうが時間がかかってしまうくらいだ。

「それならいいのですけど……。」

「気にしないでください。じゃあまたお願いします」

 オレはメルさんのアイテム屋をあとにする。そしてギルド『フェアリーテイル』に戻り開店の準備をおこなうことにする。

「ただいま戻りました……ん?」

 ギルドの中に入るとリリスさんがある1人の少女と話をしていた。

「リリスさん。その子は?」

「あぁエミルくん。おかえりなさい。実はですね人を探しているらしくて、依頼書をお願いされたんです」

「人探しですか……」

 まぁ、ギルドとして依頼書が受理されるか分からないが、力にはなってあげたいよな。オレは早速その少女に話を聞くことにする。

「初めまして。オレはこのギルド『フェアリーテイル』のマスターのエミルです」

「……はじめまして。どこに頼んだらいいか分からなくて……私はレイアと言います。どうかよろしくお願いします」

 そう言って深く頭を下げるレイアと名乗る少女。年齢は15歳くらいだろうか。身長は150センチくらい。髪は茶髪のボブで茶色の瞳。そして白いローブを着ている。この子は冒険者なのか?

「それでどんな人を探してるのかな?」

「はい。私のお姉ちゃんなんです。この王都でギルド受付嬢をやっているはずなんですけど……なんか辞めてしまったようで、そのあとは家にも連絡がないし消息不明なんです」

「ギルド受付嬢?他のギルドのことは良く分からないけど、お姉さんが働いていたギルドって分かる?」

「はい。確か……ホワイトナイツとかいうギルドだったと思います。」

 は?ホワイトナイツ?それは聞いたことがあるんだが……いや待てよ。この子良く見たらそっくりじゃないか?髪や瞳の色が同じだし……。オレが内心焦っているとリリスさんがレイアに聞いてくれる。

「えっと。レイアちゃん。お姉さんの名前は何と言うのですか?」

「ジェシカです」

 やっぱり!?完全に一致したぞ!?しかしなんでジェシカさんは何の連絡もいれてないんだ?

「うーん。そうか。ちなみにどうして探しているの?」

「はい。私、お姉ちゃんに憧れていて、お姉ちゃんの働くギルドで冒険者をやりたいんです。一応、ジョブはクレリックでランクはまだEなんですけど……冒険証は持ってます!」

 そう言ってレイアは懐から冒険証を取り出し見せてくれる。確かにレイアの冒険証だ。でも……どうしたものか。そんな時リリスさんが話す。

「なるほど。事情は分かりました。とりあえず今日はウチの依頼を受けませんか?エミルくんが依頼書の申請をしてくれるみたいなので」

「本当ですか!?ありがとうございます!」

「あのリリスさん……?」

「エミルくん。ちょっといいですか?」

 リリスさんはレイアから少し離れてオレの耳元で話しかけてくる。

「ジェシカちゃんは偶然にも今日は休みです。この事を伝えてきてください。一応ジェシカちゃんからも話を聞いた方がいいと思います。」

「そうですね。でもジェシカさんがどこにいるか分かりませんけど?」

「絶対宿屋にいますよ。ジェシカちゃんは陰キャですから、どうせ部屋にこもって本でも読み漁ってますって。あー。せっかくなのでエミルくんが外に連れ出してあげた方がいいと思いますよ?ジェシカちゃんごときエミルくんレベルの男でも問題ないですし、このままじゃ女として終わってますからね」

 なんか小声でオレとジェシカさんに毒を吐いてる気がするが……まぁリリスさんも心配しているようだ。こうしてオレはジェシカさんの元に行くことにするのだった。

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